ヤノベケンジ―ウルトラ展/豊田市美術館 [美術]
豊田市美術館の「ヤノベケンジ―ウルトラ」展に行ってきました。
昨日、6月21日(日)が最終日でした。
この展覧会の美しいポスターを他の美術館で見て、
すごく面白そうだと思って、行きたいと思っていたのですが、
ついずるずると日が経ってしまい、もう行けないかなぁーとあきらめていたのです。
それが、たまたま昨日はパートが休みになりまして
――最近は、パート先もヒマで、土日でもパートの一人は休めるのでした――
豊田市美術館の「ヤノベケンジ―ウルトラ」展のページを
プリントアウトして(入館料が100円引きになります)出掛けました。
豊田市美術館に行くのも、豊田市の中心街に行くのも初めてです。
我が家からは、名鉄岐阜経由で、本線の知立駅から名鉄三河線で豊田市駅まで、約2時間。
(名鉄犬山線の上小田井駅から地下鉄鶴舞線に乗り換え、直通の名鉄豊田線で行っても、
同じくらいの時間で着きますが、岐阜行きの列車の方が早く来たので)
名鉄三河線は単線で田んぼの中をのどかに走り、ちょっとした旅行気分です。
さすがに豊田市駅前は都会です。
愛知環状鉄道の新豊田駅もすぐ近くで、駅前はきれいに整備されていました。
「徒歩15分」とのこと。案内表示がきちんとしているので迷うことはありません。
ただ、最後の坂道は結構キツかったです。それと、東入口から入ることになるので‥‥
やっぱり駐車場のある正面入口から入ってきた方が、美術館の第一印象が違いますね。
入ると、館内に長蛇の列。え?何?こんなに入館者が並んでいるの?と思ったら、
15時からのヤノベケンジ・アーティストトークの入場整理券をもらうための列でした。
先着150名で、もう列の最後尾あたりは入場できないみたいなのであきらめました。
入館料、100円割引の700円を払ってチケットをもらいました。
このチケットで、常設展や高橋節郎館にも入ることができます。
しかし、混んでいました。そして、いつもの美術展の入場者とはだいぶ客層が違います。
ベビーカーを押した若いカップル、学生っぽいグループなど、若い人が多いです。
そして、皆、ケイタイのカメラで写真を撮っているという、
およそ美術展とは思えない風景!
ブログの記事を書くには嬉しいのですが、
今日に限って、デジカメを忘れてくるという、およそ私にはありえないような
ポカをやっていたので、これらの画像は全てiPhoneのカメラで撮りました。
(トリミング、解像度は画像ソフトで加工しています)
ヤノベケンジについては、《アトムスーツ》という黄色い防護服を着て、
チェルノブイリを訪問するプロジェクトを何かで見て、
社会的なメッセージも感じられて、すごく面白いことをする人だなぁと
思っていました。
展示されていた《アトムスーツ》を着たトらやん
去年、NHKの「新日曜美術館」の「KPO閉館~現代アート発信の20年」という番組で、
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2008/0309/index.html
ヤノベケンジが、1990年、キリンプラザ大阪コンテンポラリーアワードで
《タンキング・マシーン》という生理的食塩水を入れたタンクの中に鑑賞者が入って
瞑想するという作品で、第1回のグランプリを受賞して、鮮烈なデビューをしたこと、
それからの活躍が簡単に紹介されていました。
空気中の微量な放射線を感知して立ち上がるロボット《ビバ・リバ・プロジェクト》
火を吐く巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》などの作品を見て、
現代アートに何の興味もないような人でも、引き込んでしまうような面白さ、迫力が
すごい、とてもいいなぁと思いました。
ヤノベケンジは1965年、大阪生まれ。
彼のアートには、SFやマンガの影響がすごく感じられますよね。
核戦争後の廃墟となった地球のイメージは、多くのSFやマンガにありました。
チェルノブイリを歩く防護服の彼は、まさにそんなイメージから生まれたのでは
ないでしょうか。しかし、現実は虚構より奇なりというか、実際のチェルノブイリには、
汚染の中、そこに暮らす人々がいたわけで、そこから、彼の制作テーマが、
「サヴァイヴァル」から「リヴァイヴァル」へとなったとか。
また、1970年の大阪万博が幼い彼に強烈な印象を残したこともわかります。
「サヴァイヴァル」をテーマとした展示
「赤い森」の展示(カタログより)
《ミニ・トらやん》がいっぱいで、可愛いです。
真ん中のライトは《ファンタスマゴリア》2007年の作品
さて、メインの《ウルトラ―黒い太陽》
14時の起動は観客でいっぱいだったので、14時30分からの起動を見ました。
「ペースメーカー装着者は見ることができません。強い電磁波が発生するので、
携帯電話などが壊れる心配があります、大きな音でびっくりされるかもしれないので、
小さなお子さん連れの方はすぐに出られる位置で」と、警備員から注意がありました。
会場は、水の中に巨大な球体があり、放射状に突起する形は、SF映画で見たような
イメージで、わくわくしながら、起動を待ちました。
やがて、注意のアナウンスが繰り返され、会場の照明が落とされると‥‥
球体の内部に稲妻が発生したのでした。
人工的な雷――大きな音と、少しピンクがかった稲光が鋭く光る様は、確かに美しい
ですが、うーーん、ちょっと‥‥これだけ?という気もしました。
テスラコイルを用いて人工的に放電させるということが(しかもこれだけの大きさで)
どれくらい難しくて大変なことなのかはよくわかりませんが‥‥
もう一ひねりしてほしかったです。
《Ferris Wheel》2007年の作品
さて、せっかくなので、新規収蔵作品を中心にした「しんりょく!」という常設展も
見ました。豊田市美術館は、乳白色の合わせガラスからの光が降り注いで、とても明るく、
白い空間に、シンプルな現代抽象アートがよく映えました。
現代アートから、速水御舟、そして藤田嗣治やクリムト‥‥よく言えばバラエティに富む、
(悪く言えばバラバラ)なアートを楽しむことができました。
私はそれぞれ興味深くて面白かったです。
アートの解説を自由に持ち帰ることができるのはいいですね。
テラスには鏡張りや鮮やかな色の大きな立方体があちこちにあり、
子供がかくれんぼをして遊んだりしていました。
ダニエル・ビュレンの《色の浮遊13の破裂した小屋》という作品とのこと
自分の姿や池などの風景が思いがけないように映るので、面白いです。
テラスの北に「高橋節郎館」があります。私は高橋節郎を知りませんでした。
漆芸家とのことです。漆というと、伝統工芸というイメージですが、
高橋節郎氏の作品は工芸品という枠を超えたアートですね。
黒い漆に金で描かれた幻想的な絵が素敵でした。
ハープやグランドピアノに施された漆の装飾――豪華ですね。
高橋節郎館に設けられたラウンジからの眺め。
緑の中に置かれた、金子潤の《ワイド・タンゴ》という作品が素敵です。
豊田市美術館の全景(3枚の画像を合成しました)
美術館の敷地内には「童子苑」という茶室もあります。茶室の日本庭園。
美術館の正面玄関側の、西欧風の幾何学的な庭に設置された
ソル・ルウィット《柱のある立方体》
展覧会のパンフが欲しいとミュージアムショップへ戻ると、美術館ロビーでは、
ヤノベケンジのサイン会が催されていました。
パンフ(800円)や、ヤノベケンジの関連本を買えば、サインしてもらえるとのことで、
ちょっと心が動いたのですが、ずいぶん多くの人が並んでいたので、やめておきました。
(でも、人数制限もせずに、途中一時退席されましたが、並んだ人には全て
にこやかに話しかけながら、サインをされていたようです。)
美術館の場所は、江戸時代末期に築城された「七州城(しちしゅうじょう)」の
跡地とのこと。美術館駐車場から正面玄関へのアプローチには、
隅櫓が復元されています。
でも、豊田市美術館、いい美術館ですね。設備もモダンで素敵ですが、
前衛的な作家や作品を意欲的に取り上げていて面白そうです。
次回は7月7日(火)から、ジュゼッペ・ペノーネという現代美術家
私は名前も聞いたことがありませんが、チラシを見ると、
自然の造形力と作家の創造力を融合した作品は、素材の存在感が素敵です。
ヤノベケンジのホームページ: http://www.yanobe.com/ を見ると、
6月19日(金)から、東京銀座のビー・エル・ディー ギャラリーで
ヤノベケンジ「ジャイアント・トらやんの大冒険」展
~ミニ・ジャイアント・トらやん発売記念~という展覧会が行われているとか、
東京都現代美術館のエントランスで、《ジャイアント・トらやん》が、
4月16日(木)~8月2日(日)まで展示されているとか。さすが東京ですね。
高さ7.2メートルの巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》は、一度、
(できれば火を噴くところを)見てみたいなぁ。
昨日、6月21日(日)が最終日でした。
この展覧会の美しいポスターを他の美術館で見て、
すごく面白そうだと思って、行きたいと思っていたのですが、
ついずるずると日が経ってしまい、もう行けないかなぁーとあきらめていたのです。
それが、たまたま昨日はパートが休みになりまして
――最近は、パート先もヒマで、土日でもパートの一人は休めるのでした――
豊田市美術館の「ヤノベケンジ―ウルトラ」展のページを
プリントアウトして(入館料が100円引きになります)出掛けました。
豊田市美術館に行くのも、豊田市の中心街に行くのも初めてです。
我が家からは、名鉄岐阜経由で、本線の知立駅から名鉄三河線で豊田市駅まで、約2時間。
(名鉄犬山線の上小田井駅から地下鉄鶴舞線に乗り換え、直通の名鉄豊田線で行っても、
同じくらいの時間で着きますが、岐阜行きの列車の方が早く来たので)
名鉄三河線は単線で田んぼの中をのどかに走り、ちょっとした旅行気分です。
さすがに豊田市駅前は都会です。
愛知環状鉄道の新豊田駅もすぐ近くで、駅前はきれいに整備されていました。
「徒歩15分」とのこと。案内表示がきちんとしているので迷うことはありません。
ただ、最後の坂道は結構キツかったです。それと、東入口から入ることになるので‥‥
やっぱり駐車場のある正面入口から入ってきた方が、美術館の第一印象が違いますね。
入ると、館内に長蛇の列。え?何?こんなに入館者が並んでいるの?と思ったら、
15時からのヤノベケンジ・アーティストトークの入場整理券をもらうための列でした。
先着150名で、もう列の最後尾あたりは入場できないみたいなのであきらめました。
入館料、100円割引の700円を払ってチケットをもらいました。
このチケットで、常設展や高橋節郎館にも入ることができます。
しかし、混んでいました。そして、いつもの美術展の入場者とはだいぶ客層が違います。
ベビーカーを押した若いカップル、学生っぽいグループなど、若い人が多いです。
そして、皆、ケイタイのカメラで写真を撮っているという、
およそ美術展とは思えない風景!
ブログの記事を書くには嬉しいのですが、
今日に限って、デジカメを忘れてくるという、およそ私にはありえないような
ポカをやっていたので、これらの画像は全てiPhoneのカメラで撮りました。
(トリミング、解像度は画像ソフトで加工しています)
ヤノベケンジについては、《アトムスーツ》という黄色い防護服を着て、
チェルノブイリを訪問するプロジェクトを何かで見て、
社会的なメッセージも感じられて、すごく面白いことをする人だなぁと
思っていました。
展示されていた《アトムスーツ》を着たトらやん
去年、NHKの「新日曜美術館」の「KPO閉館~現代アート発信の20年」という番組で、
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2008/0309/index.html
ヤノベケンジが、1990年、キリンプラザ大阪コンテンポラリーアワードで
《タンキング・マシーン》という生理的食塩水を入れたタンクの中に鑑賞者が入って
瞑想するという作品で、第1回のグランプリを受賞して、鮮烈なデビューをしたこと、
それからの活躍が簡単に紹介されていました。
空気中の微量な放射線を感知して立ち上がるロボット《ビバ・リバ・プロジェクト》
火を吐く巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》などの作品を見て、
現代アートに何の興味もないような人でも、引き込んでしまうような面白さ、迫力が
すごい、とてもいいなぁと思いました。
ヤノベケンジは1965年、大阪生まれ。
彼のアートには、SFやマンガの影響がすごく感じられますよね。
核戦争後の廃墟となった地球のイメージは、多くのSFやマンガにありました。
チェルノブイリを歩く防護服の彼は、まさにそんなイメージから生まれたのでは
ないでしょうか。しかし、現実は虚構より奇なりというか、実際のチェルノブイリには、
汚染の中、そこに暮らす人々がいたわけで、そこから、彼の制作テーマが、
「サヴァイヴァル」から「リヴァイヴァル」へとなったとか。
また、1970年の大阪万博が幼い彼に強烈な印象を残したこともわかります。
「サヴァイヴァル」をテーマとした展示
「赤い森」の展示(カタログより)
《ミニ・トらやん》がいっぱいで、可愛いです。
真ん中のライトは《ファンタスマゴリア》2007年の作品
さて、メインの《ウルトラ―黒い太陽》
14時の起動は観客でいっぱいだったので、14時30分からの起動を見ました。
「ペースメーカー装着者は見ることができません。強い電磁波が発生するので、
携帯電話などが壊れる心配があります、大きな音でびっくりされるかもしれないので、
小さなお子さん連れの方はすぐに出られる位置で」と、警備員から注意がありました。
会場は、水の中に巨大な球体があり、放射状に突起する形は、SF映画で見たような
イメージで、わくわくしながら、起動を待ちました。
やがて、注意のアナウンスが繰り返され、会場の照明が落とされると‥‥
球体の内部に稲妻が発生したのでした。
人工的な雷――大きな音と、少しピンクがかった稲光が鋭く光る様は、確かに美しい
ですが、うーーん、ちょっと‥‥これだけ?という気もしました。
テスラコイルを用いて人工的に放電させるということが(しかもこれだけの大きさで)
どれくらい難しくて大変なことなのかはよくわかりませんが‥‥
もう一ひねりしてほしかったです。
《Ferris Wheel》2007年の作品
さて、せっかくなので、新規収蔵作品を中心にした「しんりょく!」という常設展も
見ました。豊田市美術館は、乳白色の合わせガラスからの光が降り注いで、とても明るく、
白い空間に、シンプルな現代抽象アートがよく映えました。
現代アートから、速水御舟、そして藤田嗣治やクリムト‥‥よく言えばバラエティに富む、
(悪く言えばバラバラ)なアートを楽しむことができました。
私はそれぞれ興味深くて面白かったです。
アートの解説を自由に持ち帰ることができるのはいいですね。
テラスには鏡張りや鮮やかな色の大きな立方体があちこちにあり、
子供がかくれんぼをして遊んだりしていました。
ダニエル・ビュレンの《色の浮遊13の破裂した小屋》という作品とのこと
自分の姿や池などの風景が思いがけないように映るので、面白いです。
テラスの北に「高橋節郎館」があります。私は高橋節郎を知りませんでした。
漆芸家とのことです。漆というと、伝統工芸というイメージですが、
高橋節郎氏の作品は工芸品という枠を超えたアートですね。
黒い漆に金で描かれた幻想的な絵が素敵でした。
ハープやグランドピアノに施された漆の装飾――豪華ですね。
高橋節郎館に設けられたラウンジからの眺め。
緑の中に置かれた、金子潤の《ワイド・タンゴ》という作品が素敵です。
豊田市美術館の全景(3枚の画像を合成しました)
美術館の敷地内には「童子苑」という茶室もあります。茶室の日本庭園。
美術館の正面玄関側の、西欧風の幾何学的な庭に設置された
ソル・ルウィット《柱のある立方体》
展覧会のパンフが欲しいとミュージアムショップへ戻ると、美術館ロビーでは、
ヤノベケンジのサイン会が催されていました。
パンフ(800円)や、ヤノベケンジの関連本を買えば、サインしてもらえるとのことで、
ちょっと心が動いたのですが、ずいぶん多くの人が並んでいたので、やめておきました。
(でも、人数制限もせずに、途中一時退席されましたが、並んだ人には全て
にこやかに話しかけながら、サインをされていたようです。)
美術館の場所は、江戸時代末期に築城された「七州城(しちしゅうじょう)」の
跡地とのこと。美術館駐車場から正面玄関へのアプローチには、
隅櫓が復元されています。
でも、豊田市美術館、いい美術館ですね。設備もモダンで素敵ですが、
前衛的な作家や作品を意欲的に取り上げていて面白そうです。
次回は7月7日(火)から、ジュゼッペ・ペノーネという現代美術家
私は名前も聞いたことがありませんが、チラシを見ると、
自然の造形力と作家の創造力を融合した作品は、素材の存在感が素敵です。
ヤノベケンジのホームページ: http://www.yanobe.com/ を見ると、
6月19日(金)から、東京銀座のビー・エル・ディー ギャラリーで
ヤノベケンジ「ジャイアント・トらやんの大冒険」展
~ミニ・ジャイアント・トらやん発売記念~という展覧会が行われているとか、
東京都現代美術館のエントランスで、《ジャイアント・トらやん》が、
4月16日(木)~8月2日(日)まで展示されているとか。さすが東京ですね。
高さ7.2メートルの巨大ロボット《ジャイアント・トらやん》は、一度、
(できれば火を噴くところを)見てみたいなぁ。
小坂に美術館ができたんですね。
私が豊田市に住んでいた時には、豊田駅は古い駅だったような気がします。ずいぶんキレイになってるんですね。
松坂屋にもよく行きました。。
豊田市駅から名古屋まで地下鉄で通っていました。
懐かしいです。
駅前はそんなにきれいに変わってるんですね。
豊田市美術館の合成画像・・・すごいですね。技!!
by たまのママ (2009-06-24 10:27)
たまのママさん、コメントありがとうございます。小坂?あ、豊田市美術館の住所は小坂本町ってなってる。1995年11月オープンだそうです。いい美術館でした。私は豊田市の中心街に行ったのは初めてなので、わー、さすが豊田市だわーと思いながら歩いてました。
by しーちゃん (2009-06-25 00:06)