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岐阜県美術館「時代を創った日本画家たち」展 [美術]

7月28日(火)に、岐阜県美術館へ行ってきました。

私は岐阜県美術館の後援会員(一般)なのですが、8月31日で期限が来るので、
継続のための年会費3,000円を払いに行きました。
これで、1年間、企画展は各1回ずつ、所蔵展は何度でも見ることができます。
また、カタログやミュージアムショップの商品が1割引になったり、
企画展のチラシや会報などが送付されてきたりします。
私はほとんどの企画展を見に行っているので、しっかりモトは取っています。

そして、研修旅行にも参加できます。私は1度だけ、金沢21世紀美術館へ行きました
かなりお値打ちな料金で(後援会費の持ち出しじゃないかな?)参加することができました。

岐阜県美術館では今、「時代を創った日本画家たち」という企画展をやっています。
岐阜、愛知、三重の3県立美術館の協同企画展シリーズ第4弾ということで、
各館が所蔵する日本画家の作品が岐阜県美術館に集まりました。

夏休みに入ったけど、平日だし、雨だし、いつもの静かな岐阜県美術館を想像していたら、
予想外に鑑賞客が入っていて、年配のグループが多く、漏れ聞こえる会話は、
「なんでも鑑定団」のよう‥‥おー、さすが、日本画の大家の作品が並んでいて、
人気があるんだと思ったのですが、県民ギャラリーの「日本水墨画公募展」の
鑑賞客が流れて来ていたのかもしれませんね。

でも、川合玉堂、竹内栖鳳、横山大観、前田青邨、守屋多々志、川崎小虎‥‥と、
私でも名前を知っている日本画の大家の作品が並び、彼らの師弟関係や交友関係など、
明治から昭和にかけての日本画の流れを知ることができる展覧会でした。

このうち、川合玉堂、前田青邨、守屋多々志、川崎小虎は岐阜にゆかりがあります。
その他、岐阜県出身の日本画家は、加藤栄三、加藤東一、土屋禮一、長縄士郎‥‥
なので、岐阜県美術館にもこれら日本画家の作品が結構収蔵されています。

まず、川合玉堂。現在の愛知県一宮市の生まれですが、8歳の時に岐阜に移住。
この展覧会でも、『深林宿雪』や『老松蒼鷹』など、岐阜県美術館所蔵の
私の大好きな絵が展示してありました。よく所蔵展で見るのですが、いつも、
精緻な筆致にため息が出るほどの作品です。
(岐阜県美術館のホームページに小さな画像があります
 http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s27213/collection_1.html

『老松蒼鷹』は、六曲一双の大作で、金の上に絵絹を貼り、金色をやわらかな調子にして
(すごい、贅沢な金箔の使い方ですね!)その上に、墨一色で、力強い老松と、
若い鷹を精緻に描いていて、その筆の技に、とにかく「すごい!!」の一言です。

その隣には、竹内栖鳳の六曲一双屏風『虎・獅子図』三重県立美術館の所蔵作品です。
「獅子」といっても、竹内栖鳳の獅子はライオン。
彼がロンドンやアントワープの動物園で初めて見たライオンを写生した成果とのことで、
当時の日本画界ではかなり評判になったとのこと。
金地に力強く奔放な筆使いながら、生き生きと写実的に描写されていてすごい。
虎も描き込んでいるわけではないのに、毛の質感など、とてもリアルで、とにかくすごい。
(三重県立美術館のホームページに画像と解説があります
 http://www.pref.mie.jp/bijutsu/hp/guide/tomodayo-coll/seiho.htm

この日本画の大家2人の豪華な金屏風の大作が、
最初の展示室の壁面いっぱいのガラスケースに収められていて、迫力でした。
今回の企画展で一番印象に残った作品です。

今回の企画展のチラシ
gifumuseum20097.jpg
川合玉堂と並べて、橋本雅邦と横山操の絵を使っているんですが、
展示会場では、岐阜にゆかりのある3人の日本画家を中心に構成されて展示されていました。

1.「川合玉堂とその周辺」
川合玉堂を中心に、師匠の橋本雅邦と幸野楳嶺や兄弟子の竹内栖鳳の絵を展示。

2.「前田青邨とその周辺」
中津川出身の前田青邨の絵も岐阜県美術館に多くあり、
今回展示の絵はほとんど見たことがあるものばかりでした。
『囚われたる重衛』とか、高松宮妃を描いた『ラ・プランセス』上品で穏やかな画風がいいです。

横山大観の『満ちくる朝潮』という作品(屏風)が展示されていました。
大観というと、「朦朧体」という線描を抑えた西洋画の画法を取り入れた描法で、
近代日本画界に大きな足跡を残した巨匠ですが、私は感覚が古いのか、
なんかもっさりした画面だなぁと、当時「朦朧体」と批判した人に同意してしまいます。

守屋多々志――どうもこの人、私は前田青邨とごっちゃになるんですよねぇ。
守屋多々志も岐阜の大垣の生まれで、どちらも歴史画をよく描いたというところも似てますし。
『乱世に生きる』という、暗く光る海を背景に、若いというより幼い信長・秀吉・家康を描いた
大きな絵が展示されていて、あー、実際にこんな場面があったかも、と、
興味深かったです。この絵は岐阜県美術館所蔵なのに、私は見るのは初めてです。

そして 3.「川崎小虎とその周辺」
やっぱり私は感覚が古いというか、川崎小虎は日本画の可能性を色々追求したんでしょうが、
どうも私は伝統的(?)な日本画が好きみたいで、うーーん、どうなのかなぁ‥‥ってカンジ。

でも戦後、「日本画滅亡論」も出る中、それぞれの作家が、新しい試みをしてきて、
現代の日本画があるんだなぁ、と。

岐阜県美術館のホームページはこちら: http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s27213/
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スー

いいですねえ。
by スー (2009-07-31 16:46) 

しーちゃん

スーさん、nice! & コメントありがとうございます。日本画の名だたる大家の作品がズラリとならんで、眼福でした。
by しーちゃん (2009-07-31 20:10) 

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