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怖い絵 マリー・アントワネット [美術]

2月1日(月)夜10:25~10:50、NHK教育テレビ「知る楽」を見ました。

NHKの番組宣伝で、中野京子さんの「怖い絵」を取り上げることを知ったのですが、
ちょうど今、図書館で「怖い絵2」を借りていたんです。

怖い絵2

怖い絵2

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 朝日出版社
  • 発売日: 2008/04/05
  • メディア: 単行本



へー、この本、結構話題になっているんですか?
私は図書館で、美術関係の本を探しているうちに、たまたま見つけて、
つい読みふけってしまい、面白かったので借りてきたんです。
そういえば、「怖い絵2」なので、1はないかとあたりを探したんですが、
見つからなかったのは、人気の本で貸出中だったのでしょうか。

NHK「知る楽」は、「オトナの心を動かす『知』の世界へ―。」ということで、
曜日別に、様々なテーマを各界の講師が取り上げて解説する番組。
中野京子さんの「『怖い絵』で人間を読む」は、
2月~3月の8回にわたって、名画を読み解いていくそうです。

その第1回目の放送。内容は、
「悪意の肖像 ~マリー・アントワネット最後の肖像~」
ということで、マリー・アントワネットが処刑場へと運ばれていく姿を
画家ダヴィッドがスケッチした絵。
Wikipediaの「マリー・アントワネット」にその画像もありました。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/83/Jacques-Louis_David_-_Marie_Antoinette_on_the_Way_to_the_Guillotine.jpg

ロココの薔薇(ばら)」と讃えられた王妃マリー・アントワネット。死刑直前に描かれた肖像画が今回の「怖い絵」。描いたのは、ジャック=ルイ・ダヴィッド。ルーブル美術館におさめられている『ナポレオンの戴冠式』で知られる新古典派の代表的画家だ。ダヴィッドはどんな思いで、この絵を描いたのか。「怖さ」の秘密に迫る。
(NHK 知る楽のホームページ http://www.nhk.or.jp/shiruraku/mon/index.html#a1 d より)

そんな背景を知らずにスケッチを見ると、短い髪に帽子をかぶった中年女性が、
手を後ろに回して、不機嫌な顔で座っている姿が、達者な鉛筆の線で
素早くとらえられている。

えっ!? これがマリー・アントワネット??
短い髪はギロチンで首を切るときに邪魔なので切られたとのこと。
しかし、この姿で、荷車に乗せられて、群集の中をゆっくり進むというのは、
本人にとって、ものすごい屈辱だったであろう。
迫り来る処刑に加えて、なんという残酷なことをするんだろう!

しかし、そこで中野京子さんは言う、このスケッチを描いたのが
革命の闘士であったダヴィッドであること。

ルイ16世はわずか1票差で処刑されることが決まったが、
その時、ダヴィッドはルイ16世の処刑に賛成票を投じていて、
マリー・アントワネットのこの姿に対しては、処刑されて当然という、
そんな悪意で見ていたに違いないと。

中野京子さんはダヴィッドを嫌っているというか、厳しい評価をしている。
バスチーユ襲撃にも参加し、国民議会の議長も勤めたダヴィッド。
しかし、革命政府の派閥抗争の中、彼は仲間を裏切ることで生き延び、
ナポレオンに取り入って、ナポレオンの主席画家として、
《サン・ベルナール峠を越えるナポレオン》や、
《ナポレオンの戴冠式》という代表作を描き、
貴族を嫌っていたはずなのに、ついには男爵という地位を手に入れる。

革命政府の派閥抗争の中、ダントンが処刑される時にも、
ダヴィッドは街角に立って、ダントンの姿をスケッチしたそうで、
ダヴィッドの姿を見つけたダントンは「この下司野郎!」と言ったとか。

ナポレオンが失脚した後、ベルギーに亡命して、その地でみじめに死んだとのこと。

もし、ダヴィッドがこのマリー・アントワネットの肖像を死ぬ時に見たら、
どう思うだろうか?と。

美しかったマリー・アントワネット。
ダヴィッドは、ギロチンにかけられる哀れで惨めな最後の姿をスケッチした。
しかし、悪意で描かれたこのスケッチだが、
アントワネットは、背筋をシャンと伸ばして、
まるで玉座に座っているように、堂々としている。
そこには、元フランス王妃として死ぬ覚悟を決めた、
見事な姿が写し取られてしまっている。

ただ、私は、ダヴィッドについて、確かに好きになれない人物だろうけど、
彼もまた歴史に翻弄された人生だったんだなぁーと。ちょっと同情するところもある。
何より、画家としての腕はすごいと認めざるを得ないところが、
彼に対する評価が甘くなるところなんだけど。

「知る楽」の第2回は、
ハプスブルク帝国の美しき皇妃エリザベートの28歳のまばゆいばかりの肖像画を
とりあげるとのことで、これも楽しみです。

そして「怖い絵」は、3巻まで出ているそうなので、こちらも
図書館で探してこなくては!

怖い絵

怖い絵

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 朝日出版社
  • 発売日: 2007/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



怖い絵3

怖い絵3

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 朝日出版社
  • 発売日: 2009/05/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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コメント 8

たまのママ

NHK“知る楽”は、私もちょくちょく見てます。
興味を惹かれる話題のものが多いから好きな番組です。
マリー・アントワネットの処刑の絵は、見たことがあります。何かのTV番組だったと思いますが、たぶんしーちゃんが見たものと同じだと思うのですが。
ロココの薔薇ですか??
ロココってシンプルな薔薇なんですが、ロココというところが何とも・・・
私も第二回、2/8(月)見ま~すV(^-^)V
by たまのママ (2010-02-03 23:02) 

しーちゃん

たまのママさん、コメントありがとうございます。私はNHK“知る楽”は初めて見ましたが、興味深いですね。第2回の、皇妃エリザベートの肖像画について、楽しみです。
by しーちゃん (2010-02-04 20:55) 

マアカ

番組は見ていませんが、このシリーズは読んでます。
人気シリーズらしくて、途中まで。
でもおもしろくて既刊分全部予約入れてます。
今度番組の方も見てみますね。

by マアカ (2010-02-05 10:19) 

しーちゃん

マアカさん、コメントありがとうございます。このシリーズ、人気みたいですね。たまたま図書館で見つけられたのはラッキーだった?有名な絵も、ちょっと違った角度から鑑賞することができて、面白いですね。NHKの番組も興味深いです。
by しーちゃん (2010-02-05 16:40) 

たまのママ

知る楽2・・・見ましたよ~。
エリザベート、綺麗でしたね。
あの絵は、3メートル以上ありそうな・・・
アップで見た時の顔がとてもリアルで綺麗でした。
美しさを保ち続けるのも大変な努力が必要なんですね。
乗馬の写真(?)ウエスト、とっても細かったです。。
by たまのママ (2010-02-08 23:44) 

しーちゃん

たまのママさん、コメントありがとうございます。私も見ましたよー。
怖い絵かどうかは、うーーん、というカンジでしたが、美しい絵ですね。エリザベートには興味もあったので、新しい記事を書きました。
by しーちゃん (2010-02-09 21:25) 

ミサコネコ

マリー・アントワネットが処刑場へと運ばれていく姿を画家ダヴィッドがスケッチした絵ですね。


マリー・アントワネットは、処刑されたんですね。
by ミサコネコ (2012-05-24 23:08) 

しーちゃん

ミサコネコさん、コメントありがとうございます。最近、藤本ひとみの「王妃マリー・アントワネット〈青春の光と影〉」と「王妃マリー・アントワネット〈華やかな悲劇のすべて〉」を読みました。普通の女の子が王妃になっちゃった‥‥みたいで彼女に同情するところは大いにあるなって。後の本は、たよりないダンナをかかえて奮闘する老舗旅館の女将、みたいなカンジで。でも彼女の最後は立派だなぁって。
by しーちゃん (2012-05-25 12:32) 

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