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発電所美術館ヤノベケンジ「MYTHOS」展 [美術]

9月22日(水) 富山県新川郡入善町の
下山(にざやま)芸術の森 発電所美術館へ行ってきました。

我が家から東海北陸自動車道・北陸自動車道を通って約260kmの道のり。
そんな遠くまで、私のボロ車を運転していくのは不安もありました。
今まで、そんな長い距離を運転したことがなかったので。

そんな遠くまで、何を見に行ったのか?

ヤノベケンジ×ウルトラファクトリーによる
「MYTHOS(ミュトス)」展
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9月12日放送のNHK教育テレビ「日曜美術館」のアートシーンで
今回の展覧会のことが紹介されていたんです。

それを見て、すごく面白いと!
「MYTHOS(ミュトス)」とはギリシャ語の「神話」の意味。
6月19日~9月23日の会期を4章に分けて、
神話をテーマに、電光・流水・虹によるインスタレーションを展開。
制作風景も含めて展示されるとのこと。

序章では、廃墟の中に、水球を抱いた龍が置かれ、
廃墟からの再生、そして新たな物語の誕生を思わせ――

第1章《放電》では、テスラコイルによる放電で、天地創造を――

第2章《大洪水》は天井に吊るされた水瓶から5トンもの水が一気に落ちてきて、
旧約聖書の物語にある圧倒的な天変地異を――

第3章《虹のふもとに》では、虹の発生装置で、未来への架け橋を――

テスラコイルによる放電はもう終わっているとのことでしたが、
今は第3章の虹の発生装置と共に、好評だった第2章の《大洪水》も
見られるとのことで、見に行きたくなってしまったんですよ。

でも遠いし、もう会期終了まで日がないしなーと思ったんですが、
22日がパートが休みで、もし行くとしたらこの日しかないけど‥‥と、
ネットで発電所美術館のことを調べたりしているうちに、
行きたい気持ちがドンドン高まってきてしまいました。

私の運転では不安もあるので、列車で行くことも考えたんですが、
車の方が安いし、早い。でも最近またちょっと忙しかったから、
車の運転は疲れそうだし、片付けたい家事もあるし‥‥と、
当日の朝まで迷ってました。でも、今日行かないときっと後悔すると。
私のボロ車で、途中の休憩を入れて片道約4時間かかりました。

遠かったですが、行ってよかったです。
5トンの水の放水は迫力でした。1時、2時、3時と、
3回も見ちゃいました。
(中2階の「放射線防護服」についているガイガーカウンターが
 “0”になると放水されるとのことですが、
 ほぼ1時間毎に放水されているそうです)
2階で見ていたんですが、はねた水がそこまで届きそうな勢い。
発電所美術館ならではのインスタレーションですね。
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大洪水のプランスケッチ(チラシ裏面より)

この、入善町にある発電所美術館、
取り壊される予定だった水力発電所を美術館としてリニューアルしたもので、
大正時代の面影を今に伝えるレンガ造りのモダンな建物と、
発電用タービンや導水管が残され、天井の高い大空間は、
巨大な立体造形の現代美術やインスタレーションとよくマッチするというか、
以前も、アートシーンで紹介された現代美術の企画展、
雰囲気がいいなぁーと、ネットで調べたことがありました。
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入善町 下山芸術の森 発電所美術館のサイトはこちら
http://www.town.nyuzen.toyama.jp/nizayama/

今回の企画、その発電所美術館を最大限に活かしているというか、
序章の廃墟はこの寂れた(約4時間の運転の末着いた時、
駐車場に車もほとんどなく、人も見当たらないような状況に、
え?今日休館日だった??と心配してしまいました)
取り壊される予定だった古い発電所の雰囲気そのままだし、

第1章の人工稲妻発生装置(テスラコイル)による放電は、
かつての発電所を甦らせるようなイメージがありますね。
私、去年、豊田市美術館で開催された
ヤノベケンジ―ウルトラ展」を見に行ったんですが、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-06-22
メインの《ウルトラ―黒い太陽》という作品、
突起のある巨大な球体の中で、テスラコイルによる放電で、
大音響と稲妻の光が迫力でした。多くの人が見に来ていました。
でも、その時は正直、これだけ?って気もしたんですよね。
この発電所美術館でのテスラコイルによる放電は見ていないので、
うかつに感想は言えないのですが、
天地創造のイメージはいいですね。放電に物語性が加わったというか。

そして第2章の《大洪水》
水力発電所だった設備を最大限に活かしているというか、
5トンもの水を放水できる施設なんて、そうそうないでしょうねぇ。
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発電所美術館の中2階から見る《大洪水》も迫力でしたが、
この赤いカーテン、放水の時に開くんですが、この位置から見る
《大洪水》も迫力でした。足元まで水が津波のように
押し寄せてくるので注意しなくてはならないのですが。

第3章の《虹のふもとに》
円錐形のような不思議な形の中に虹が発生しています。
虹っていうと、やっぱり希望というイメージでしょうか。
旧約聖書でも大洪水の後に虹が出たんですよね。
どういう仕掛けになっているのか、自分が動くと虹の見え方も変わって、
小さいけれど、とても美しい虹でした。

休憩室ではヤノベケンジのビデオも放映されていましたが、
去年の「水都大阪2009」で《ラッキードラゴン》という、
船が巨大な龍になっていて、口から火や水を吹くという作品を
作っているんですね。面白いですね!
アートに関心がない子供にもウケますね。
道頓堀を航行する風景なんて、素敵です。
でも実はこの《ラッキードラゴン》という名前、
1954年、ビキニで水爆実験で被爆した“第五福竜丸”の英語名ってところが、
《アトムスーツ》でチェルノブイリを訪問するヤノベケンジらしいというか。

この水力発電所、段差(23m)はもちろんあるんですが、平地にあるんですね。
水力発電所というと、山奥とか川岸というイメージだったので、
案内標識は整備されていてわかりやすかったんですが、
着いた時に、え?ここなの?と、ちょっとびっくりしました。

河岸段丘(はば)の上から見た発電所美術館
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河岸段丘(はば)の上の「水槽上屋」を改装した喫茶室。
黒部川扇状地を一望できるとのこと。
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他に、美術制作のためのアトリエや宿泊棟、展望塔などもあります。

周囲は稲刈り真っ最中の水田が広がっていました。
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コメント 2

スー

発電所美術館とは、非常にユニークですね。
地方が元気だなあと、たのもしく思いました。

by スー (2010-09-26 02:08) 

kk

旧八百津発電所資料館 管理人のkkと申しますが勉強のため立ち寄らせて頂きました。私の方には水圧管が取り除かれていて残念です。
いいお写真ありがとうございました。勉強させてもらって帰ります。ありがとうございました。
by kk (2011-08-19 21:26) 

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