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抱きしめたい! 近代日本の木彫展 [美術]

高浜市やきものの里かわら美術館で
「2011イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」を見て
碧南市藤井達吉現代美術館へ
「抱きしめたい! 近代日本の木彫展」をやっています。

前回の企画展「画家たちの二十歳の原点」を見に行った時に、
次回のチラシと割引券をもらいまして、それがすごく面白そうだったんですよね。
(しかし「抱きしめたい!」なんて聞くと、ついジュリーの歌を歌ってしまうんですが‥‥)
Hekinan-M-3.jpg
割引券で一般600円のところ、団体割引料金の480円で見ることができたのも嬉しかった。

実は今まであまり彫刻、それも木彫には興味がなかった、というか知らなかったんです。
チラシ表面では、さすがに船越桂と三沢厚彦、高村光太郎は知っています。

船越桂《つばさを拡げる鳥がみえた》なんともいえない表情がとても印象的です。

米原雲海(よねはら うんかい)の《善那・木型》
まるで塑像のような柔らかな表現で驚いたんですが、
これは「星とり」という技術で木彫の原型として塑像を用いたとか。
この像を木型として銅像にしたのが、東京国立博物館にあるジェンナー像だそう。
‥‥ふーん、塑像から銅像を作ったらいいようにも思うのだけど‥‥
  ネットで検索したら、東京国立博物館のジェンナー像は左手に本を持ってました。
この木型は本がない分、顔のやわらかな表情とか、不思議に印象的でした。

Hekinan-M-4.jpg
木彫というと仏像みたいなイメージでしたね。
この展覧会も「プロローグ『彫刻作品』としての仏像」として、
最初に竹内久一(たけのうち ひさかず)の執金剛神立像を展示してありました。
シカゴ万博へ出品するために制作した作品で、礼拝の対象としてではなく、
鑑賞するための芸術作品として制作されたとか。

私には、木を削って作品を作るっていうことだけでスゴイなぁーって思えるんですが。
塑像のように加えたり削ったりして作品を作るのではなく、
一度彫ってしまったらもう変更はできませんよね。
よく彫刻家は、石や木の中に形が埋もれているんだなんて言いますが、
いらないところを削っていって形を残すってのが、もう私には想像外‥‥
きっと、徒弟制度のような技術の伝承というのもあったのかなぁと。

なので、この展覧会、それぞれの作品に、すごいすごいと、
ただ感嘆しなから見ていったんですが、私が印象に残ったのが、
佐藤朝山(さとう ちょうざん)《問答》
チラシには彩色した《西王母》が載ってますが、
《問答》は、座っている出家前の釈迦が立っている僧と問答をしている像で
 (すみません図録を買ってないので正確ではないかも)
彩色はされていなくて、人物など、わりと単純化したような表現なんですが、
二人の距離の近さがすごい緊張感で、その緊張感が伝わってくるようで迫力でした。

宮本理三郎(みやもと りさぶろう)の蛙やトカゲの木彫は、まるで生きているようで、
トカゲの竹も木で彫ったものということで、その精緻な技術に感嘆しました。

大きさと動きが印象的だったのが、片足を大きく上げてスケートをする少女の木彫
宮本朝濤(みやもと ちょうとう)《銀線を描く》

「逸脱する『木彫』」として、現代の多様化した木彫をとりあげた中では、
深井隆(ふかい たかし)《逃れゆく思念-'89-A 》
金箔に塗られた羽が生えた椅子が印象的でした。

須田悦弘(すだ よしひろ)の《雑草》《朝顔》《チューリップ》
展覧会場の「こんなところに!」ってカンジで作品が置かれていて
(展示場所は作家の指定だそう)面白かった。

この「抱きしめたい! 近代日本の木彫展」
碧南市藤井達吉現代美術館では11月13日(日)まで。
その後、11月29日(火)~2012年1月15日(日)  広島県立美術館へ巡回するそうです。

地下の藤井達吉の常設展示も前回と変わっているようなので見てきました。
前回あまり感心しなかった藤井達吉の作品ですが、
今回は水墨のにじみがさわやかな印象で、いいじゃないって。
今回はわりとゆったりした気持ちで鑑賞できたからでしょうか。
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