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名古屋市美術館「ベン・シャーン」展 [美術]

2月26日(日)、名古屋市美術館へ行きました。

「ベン・シャーン クロスメディアアーティスト
 ――写真、絵画、グラフィック・アート――」をやっています。
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ベン・シャーン‥‥中学校の美術の教科書にも載っていたと思うのですが、
ポスターやグラフィック・アート、イラストレーターの仕事に憧れていた頃
(マンガから美術に興味を持った私は、画家になりたいとは全く思いませんでした)
ベン・シャーンの名前はなんかカッコよく響いたんです。

田舎の中学生が知っている程、当時の日本で、ベン・シャーンの人気があったんでしょうね。
この展覧会のHPにもありましたが、
日本では、1960-70年代、特にイラストレーションの世界でベン・シャーンの影響は絶大でした。
とのことです。
彼の描くシャープで味のある線画がいいなぁって思ってました。
でも、私はベン・シャーンが、
「サッコとヴァンゼッティ事件」「トム・ムーニー事件」などの冤罪事件を告発する作品や
第五福竜丸の事件(1954年3月)をテーマにした《ラッキードラゴン》シリーズを
描いていることも知りませんでした。

1月15日に放映された「日曜美術館」でそんなことを知り、
なんとなく、イラストレーターのカッコいいイメージしかなかったベン・シャーンとは、
どんな作家だったのかと、展覧会へ足を運びました。

名古屋市美術館のHPから割引券をプリントアウトして持って行き、
一般当日1,100円の入場料が100円引きの1,000円になりました。
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他の作家の展覧会と全く違うのは、写真が多く展示されていることです。
アメリカ全土の農村と都市の社会状況を記録することを目的に、再入植局(RA)と農業安定局(FSA)が行ったプロジェクトに、シャーンは写真家として参加しました。
とのことですが、それらの写真から絵が描かれていたりします。
写真には貧しい人々のそれぞれの表情がよくとらえられていて、
この人はどんな生まれで、どんな暮らしをしているのかなぁと、
それぞれの人の物語まで想像してしまいます。

名古屋市美術館の2階へ上がると、グラフィック的な作品が多くなります。
文字を使ったもの、ポスター、そして、
ベン・シャーンのアトリエに残されていたという、落書きのような絵の数々が
テーブル状の展示台にぎっしりと並べられていて面白かった。

そして、1960年に来日した時の写真がたくさん展示してあって興味深かったです。
友人と共にアジアそして日本を旅行し、数多くのスナップ写真を撮影したとのことですが、
バリなどでは遺跡や民族舞踊など、観光客が撮りそうなスナップ写真なのに、
日本では、京都の普通の街角や看板とか、店のディスプレイ、
龍安寺でも石庭よりも眺める人々を撮っていたりして面白かった。

第五福竜丸事件をテーマとした《ラッキードラゴン》シリーズでは、
《何故》と題された、お墓の前の白菊が心に残ります。
日本人ならもちろんこの事件は知っているでしょうが、
アメリカ人であるベン・シャーンがこの事件をテーマに絵を描いたというのは
さすが、社会的問題を扱っていたベン・シャーン、すごいなぁって思います。

‥‥ただ、ですね。私はこの展覧会、ベン・シャーンの多方面に活躍した生涯を
知ることができて良かったですが、個人的にあまり彼の絵好きじゃないような‥‥。

私がいいなって思うのは、彼の線画で、
スーパーのカートだけを描いたものとか、麦畑の絵とか、
音楽をテーマにした多摩美術大学美術館(なんて美術館があるの初めて知りました)蔵の絵とか‥‥。
(あれ?結構いいなって思ってるじゃないですか)

売店で、図録は買うつもりなかったですが、
ベン・シャーンの《ラッキードラゴン》シリーズの絵に、
詩人のアーサー・ビナードが文を書いた絵本
「ここが家だ」にはだいぶ心を惹かれたのですが‥‥

ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸

ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸

  • 作者: アーサー・ビナード
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/09/26
  • メディア: 単行本



そして、売店横のコーナーで日曜美術館が放映されていたので、
この間のかと思ったら、なんと1984年に放映されたもの。
山藤章二さんと粟津潔さんが出てて興味深かったです。

ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト
――写真、絵画、グラフィック・アート―― の
展覧会情報サイトはこちら: http://benshahn2011-12exh.info

この展覧会は以下の4館を巡回します
神奈川県立近代美術館 2011年12月3日(土)~2012年1月29日(日)
名古屋市美術館 2012年2月11日(祝・土)~3月25日(日)
岡山県立美術館 2012年4月8日(日)~5月20日(日)
福島県立美術館 2012年6月3日(日)~7月16日(祝・月)

名古屋市美術館のHP: http://www.art-museum.city.nagoya.jp
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