国立国際美術館「エル・グレコ」展 [美術]
11月13日(火)、岐阜県美術館後援会のバス旅行で、
大阪市立美術館「北斎」展を見て、新阪急ホテルのバイキングを楽しんだ後、
国立国際美術館の「エル・グレコ」展を見に行きました。
スペイン三大画家と呼ばれる巨匠エル・グレコの最高傑作の一つで、
3mを越す大作の《無原罪のお宿り》が来るという、奇跡のような展覧会だと。
ちょうど、11月11日の日曜美術館でエル・グレコを放送したので、
録画で見て予習して行きました。
エル・グレコ(1541-1614)
「エル・グレコ」とは「ギリシャ人」という意味の愛称で、
本名ドメニコス・テオトコプーロス
ギリシャのクレタ島に生まれ、イコン画家として活躍した後、
当時クレタ島を支配していたヴェネツィアへ渡り、
ティツィアーノの工房などで、イタリアの絵画表現を学ぶ。
ローマに行き(ミケランジェロなどと同時代人なんですね)
さらに30代半ばでスペイン・トレドへ。
大聖堂の求めに応じて描いた《聖衣剥奪》は
キリストより群集の方が上に描かれているということで、
描き直しを命じられたが、グレコは裁判で争い、
報酬も教会が査定した額の4倍を請求しているとか。
結局、報酬はグレコが要求した半分以下になったが、描き直しには応じなかったと。
新阪急ホテルからバスで10分程で中之島にある国立国際美術館へ到着。
建物には「大阪市立科学館」って書いてあるので、
「え?美術館はドコ?」って思ったら、この鉄のモニュメントのような建造物の
地下が美術館なんですね!
まず地下1階の講堂で、研究員の方からお話をうかがいました。
国立国際美術館は1970年に開催された大阪万博の万国博美術館を活用して
1977年に開館した国立の美術館で、2004年にこちらに移転してきたこと。
主に現代美術の展示を行っている国立国際美術館が、なぜ400年も前の
エル・グレコの展覧会をするのか、エル・グレコは長い間忘れられていた
画家であったと。エル・グレコを発見したのは、当時の前衛であった
印象派やそれ以降の画家たちであったと。
日本とエル・グレコの出会いは、当時パリで、倉敷の大原孫三郎から託されて
美術館を作るために絵画を購入していた児島虎次郎が画廊の絵を見て、
これは素晴らしい絵だと。それが大原美術館にある《受胎告知》で、
この絵が日本にあるのは奇跡だと言われているとか。
今回、残念ながらこの大原美術館《受胎告知》は借りることができなかったそうですが、
日本にあるエル・グレコはこの《受胎告知》と、
国立西洋美術館《十字架のキリスト》の2点だけだそう。
(《十字架のキリスト》は来ています)
エル・グレコの絵は、それぞれ世界中に1点しかないので、それを借りることの
難しさということを強調しておられました。
そうですよね。それも、400年も前の作品ですものね。出品リスト見ても、
スペインのプラド美術館やトレドのエル・グレコ美術館、各地の教会など、
メトロポリタン美術館、ボストン美術館、アテネやロンドン、台湾など、
世界中から集められたエル・グレコの作品が並ぶ軌跡のような展覧会だと。
ということで、地下3階の展覧会場へ。
壁紙の深いえんじ色が重厚な雰囲気でした。
最初に、エル・グレコの肖像画として知られてきた作品《芸術家の自画像》
イコン画家時代の貴重な作品《聖母を描く聖ルカ》
日曜美術館でローマ時代の作品として紹介されていた《燃え木で蝋燭を灯す少年》
‥‥あぁ、印象派の画家が認めたってのはわかります。
タッチが荒いし、光に浮かび上がる一瞬の表情を捉えているところなど‥‥
なので《白貂の毛皮をまとう貴婦人》(チラシ裏面F)
豪華な白貂の毛皮をまとった、こちらを見る大きな目がとても印象的な貴婦人の肖像画、
エル・グレコではないって説もあるようなんですが、私もそう思います。
他の絵と比べて緻密というか。
《ディエゴ・デ・コバルービアスの肖像》は、参考出品として並べて展示してあった
サンチェス・コエーリョ、アロンソという画家の絵から描いたそうなんですが、
荒いタッチで、生き生きとした肖像画になってます。
(でも私は飾るなら、サンチェスさんの描いた方がいいんじゃない?って)
しかし、どの作品も400年以上前に描かれたとは思えないほど、
近代的な印象で迫力があり、画面もきれいです。
会場の壁紙の色が深いえんじ色からカーキ色になり、紺色になっていったのもよかった。
最後に、来日したのが奇跡だと言われる《無原罪のお宿り》
さすがの大作です。日曜美術館で、エル・グレコは絵画が飾られる場所を考えて、
人物のプロポーションなどを引き伸ばして描いたと言ってました。
きっとこの絵も高い位置に飾られるものだったんでしょうね。
地上の花から天使、マリア、白い鳩と光へと続く構図
マリアや天使たちが空間を浮遊して上昇していくような迫力があります。
(展覧会のチケット)
まぁ、研究員の方が言われたように、これらの作品をここに展示するために、
どれほどの苦労があったのかってのを思うと、鑑賞できたのはとても幸運だとは思うのですが。
実は私、途中ちょっとトバして見ていったんです。それは同時開催されている
宮永愛子の展覧会の方も見たかったから。
その、宮永愛子「なかそら―空中空―」展のことは次の記事で
「エル・グレコ」展 国立国際美術館で10月16日(火)~12月24日(月・休)の後は、
東京都美術館へ2013年1月19日(土)~4月7日(日)へ巡回します。
エル・グレコ展のサイト: http://www.el-greco.jp/
国立国際美術館のサイト: http://www.nmao.go.jp/
日曜美術館のサイト: http://www.nhk.or.jp/nichibi/
大阪市立美術館「北斎」展を見て、新阪急ホテルのバイキングを楽しんだ後、
国立国際美術館の「エル・グレコ」展を見に行きました。
スペイン三大画家と呼ばれる巨匠エル・グレコの最高傑作の一つで、
3mを越す大作の《無原罪のお宿り》が来るという、奇跡のような展覧会だと。
ちょうど、11月11日の日曜美術館でエル・グレコを放送したので、
録画で見て予習して行きました。
エル・グレコ(1541-1614)
「エル・グレコ」とは「ギリシャ人」という意味の愛称で、
本名ドメニコス・テオトコプーロス
ギリシャのクレタ島に生まれ、イコン画家として活躍した後、
当時クレタ島を支配していたヴェネツィアへ渡り、
ティツィアーノの工房などで、イタリアの絵画表現を学ぶ。
ローマに行き(ミケランジェロなどと同時代人なんですね)
さらに30代半ばでスペイン・トレドへ。
大聖堂の求めに応じて描いた《聖衣剥奪》は
キリストより群集の方が上に描かれているということで、
描き直しを命じられたが、グレコは裁判で争い、
報酬も教会が査定した額の4倍を請求しているとか。
結局、報酬はグレコが要求した半分以下になったが、描き直しには応じなかったと。
新阪急ホテルからバスで10分程で中之島にある国立国際美術館へ到着。
建物には「大阪市立科学館」って書いてあるので、
「え?美術館はドコ?」って思ったら、この鉄のモニュメントのような建造物の
地下が美術館なんですね!
まず地下1階の講堂で、研究員の方からお話をうかがいました。
国立国際美術館は1970年に開催された大阪万博の万国博美術館を活用して
1977年に開館した国立の美術館で、2004年にこちらに移転してきたこと。
主に現代美術の展示を行っている国立国際美術館が、なぜ400年も前の
エル・グレコの展覧会をするのか、エル・グレコは長い間忘れられていた
画家であったと。エル・グレコを発見したのは、当時の前衛であった
印象派やそれ以降の画家たちであったと。
日本とエル・グレコの出会いは、当時パリで、倉敷の大原孫三郎から託されて
美術館を作るために絵画を購入していた児島虎次郎が画廊の絵を見て、
これは素晴らしい絵だと。それが大原美術館にある《受胎告知》で、
この絵が日本にあるのは奇跡だと言われているとか。
今回、残念ながらこの大原美術館《受胎告知》は借りることができなかったそうですが、
日本にあるエル・グレコはこの《受胎告知》と、
国立西洋美術館《十字架のキリスト》の2点だけだそう。
(《十字架のキリスト》は来ています)
エル・グレコの絵は、それぞれ世界中に1点しかないので、それを借りることの
難しさということを強調しておられました。
そうですよね。それも、400年も前の作品ですものね。出品リスト見ても、
スペインのプラド美術館やトレドのエル・グレコ美術館、各地の教会など、
メトロポリタン美術館、ボストン美術館、アテネやロンドン、台湾など、
世界中から集められたエル・グレコの作品が並ぶ軌跡のような展覧会だと。
ということで、地下3階の展覧会場へ。
壁紙の深いえんじ色が重厚な雰囲気でした。
最初に、エル・グレコの肖像画として知られてきた作品《芸術家の自画像》
イコン画家時代の貴重な作品《聖母を描く聖ルカ》
日曜美術館でローマ時代の作品として紹介されていた《燃え木で蝋燭を灯す少年》
‥‥あぁ、印象派の画家が認めたってのはわかります。
タッチが荒いし、光に浮かび上がる一瞬の表情を捉えているところなど‥‥
なので《白貂の毛皮をまとう貴婦人》(チラシ裏面F)
豪華な白貂の毛皮をまとった、こちらを見る大きな目がとても印象的な貴婦人の肖像画、
エル・グレコではないって説もあるようなんですが、私もそう思います。
他の絵と比べて緻密というか。
《ディエゴ・デ・コバルービアスの肖像》は、参考出品として並べて展示してあった
サンチェス・コエーリョ、アロンソという画家の絵から描いたそうなんですが、
荒いタッチで、生き生きとした肖像画になってます。
(でも私は飾るなら、サンチェスさんの描いた方がいいんじゃない?って)
しかし、どの作品も400年以上前に描かれたとは思えないほど、
近代的な印象で迫力があり、画面もきれいです。
会場の壁紙の色が深いえんじ色からカーキ色になり、紺色になっていったのもよかった。
最後に、来日したのが奇跡だと言われる《無原罪のお宿り》
さすがの大作です。日曜美術館で、エル・グレコは絵画が飾られる場所を考えて、
人物のプロポーションなどを引き伸ばして描いたと言ってました。
きっとこの絵も高い位置に飾られるものだったんでしょうね。
地上の花から天使、マリア、白い鳩と光へと続く構図
マリアや天使たちが空間を浮遊して上昇していくような迫力があります。
(展覧会のチケット)
まぁ、研究員の方が言われたように、これらの作品をここに展示するために、
どれほどの苦労があったのかってのを思うと、鑑賞できたのはとても幸運だとは思うのですが。
実は私、途中ちょっとトバして見ていったんです。それは同時開催されている
宮永愛子の展覧会の方も見たかったから。
その、宮永愛子「なかそら―空中空―」展のことは次の記事で
「エル・グレコ」展 国立国際美術館で10月16日(火)~12月24日(月・休)の後は、
東京都美術館へ2013年1月19日(土)~4月7日(日)へ巡回します。
エル・グレコ展のサイト: http://www.el-greco.jp/
国立国際美術館のサイト: http://www.nmao.go.jp/
日曜美術館のサイト: http://www.nhk.or.jp/nichibi/
コメント 0