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愛知県美術館「クリムト展」 [美術]

1月16日(水)、愛知県美術館へ
「クリムト《黄金の騎士》をめぐる物語」展を見に行きました。
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クリムトは大好きなので、この企画展、とても楽しみにしていました。
愛知県美術館の目玉ともいえるクリムトの《人生は戦いなり(黄金の騎士)》
国内外の展覧会に貸し出されている時も多いのですが、
愛知県美術館に行く時には楽しみに見てました。
この絵「日本の美術館が所蔵する数少ないクリムトの絵画の1つ。トヨタ自動車の寄付金により約17.7億円で購入」とのこと(Wikipediaより)

豊田市美術館へ行った時に「えっ?!クリムト」って驚いた《オイゲニア・プリマフェージの肖像》も、Wikipediaによると
トヨタ自動車の寄付金により約18億円で購入」だそう。
この展覧会に来てました。(チラシ裏面右上)
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2012年12月21日(金)から2013年2月11日(月・祝)までの会期で、
新年は1月3日(木)から開館するってことで、新年早々行こうかなとも
思ったのですが、多分混むから‥‥と、パートが休みになっていた
16日(水)を楽しみに待っていたんです。それでも結構混んでました。
やっぱりクリムトは人気があるんだなって。
割引券利用で、一般当日1,300円の観覧料が100円引きの1,200円になりました。

愛知県美術館らしい丁寧に作られた鑑賞ガイドや展示方法で興味深く見ました。
でも、クリムトの「黄金で飾られた女性のエロス」のイメージを求めて
来た人にはちょっと物足りないかもしれませんね。

クリムトをめぐる当時のウィーン分離派やウィーン工房の工芸作品、
特にウィーン分離派の機関誌『ヴェル・サクルム』や分離派展のポスター等、
グラフィックデザイン的な展示も多く、刺激になりました。

最初の部屋の《ふたりの少女と西洋夾竹桃》初期のアカデミックで甘美な絵で素敵。

クリムトは初期、壁画や天井画の制作で名声を得ていたそう。
ブルク劇場天井装飾画のエッチングがありましたが、
アカデミックで古典的な絵。
工芸学校での頭部習作や、花やオウムの習作も上手いなって。

でも、ウィーン大学大講堂の天井画《哲学》《医学》《法学》が
大論争になっちゃうんですよね。それらの絵、第二次世界大戦末期の
1945年、疎開先のインメンドルフ城もろとも焼失してしまったそうで、
残された白黒写真を原寸大に引き伸ばしたものが展示されていましたが、
‥‥まぁ、私もこれを非難した人の気持ちはわかる。
大学講堂の天井画にこの絵はどうなの?って。

でもそれが《黄金の騎士》の誕生へとつながるんですね。
《人生は戦いなり》‥‥当時のウィーンの旧弊な美術界と戦い、
自由で新しい芸術を生み出そうとしたクリムト自身を
投影しているんでしょうか。

《ベートーヴェン・フリーズ》に描かれた黄金の騎士、
構図の参考としたアルブレヒト・デューラー《騎士と死と悪魔》(1513年)の絵、
ゴシック式甲冑が展示されていたのも興味深かったし、
日本の馬蒔絵すずり箱の図柄や装飾的なところがすごく
この絵と似ているのも面白かった。このすずり箱、
ウィーンのオーストリア工芸/現代美術館(MAK)にあるってことは、
クリムトがこのすずり箱を参考にした可能性もあるのかな?

鑑賞ガイドで説明されていた格子模様について、
日本の金箔や型紙、着物の模様などと比べて展示してあったのも興味深かった。

ジョルジュ・ミンヌの《聖遺物箱を担ぐ少年》の大理石像、
華奢な少年の体つきが私好みですー。こんなステキな彫刻が
愛知県美術館にあるなんて今まで知りませんでしたーー!

クリムトっていうと「女性」ってイメージだけど、
風景画もいいですねぇ。NHKの「日曜美術館」で、
クリムトはかなりの量の風景画を描いたってとりあげてたけど、
《アッター湖畔》は湖水が印象派風というよりは、
装飾的なモザイクのようにも見えて、とてもいい。
クリムトの風景画が正方形だってのも面白いですね。

ウィーン工房で作られたヨーゼフ・ホフマンのデザインによるブローチ、ステキ!
正方形のデザインなどはクリムトの絵に通じるところを感じました。

飛騨高山美術館蔵っていうヨーゼフ・ホフマンのテーブルや椅子、
コロマン・モーザーのシャンデリアも素敵。

最後に《ストックレー・フリーズ》(下絵)の原寸大複製の部屋
ここは撮影OKだったので当然パチリ。
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装飾的な文様と金がめくるめくようで豪華で素敵。
この作品が飾られたブリュッセルのストックレー邸の部屋の写真、
全ての装飾がこの作品に負けないくらい豪華ですごい!!

ロビーには、ファッションデザイナー・小篠ゆまデザインの作品が
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2012-13年秋冬コレクションでは、クリムトのゴールドをテーマに
作品を発表したとのこと。いいな!素敵です!

愛知県美術館のHP: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

生誕150年記念 クリムト 黄金の騎士をめぐる物語 公式サイト:
http://event.chunichi.co.jp/klimt/


日本の美術館が所蔵するクリムトの絵って少ないみたいだし、
クリムトの展覧会を開催するのって難しいみたいですね。
私、2003年に松坂屋美術館「クリムト 1900年ウィーンの美神展」で、
《ユディットⅠ》や《フリッツア・リートラーの肖像》《アダムとイヴ》
《ベートーヴェン・フリーズ》(複製)を見たんですが、
当時は、もっとクリムトの絵があったらなーなんて思ってたんですが、
もしかしたらすごい豪華な展覧会だったのかな?
その時のチラシです。
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クリムトの豪華で装飾的な絵はポスターでも人気ですね。

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コメント 2

副館長

 このたびはご来館いただきありがとうございました。今回の展覧会のキーでもある、クリムトが黄金の騎士に自分を投影して描くに至った流れをきっちり理解されていてとてもうれしく思います。焼失したウィーン大学のための大きな作品のもつインパクトは、実物大で見るとモノクロでもかなりのもので、100年以上前の人が見たら、「けしからん!」となったのもうなづけますよね。3月1日からの次回の企画展は、江戸絵画の真の実力者といわれる「円山応挙」展です。国宝の《雪松図》や重要文化財の大乗寺の襖絵など見どころいっぱいの展覧会ですので、またのご来館をお待ちしております。ありがとうございました。
by 副館長 (2013-01-27 11:51) 

しーちゃん

愛知県美術館の副館長さまに丁寧なコメントをいただき、かえって恐縮しております。大好きなクリムトの《黄金の騎士》の絵ですが、今回その背景がとてもよくわかる企画展でとてもよかったです。「円山応挙」も楽しみにしております。
by しーちゃん (2013-01-27 22:47) 

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