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松坂屋美術館「杉山寧」展 [美術]

6月30日(日)、松坂屋美術館「杉山寧」展へ行きました。
SugiyamaYasushi-1.jpg

杉山寧(すぎやま やすし)1909-1993
「戦後日本画壇を代表する日本画家の一人」とチラシにもありますが、
エジプトのスフィンクスやピラミッドを、これが日本画?って厚塗りで
描いた絵がすぐに思い浮かびます。
文藝春秋の表紙の絵も印象に残ってます。
(昭和31年(1956)~昭和61年(1986)と30年間も描かれてたんですね)
ちょっと単純化されたようなフォルムが、
時が止まってしまったような静かな雰囲気で印象的な絵。

なので、展覧会の副題の
「日本画を越えた日本画家 杉山寧 展
 ―悠久なる刻(とき)を求めて―」

ってのは、よく言い表しているなって。

杉山寧の展覧会か、いいなって思ってたら、チケットをいただいたんです。
わー嬉しいって思ってたんですが、ちょっとパート先が忙しく、
平日の休みがなかなかありません。30日(日)は前日がハードだったので、
午前中は日曜美術館など見てゆっくりして、それからウトウトと
昼寝までしちゃって、気がつくともう14時近い‥‥どうしようか迷ったんですが、
デパートの美術館で19:30までやってるので出かけることにしました。

松坂屋美術館に着いたのは16時近かったでしょうか。
遅い時間だからなのかどうか、わりと空いていてゆったり鑑賞できました。

入口を入ってすぐに昭和4年(1929)の《南天》の絵
すごく精緻な描写で驚きます。

そして《秋意》昭和12年(1937)四曲一隻の金屏風に
馬とチマチョゴリを着た少女が描かれていて、チマチョゴリの透け具合がステキ。
少女が見つめているトカゲや画面端に描かれたスイカもいいなぁー。
茨城県近代美術館蔵

SugiyamaYasushi-2.jpg

昭和8年(1933)の《翠蔭》のどかな水車小屋の水辺で子ども達が遊んでいる絵。
(チラシ裏面左下。名古屋会場のみ出品 とのこと)
‥‥あれ?この絵、私、岐阜県美術館の展覧会で見たけどーって、
へー、杉山寧こんな絵も描いてたんだって意外だったんで覚えていたんですね。
でも横須賀美術館蔵?なんの企画展だったかな?って帰って確認したら、
平成13年(2001)4月11日(水)~5月13日(日)に岐阜県美術館で開催された
目黒雅叙園美術館コレクションの近代日本画名作展「花鳥風月」展に
出品されていたんでした。えー?この時は目黒雅叙園美術館の絵だったのよねって
Wikiによると
「美術館は2002年(平成14年)に閉鎖されて、多くの作品群は散逸し個々の所在は不明である。」
えー?!!ショック!!
私この「花鳥風月」展の絵、すごくツボだったんだけどなー!!
(めったに図録買わない私が図録買ったことでもわかるように)
あまり名前を聞いたことのない日本画家の絵が並んでいて――私が知らないだけかも
しれませんが、松林桂月、宮田司山、池上秀畝とか――優美で華麗な日本画、
すごく私の好みだったんですよ。

あぁ、閑話休題
でも、私は杉山寧の初期の作品の方が好みかな。
昭和9年(1934)の《海女》の絵も見たことがあるような気がするけど、
(チラシ裏面右)
この絵は有名だから、テレビか本でだったかもしれません。
格調高くていい絵だなって。

戦後、昭和27年(1952)の《自転車(習作)》はバックの幾何学的処理が面白い。
そして時代の雰囲気なのか抽象的作品にも取り組んだり。

この頃から紙ではなく麻布に描いたり、一文字だけのタイトルをつけるように
なったりしていくんですね。

私の杉山寧の絵のイメージ、エジプトのスフィンクスを描いた《悠》昭和38年(1963)
強烈なエジプトの日の下で、刻が止まったかのような静かで力強い雰囲気が、
やはりいいなって。

そして馬と裸婦を描いた《生》昭和46年(1971)
これが日本画?って思っちゃいますが、格調高い裸婦ですね。
リアルで、肉体の重さのようなものまで感じられるのに、どこか幻想的で。

‥‥でもねー、なんかこうやって見てくると、どうも‥‥特に最後の方など、
なんか飽きちゃうっていうか、特にスケッチ、確かに上手いけど、なんか
面白みのない絵だなって。うーん、平山郁夫のスケッチはすごく面白いって
思うんだけど、何が違うのかなぁ‥‥

救世観音を描いた《救》昭和61年(1986)なども、上手いけどなんか私の心に響かない。

鯉や鶴の絵も、動きがないから作り物っぽく見えてしまって‥‥まぁそれは
杉山寧の画風で、そこがいいって見る人も多いんだろうけど。

でも、この展覧会、杉山寧の画風が変わっていくところがよくわかって、
没後20年のとてもいい回顧展だと思いました。

杉山寧の長女・瑤子さんは三島由紀夫夫人なんですね。三人で写った写真がありました。

松坂屋美術館の杉山寧展のページはこちら:
http://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/museum/2013_sugiyamayasushi/
200円割引券もゲットできます。

会場にあった図録をチラと見たら(買いませんでした)この展覧会は
東京・日本橋高島屋で3月6日(水)~3月25日(月)に開催されたものだそう。
名古屋・松坂屋美術館で6月15日(土)~7月21日(日)の会期の後、
京都高島屋 9月4日(水)~9月16日(月)
横浜髙島屋 10月16日(水)~10月28日(月) と巡回するそうです。
ただ、名古屋だけの展示という絵もありましたし、
図録に載っていて名古屋では展示していない絵もありました。

松坂屋美術館の出口横に松坂屋資料室があって、ついでに覗いたら、
6月30日で閉店する松坂屋銀座店の歴史を展示してあって結構面白かった。
関東大震災の翌年、大正13年(1924)に銀座初の百貨店として開業、
百貨店として初の土足入場にしたのが松坂屋銀座店だったとか。
ゴジラの映画の中で服部時計店と共にゴジラに破壊されたほどの
銀座を代表する建物だったとか。

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