国立国際美術館「貴婦人と一角獣」展 [美術]
10月6日(日)、大阪・中之島にある国立国際美術館の
「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣 展」へ行ってきました。
この展覧会が東京の新国立美術館で開催されるってことを知った時、
《貴婦人と一角獣》のタピスリーが日本に来るの?!
6枚全てが?!!!!‥‥って驚きました。
このタピスリー『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』に出てくるそうですね。
図録によると、
地球連邦の産軍複合体の一部をになう「ビスト財団」の当主がスペースコロニーの中に設けた広壮な19世紀風の屋敷の中に、《貴婦人と一角獣》タピスリー全6面が飾られている。とのこと。
私は「ガンダム」をほとんど知らないので、それは初めて知りました。
私がこのタピスリーのことを知ったのは、
独身時代、通勤時間に読もうと買った
新潮文庫
堀田善衛「美しきもの見し人は」
昭和58年6月25日発行「今月の新刊」の帯がついてます。
‥‥まぁ実を言うとこの本、最初に載っている名画はうっとりして見ましたが、
文章の方はちょっと難しくて、電車の中ですぐ眠れた、というか。
おかげで(?)今読み返しても絵に対する堀田善衛の考察をあらためて味わいながら
読むことができるんですが。
その中の「美し(うるわし)、フランス」の章で紹介されていました。
図版の「百花繚乱模様」(と、堀田善衛は表現しています。
今回の展覧会では《milie fleurs》を「千花文様」と訳していました)と、
典雅な貴婦人と想像上の動物ユニコーン‥‥すごくロマンチックで
心惹かれたんです。中世の騎士と姫君の物語など大好きでしたから。
「‥‥いわゆる「百花繚乱模様」《milie fleurs》を配し、犬、猿、狐、兎、鳥などがまことに邪気なくあそんでいて、その中心に花園の島があり、一角獣は‥‥」と、表現されています。
この文章が書かれた頃――初出は1966年11月~1967年11月および1968年1月~8月『藝術生活』に連載――
は、まだこの三日月を三つ並べた紋章が、ル・ヴィスト家の紋章だとはわかっていなかったのか、
図録の説明では「1880年代になると(中略)ル・ヴィスト家のものに間違いないことが確認された」
ってあるけど、それを知らなかったのか、
「そうして一角獣と獅子とは、二つの家の家紋であることはまず疑いがなく、従ってこれらのものに五官の名前がついてはいても、これは婚礼の際の進物であることもほぼ確言できることであろう。」と、記されています。
今回の展覧会では、一角獣はひじょうに素早い動物とされているところから、
「ル・ヴィスト」家の名前と結びつき、
獅子はル・ヴィスト家がリヨンの出自であることを意味している
と、説明されていました。
でも、堀田善衛の考察、さすがです。
これがフランス国外に貸し出されたのは、過去にただ一度、
1974年にアメリカのメトロポリタン美術館だけだったそう。
今回、所蔵するクリュニー中世美術館の改修工事の間、
日本に貸してもらえるとのことです。
それでも、東京だから見に行くことはあきらめてて、
NHKの日曜美術館の放送を楽しみに見たんです。
番組では原田マハが「貴婦人と一角獣」をテーマにした小説を書こうと、
かつてこのタピスリーがあったフランスのブサック城を訪ねたりしていました。
ジョルジュ・サンドがこのタピスリーのある部屋に泊まり、
タピスリーについて言及したために有名になったとか。
(その原田マハさんの本「ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言」
9月に発売されたそうで、この展覧会のショップでも売られていました。)
そうしたら、番組の最後で大阪の国立国際美術館に巡回してくると!
‥‥わーー、大阪かぁ‥‥5月に大阪へ行って、意外と大阪って
近いんだって思ったんですよね。大阪なら行けないこともないな‥‥って、
ずっと気になってたんです。
でも8月は暑さとパートの忙しさで過ぎ、9月はあいちトリエンナーレで過ぎ‥‥
10月はパートの休みが日曜日しかなく、13日はもう用事が入っていたので、
6日の日曜日に行かないと20日の最終日しか行ける日はないけど‥‥って。
あきらめようかとも思ったけど、絢爛豪華なチラシ見てたら、
やっぱり見たい!この機会逃したら、フランスまでは見に行けそうにないし‥‥
そんなぐだくだした悩みの果てに、10月6日(日)西岐阜9時55分の米原行きに乗り、
米原で新快速姫路行きに乗り換えると、12時13分に大阪駅に着きました。
1回の乗り換えで、普通乗車券の2,520円のみで行けるなんて意外に便利だなって。
国立国際美術館は大阪駅から「徒歩20分」ってチラシにありましたが、
おのぼりさん丸出しで、周囲のビル群を写真撮影しながら行きました。
国立国際美術館は岐阜県美術館のバス旅行で「エル・グレコ」展を見に行って、
今回が2回目。地上部分は巨大オブジェのようなエントランスのみで、
展示室等は全て地下にあります。
地下1階で当日一般1,500円の観覧料を払い、地下3階の展覧会場へ。
最初に映像の簡単な紹介の部屋があって、次の大きな展示室に
6枚全てのタピスリーが展示してありました。
500年経っているとは信じられない美しさです。
(もちろんかなり修復してあるんでしょうが)
ちりばめられた花々「千花文様(ミル・フルール)」の可憐な美しさ!
動物たちの愛らしさ!
そして貴婦人の豪華なドレス!「ザクロ実文様」って当時の流行らしい。
この部屋で6面のタピスリーを見てうっとりして、あぁ、やっぱり来てよかったと。
日曜日なので、混雑を心配していましたが、会場やタピスリーが大きいので、
それほど気にならず、しっかり鑑賞することができました。
望遠鏡で細部を見ていた人たちは、織物関係者なのかな?
次の部屋は高精細デジタルシアター
デジタル撮影した《貴婦人と一角獣》の例えば動物たちを取り出したり、
6枚それぞれの貴婦人や獅子や一角獣を並べて比べたりしていて、
これがまた面白かった。
タピスリーを見ながら、あっここにもウサギが、猿が‥‥って、
めくるめく感覚を楽しんでいたけど、こうやって取り出すと、
ウサギなどの図版は同じのが使われているのがわかったりして。
でも貴婦人の髪型やドレスはそれぞれ違ってどれも豪華で素敵!
花は次の部屋の展示で、オダマキ、ジキタリス、ハナダイコン、マーガレット、パンジー、スミレ‥‥と、それぞれ品種名が特定されていました。
「百花繚乱模様も、よく見ると異国の奇なる花などではなくて、フランスやフランダースの野に咲く、要するにそこらの花々なのである。」(堀田善衛「美しきもの見し人は」より)
この花の模様、ウィリアム・モリスの花のデザインなどへ受け継がれていくんでしょうね。
そして私は、大好きなボッティチェルリ《春》の絵の足元に咲いていた花々も思い出すんですが。
ボッティチェルリ《プリマヴェーラ(春)》が描かれたのが1477年頃で、
このタピスリーが制作されたのが1500年頃。
図録の解説で「千花文様のタピスリーは、1480年から1520年にかけて大流行した」とありました。
この展覧会でも、連作タピスリー《領主の生活》より
《恋愛の情景》が展示されていて、背景に千花文様や動物たちも散りばめられていました。
《放蕩息子の出発》は物語の三つの場面が描かれていますが、足元に
花々が咲き乱れています。
そんな大きなタピスリーや、中世の装身具やステンドグラスの展示も興味深かったけど、
やっぱり《貴婦人と一角獣》のタピスリーが最高に素敵!‥‥って思えるのは、
この赤い地‥‥いくらかの色褪せも含めて‥‥のせいもあるかなぁ。
そして、最後に「中世における五感と第六感」についての展示。
《貴婦人と一角獣》の6枚のタピスリーが
《触覚》《味覚》《嗅覚》《聴覚》《視覚》そして《我が唯一の望み》って
タイトルがつけられていることに関して、
中世ではこの順番で五感に序列がついていたそう。
触覚がいちばん低く、視覚がいちばん高級だと考えられていたそう。
魂とどれくらい近いのかによって序列が決まっていたと。
で、《我が唯一の望み》は、第六感としての「心」を表し、
貴婦人が侍女の差し出す小箱にアクセサリーを置いている意味は、
他の5つの場面で表現された五感の放棄で、自制という意味での自由意志の称揚
と解釈されるそうだけど、まだ謎も残ると。
その最後の展示の部屋が6枚のタピスリーの展示の部屋とつながっていて、
もう一度タピスリーを見ることができるようになっているのもよかった。
展覧会の図録、2,000円で、ここまでの交通費など考えてちょっと迷ったけど、
やっぱり、はるばる(?)来たのだし‥‥と、買ってしまいました。
表紙には《貴婦人と一角獣》の《聴覚》の一部が使われています。
裏?表紙には《貴婦人と一角獣》の《視覚》の一部が使われています。
地下一階のチケット売り場の横には、こんな記念撮影コーナーが。
一角獣の「角」が貸してもらえます。ハハハ‥‥!
‥‥しかし、ここまで書くのにすごく時間かかってしまった。
美しくて大好きなものを説明しようとして無駄な労力を使っているなーって‥‥
《貴婦人と一角獣》見てきた!素敵!大好き!で充分なんだけど。
「美しきもの見し人は」というフレーズはプラーテンの詩からとられています。
文庫本の冒頭にもその一節が掲げてあって、私はずっと愛唱してましたが、
今回ネットで検索したら、全文が出てきて、うわっ素敵!!って。
このお耽美な文語調がたまりません!生田春月の訳がいいんでしょうね。
----------------------------
「トリスタン Tristan」
美はしきもの見し人は、
はや死の手にぞわたされつ、
世のいそしみにかなはねば、
されど死を見てふるふべし
美はしきもの見し人は。
愛の痛みは果てもなし
この世におもひをかなへんと
望むはひとり痴者ぞかし、
美の矢にあたりしその人に
愛の痛みは果てもなし。
げに泉のごとも涸れはてん、
ひと息毎に毒を吸ひ
ひと花毎に死を嗅がむ、
美はしきもの見し人は
げに泉のごとも涸れはてん。
アウグスト・フォン・プラーテン
August von Platen (1796-1836)
(生田春月訳)
----------------------------
こちらのブログよりコピペさせてもらいました。
http://blog.goo.ne.jp/paul-ailleurs/e/28014e2f45e7bf5b6362c2f6eac7878e
「美しきもの見し人は」の感想が書かれています。
「貴婦人と一角獣」展覧会ホームページ: http://www.lady-unicorn.jp/
「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣 展」へ行ってきました。
この展覧会が東京の新国立美術館で開催されるってことを知った時、
《貴婦人と一角獣》のタピスリーが日本に来るの?!
6枚全てが?!!!!‥‥って驚きました。
このタピスリー『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』に出てくるそうですね。
図録によると、
地球連邦の産軍複合体の一部をになう「ビスト財団」の当主がスペースコロニーの中に設けた広壮な19世紀風の屋敷の中に、《貴婦人と一角獣》タピスリー全6面が飾られている。とのこと。
私は「ガンダム」をほとんど知らないので、それは初めて知りました。
私がこのタピスリーのことを知ったのは、
独身時代、通勤時間に読もうと買った
新潮文庫
堀田善衛「美しきもの見し人は」
昭和58年6月25日発行「今月の新刊」の帯がついてます。
‥‥まぁ実を言うとこの本、最初に載っている名画はうっとりして見ましたが、
文章の方はちょっと難しくて、電車の中ですぐ眠れた、というか。
おかげで(?)今読み返しても絵に対する堀田善衛の考察をあらためて味わいながら
読むことができるんですが。
その中の「美し(うるわし)、フランス」の章で紹介されていました。
図版の「百花繚乱模様」(と、堀田善衛は表現しています。
今回の展覧会では《milie fleurs》を「千花文様」と訳していました)と、
典雅な貴婦人と想像上の動物ユニコーン‥‥すごくロマンチックで
心惹かれたんです。中世の騎士と姫君の物語など大好きでしたから。
「‥‥いわゆる「百花繚乱模様」《milie fleurs》を配し、犬、猿、狐、兎、鳥などがまことに邪気なくあそんでいて、その中心に花園の島があり、一角獣は‥‥」と、表現されています。
この文章が書かれた頃――初出は1966年11月~1967年11月および1968年1月~8月『藝術生活』に連載――
は、まだこの三日月を三つ並べた紋章が、ル・ヴィスト家の紋章だとはわかっていなかったのか、
図録の説明では「1880年代になると(中略)ル・ヴィスト家のものに間違いないことが確認された」
ってあるけど、それを知らなかったのか、
「そうして一角獣と獅子とは、二つの家の家紋であることはまず疑いがなく、従ってこれらのものに五官の名前がついてはいても、これは婚礼の際の進物であることもほぼ確言できることであろう。」と、記されています。
今回の展覧会では、一角獣はひじょうに素早い動物とされているところから、
「ル・ヴィスト」家の名前と結びつき、
獅子はル・ヴィスト家がリヨンの出自であることを意味している
と、説明されていました。
でも、堀田善衛の考察、さすがです。
これがフランス国外に貸し出されたのは、過去にただ一度、
1974年にアメリカのメトロポリタン美術館だけだったそう。
今回、所蔵するクリュニー中世美術館の改修工事の間、
日本に貸してもらえるとのことです。
それでも、東京だから見に行くことはあきらめてて、
NHKの日曜美術館の放送を楽しみに見たんです。
番組では原田マハが「貴婦人と一角獣」をテーマにした小説を書こうと、
かつてこのタピスリーがあったフランスのブサック城を訪ねたりしていました。
ジョルジュ・サンドがこのタピスリーのある部屋に泊まり、
タピスリーについて言及したために有名になったとか。
(その原田マハさんの本「ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言」
9月に発売されたそうで、この展覧会のショップでも売られていました。)
そうしたら、番組の最後で大阪の国立国際美術館に巡回してくると!
‥‥わーー、大阪かぁ‥‥5月に大阪へ行って、意外と大阪って
近いんだって思ったんですよね。大阪なら行けないこともないな‥‥って、
ずっと気になってたんです。
でも8月は暑さとパートの忙しさで過ぎ、9月はあいちトリエンナーレで過ぎ‥‥
10月はパートの休みが日曜日しかなく、13日はもう用事が入っていたので、
6日の日曜日に行かないと20日の最終日しか行ける日はないけど‥‥って。
あきらめようかとも思ったけど、絢爛豪華なチラシ見てたら、
やっぱり見たい!この機会逃したら、フランスまでは見に行けそうにないし‥‥
そんなぐだくだした悩みの果てに、10月6日(日)西岐阜9時55分の米原行きに乗り、
米原で新快速姫路行きに乗り換えると、12時13分に大阪駅に着きました。
1回の乗り換えで、普通乗車券の2,520円のみで行けるなんて意外に便利だなって。
国立国際美術館は大阪駅から「徒歩20分」ってチラシにありましたが、
おのぼりさん丸出しで、周囲のビル群を写真撮影しながら行きました。
国立国際美術館は岐阜県美術館のバス旅行で「エル・グレコ」展を見に行って、
今回が2回目。地上部分は巨大オブジェのようなエントランスのみで、
展示室等は全て地下にあります。
地下1階で当日一般1,500円の観覧料を払い、地下3階の展覧会場へ。
最初に映像の簡単な紹介の部屋があって、次の大きな展示室に
6枚全てのタピスリーが展示してありました。
500年経っているとは信じられない美しさです。
(もちろんかなり修復してあるんでしょうが)
ちりばめられた花々「千花文様(ミル・フルール)」の可憐な美しさ!
動物たちの愛らしさ!
そして貴婦人の豪華なドレス!「ザクロ実文様」って当時の流行らしい。
この部屋で6面のタピスリーを見てうっとりして、あぁ、やっぱり来てよかったと。
日曜日なので、混雑を心配していましたが、会場やタピスリーが大きいので、
それほど気にならず、しっかり鑑賞することができました。
望遠鏡で細部を見ていた人たちは、織物関係者なのかな?
次の部屋は高精細デジタルシアター
デジタル撮影した《貴婦人と一角獣》の例えば動物たちを取り出したり、
6枚それぞれの貴婦人や獅子や一角獣を並べて比べたりしていて、
これがまた面白かった。
タピスリーを見ながら、あっここにもウサギが、猿が‥‥って、
めくるめく感覚を楽しんでいたけど、こうやって取り出すと、
ウサギなどの図版は同じのが使われているのがわかったりして。
でも貴婦人の髪型やドレスはそれぞれ違ってどれも豪華で素敵!
花は次の部屋の展示で、オダマキ、ジキタリス、ハナダイコン、マーガレット、パンジー、スミレ‥‥と、それぞれ品種名が特定されていました。
「百花繚乱模様も、よく見ると異国の奇なる花などではなくて、フランスやフランダースの野に咲く、要するにそこらの花々なのである。」(堀田善衛「美しきもの見し人は」より)
この花の模様、ウィリアム・モリスの花のデザインなどへ受け継がれていくんでしょうね。
そして私は、大好きなボッティチェルリ《春》の絵の足元に咲いていた花々も思い出すんですが。
ボッティチェルリ《プリマヴェーラ(春)》が描かれたのが1477年頃で、
このタピスリーが制作されたのが1500年頃。
図録の解説で「千花文様のタピスリーは、1480年から1520年にかけて大流行した」とありました。
この展覧会でも、連作タピスリー《領主の生活》より
《恋愛の情景》が展示されていて、背景に千花文様や動物たちも散りばめられていました。
《放蕩息子の出発》は物語の三つの場面が描かれていますが、足元に
花々が咲き乱れています。
そんな大きなタピスリーや、中世の装身具やステンドグラスの展示も興味深かったけど、
やっぱり《貴婦人と一角獣》のタピスリーが最高に素敵!‥‥って思えるのは、
この赤い地‥‥いくらかの色褪せも含めて‥‥のせいもあるかなぁ。
そして、最後に「中世における五感と第六感」についての展示。
《貴婦人と一角獣》の6枚のタピスリーが
《触覚》《味覚》《嗅覚》《聴覚》《視覚》そして《我が唯一の望み》って
タイトルがつけられていることに関して、
中世ではこの順番で五感に序列がついていたそう。
触覚がいちばん低く、視覚がいちばん高級だと考えられていたそう。
魂とどれくらい近いのかによって序列が決まっていたと。
で、《我が唯一の望み》は、第六感としての「心」を表し、
貴婦人が侍女の差し出す小箱にアクセサリーを置いている意味は、
他の5つの場面で表現された五感の放棄で、自制という意味での自由意志の称揚
と解釈されるそうだけど、まだ謎も残ると。
その最後の展示の部屋が6枚のタピスリーの展示の部屋とつながっていて、
もう一度タピスリーを見ることができるようになっているのもよかった。
展覧会の図録、2,000円で、ここまでの交通費など考えてちょっと迷ったけど、
やっぱり、はるばる(?)来たのだし‥‥と、買ってしまいました。
表紙には《貴婦人と一角獣》の《聴覚》の一部が使われています。
裏?表紙には《貴婦人と一角獣》の《視覚》の一部が使われています。
地下一階のチケット売り場の横には、こんな記念撮影コーナーが。
一角獣の「角」が貸してもらえます。ハハハ‥‥!
‥‥しかし、ここまで書くのにすごく時間かかってしまった。
美しくて大好きなものを説明しようとして無駄な労力を使っているなーって‥‥
《貴婦人と一角獣》見てきた!素敵!大好き!で充分なんだけど。
「美しきもの見し人は」というフレーズはプラーテンの詩からとられています。
文庫本の冒頭にもその一節が掲げてあって、私はずっと愛唱してましたが、
今回ネットで検索したら、全文が出てきて、うわっ素敵!!って。
このお耽美な文語調がたまりません!生田春月の訳がいいんでしょうね。
----------------------------
「トリスタン Tristan」
美はしきもの見し人は、
はや死の手にぞわたされつ、
世のいそしみにかなはねば、
されど死を見てふるふべし
美はしきもの見し人は。
愛の痛みは果てもなし
この世におもひをかなへんと
望むはひとり痴者ぞかし、
美の矢にあたりしその人に
愛の痛みは果てもなし。
げに泉のごとも涸れはてん、
ひと息毎に毒を吸ひ
ひと花毎に死を嗅がむ、
美はしきもの見し人は
げに泉のごとも涸れはてん。
アウグスト・フォン・プラーテン
August von Platen (1796-1836)
(生田春月訳)
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こちらのブログよりコピペさせてもらいました。
http://blog.goo.ne.jp/paul-ailleurs/e/28014e2f45e7bf5b6362c2f6eac7878e
「美しきもの見し人は」の感想が書かれています。
「貴婦人と一角獣」展覧会ホームページ: http://www.lady-unicorn.jp/
2013-10-18 14:41
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