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碧南市藤井達吉現代美術館「高村光太郎」展 [美術]

12月15日(日)、かわら美術館で「等身大人形」展を見た後、
碧南市藤井達吉現代美術館へ行きました。
「彫刻家 高村光太郎」展の最終日。
TakamuraKoutaro.jpg

この美術館、前回の企画展「エミール・クラウスとベルギーの印象派」展最終日に来たし、

その前の「石黒鏘二展」も来てるんですね。
こじんまりしていながら、いい企画展やってる美術館だなと。

最終日なので結構混んでいました。前回の企画展のチケットで、
リピーター割引が受けられ、観覧料一般700円が、団体料金の560円になりました。

この展覧会、碧南に巡回してくる前の、岡山の田中美術館でやっていた時に
日曜美術館で放送されて、碧南市藤井達吉現代美術館の館長・木本文平氏が
光太郎の《手》について語られていました。
(この展覧会は、千葉市美術館、岡山県井原市立田中美術館、
 そして碧南市藤井達吉現代美術館と巡回したそう)

高村光太郎(1883-1956)は『道程』や『智恵子抄』などの詩人としても有名だけど、
この展覧会は彫刻家・高村光太郎としての歩みがわかるように展示されています。
TakamuraKoutaro2.jpg

木彫家・高村光雲の長男として生まれ、幼い頃から木彫の基礎を学んだ光太郎。
東京美術学校で木彫の他に彫塑を学び、卒業後アメリカそしてフランスに留学します。

最初の部屋は「新進彫刻家として」東京美術学校在学中から新進彫刻家として注目されていた
光太郎。20歳の時の作品《獅子吼(ししく)》は、仏教の教えを熱心に説くことという意味で、
日蓮の若い頃をテーマとした東京美術学校の卒業制作だそう。
ブロンズ像だけど、なんか木彫のような雰囲気。
《薄命児男子頭部》などはタイトルを読んで見ると、幼子の表情がなんとも言えず印象的。

‥‥なんて、いっぱしの感想を書いているんですけど、正直言って、
ブロンズの彫刻よくわからない‥‥ってのは、同時代の
荻原守衛(おぎわら もりえ 1879-1910 号・碌山)や中原悌二郎(なかはら ていじろう 1888-1921)の
彫刻も並んでいるんですが、なんか皆同じように見えて‥‥荻原守衛《坑夫》は以前碌山美術館で
見て、すごくいいなと思って、今回も、もちろん良かったですけど。

《成瀬仁蔵胸像》は、制作を始めてから完成までに実に14年かかったということですが、
大きな胸像だなぁ‥‥と。

光太郎の彫刻として有名な《手》
仏像の手の形から構想を得ているそうで、不思議な存在感。
ロダンやブールデル、マイヨール、毛利教武(もうり のりたけ 1884-1963)の
手の彫刻が並べられているのは興味深かった。

それから光太郎の木彫作品。13歳の時の《兎》や《鼠》はへぇすごいと。

チラシの表面に使われている《柘榴》をはじめとする
《蝉》や《白文鳥》などの小さな木彫たちはとてもいいですね!
生活のために、木彫作品を売る会を始めたそうですが、手放す前に
智恵子が懐に入れて持ち歩いたってのもうなづける愛らしさ。
智恵子が縫ったという絹の袋や作品を包んでいた袱紗に歌が書かれているのも素敵。

佐藤朝山(さとう ちょうざん 1888-1963)の木彫作品も展示されていましたが、
《蜥蜴》のホンモノと見まがうトカゲと、竹と見えるのも、同じ一本の木を彫っている、
ってのにも驚きます。光太郎はこういう作品、職人的だと批判的だったそうですが、
私にはとにかくすごいなと。

佐藤朝山の作品は、やはりこの碧南市藤井達吉現代美術館で一昨年やった
「抱きしめたい! 近代日本の木彫展」
で見て、《問答》という木彫作品がとても印象的だったのを覚えています。
もちろん、高村光太郎の《白文鳥》や、高村光雲の作品も展示されていました。

そして、十和田湖に立つ裸婦像の小型試作や中型試作
妻・智恵子をとても愛していたんだなって。

それから一階の展示室へ行くと、そこは智恵子の紙絵が並べられていました。
なんか素朴で愛らしくていいなーと。《みやげ》という作品には、実際にもらった
おみやげの包装紙が使われていたりするのもいい。

一階のもう一つの展示室には、この美術館の名前にもなっている
藤井達吉の作品が。水墨のにじみや、即興的な筆跡、和歌が書かれているのが風雅で良かった。

いよいよ「彫刻家 高村光太郎展」も終わる碧南市藤井達吉現代美術館
喫茶コーナーも閉店しました。
天井から下げられた新宮晋の黄色いモビール作品《光のこだま》が印象的です。
2013-12-15-(23).jpg

碧南市藤井達吉現代美術館のウェブサイト: http://www.city.hekinan.aichi.jp/tatsukichimuseum/
次の企画展は12月25日(水)から富岡鉄斎展だそう。へー、これもちょっと面白そう!




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神奈川のしーちゃん

急に寒くなりましたね。
お元気ですか?
高村光太郎って、詩人の、あの高村ですよね。
昔、文庫で詩集を買いましたが、彫刻も手がけていたんですね。
チラシの写真の柘榴、すごいですね。
実物を見たいなぁ・・・
石とか木の塊の中から、形を掘り出していくなんて、私にはどうやっていいものかわからないから、すっごいなぁって思います。

いろんな展覧会も、行ってみたいけど、都内はちょっ遠いなとか、せっかくの休みは休んでいたいなぁとか・・・ついつい見逃してしまう・・・
こまめに出かけるしーちゃんは、バイタリティーあるなと、いつも感心してます。
来年は、わたしも親友誘って、お出かけしてみよう!

by 神奈川のしーちゃん (2013-12-19 23:18) 

しーちゃん

神奈川のしーちゃん、コメントありがとうございます。記事もだけど、コメントもなかなか書けなくてごめんなさい。
そうですね、高村光太郎と言うと「智恵子抄」などの詩人としての方が有名かも。戦災で多くの彫刻作品が失われてしまったそうですし。柘榴とか蝉とか、小さな木彫作品がとても良かったです。
展覧会は、行きだすとクセになりますね。美術館に面白そうなポスターとか貼ってあるから見たくなっちゃうので。
神奈川のしーちゃんも、モローとルオー展とか行かれているじゃないですか。ブログの記事楽しみにしています。
by しーちゃん (2013-12-21 11:18) 

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