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美術館「えき」KYOTO「山寺・後藤美術館コレクション展」 [美術]

6月29日(日)、京都の細見美術館へ「中村芳中」展を見に行き、
京都の街をぶらぶらと歩いて、
もう一つくらい美術展見たかったなーって思いながら、
まぁ、昼から出かけてきたのだからしょうがない、帰ろって、
四条から地下鉄に乗ったんです。地下鉄車内の中吊りポスターで、

JR京都駅の伊勢丹7階にある「美術館『えき』KYOTO」で
「山寺 後藤美術館コレクション展
 バルビゾンへの道」
ってのをやってるって知って、へー、デパートの美術館だから8時までやってるのね。
これなら見れないことはない‥‥って思ったんですが、その時はまだ迷ってたんです。

YamaderaGotoMuseum.jpg

バルビゾン派か‥‥って。
ヤマザキマザック美術館「フランスの美しい風景」展で、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-05-29
バルビゾン派の風景画見たんですが、なんか暗くて面白味のない絵だなーって。
私の好みとはちょっと違うなって感じたんです。
ポスターやチラシに使われているコローの風景画も、私には
そんなに魅力的とは思えなかったし。

でも、山寺の後藤美術館、いい作品所蔵しているってのは知ってました。
豊橋市美術博物館「カンヴァスに描かれた女性たち」展へ行って、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-07-08
その展覧会はポーランドのヨハネ・パウロⅡ世美術館所蔵品の展示だったんですが、
ナティエやヴァン・ダイクなどのロマンチックな女性像が並んでいて、
とても気に入りました。その時、
豊橋市美術博物館の休憩所に山寺・後藤美術館の展覧会の図録があって、
(豊橋市美術博物館では平成19年(2007年)に
「山寺・後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画名作展
 ~宮廷絵画からバルビゾン派へ~」って展覧会が開催された)
ナティエやブーグローなど「カンヴァスに描かれた女性たち」展とも通じる
絵がたくさん載っていて、わー、ここ、いい作品所蔵してるじゃない!って。
私の好きなヤマザキマザック美術館とも似ているなと。

今回はそんなロマンチックな絵は来てないのかな? 遅くなったし、
このまま帰ろうかなと、地下鉄降りて、JRの改札に向かって歩いていくと、
途中にあった観光案内所の前に並べられたチラシに
「『バルビゾンへの道』展 前売り券あり。当日券より200円お得」って
貼ってあるではありませんか!!

えっ?!! 当日一般800円も安いと思ったけど、600円で見られる?!!
そしてチラシ手に取ったら、裏面には私の好きそうなロマンチックな絵も。
YamaderaGotoMuseum-2.jpg

これは行くしかありません!!!

でも、私ちょっと見くびっていたんですよね。
入館料が安めなのと、駅のデパートの美術館ってことで、
1時間もあるから十分だろうと。

入って最初の絵が、
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《悲しみの聖母》
えっ?!! ムリーリョって、あのスペインの巨匠のムリーリョ??

隣が、私は知らない画家でしたが、
ジョヴァンニ・パッティスタ・サルヴィ、通称サッソフェラート
(サッソフェラートってのは、生まれたイタリアの町の名前)
《祈りの聖母》
古典的な宗教画なんでしょうが、静かな聖母の表情がとても印象的でした。

パウル・エミール・ヤーコプス《ディアナ》
「19世紀ドイツのアカデミズムの画家による典型的な神話画」だそうですが、
中央の月の女神ディアナ(三日月のティアラをしているのですぐわかる)の
光り輝くようなヌードと、盗み見る狩人のアクタイオン。
これからどうなるか知っている(アクタイオンは女神の怒りで鹿に変身させられて、
自分の犬たちに八つ裂きにされる)ので、ドキドキするような場面。

エドワード・マシュー・ウォード《リア王とコーデリア》
シェイクスピアの『リア王』の、狂気に至ったリア王が、末娘コーデリアと
再会した場面。暗い洞窟の中、コーデリアの豪華な銀色のマントの描写がすごい。
ドラマチックでいいなーって見たんですが、ロンドンに生まれて、
ロイヤル・アカデミー会員となったウォード、
「王室や有力コレクターから注文を受ける人気画家として活躍したが、
 晩年には彼の画風は時代遅れとみなされ、失意のうちに自ら命を絶った」
という解説には考えさせられてしまいました。やっぱり絵に流行って
あるんだなぁーと。いいものはいいような気もするけどね。
私の絵の好み古いのかしら?‥‥とか。

アレクサンドル・カバネル《パオロとフランチェスカ》
ダンテの『神曲』の「地獄篇」から、不倫の恋人たちが殺された場面。
スポットライトが当たったような中で、死にゆく二人の描写がドラマチック。
カバネルはよく印象派と比較される画家ですよね。
当時の保守派、典型的なアカデミズムの絵画だと批判される
でも私、印象派よりカバネルの描く甘美な絵の方が好き!
‥‥やっぱり私の好み古いかな。

など「神話・聖書・文学」というテーマで展示されていた第一章。
第二章は「美しさと威厳」というテーマで、肖像画が展示されていました。

おー、ラルジリエールだ!!
ヤマザキマザック美術館で知ったラルジリエール
富裕階級で彼に肖像画を描いてもらうことがステイタスだったと。
Largilliere.jpg
左が山寺・後藤美術館蔵
ニコラ・ド・ラルジリエール《カトリーヌ・ギィモン・デュ・クードレイの肖像》
右がヤマザキマザック美術館蔵
《ジャッソ夫人とふたりの子供》

Nattier.jpg
左が山寺・後藤美術館蔵
ジャン=マルク・ナティエ(伝)《落ち着いた青色の服》
右がヤマザキマザック美術館蔵《狩りの衣を着たマイイ伯爵夫人》

肖像画なんだけど、やっぱり画家の個性(?)ってのわかりますね。

フランソワ・ブーシェもあったけど、ここのブーシェはあまりいいとは思わなかったな。
やっぱりヤマザキマザック美術館のブーシェの絵は最高!!

私の絵の好みは、こんなのです~
ジャン=パティスト・ユエ《羊飼い姿のヴィーナス》
Huwe.jpg
古臭い? でもこんなロマンティックなのが大好きなんですー!!

ジョン・コンスタブル《少女と鳩(グルーズの模写)》
絵を見て、おっ、ヤマザキマザック美術館にもあるグルーズだ、って思ったら、
これは模写だそう。コンスタブルという画家、
「19世紀英国を代表する風景画家としてターナーと並び称される。」という程の
画家だったそうだけど、これは親戚の夫人に頼まれて模写した絵だそう。
「制作は楽しまなかったと言われる」‥‥そうだろうなぁー。
複製技術が発達していない時代には、画家にはこんな依頼もあったんだろうなと。

名前を見て驚いたのが、チラシ裏面の女性の肖像画
ジョン・エヴァレット・ミレイ《クラリッサ》
えっ?! ミレイって、あの《オフィーリア》のミレイ?
この絵は『クラリッサ』という小説の主人公を、娘をモデルにして描いた作品だそう。
何気な~く? 手紙を破いているのが、
娘の表情からいろんな感情が読み取れるようで印象的だった。

その隣が、エドワード・ジョン・ポインター《ミルマン夫人の肖像》
えー?! ポインターって、愛知県美術館の《世界の若かりし頃》って作品、
私大好きなんだけど。
愛知県美術館のコレクション検索に画像あります
http://search-art.aac.pref.aichi.jp/dat/pic/1997/obj199704949l.jpg

私、このあたりのイギリスのラファエル前派の絵が大好きです。
(正確には、ポインターは、アカデミズムな古典主義なのかな?)

ジョン・ウィリアム・ゴッドワード《古典的な美しい女性》も、
そんな私の好みにピッタリの絵。大理石や毛皮の描写が精緻で素敵。
ゴッドワードも61歳で自殺しているそう。
このようなネオ・クラシック様式が人気がなくなっていったのを悲観してとか
言われているそうだけど‥‥うーん。

ジョアッキーノ・パリエイ《夜会》
「19世紀のヨーロッパで流行した風俗画の典型的な例。
 18世紀の貴族階級の日常の情景をやや大げさな身振りで描き、
 背後のドラマを連想させようとする。」と。
うん、映画の一場面みたい。この描写力は映画のスチール写真のようにも見える。
ちよっと軽薄そうな貴族たち‥‥「アマデウス」みたい? 

‥‥なーんて、わー素敵、素敵!! って見ていたら、
少し背後に警備員さんの姿。そろそろ閉館時刻ですよって視線?
時刻見たら、7時40分くらい。うわっ!って。

第三章は静物画
時間も押してきているし、静物画ばまぁ、ハイハイすごい描写力ねって、
かなりトバして見まして、

第四章が「風景と日々の営み」と題してバルビゾン派の風景画
展覧会のタイトルにもなっているけど、どうも私これらの風景画、
あまり良さがわからないなぁーとか思いながらかなりトバして見ました。

ギュスターヴ・クールベ《波》
ヤマザキマザック美術館にあったのと似てるけど、こっちの方が大きいから、
これは山寺・後藤美術館の勝ち(?)かなって。
Courbet.jpg
左が山寺・後藤美術館蔵
右がヤマザキマザック美術館蔵《波、夕暮れにうねる海》

後半、ゆっくり見れなかったってのと、知らない画家の名前が多くて、
(《羊飼い姿のヴィーナス》の画家の名前とか知りたかったし)
図録買いました。2,000円

展覧会のタイトルと内容がちょっと合ってないのでは?と思うんですが。
たまたま見た展覧会でしたが、私には特に前半の古臭い?絵がとても良くて、
すごく良かったです。

山寺 後藤美術館のサイト: http://www.yamadera-goto-museum.jp/
ヤマザキマザック美術館: http://www.mazak-art.com/

私のヤマザキマザック美術館の展覧会の過去記事
ヤマザキマザック美術館「動く絵」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-06
写真撮影可なので、ブーシェやグルーズの絵の画像もありますよー。
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