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ヤマザキマザック美術館「ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画」展 [美術]

9月7日(日)、ヤマザキマザック美術館へ行きました。
「ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画
 ―近代によみがえる古代の夢― 」展をやっています。
YM-Delvaux1.jpg

しばらく忙しくて、名古屋にも行けてなかったんですよね。
この展覧会、7月6日(日)に名古屋へ行った時に、できたら
行こうと思ってたんですが、会期がその日までだった
松坂屋美術館「洋画家たちの青春」展を優先して、
この展覧会は会期が長いから、次に‥‥と思ったら、
それからなかなか行けなくて――この展覧会は楽しみにしていたので、
そろそろ行かないと‥‥って、ちょっとアセりました。
(9月23日(火・祝)まで)

このチラシの右側の絵が、ヤマザキマザック美術館所蔵の
《二人の女》
ほぼ等身大に描かれた、デルヴォーらしい大きな目の女性が二人、
古代ギリシャの神殿のような場所に立っている大きな絵。

シュルレアリストの中ではいちばん(というか唯一)好きな
ポール・デルヴォー。
ヤマザキマザック美術館へ行くたびに、この絵の大きさと
デルヴォーらしい静謐で不思議な雰囲気、だけど
デルヴォーにしてはそんなに暗くないところも、
かえっていいなぁーと見てました。
でも、この絵、何かの場面の部分なのかな?みたいな印象は
ずっとしていたんですが、このチラシを見て「あっ! 対の絵だったのね!!」と。

左側は姫路市立美術館蔵《立てる女》

これらの絵はベルギーのペリエ邸の扉絵だったそう。

サベナ・ベルギー航空の社長だったジルベール・ペリエ氏は、
1954年、ポール・デルヴォーに自宅の客間全体の装飾を依頼。

ヤマザキマザック美術館の5階の最後の部屋が、
ポール・デルヴォーのペリエ邸の扉絵の展示室となり、
この2点を含む扉絵4点が展示されていました。

YM-Delvaux3.jpg
「ポール・デルヴォーとペリエ邸」の8ページのリーフレット
100円だったので買ってしまいました。

ペリエ邸の写真も展示されていましたが、階段や書庫や扉など、
まとまった壁画を描くには制約の多い空間を逆手にとり、
シュルレアリストらしいだまし絵の手法で、
ギリシャ神殿や海を描き、それが客間から続いているように描かれているので、
あたかも客間が、デルヴォーの異次元に迷い込んだような空間になっています。
そこに行き交う古代ギリシア風の衣装の女性や夜会服姿の女性たち。
そしてなんと注文主のペリエ氏と夫人が客を迎える夜会服姿で
描かれているというサービスっぷり!!

この客間招かれた人は、デルヴォーの幻想的な異世界に迷い込み、
現実のペリエ氏と描かれたペリエ氏に会うという、正にシュールな
体験をしたに違いありません。すごくセンスのいいアイデアですよね。

ペリエ氏が亡くなった後、ペリエ邸は人手に渡り、
取り外せる6点の扉絵は売却され、
3点が姫路市立美術館に、そして1点がヤマザキマザック美術館に。
今回はその4点が売却後に初めて再会とのこと。

この2点の扉絵の女性たち、再会を喜んでいる図のようにも見えてきます。

展示室の床が白と黒の市松模様のカーペットになっていましたが、
ペリエ邸の床を再現したとのこと。

ポール・デルヴォー財団から、壁画の下絵が展示されていましたが、
下絵では、これらの扉絵の床、白と黒で描かれています。

現実のペリエ邸の床が続いているような効果を狙って、それはそれで
だまし絵効果で面白いけど、白い市松模様の完成図の方が、
古代ギリシア風の気品があっていいかなと思う。

感想が前後するけど、ヤマザキマザック美術館、今回の企画展は
一般1,300円。
チラシ持参や、地下鉄のドニチエコきっぷや一日乗車券で1,200円
私は名古屋駅でいつもチェックする金券ショップで、
招待券が1,100円で売られてたので、それ買っちゃいました。

地下鉄東山線「新栄駅」のすぐ上がヤマザキマザック美術館。
1階でチケットを提示して(スタンプカード、今回は忘れずに持って行ったので
ポストカードゲットです!)無料の音声ガイドを借り、5階へ。

最初のボナールの絵、ニコラ・ランクレやヴァトーの部屋、
そしてブーシェの大きな《アウロラとケファロス》《恋文》がある
私の大・大お気に入りの部屋はいつもどおり!
久しぶりに音声ガイド聞いてみたら、解説がさらに詳しくなっていました。

そして、クリーム色の壁紙の、いつもは印象派などの絵がある部屋が、
姫路市立美術館蔵のベルギーの近代絵画の展示になっていました。

YM-Delvaux2.jpg
チラシ裏面上段右 フェルナン・クノップフ《ヴェネツィアの思い出》
あっ、これ岐阜県美術館の「象徴派」展で見た絵!

下段右のクノップフ《ブリュージュにて 聖ヨハネ施療院》も、
たしか象徴派展で見たなと。

中段のフェリシアン・ロップス《古い物語》も、
ルネ・マグリット《ジョルジェット》も、なんか見たことがあるなと思ったら、

フェリシアン・ロップス《古い物語》も象徴派展の出品リストにあるじゃ
ないですかぁー。厚紙に描かれた小さな絵なので、ふーん、くらいにしか
見てなかったみたい。画家の名前も全く覚えてなかったのですが、
音声ガイドで、
「ボードレール(?)が『ベルギーに芸術なし、ロップスの他には』と言った」とか。
へー、そんな重要な画家だったんだ!?と。

(マグリットの絵はどこで見たのかわかりません。
 マグリットらしい印象的な絵なので、画集かウェブサイトかなぁ?)

レオン・フレデリック《アッシジの聖フランチェスコ》を見て、
あっ、この人、象徴派展に出てた《春の寓意》の人だ! と、
帰って象徴派展の出品リスト見たら、《春の寓意》はもちろん、
この《アッシジの聖フランチェスコ》も出品されてたって?!!!
‥‥私は何を見てたんだ~?!!
《春の寓意》はすごく私好みのロマンチックな絵なのでしっかり記憶にあるのですが‥‥

「象徴派」展が新潟県立近代美術館へ巡回した時のチラシ裏面
2段目左の三枚組の絵がレオン・フレデリック《春の寓意》
symbolists2012.jpg
(その下左の《蘭文花器》はヤマザキマザック美術館の所蔵品です)

さらに、私は展覧会で何を見てるんだ?って思ったのが、
ジャン・デルヴィル《レテ河の水を飲むダンテ》
これも象徴派展の出品リストにあるんだけど、
こんな私好みの絵をよく覚えてないって?!!
《春の寓意》が印象が強すぎた?
ダンテの『神曲』から、すべてを忘れてしまうというレテ河の水を飲む場面が
描かれています。足元の白いユリは死の世界を象徴する花だそう。
ダンテの足元のバラの花との対比もすごく美しい!

ジェームズ・アンソールの版画《キリストのブリュッセル入城》も
象徴派展のリストにありました。
中央に小さく描かれたキリストが、アンソールの孤独感を表している(?)と
音声ガイドで。

デルヴォーのの作品も含め、これらの絵は全て姫路市立美術館の所蔵品とのこと。

次のブルーの壁紙の部屋は、ポール・デルヴォーの作品が並んでいました。
いかにもデルヴォーの世界!という《海は近い》(チラシ裏面上左)
いいなぁー!!愛知県美術館に《こだま(あるいは「街路の神秘」》という名品が
ありますが、こちらもすごくいい!!

《水のニンフ(セイレン)》も不思議な作品。
リトグラフやエッチング等もたくさん展示してありました。

前の部屋から姫路市立美術館のコレクションを見てくると、
デルヴォーはシュルレアリスムの画家というより、
ベルギーの象徴派の流れの画家といった印象を受けました。
(シュルレアリスム=ダリみたいに思っていたので。私はダリが好きではない)

そして最後の、いつもデルヴォーの《二人の女》が展示されている部屋が、
姫路市立美術館の扉絵3点との再会展示室になっていました。

アール・ヌーボーの室内装飾とガレやドーム等のガラス器の展示の4階を見て、
1階の喫茶店で余韻に浸りながら、優雅なティータイム。
2014-9-7-(20).jpg
マロンのケーキセットは、美術館のチケット提示で50円引きの750円になりました。

ヤマザキマザック美術館: http://www.mazak-art.com/
姫路市立美術館: http://www.city.himeji.lg.jp/art/

過去記事:岐阜県美術館「象徴派」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23

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