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名古屋市美術館「鷲見麿展」と常設展 [美術]

10月8日(木)名古屋市美術館「ラファエル前派展」へ行ったことは
前記事で書きました。

企画展のチケットで常設展も見られるので地下1階へ行くと、
常設展示室3で、

「白土舎コレクションによる鷲見麿展~第一級恋愛罪~」
という常設企画展をやっていました。

私、今までこの方のこと知りませんでした。

 岐阜県関市(旧洞戸村)に生まれ、三重県四日市市に在住する鷲見麿(すみ まろ/1954- )は、 明るい色彩で風景のなかに美女を描く作風で知られ、その個性的な作品からこの地域を代表する 異色作家として注目されてきました。鷲見は、自身が設立したフリースペースで 心身に障害や病のある人と活動してきました。現在は、画廊や美術館で作品を発表することから 距離を置き、新しい美術のあり方をその経験を発展させつつ模索し、 かたちあるものにする活動に取り組んでいます。
(置いてあったリーフレットより)
SumiMaro1.jpg

「鷲見」岐阜らしい苗字ですね。本名は「雅次」さんだそう。

鷲見さんは今まで白土舎(はくとしゃ)という
名古屋・伏見にあった画廊で作品発表を行ってきたが、2010年に閉廊。
昨年度、所蔵の鷲見麿作品を一括して名古屋市美術館に寄贈され、
今回の展示となったそう。

なんか面白いなぁって見ました。
初期の作品はエログロナンセンスの時代っぽいポップな絵で、
それから、セーラー服を着た少女(青紀)が、繰り返し描かれていたり、
「みづゑ」や「芸術新潮」など雑誌の表紙にセーラー服の少女(青紀)が
描かれていたり(正面の壁に並んでいた2枚は全く同じ絵のように見えたけど‥‥
一方がセーラー服で、もう一方がヌードの絵とか。)
最初いろんな色の四角が並んでいるとしか見えなかった絵が、
離れて見たら、顔になっていたり。

アルチンボイドの名画と、セーラー服の少女(青紀)が並んでいたり‥‥
どういう意図なのかはよくわからないけど、面白かった。
SumiMaro2.jpg

常設展の入口のところにも、鷲見麿の作品が展示されていました。
ピエロ・デラ・フランチェスカの《ウルビーノ公夫妻の肖像》の
夫と妻が向かい合った一対の肖像画の真ん中に、
セーラー服の少女(青紀)の小さな絵が置かれていて、
意図はよくわからないけど、模写うまいなーって見ました。

現代の美術のコーナーも、そんな、古典的な名画を引用した
作品が並んでいました。

前にも見たことがあるけど、
福田美蘭《陶器(スルバランによる)》は、
タイトルにもあるとおり、17世紀スペインの画家スルバランの
描いた作品が、1点は四つの壺のうちひとつだけが、モザイク処理を
されているもの。もう1点は、見る角度によって違った画像が見えるという
よくオマケのシールなんかにある加工をされて、並んでいた壺が
テーブルから落ちるように見えるようになってます。

森村泰昌《兄弟(虐殺)》のⅠとⅡは、
ゴヤの《プリンシペ・ビオ山での銃殺》を下にして、
例によって森村泰昌がすべての登場人物に扮しています。

ロイ・リキテンスタイン《積み藁》#1、#2、#3は、
モネの《積み藁》を下に、色彩や描法を変えて制作してあります。

エコール・ド・パリのコーナーでは、
モディリアーニ《おさげ髪の少女》はもちろんですが、
藤田嗣治の戦前の作品が自画像や裸婦など3点並び、
藤田嗣治を慕ってパリにやってきた、海老原喜之助、
岡鹿之助、荻須高徳の絵が並んでいました。
岡鹿之助《魚》が穏やかな色使いでいいカンジ。
荻須高徳は初期の佐伯祐三にそっくりの作品から、
次第に荻須らしい穏やかでカッチリとした作品になっていくのがわかる
4点が並べられていました。

最後の「郷土の美術」の部屋では、「やまと絵」というテーマで、
明治初期から昭和初期にかけて名古屋で活躍した
森村宜稲(ぎとう)(名古屋生1871-1938)という、やまと絵の画家に学んだ
服部有恒(ありつね)(名古屋生1890-1957)
林雲鳳(うんぽう)(多治見生1899-1989)
宜稲の子の森村宜永(よしなが)(名古屋生1905-1988)らの作品が
展示されていました。

林雲鳳《松の下露図》1934年 って作品がとても素敵でした。
これは歴史画なのかな? この3人はどういう人物だろう?
松の木の下で、降る雨の露で濡れた身分の高そうな人物の着物とか、
ひざまずく従者らしい人物とか、端正でとても美しい!!
物語性のあるところなど、とても私の好みでした。


名古屋市美術館: http://www.art-museum.city.nagoya.jp/
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