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碧南市藤井達吉現代美術館「画家の詩、詩人の絵」展 [美術]

12月20日(日)、碧南市藤井達吉現代美術館へ行きました。

「画家の詩、詩人の絵
 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく」展の最終日。
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このチラシを見て、私の好きそうな展覧会だって思いました。
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昔、「詩とメルヘン」などを愛読しておりまして、
こういった詩情あふれる絵、好きなんです。

でも、碧南は遠いし、他の展覧会に行ったりしているうちに、
日が経ってしまい、年末の気忙しい時期だし、
(まぁ私はお正月準備とかそんなにしないんですけど)
あきらめようかなぁとも思いましたが、
やっぱり見たい!!って、一人電車で出かけました。

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碧南市藤井達吉現代美術館は1年以内のチケットの半券が
リピーター券として割引になります。(1回のみ)

8月に行った「時空を超えてつむぐ」展の半券で、
観覧料一般当日800円が、団体料金の640円になりました。

2階から見て行きます。最初にチラシ表面に使われている
青木繁《眼》 とても小さな絵でした。
添えられていた詩(短歌?)が格調高くて、わっ素敵!って。

特に、女性の裸体画の横に添えられていた詩は、
絵と響き合って、ロマンティックなイメージが増幅し合い、
うわー、青木繁の詩、いいなぁー!!って驚きました。

真裸を水鏡する温泉や
膚ぞ温くき百合の咲く谷


小杉未醒‥‥前回の「時空を超えてつむぐ」展で、
小杉放菴の若い頃の号だって知りました。放菴となった後の
軽やかな水墨画もいいけど、「未醒」時代の絵は、
デザイン的な、ちょっと装飾性も感じられる絵で私の好みです。

それから「宵待草」の詩も有名な竹久夢二。
あまりに通俗的過ぎて、
「好き」って言うのが気恥ずかしいくらいだけど、
やっぱり好きです。

そして、5月に愛知県美術館の「月映展」で見た
藤森静雄、恩地孝四郎、田中恭吉
3人は詩と版画の同人誌「月映」を制作するんですね。
恩地孝四郎が藤森静雄の妹の死を悼んだ‥慟哭した‥詩
「哀傷・流涕・願求」 心に沁みました。

ガラスケース側に古賀春江の絵がずらっと並んでいました。
日本のシュルレアリスムの画家ってイメージだったんですが、
いろんなタイプの絵を描いているんですね。
キュビスム風のとか、パウル・クレー風のとか‥‥
シュルレアリスム風の《サーカスの景》もありました。
詩が絵のイメージに対応しているのが興味深いなぁと。

村山槐多の直接的な詩が笑ってしまうほどいい!!
《裸婦》に添えられた

どうぞ裸になって下さい
うつくしいねえさん

(後略)

絵も詩もほとばしるような若さが感じられて素敵!!

え? これ棟方志功なの?!ってちょっと意外だったのが、
《星座の花嫁版画集》
西洋風のドレスの女性たちのレトロでオシャレなカンジの版画。
詩も一緒に刷られています。
いかにも棟方志功って版画《あおもりはの柵》も展示されていましたが、
その土着的なパワーとは全く対照的なカンジ。

棟方志功は川上澄生の版画作品を見たことが、版画を始めるきっかけとなったそう。
その川上澄生の版画も展示されていました。私は川上澄生を知りませんでしたが、
あぁ、棟方志功《星座の花嫁版画集》は川上澄生の版画に影響を受けてるのね
ってのはわかりました。
川上澄生《初夏の風》、詩がとても私好み!

かぜとなりたや
はつなつのかぜとなりたや
かのひとのまへにはだかり
かのひとのうしろよりふく
はつなつのはつなつの
かぜとなりたや


そして、三岸好太郎の詩情が感じられる絵を見られてよかった。

長谷川潾二郎の絵はなんとも不思議な魅力があって、私好み!
《猫と毛糸》は猫好きとしてもたまらないけど、
ちょっとだまし絵っぽくも見える《窓とかまきり》いいなぁ!!

南桂子の絵は詩集の挿画のようなカンジだなーって見ていたけど、
自分で詩も書いているんですね。

山口薫は、名古屋市美術館「画家たちと戦争」展で知りました。
その時に展示されていた《紐》がこちらでも展示されていて、
やっぱり面白い絵だなーって。

山口薫の絵って、それぞれイメージが全く違いますね。
《サラサラ粉雪ふる》の詩情あふれる雰囲気もよかった。

香月泰男も、名古屋市美術館「画家たちと戦争」展に出てました。
ブルーの色調が美しい《水浴》が印象的でした。

松本俊介も名古屋市美術館「画家たちと戦争」展に出てて、
そこで見て素敵だなって思った《郊外》は小品でした(個人蔵)が、
ここでは宮城県美術館蔵の大きな《郊外》が展示されていました。
下関市立美術館蔵の《街にて》は「画家たちと戦争」展
展示された絵がここでも展示されていました。

展示もこのあたり「戦後から現代(Ⅰ)」になってくると、
疲れてきたのとで、ふーーんってカンジで見たのが多くなってきて‥‥

飯田善國、初めて知った画家でしたが、
日本語をアルファベットに置き換えて、英語と色の帯でつなぐ作品
《うしなわれないことば》1994年
何かのポスターのようなグラフィックな作品だなって。

草間彌生の絵はドットではなかったけど、強迫観念というか
心の中のもやもやした不安のようなものが感じられて良かった。

そしてさらに現代の若い(?)世代の画家「「戦後から現代(Ⅱ)」

イケムラレイコは、名前は聞くんだけど、今まであまり知りませんでした。
なんかぼんやりした夢の中のような絵が展示されていました。
‥‥ふーん。わりと好きかも。

O JINも、名前は聞くけど。でも展示されていた絵は、
こりゃなんじゃ? ってカンジ。詩というか添えられていた言葉も???だし。

鴻池明子は、名古屋市美術館「マインドフルネス! 高橋コレクション展」で、
鏡でできたオオカミの作品が素敵だなって見た人だと。
作品タイトルがとても詩的だったのが印象的でした。
ここの展示作品も、タイトルが長くて詩的だなーって。
《そして何億年物もの間閉じられていた本の扉を開いてしまう》とか
《ある日洪水がきて すべてを流してしまう》とか。

小林孝亘は愛知県美術館の所蔵作品の展覧会
愛知県美術館「あなたのリアル、わたしのリアル。」展
とかで見ましたが、夢の中のようなぼうっとした世界の
シンプルな絵ってカンジ。(「詩とメルヘン」とかでも
こういった傾向のイラストって多かったような‥‥って
言ったら失礼かな?)

2階が画家の展示で、1階が詩人の展示になっていました。

正岡子規の絵は文人画っぽいけど、下手さ(?)に味があるというか。

詩人としても彫刻家としても有名な高村光太郎の油絵がありました。

西脇順三郎の絵が並んでいて、若い頃に画家を志したというだけあって、
軽妙なカンジの面白い絵だなと。

尾形亀之助は知りませんでしたが、
抽象画っぽい絵《化粧》はとてもモダンで面白かった。

1999-2000年に岐阜県美術館で開催された
「『在る』ということの不思議 佐藤慶次郎と まど・みちお展」で
まど・みちおが多くの絵を描いていたことを知りました。
2015年のNHK「日曜美術館」でも紹介されていましたね。
(9月27日放送・アンコール12月27日放送)
平明な まど・みちおの詩とはちょっとイメージ違う絵だなって
最初は見たけど、平明の中に深さがある詩とやっぱり通じるかなと。

私の好きな詩人・立原道造 24歳で夭折した彼は、
建築家であり、パステル画も描いたことは知っていました。
彼のパステル画が見られて嬉しい。

草野心平の絵が上手くてビックリ。

三好豊一郎という詩人、私は知りませんでしたが、
三好達治の詩「志おとろへし日は」への返しのような、
「こころざしおとろへし日は」という詩を興味深く読みました。
三好達治が途方に暮れているカンジなのに、
豊一郎は開き直っちゃったみたいで面白い。
植物を細密に描いた絵も上手いなと。

新国誠一という詩人も知りませんでした。
雨の「、」をずらっと並べた、これは「視覚詩」って言うの? とか、
《作品ポ》は、ヘッドホンで朗読が聞けて、面白かった。

意外と私、詩人(特に現代の)って知らないんだと。
春日井健の詩をもっと読んでみたくなりました。
絵(稚拙ではあるけど)からも、私の好み(お耽美っぽい)の匂いがする。

詩と絵を両方鑑賞するので、ちょっと疲れた展覧会でしたが、
良かったです。後でじっくり鑑賞しようと図録というか本買いました。
定価3,000円+消費税なんですが、美術館では3,000円で買えました。

画家の詩、詩人の絵 - 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく

画家の詩、詩人の絵 - 絵は詩のごとく、詩は絵のごとく

  • 作者:   
  • 出版社/メーカー: 青幻舎
  • 発売日: 2015/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「画家の詩、詩人の絵」展は、
2015年9月19日(土)~11月8日(日) 平塚市美術館
2015年11月17日(火)~12月20日(日) 碧南市藤井達吉現代美術館 で開催された後、

2016年2月13日(土)~3月27日(日) 姫路市立美術館
2016年4月9日(土)~6月12日(日) 足利市立美術館
2016年6月18日(土)~8月7日(日) 北海道立函館美術館 へ巡回します。

せっかくなのでと、無料で入れる地下の常設展示も見たら、
「画家の詩、詩人の絵」展つながりで、三岸好太郎や山口薫の作品もあるし、
賛(さん)の入った水墨はあるし‥‥東洋では絵のなかに詩文を書き入れる
画賛(がさん)は伝統ですよね。画家が詩を書くのは当然だったと。
富岡鉄斎《大浜画賛》の「大浜」は、この美術館あたりの地名で、
富岡鉄斎がこのあたりに来た時に描いたものだと。へーーーって。

このジミな展示室を見ずに帰ってしまう方も多いみたいですが、
もったいないです!

展覧会を見ている途中からお腹も空いていたんですが、
今回は、ツイッターでフォローしている方が
この展覧会を見にきたことと、近くの喫茶店で友人が人形展を開いているので
行って来たことをツイートしていらしたので、
美術館のカフェに飽きていたこともあって、ちょうど良かったと行ってみました。

カフェ カノン
人形展を見に来たお友だちらしい方で店内にぎやかでした。
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お腹も空いていたので、カレーもあってちょっと迷ったけど、
「ボリュームたっぷり」ってPOPに書いてあった
サンドイッチとホットコーヒーをいただきました。

ホントにボリュームたっぷり!!のサンドイッチでした。
パンも具も美味しかった。
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コーヒーも大きめのカップにたっぷりで嬉しい。
すっきりした飲みやすいコーヒーだったと。
サンドイッチとコーヒーで1,000円でした。
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人形展も、エキゾチックな民族衣装の人形などが並び、
布の肌があたたかな雰囲気で、表情がとても印象的でした。
(この人形展は暮の29日(火)まで)

美術館から碧南駅への帰り道にあるのもありがたいです。
外観がテナントの一軒で、ちょっとショボイ(失礼)ので、
教えてもらわなかったら入ろうと思わなかったかも。
いいお店を知りました。
また碧南市藤井達吉現代美術館に来た帰りに寄ろうっと。
(次回の企画展「マリー・ローランサン」展 1月9日(土)~3月6日(日)も
是非見たいなって思ってるんです。)



関連ランキング:カフェ | 碧南駅




オマケ
名鉄電車の高浜駅で見たポスター
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藤末さくら「さんかく屋根街アパート」
高浜を舞台に、鬼瓦職人“鬼師”を目指す女性の物語。

さんかく屋根街アパート(1) (BE LOVE KC)

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  • 作者: 藤末 さくら
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: コミック



さんかく屋根街アパート(2) (BE LOVE KC)

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  • 作者: 藤末 さくら
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/01/13
  • メディア: コミック



こちらのページに試し読みがありました。
「高浜港駅」も出てきましたよ。
http://be-love.jp/

画家の詩、詩人の絵 [ 土方明司 ]

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価格:3,240円(税込、送料込)





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