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愛知県美術館「黄金伝説」展 [美術]

4月3日(日)愛知県美術館へ行きました。
4月1日(金)から「黄金伝説」展が始まっています。5月29日(日)まで
GoldenLegend.jpg

こんなに早く行ったのは、
愛知県美術館の友の会の期限が3月末までだったので
継続の会費を払い込みに行かなくてはと思っていたから。

この展覧会、国立西洋美術館、宮城県美術館の後、愛知県美術館に
巡回してきたんですね。国立西洋美術館で開催されていた時に
NHK日曜美術館のアートシーンで紹介されていて、
「へー、なんとまぁキラキラな展覧会だこと。
 愛知県美術館の《黄金の騎士》も展示されるのかー」
なんて見ていたら、愛知県美術館に巡回してくるって知って、
楽しみではありましたが、正直、展覧会のイメージが
あまりはっきりしなかったというか‥‥

まず、友の会の年会費8,000円を払って、新しい会員証をもらいます。
愛知県美術館友の会は会費が結構高いんですよね。
前の会員証はスタンプが5つ押されていて、コレクション企画は
スタンプなしで入っているので、6回来てるんですが、
これではモトが取れてない? ま、企画展毎に招待券2枚ずつ
もらえるので、友人にあげてお礼とかもらっちゃったりしてるか。
友の会のイベントも、もっと行ければいいけど、私のパート
日曜は休みだけど、土曜は忙しくて休めないからなぁ‥‥


今回の「黄金伝説」展、いつもはコレクション展をやっている
展示室4からが会場になっていました。
入口で新しい会員証にスタンプを押してもらい、
友の会用のチケットを受け取って入ります。

最初に「金毛の羊」に乗る王子プリクソスが描かれた壺が展示され、
ギリシャ神話の「金の羊毛」の物語が紹介されます。

展示室4に入ると、
エラスムス・クエリヌス《金の羊毛を手にするイアソン》と
ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー《金の羊毛》の絵がドーンと
展示されています。どちらもかなり大きな美しい絵です。

エラスムス・クエリヌスは、ルーベンスの助手だった画家だそう。
《金の羊毛を手にするイアソン》プラド美術館蔵 が
描かれたのが1636-38年。

それから約270年経った1904年頃に描かれた
ドレイパー《金の羊毛》ブラッドフォード美術館蔵
この絵、とても美しくて気に入りました!! (チラシ裏面右下)
GoldenLegend-2.jpg

ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー(1863-1920年)
名古屋市美術館「ラファエル前派展」でも、
「古代世界を描いた画家たち」の章で、
《イカロス哀悼》が展示されていました。
テート美術館にある作品の習作だったので
ちょっとタッチが荒かったですが、
私好みの物語性のあるロマンチックな絵でした。

《金の羊毛》の絵は、ギリシャ神話の英雄イアソンが
金の羊毛を目指してアルゴー船で黒海の東端コルキスに向かい、
羊毛を所持するアイエテス王の娘メディアの手を借りて、
金の羊毛を手に入れ、帰国の途中、追手が迫り、
彼の妻となったメディアは、弟アプシュルトスを海に投げ込ませて
時間稼ぎしようとしているところだそう。

このメディア、後にイアソンに離婚を告げられた時に
自分の2人の子どもを殺して去っていくという、
なんとも激しく恐ろしい、ギリシャ悲劇のヒロインなんですが、

この絵でも決然とした恐ろしい顔をしています。
海に投げ込まれる弟アプシュルトスの若く美しい体、
メディアの衣をつかんでいるのもドラマチック!
海の水の表現も素敵でした。

本来のギリシャ神話ではさらに恐ろしい話だそうで、
なんとメディアはアプシュルトスを八つ裂きにして海に投げ込んだと。

会場出口のショップで売っていた 里中満智子の
「マンガギリシア神話6 激情の王女メディア」では、

マンガ ギリシア神話〈6〉激情の王女メデイア (中公文庫)

マンガ ギリシア神話〈6〉激情の王女メデイア (中公文庫)

  • 作者: 里中 満智子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 文庫


そんなギリシア神話に忠実に描いています。
greekmyths.gif

トロイアの物語がただの伝説でなかったように、
《金の羊毛》の物語も、ただの伝説ではありませんでした。
 約40年前、黒海沿岸のブルガリアの町ヴァルナで約300基の墓が発見され、 大きな反響を呼びました。副葬品に大量の金製品が発掘され、 エジプト最古のピラミッドより遙か以前の、 今から6000年以上前の銅石器時代に加工された世界最古の金であることが 明らかになったのです。(チラシ裏面より)」

展示室の真ん中に、ヴァルナの墓の一つが復元されています。
埋葬者(人骨はレプリカ)は金やその他の装飾品できらびやかに飾られています。

そして展示室5では、第2章 古代ギリシャの金の装飾品が展示されています。
どれも細かな細工をされて、キラキラ輝いています。

文字がデザインされた腕輪とか、
「ヘラクレスの結び目」の細工がされた冠とかが素敵だった。
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(中日新聞3月26日の記事より)
GoldenLegend-chunichi.jpg

そして、ギリシャ神話の黄金のりんごにまつわる物語から、
ルノワールの《パリスの審判》1908年 の絵や、
ルノワールの彫刻《勝利のヴィーナス》‥‥岐阜県美術館の庭にある彫刻より
少し小さい像ですね。これは国立西洋美術館のものだそう。

大神ゼウスが黄金の雨に化けてダナエと交わるというギリシャ神話より、
マルカントニオ・バッセッティ《ダナエ》1620-1630年頃 国立西洋美術館蔵

そして、愛知県美術館が誇る
クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》も並んでいました。

第3章 トラキアのコーナーは、部屋の中央に置かれた4つのガラスケースの
《パナギリシュテ遺宝》が絢爛豪華!!(チラシ裏面左下の4つ)
大きいだけでなく、細工も凝っていて、目がくらみます。

「トラキア」とは現在のブルガリアを中心とする地域だそう。
壁ぎわのガラスケースに展示された大きな金の器や杯などが、
《ヴァルチトラン遺宝》農作業中に畑でたまたま掘り出されたものだそう。
ガラクタだと思い、豚のエサ入れに使ったら、豚が舐めたところが
ピカピカ光りだして、大騒ぎになったとか。

そして、ギュスターヴ・モロー《ヘラクレスと青銅の蹄をもつ鹿》1872年
も展示されていました。この絵、幻想的で良かったですが、
国立西洋美術館で展示されていたというモローの《イアソン》見たかったなー。


展示室7と8が、第4章 エトルリアと古代ローマ
展示室7にあった《動物模様のある留め金》(チラシ裏面右中段)
金の粒が並んでいるように見えるのは、それぞれが実在および空想上の
動物で、131体配されているそう! それぞれザラザラしてる?と
もっとよく見ると(私には老眼鏡が必用)細かな細かな粒金細工で
装飾されているんです!!! ものすごい超絶技巧です。

廊下には住友金属鉱山の金鉱石が参考出品として展示されて
興味深かったです。

人類が古代から魅惑されてきた黄金の輝き!
古代の超絶技巧にはただ驚くばかりです。
あまりに細工が細かすぎて、見るのが疲れる程でしたが。
春休みの日曜だったせいか、子どもたちもたくさん見にきていました。

ロビーの記念撮影コーナー
黄金のりんごを手にするのは?
この力の抜け具合がいいな。ハハハ‥‥
2016-4-3-(2).jpg

愛知県美術館のHP: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
「黄金伝説」展公式ウェブサイト:
http://www.chunichi.co.jp/event/golden-legend/

ショップで、里中満智子の
「マンガ ギリシア神話6 激情の王女メディア」買いました。
「金の羊毛」の物語がとてもよくわかりました。
マンガギリシア神話(6) [ 里中満智子 ]

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価格:637円(税込、送料込)



ついでにこちらも買いました。
「怖くて美しい世界の名画」
カラヴァッジョについてや、ダナエの絵もいろいろ載っていて
興味深かったです。
怖くて美しい世界の名画

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価格:1,620円(税込、送料込)


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