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岐阜県美術館「樹をめぐる物語」展と所蔵品展 [美術]

9月25日(日)、岐阜県美術館へ行きました。

8月30日(火)~10月16日(日)まで
「フランスの風景
 樹をめぐる物語
 ――コローからモネ、ピサロ、マティスまで――」
という企画展が開催されています。
L'ARBRE.jpg

私は、岐阜県美術館の後援会員となっているので、3000円の年会費で、
全ての企画展を1回ずつ無料で見ることができるんです。
でも、今回の案内が送られてきた時、
なんだかジミなテーマだなぁって。

当日の岐阜県美術館は、2016年のアートまるケット
「ながれミながら」の最終日ということで、
庭園でいろんなイベントが行われてにぎやかでした。

企画展の入口を入ると、濃紺の壁が部屋を斜めに区切り、
パネルが迷路(って程ではないのですが)のように配置され、
シャルル=フランソワ・ドービニー《ヴァルモンドワの下草》って
森の豊かな緑を描いた大きな絵が、あたりを森の中のような
雰囲気にしています。
このあたりに展示されているのは、
いわゆる泰西名画って雰囲気の、重厚な―悪く言えば暗い―作品。

以前、ヤマザキマザック美術館「フランスの美しい風景」展で、
バルビゾン派の絵を見たんですが、その時も、なんか暗いwwって
印象だったんですよ。それまであまりいいと思わなかった印象派の
風景画が、明るくていいなって思えてきちゃって‥‥

でも、それまでの西洋絵画では背景でしかなかった自然の姿、
樹木を独立した主題として描いたバルビゾン派
日本人にはかえって親しみやすいかもしれませんね。

エミール・イーゼンバール《アルシエの泉》なんて絵は、
岐阜の山奥あたりで見られそうな風景だなぁって。

この展覧会、ジミな印象だったのは、知らない画家の絵が
ほとんどだってってこともあります。

ジョルジュ・サンドの小さな水彩画が展示されていて、
え?! ジョルジュ・サンドって
『愛の妖精』を書いたショパンの恋人の?って。

印象派のコーナーでも、カミーユ・ピサロの名前は知っていましたが、
息子たちも画家なんですね。
長男のリュシアン・ピサロ、
三男のフェリックス・ピサロ(別名:ジャン。ロック)
四男のリュドヴィク=ロド・ピサロの絵も展示されていました。

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展覧会の目玉の一つであろう(展示パネルの色が違っていた)
モネ《ヴェトゥイユ河岸からの眺め、ラヴァクール(夕暮れの効果)》
かなり大きな絵なんだけど(チラシ裏面左下)
どうも私、あまり魅力を感じなかった‥‥
1880年頃、モネ40歳頃の作品だそう。モネの私生活では妻を亡くしたり、
破産したパトロンの家族を養ったりと大変な時期だったとか。

うーーん、私にはシブすぎる展覧会だなぁ‥‥なんて中で、
今まであまり好みじゃないって思ってた点描の風景画が、なんか
明るくっていいなって思えてきたんです。
近づいて見ると色の対比が抽象画のようにも見えて面白いなぁと。

レオ・ゴーソンって画家を知りました。6点の作品が展示されていましたが、
1点だけ離れて展示されていた《樹木の向こうの村》って作品が良かった!
展覧会の後、記念にショップで絵ハガキを買いました(120円)
LéoGausson.jpg
点描の鮮やかさが絵ハガキでは再現できてないけどと思いながらも。
レオ・ゴーソン、点描でない絵も描いているんですね。

第3章「ポスト印象主義と20世紀前衛芸術への試み」のコーナーには、
岐阜県美術館のルドン《ペイルルバードのポプラ》や、
ポール・セリジュ《急流のそばの幻影、または妖精たちのランデヴー》
(チラシ表面下)や、《森の中の焚火》も出てました。

画家の個性が出たこのあたりの絵、私には意外に面白かった。
(今まで前衛芸術の良さってよくわからなかったんですけど)
モーリス・ドニ《小さなブルターニュの女性たち、沼のほとり》
(チラシ裏面左上)の鮮やかな色使いとか、
マティス《オリーヴの並木道》(チラシ裏面下段中)の
ダンスを踊っているような木々とか、
出口近くのクリスチャン・ロールフス《春の樹》の
激しいタッチと鮮やかな色彩の樹が迫力だなぁと。

企画展の部屋を出て、県民ギャラリーへ行き、

「キャノンフォトクラブ岐阜長良川」第48回写真展と、
「第24回 中部春陽会・岐阜地区作家展」を見ました。
仁木岐久子さんの水彩で描いた蓮の大作や
パステルや色鉛筆で描いた外国旅行のスケッチがよかった。

所蔵品展の部屋に入る前に、庭の収穫祭がにぎやかなので‥‥
和太鼓の演奏や、ダンスなどのパフォーマンスが行われていました。
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この日だけのテントのお店も出ていました。
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地元の食材を使ったお弁当などもあったみたいなんですが、
私が行った時は飲み物以外は売り切れで、
蜂蜜すだちソーダをいただきました。500円。美味しかった!!
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さて、所蔵品展。最初の部屋がすごかった!!
ルオーの《ミセレーレ》がずらりと58枚!!! これは全展示?

この《ミセレーレ》、平成25年度新収蔵作品として、
2013年の秋から、ケースに入ったのが展示されてて、
わーすごいの購入したんだってビックリしたんですよね。
2014年5月の所蔵品展にも展示されてて、こちらの記事に
感想をちょっと書いてます。
岐阜県美術館「彫刻のさんぽ道」(所蔵品展)その2
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-05-20

それから、ヤマザキマザック美術館「聖なる風景」展
岡崎市美術博物館蔵のものが何点か展示されてて、
あ、キリストを描いただけじゃなくて、
父親の死と第一次世界大戦を経験したルオーが、
戦争の悲惨さと信仰に救いを求める心を表現したものなんだと
わかりましたが、1点だけでもその力強さ迫ってくるんですが、
もう壁にずらりと58点!!! すごい迫力です。

この『ミセレーレ』1948年にエトワール・フィラント出版協会から
出版されたもので、発行部数425部 市販外25部
岐阜県美術館のは限定番号No.153とのこと。
ミセレーレ展、11月27日(日)までです。

次の展示室1-B 熊谷守一展と、展示室2の「ナンヤローネNo.1」は
7月24日(日)に行った時と同じでした。こちらに感想を書いています。

岐阜県美術館「ながれミながら」と所蔵品展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-08-04

バーチャル館長があらわれるiPad、
子どもが不思議そうに見ていました。

ルドン部屋では《光の横顔》のリトグラフが2枚並んでいて、
これ同じだよね??ってよく見たら、1枚は献辞つきなんだそう。

そして特集展示「土屋輝雄・禮一展」
焼き物が展示されていることが多い展示室1-Dのガラスケースに
土屋輝雄のスケッチや日記が展示されているのがすごく良かった!!

土屋輝雄(1909-1962)‥‥日本画家の土屋禮一のお父様なんですね。
養老町出身の土屋輝雄は幼い時のけがによって20年にも及ぶ闘病生活を強いられますが、身近な昆虫や小鳥、草花を日々写生することで画家になる夢を紡ぎ、痛みや寂しさに耐えました。精緻なデッサンは膨大な量に及びます。
(出品リストより)
いろんな角度から描かれたモチーフには、細かな書き込みもあって、
精緻な描写力には驚きます。
そして、細かな丁寧な文字でびっしりと書かれた日記!!
日付の数字がデザイン的に装飾されて書かれ、各ページに
ちょっと大正ロマンっぽいイラストが描かれていて、とても良かった。
レトロなデザインっぽいカット集も、私好みでした!!

展示室1-Eには
土屋輝雄の絹本着色の掛軸《後庭趣余(こうていしゅよ)》1942年と
《水辺に川蝉(かわせみ)》1943年頃 が展示されていました。
穏やかな色彩の上品な絵だけど、
スケッチに比べてボケちゃった(?)というか、
ちょっとインパクトに欠けるなぁ‥‥って。
ショップで『土屋輝雄作品集』が1,944円のところ
特別価格1,000円で売っているってことだったので、
迷わず買ってしまいました!
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そして土屋輝雄の長男で、幼い頃から父に厳しく絵を指導されたという
土屋禮一(1946- )の絵が並んでいました。
現在は日本芸術院会員となり、公益財団法人日展の副理事長・事務局長をつとめ、現代日本画の第一人者として活躍を続けています。
淡墨桜を描いた大作や、
アロワナを描いた墨画淡彩の《龍魚―阿》《龍魚―吽》など、迫力でした。
「土屋輝雄・禮一展」10月16日(日)までです。

企画展に来て、所蔵品展を見ずに帰られる方もいらっしゃるようですが、
岐阜県美術館の所蔵品はスゴいので、もったいないですよ!!


岐阜県美術館: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/




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