岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭」 [美術]
5月14日(日)、岐阜県美術館へ行ってきました。
ART AWARD IN THE CUBE 2017
清流の国ぎふ芸術祭
をやっています。実は見に行くまで、あまり展覧会のイメージが
わからなかったんですね。昨年から美術館の庭にこんな枠(?)が
設置されていて、これは何??みたいに見てたんですけど。
(2016年7月24日撮影)
この4.8m(幅)×4.8m(奥行)×3.6m(高さ)の空間(直方体のキューブ)の、
空間(実際のキューブには壁面、天井があります)に、
公募によって選ばれた作品を展示してもらうとのこと。
第一回目の今回のテーマは「身体のゆくえ」
‥‥なんてことは私は後から知りまして、
岐阜県美術館後援会の会員で、全ての展覧会に行ってるので、
そろそろ行っておくか‥‥みたいなカンジで出かけたんですよ。
(入場無料ってのも行ってから気が付いたんです。
ちゃんとチラシにも表記してあるのに)
私のことなので、昼食を食べてゆっくりして車で出かけました。
いつもの岐阜県図書館地下の駐車場が満車で、美術館のカフェ側の
駐車場に停めて、北入口から館内へ。
この日は月1回(但し6月は休み)のパイプオルガンのコンサートが
行われていて、後半の曲を聞くことができました。
多目的ホールでのオルガンコンサートが終わって、
展示室3へ。後援会会員証を提示しようとしたら、無料で入れることを
知りました。そして写真撮影もOK!!
----ここから先はネタバレ?になっちゃうので、
これから展覧会を見に行こうとお考えの方は、
是非見てから読むことをお勧めします。6月11日(日)までです。
よくわからないなーって作品も含めて、アーティストの意欲あふれる展示
それぞれ面白かったです。
最初に目に飛び込んできたキューブが、
【A】柴山豊尚《ニョッキ(如木)2017》
おぉー!! 木で作られた不思議な形がいいカンジ!!
木の積層が地層のよう‥‥って見てたら、
ボランティアスタッフの方が「真ん中の柵の前まで入ることができますよ」と。
ゆるやかな曲面の床に注意しながら進むと、合わせ鏡のようになった壁面のため、
無限の空間の中に迷い込んだよう。
柴山豊尚さんの作品、2011年11月に古今伝授の里フィールドミュージアムへ
行った時に「歌となる言葉とかたち展」が行われていて、
あちこちに和歌と和歌からイメージされた造形が展示されていたんですが、
その中で一番面白かった造形が柴山豊尚さんの作品でした。
古今伝授の里フィールドミュージアム
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-11-15
その時の作品《モッポ'11の3 》
次のキューブは
【B】森貞人《Mimesis Insect Cube》
『ガラクタ』でできた虫たちがキューブの壁に無数に張り付いています。
この数がすごい!!
メガネが羽になっていたり、電話のダイヤル昆虫の体だったり、
ちょっと懐かしいような道具――身体の延長線上として作られた道具や、
身体の記憶が残る「時代の漂流物」って表現されていました――
で、できているのがまたいい!
天井の光に虫が集まってきたようにも見えます。
キューブの外側にも虫たちがいました。
森貞人さんは、名古屋のイラストレーターの大御所ですよね。
目玉焼きや地球や島がハート型になった作品等で有名です。
この展覧会のチラシに森貞人さんの名前があって、ちょっと驚いたんですが、
リアルなイラストだけでなく、デジタルや立体オブジェも作って
いらっしゃるって知りました。
1985年発行の『名古屋イラストレーターズクラブ作品集Vol.7』より
【C】耳のないマウス《移動する主体(カタツムリ)》
キューブの壁の上に人(人形)がいます!!
キューブを覗くと、床に人が倒れています。よく見ると、
カタツムリの手遊びの形をした手だけが動いていて、
ゆっくりした手の動きがリアルで気持ち悪いなーって見てたら、
突然!! 人形が床の上を動いたんです!!!
思わず声を出しそうになりました。(泣きだしてしまった子供もいましたよ)
外から見えた壁の上の人。手だけ動いています。
壁にもう一体、人がいます。手だけ動いています。
床の人、少しずつだけど、結構移動しています。
【D】宮原嵩広《Missing matter》
キューブの中がアスファルトを敷き詰めた部屋になっています。
靴を脱いで(できれば裸足になって)入ってくださいってってことでした。
アスファルトの黒い床に、白い壁。何もない空間です。
入口に、アスファルトについていろんな説明がありました――
あと50年もすれば枯渇してしまう素材だとか――が、
うーーん??‥‥ってカンジしかしなかったのは、
裸足にはなってなかったからかな?(面倒なので靴下は脱ぎませんでした)
【E】佐藤雅晴《HANDS》
入口の暖簾(?)をくぐって入ると、真っ暗な中に
たくさんの小さなモニターが横一列に並んでいます。
一つ一つは、入れ歯を洗う手、ページをめくる手とか、手の行為が
映されているんですが、手の部分はトレースしたアニメーションに
なっているんです。
【F】三木陽子《Conduit(導管)》
キューブの白い壁に黒い導管が張り巡らされています。
水道管やガス管が張り巡らされている日常的な風景のようにも見えますが、
管がところどころぐにゃっと曲がっていたり、
導管を支えているのは手であったりして面白いです。
【G】平野真美《蘇生するユニコーン》
まるで手術室のような室内の台の上に横たわっているのは、
ユニコーン(一角獣)‥‥もちろん架空の生き物ですが、
とてもリアルで、生命維持装置につながれた血管がピクピク動いて、
今にも生き返りそうでもあり、私には、うつろな目をこちらに向けて、
死んでいくところのようにも見えました。
私には、ユニコーンが象徴する夢や希望が、今死にそうになっている
みたいな印象を持ったんですが。
このユニコーンのリアルさ!! 骨格や内臓・筋肉・皮膚などの部位も
きちんと制作されているんだそうです。
生命維持装置が空気を送る肺、血管もちゃんと体内に張り巡らされている
とのこと。今死んでいく生命を見ているような、ゾクッとするような感覚。
この作品、すごく私の趣味でした!! 後でこの作品、大賞はおろか
審査員賞にも入ってないのを知って、え~っ?!!と思ったんですけど。
以上が展示室3の作品で、この部屋の作品と雰囲気すっごく良かった!!
オルガンコンサートが終わった多目的ホールでは
【H】安野太郎(YASUNO Taro)《THE MAUSOLEUM ―大霊廟―》
「ケーブルで繋がれた12台の自動演奏装置は、エネルギーが供給され続ける限り、 永遠に情報を交換しながら『ゾンビ音楽』を生み出します。それは、 人類が滅びた未来で、永久に人類を葬送し続ける霊廟で鳴り響いている 音楽なのです。」(無料のガイドブックより)
機械の指がリコーダーの穴をふさいで、音が出ています。
岐阜県美術館の多目的ホールは、 パイプオルガンや、
ミケランジェロがメディチ家の霊廟のために制作した《ロレンツォと夕と曙》、
《ピエタ》《モーゼ》の模刻もある、まさに「大霊廟」って雰囲気の空間。
リコーダーからの音がランダム?に鳴り響く音楽は、なにか不思議で、
この作品を審査員賞に選んだ高橋源一郎氏が
「THE MAUSOLEUM ―大霊廟―」は楽器であるのに、なぜかわたしには原子炉に見えた
(二次審査講評)って書いているけど、
人類が滅亡した後、機械の指がずっと動いて音が出ているのを想像して、
ちょっと不穏な気持ちになりました。
いつもグループ展などが展示されている「県民ギャラリー」では、
【I】松本和子《透明の対話》
古典技法であるフレスコ技法で描かれたという絵が
キューブの内側はもちろん、外側にもずらりと並んでいます。
古い遺跡のようにも見えます。
あ、写真で見た方が何が描かれているのかよくわかります。
キューブに入った時は、なんかぼんやりした抽象画かしら?と
ベールがかかったような雰囲気というか、透明感を感じる絵ですね。
【J】中村潤【縫いの造形】
キューブに糸が縫い付けられています。
そして中には、やはり糸が縫い付けられた紙が。
内側の紙は、キューブと同じ大きさの紙袋で、キューブの壁と
縫い合わせてあるってことなんですけど‥‥。
【K】堀川すなお《モノについて》
壁から少し浮き上がって展示された半透明の紙(?)に、
図形のようなものがたくさん書かれています。何かの研究室のような雰囲気。
ヘッドホンで音声を聞くことができるようです(私は聞かなかったのですが)
壁に書かれていた文
2016年12月17日岐阜県高山市にある飛騨・世界生活文化センターにて 地域の12人の小学生と共にある実験を行いました。
実験内容は4つの行程で行われました。始めに、小学生たちがモノが入った箱の中に手を入れて、 そのモノがどのような形なのかを手の感覚を頼りに理解しようとします。次に、理解したモノの形を言葉で紙に書き、そのモノが何か知らない人にその紙を渡します。そして、渡された人は その言葉を読んで、自分がイメージした形に変換します。最後に、その実験について私は 子供達に聞き取りを行うという実験です。
その実験から私は、人がモノを理解するのはどういうことなのか、私たちはいったい何を 理解しているのかを考察し記録しました。
真ん中に置かれた2つの箱に「ご自由にお手をお入れください」って
あったので、中のモノに触ってみました。
一つは南瓜で、もう一つは洗濯ばさみ(大きいもの)だと思ったんですが、
さてこれを言葉で伝えるとなると‥‥?
【L】水無瀬翔《DEMO DEPO イン・ザ・キューブ支店》
展示室内でお店のようなキューブ
顔が映ったモニタが並ぶのはインパクトあります
デモ行進用のロボットを借りることができるってことなんですが
子供たちには大人気のようでした
【M】谷本真理《この部屋とダンス》
キューブに穴が開いているのが新鮮でした。
キューブに空いた窓が直線でないのがいいですね。
窓からの眺めが抽象画のようで面白い。
キューブの中は‥‥一体何が起こったの??ってカンジの散乱状態。
粘土で形を作り、柔らかいうちに壁や床に投げつけたんだそうです。
「中に入ってもいいですよ」って言われましたが‥‥うーん、ちょっと入りたくない。
【N】ミルク倉庫+ココナッツ《cranky wordy things》
モノが突然動き出したりすることがあるので注意って書かれていました。
壁のモニタには、人の寝入りばなの実験の記録映像が映され、
雑然とした台の上のモノたちが、勝手に動き出します。
台の上の実が勝手にコロコロ動いていたり、釘が勝手に出たり入ったり、
紙袋がゴソゴソと動き出したり‥‥
台の下とかに仕掛けがあるみたいですが
お化け屋敷?みたいで面白かったですけど、
この作品が今回の大賞ってのには私はちょっと疑問。
うーーん、私はどうもこの空間の雑然とした雰囲気が好きじゃなかったですけどねぇ。
キューブに無駄な空間もあるカンジで‥‥。
展示室の一角には、こんな体験コーナーも。
そして、屋外にあったのが
【O】三枝愛《庭のほつれ》
「東日本大震災以降、激減し、椎茸農家や周辺環境の変化を引き起こしてきた原木を、箱の中(キューブ)に一時的にとどめ、展示空間の外側へと意識を開いてゆく場をつくります。」
(無料のガイドブックより)
ってことなんですけど‥‥キューブの下部に空いたところから中を見ると、
うーーん??なんか丸太が一本転がっている??
このキューブの形と岐阜県美術館の建物とがシンクロ?しているような
ところは面白いと思いました。
昨年から設置されているキューブの原寸大模型に
今回の展覧会の看板が設置されていました。
展覧会のアンケート提出で、東濃ヒノキを使ったしおり(下)がもらえました。
私が良かった作品に選んだのは(複数回答可ってことで)
【G】平野真美《蘇生するユニコーン》
【A】柴山豊尚《ニョッキ(如木)2017》
【C】耳のないマウス《移動する主体(カタツムリ)》
【B】森貞人《Mimesis Insect Cube》
今回の展覧会の出展アーティストのインタビューと、
後半に岐阜の画廊などのアートスポット(小さい家も載っていて嬉しい)が
掲載されている「岐阜アートさんぽ」買っちゃいました。1,500円+税(1,620円)
ギャラリー小さい家: http://gifulittlehouse.com/
ギャラリー小さい家「ゲストハウス小さい家」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-12-04
清流の国ぎふ芸術祭のウェブサイト: http://art-award-gifu.jp/
岐阜県美術館ウェブサイト: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
ART AWARD IN THE CUBE 2017
清流の国ぎふ芸術祭
をやっています。実は見に行くまで、あまり展覧会のイメージが
わからなかったんですね。昨年から美術館の庭にこんな枠(?)が
設置されていて、これは何??みたいに見てたんですけど。
(2016年7月24日撮影)
この4.8m(幅)×4.8m(奥行)×3.6m(高さ)の空間(直方体のキューブ)の、
空間(実際のキューブには壁面、天井があります)に、
公募によって選ばれた作品を展示してもらうとのこと。
第一回目の今回のテーマは「身体のゆくえ」
‥‥なんてことは私は後から知りまして、
岐阜県美術館後援会の会員で、全ての展覧会に行ってるので、
そろそろ行っておくか‥‥みたいなカンジで出かけたんですよ。
(入場無料ってのも行ってから気が付いたんです。
ちゃんとチラシにも表記してあるのに)
私のことなので、昼食を食べてゆっくりして車で出かけました。
いつもの岐阜県図書館地下の駐車場が満車で、美術館のカフェ側の
駐車場に停めて、北入口から館内へ。
この日は月1回(但し6月は休み)のパイプオルガンのコンサートが
行われていて、後半の曲を聞くことができました。
多目的ホールでのオルガンコンサートが終わって、
展示室3へ。後援会会員証を提示しようとしたら、無料で入れることを
知りました。そして写真撮影もOK!!
----ここから先はネタバレ?になっちゃうので、
これから展覧会を見に行こうとお考えの方は、
是非見てから読むことをお勧めします。6月11日(日)までです。
よくわからないなーって作品も含めて、アーティストの意欲あふれる展示
それぞれ面白かったです。
最初に目に飛び込んできたキューブが、
【A】柴山豊尚《ニョッキ(如木)2017》
おぉー!! 木で作られた不思議な形がいいカンジ!!
木の積層が地層のよう‥‥って見てたら、
ボランティアスタッフの方が「真ん中の柵の前まで入ることができますよ」と。
ゆるやかな曲面の床に注意しながら進むと、合わせ鏡のようになった壁面のため、
無限の空間の中に迷い込んだよう。
柴山豊尚さんの作品、2011年11月に古今伝授の里フィールドミュージアムへ
行った時に「歌となる言葉とかたち展」が行われていて、
あちこちに和歌と和歌からイメージされた造形が展示されていたんですが、
その中で一番面白かった造形が柴山豊尚さんの作品でした。
古今伝授の里フィールドミュージアム
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-11-15
その時の作品《モッポ'11の3 》
次のキューブは
【B】森貞人《Mimesis Insect Cube》
『ガラクタ』でできた虫たちがキューブの壁に無数に張り付いています。
この数がすごい!!
メガネが羽になっていたり、電話のダイヤル昆虫の体だったり、
ちょっと懐かしいような道具――身体の延長線上として作られた道具や、
身体の記憶が残る「時代の漂流物」って表現されていました――
で、できているのがまたいい!
天井の光に虫が集まってきたようにも見えます。
キューブの外側にも虫たちがいました。
森貞人さんは、名古屋のイラストレーターの大御所ですよね。
目玉焼きや地球や島がハート型になった作品等で有名です。
この展覧会のチラシに森貞人さんの名前があって、ちょっと驚いたんですが、
リアルなイラストだけでなく、デジタルや立体オブジェも作って
いらっしゃるって知りました。
1985年発行の『名古屋イラストレーターズクラブ作品集Vol.7』より
【C】耳のないマウス《移動する主体(カタツムリ)》
キューブの壁の上に人(人形)がいます!!
キューブを覗くと、床に人が倒れています。よく見ると、
カタツムリの手遊びの形をした手だけが動いていて、
ゆっくりした手の動きがリアルで気持ち悪いなーって見てたら、
突然!! 人形が床の上を動いたんです!!!
思わず声を出しそうになりました。(泣きだしてしまった子供もいましたよ)
外から見えた壁の上の人。手だけ動いています。
壁にもう一体、人がいます。手だけ動いています。
床の人、少しずつだけど、結構移動しています。
【D】宮原嵩広《Missing matter》
キューブの中がアスファルトを敷き詰めた部屋になっています。
靴を脱いで(できれば裸足になって)入ってくださいってってことでした。
アスファルトの黒い床に、白い壁。何もない空間です。
入口に、アスファルトについていろんな説明がありました――
あと50年もすれば枯渇してしまう素材だとか――が、
うーーん??‥‥ってカンジしかしなかったのは、
裸足にはなってなかったからかな?(面倒なので靴下は脱ぎませんでした)
【E】佐藤雅晴《HANDS》
入口の暖簾(?)をくぐって入ると、真っ暗な中に
たくさんの小さなモニターが横一列に並んでいます。
一つ一つは、入れ歯を洗う手、ページをめくる手とか、手の行為が
映されているんですが、手の部分はトレースしたアニメーションに
なっているんです。
【F】三木陽子《Conduit(導管)》
キューブの白い壁に黒い導管が張り巡らされています。
水道管やガス管が張り巡らされている日常的な風景のようにも見えますが、
管がところどころぐにゃっと曲がっていたり、
導管を支えているのは手であったりして面白いです。
【G】平野真美《蘇生するユニコーン》
まるで手術室のような室内の台の上に横たわっているのは、
ユニコーン(一角獣)‥‥もちろん架空の生き物ですが、
とてもリアルで、生命維持装置につながれた血管がピクピク動いて、
今にも生き返りそうでもあり、私には、うつろな目をこちらに向けて、
死んでいくところのようにも見えました。
私には、ユニコーンが象徴する夢や希望が、今死にそうになっている
みたいな印象を持ったんですが。
このユニコーンのリアルさ!! 骨格や内臓・筋肉・皮膚などの部位も
きちんと制作されているんだそうです。
生命維持装置が空気を送る肺、血管もちゃんと体内に張り巡らされている
とのこと。今死んでいく生命を見ているような、ゾクッとするような感覚。
この作品、すごく私の趣味でした!! 後でこの作品、大賞はおろか
審査員賞にも入ってないのを知って、え~っ?!!と思ったんですけど。
以上が展示室3の作品で、この部屋の作品と雰囲気すっごく良かった!!
オルガンコンサートが終わった多目的ホールでは
【H】安野太郎(YASUNO Taro)《THE MAUSOLEUM ―大霊廟―》
「ケーブルで繋がれた12台の自動演奏装置は、エネルギーが供給され続ける限り、 永遠に情報を交換しながら『ゾンビ音楽』を生み出します。それは、 人類が滅びた未来で、永久に人類を葬送し続ける霊廟で鳴り響いている 音楽なのです。」(無料のガイドブックより)
機械の指がリコーダーの穴をふさいで、音が出ています。
岐阜県美術館の多目的ホールは、 パイプオルガンや、
ミケランジェロがメディチ家の霊廟のために制作した《ロレンツォと夕と曙》、
《ピエタ》《モーゼ》の模刻もある、まさに「大霊廟」って雰囲気の空間。
リコーダーからの音がランダム?に鳴り響く音楽は、なにか不思議で、
この作品を審査員賞に選んだ高橋源一郎氏が
「THE MAUSOLEUM ―大霊廟―」は楽器であるのに、なぜかわたしには原子炉に見えた
(二次審査講評)って書いているけど、
人類が滅亡した後、機械の指がずっと動いて音が出ているのを想像して、
ちょっと不穏な気持ちになりました。
いつもグループ展などが展示されている「県民ギャラリー」では、
【I】松本和子《透明の対話》
古典技法であるフレスコ技法で描かれたという絵が
キューブの内側はもちろん、外側にもずらりと並んでいます。
古い遺跡のようにも見えます。
あ、写真で見た方が何が描かれているのかよくわかります。
キューブに入った時は、なんかぼんやりした抽象画かしら?と
ベールがかかったような雰囲気というか、透明感を感じる絵ですね。
【J】中村潤【縫いの造形】
キューブに糸が縫い付けられています。
そして中には、やはり糸が縫い付けられた紙が。
内側の紙は、キューブと同じ大きさの紙袋で、キューブの壁と
縫い合わせてあるってことなんですけど‥‥。
【K】堀川すなお《モノについて》
壁から少し浮き上がって展示された半透明の紙(?)に、
図形のようなものがたくさん書かれています。何かの研究室のような雰囲気。
ヘッドホンで音声を聞くことができるようです(私は聞かなかったのですが)
壁に書かれていた文
2016年12月17日岐阜県高山市にある飛騨・世界生活文化センターにて 地域の12人の小学生と共にある実験を行いました。
実験内容は4つの行程で行われました。始めに、小学生たちがモノが入った箱の中に手を入れて、 そのモノがどのような形なのかを手の感覚を頼りに理解しようとします。次に、理解したモノの形を言葉で紙に書き、そのモノが何か知らない人にその紙を渡します。そして、渡された人は その言葉を読んで、自分がイメージした形に変換します。最後に、その実験について私は 子供達に聞き取りを行うという実験です。
その実験から私は、人がモノを理解するのはどういうことなのか、私たちはいったい何を 理解しているのかを考察し記録しました。
真ん中に置かれた2つの箱に「ご自由にお手をお入れください」って
あったので、中のモノに触ってみました。
一つは南瓜で、もう一つは洗濯ばさみ(大きいもの)だと思ったんですが、
さてこれを言葉で伝えるとなると‥‥?
【L】水無瀬翔《DEMO DEPO イン・ザ・キューブ支店》
展示室内でお店のようなキューブ
顔が映ったモニタが並ぶのはインパクトあります
デモ行進用のロボットを借りることができるってことなんですが
子供たちには大人気のようでした
【M】谷本真理《この部屋とダンス》
キューブに穴が開いているのが新鮮でした。
キューブに空いた窓が直線でないのがいいですね。
窓からの眺めが抽象画のようで面白い。
キューブの中は‥‥一体何が起こったの??ってカンジの散乱状態。
粘土で形を作り、柔らかいうちに壁や床に投げつけたんだそうです。
「中に入ってもいいですよ」って言われましたが‥‥うーん、ちょっと入りたくない。
【N】ミルク倉庫+ココナッツ《cranky wordy things》
モノが突然動き出したりすることがあるので注意って書かれていました。
壁のモニタには、人の寝入りばなの実験の記録映像が映され、
雑然とした台の上のモノたちが、勝手に動き出します。
台の上の実が勝手にコロコロ動いていたり、釘が勝手に出たり入ったり、
紙袋がゴソゴソと動き出したり‥‥
台の下とかに仕掛けがあるみたいですが
お化け屋敷?みたいで面白かったですけど、
この作品が今回の大賞ってのには私はちょっと疑問。
うーーん、私はどうもこの空間の雑然とした雰囲気が好きじゃなかったですけどねぇ。
キューブに無駄な空間もあるカンジで‥‥。
展示室の一角には、こんな体験コーナーも。
そして、屋外にあったのが
【O】三枝愛《庭のほつれ》
「東日本大震災以降、激減し、椎茸農家や周辺環境の変化を引き起こしてきた原木を、箱の中(キューブ)に一時的にとどめ、展示空間の外側へと意識を開いてゆく場をつくります。」
(無料のガイドブックより)
ってことなんですけど‥‥キューブの下部に空いたところから中を見ると、
うーーん??なんか丸太が一本転がっている??
このキューブの形と岐阜県美術館の建物とがシンクロ?しているような
ところは面白いと思いました。
昨年から設置されているキューブの原寸大模型に
今回の展覧会の看板が設置されていました。
展覧会のアンケート提出で、東濃ヒノキを使ったしおり(下)がもらえました。
私が良かった作品に選んだのは(複数回答可ってことで)
【G】平野真美《蘇生するユニコーン》
【A】柴山豊尚《ニョッキ(如木)2017》
【C】耳のないマウス《移動する主体(カタツムリ)》
【B】森貞人《Mimesis Insect Cube》
今回の展覧会の出展アーティストのインタビューと、
後半に岐阜の画廊などのアートスポット(小さい家も載っていて嬉しい)が
掲載されている「岐阜アートさんぽ」買っちゃいました。1,500円+税(1,620円)
ギャラリー小さい家: http://gifulittlehouse.com/
ギャラリー小さい家「ゲストハウス小さい家」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-12-04
清流の国ぎふ芸術祭のウェブサイト: http://art-award-gifu.jp/
岐阜県美術館ウェブサイト: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
岐阜アートさんぽ [ まちのアート研究会 ] |
立体キューブをカンヴァスに見立てた実験・トリック・アートですね。
「耳のないマウス」は死んだ振りしているゾンビみたいで怖そう^^
草間彌生「わが永遠の魂」(国立新美術館)も大型の絵画シリーズ132点と
巨大な花のオブジェのある中央の広いフロアは撮影可でした。
スマホで絵画やオブジェを撮っている人や自撮り(セルフィー族)も多い。
中年男性に頼まれて、
サイケ・フラワーとの2ショットを1枚撮ってあげました^^;
by sknys (2017-05-24 19:35)
sknys さん、コメントありがとうございます。それぞれの立体キューブにいろんなアートが展開されていて面白かったです。
「耳のないマウス」の床の人形、動く間隔や距離はランダムなんだそうで、予測つかないところが怖い。泣き出してしまった子供もいましたよ。
国立新美術館の草間彌生展スゴかったですよねー。現代美術の展覧会なのに、なんであんなに楽しいんでしょう!!
by しーちゃん (2017-05-26 10:56)