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岐阜県現代陶芸美術館「明治有田超絶の美」展 [美術]

8月23日(水)、多治見市美濃焼ミュージアム「幻のナカヤマ」展を見た後、

岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「有田焼創業四〇〇年記念
 明治有田 超絶の美
 万国博覧会の時代」展が8月27日(日)まで開催されていました。
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多治見市美濃焼ミュージアムから岐阜県現代陶芸美術館がある
セラミックパークMINOへは、車なら5分もかからずに行けます。
(歩くのはかなり高低差があるのでキツそうですけど)
イベントもない平日なので、閑散としています。

受付で岐阜県美術館の後援会会員証を見せて入ります。

近年、明治の工芸の超絶技巧が注目されていますね。
ここ(岐阜県現代陶芸美術館)で「超絶技巧! 明治工芸の粋」展を
見たのは、2015年11月22日(日)だったなぁーと。
(すごく良くて、図録まで買ったのに、ブログに感想が書けておりません)
清水三年坂美術館所蔵の七宝や金工、牙彫などが展示されていました。
図録を見たら、陶磁器では薩摩焼のキラキラ絢爛豪華な作品が出てました。

明治政府は殖産興業政策により、輸出品として、
国を挙げて技巧を凝らした工芸品を作らせ、
1873(明治6)年のウィーン万国博覧会をはじめ、
世界各地で開催された博覧会へ出品します。
そんな万博で大評判となった有田の陶磁器

江戸時代の藩による締め付けから解放され、西洋技術も導入して、
意匠にも工夫を凝らし、輸出した作品が大好評ということで、
世界を驚かせてやろうって職人たちの意気込みとエネルギーが伝わってくる
キラキラ絢爛豪華、これでもかって精緻な装飾過多の作品が並んでいました。

ま、ちょっと日本人の感覚とは外れてクドいかなって気もしますが、
こういうキラキラな磁器、私は少なくてもワビサビの抹茶茶碗より好き、
っていうか、まぁよくもここまで作った、作れたもんだ!!って、
超絶技巧を凝らした華麗な磁器に、ただただ感嘆しながら見ていきました。
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中でも一番のインパクトだったのが、この展覧会のメインビジュアルとして
チラシ表面左に半分使われている(チラシ裏面右下にも)
《染付蒔絵富士山御所車文大花瓶》1873(明治6)年 有田ポーセリンパーク蔵

ホントに『大花瓶』!! 見上げる大きさです。185cmだそう。
1973年のウィーン万国博覧会に、名古屋城の金のシャチホコと
向かい合うように展示された写真がありました。

そして、チラシ表面の右側に使われている
精磁会社《色絵鳳凰花唐草文透彫大香炉》1979(明治12)年~1897(明治30)年頃 個人蔵
大きな香炉に施された細かい模様、透かし彫り!! まさに超絶技巧って感じですね。

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で、この大香炉の隣に、台座の部分がなかったのですが、
大きな香炉が並んでいて、あれ? この2つ同じだよねーって見たら、
台座がない方は、特別出品された、岐阜県現代陶芸美術館所蔵の
精磁会社《染付上絵桐鳳凰文透彫大香炉》明治時代前期
(作品名が微妙に違ってますけど)
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鑑賞カードがあったのでもらってきました。裏の説明によると、

(前略)明治12年(1879年)、精磁会社は最高の技術陣による最高水準の製品づくりをめざし、 有田の香蘭社から分離独立して設立されました。そしてフランスのリモージュから最新式の 製陶機を購入し、設備の近代化によって大量生産を図ります。しかし、結果的にその機械の 運用に失敗し、コストを度外視した精巧な技術の製品化と経営の両立が困難となり、 さらに内外の不景気に加えて、会社首脳陣を相次いで失い、解散に向かいます。 明治16年のアムステルダム万国博覧会と明治20年のスペイン万国博覧会では 金牌を受賞するなど大きな功績を残していますが、その最盛期は短く設立時から 10年間ほどにすぎませんでした。(後略)

今回の展覧会、「香蘭社」と「精磁会社」の作品がほとんどを占めていました。
このあたりが超絶技巧を凝らした明治有田の陶磁器を作っていたんですね。

そして、最後の展示室にテーブルセッティングをされて展示されていた
香蘭社《染付藤文洋食器》1910(明治43)年頃 公益法人立花家資料館蔵
(チラシ裏面右上) とても素敵!!
元柳川藩主・立花家の家紋がデザインに上手く溶け込んでます。
洋食器だけど、日本的なあっさり爽やかな雰囲気も感じました。

あ、立花家って、福岡県柳川の「御花」なんですね。
湯布院、高千穂、阿蘇などを巡ったツアーで、
柳川の御花で食事して船に乗ってお堀めぐりをしたっけ
(15年前、2002年のことです)
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このあたりに展示されていた作品は、金キラキラ細密模様からちょっと違ってきて、
私個人的に、あっこれ素敵! って思ったのが、
香蘭社《釉下彩陽刻翡翠鯉文大花瓶》1890(明治23)年~1910年代 有田ポーセリンパーク蔵
釉下彩の透明感ある立体のカワセミと、壺にレリーフのようにかぶさった葉、
壺に描かれた鯉がとてもリアルに上品に描かれていてすごいなーーって。

この「明治有田 超絶の美」展、
2016年9月5日(土)~そごう美術館で開催されたのを始めに、
佐賀県立九州陶磁文化館、兵庫陶芸美術館、
いわき市立美術館、泉屋博古館分館、
はつかいち美術ギャラリー、秋田市立千秋美術館と巡回し、
ここ、岐阜県現代陶芸美術館が最後だったそうです。

「明治有田 超絶の美」展が開催されているギャラリーⅠを出て、
所蔵品が展示されていることが多いギャラリーⅡでは、

「大地のこどもたち 2017」が開催されていました。
岐阜県内の小・中・特別支援学校等のやきもの作品展
44校の800点を上回る作品が展示されています。
(チラシに使われているのは2014年の出品作だそう)
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こどもたちのエネルギーが伝わってくるような作品が
これだけ並んでいると迫力でした。
ちょっと考えさせられてしまったのは、
学校やクラス単位で同じような作品になってるんですよね。
スニーカーを作っているところとか、お面を作っているところ、
粘土を板にして制作しているところ‥‥
制作の指導について考えてしまいました。

あまり制作について指示すると作業になって、みんな同じになっちゃうし、
自由に制作しなさいって言うと、こどもたちは何をどうしていいか
戸惑っちゃうんだろうなぁと。
誰かカッコイイものを作っていると、周囲がマネしちゃうってことも
あるかもしれませんね。
天野裕夫ばりの怪獣っぽいのを作っていた一帯が特に面白かった。

天野裕夫についての過去記事↓
JR名古屋タカシマヤ美術画廊の天野裕夫展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

美術館を出て、セラミックパークMINOのショップ内のギャラリーで
やっていた「安田ナオキ ガラス展」
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涼し気なガラスが素敵でした。私はやっぱり陶磁器よりガラスが好きみたい。
案内ハガキの写真の穴のあいたガラスより、透明感のあるお皿が
素敵で欲しいなって。でもお皿よりペンダントの方が使うかな?って、
奮発しちゃいました! 4,400円(税別)でした。
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安田ナオキさんは、土岐市にあるガラス工房
Studio Shine スタジオ シャイン」で制作に励んでいらっしゃるそう。
スタジオ シャイン: http://studio-shine.net

暑いことで有名な多治見ですが、この日は曇っていましたし、
ツクツクボウシも鳴いて、暑い中にも、少し秋の気配が感じられました。
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--オマケ--
2015年9月12日(土)~12月6日(日)に岐阜県現代陶芸美術館で開催された
「超絶技巧! 明治工芸の粋」展のチラシ
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光沢インクも使った豪華なチラシです!!

中面のイラストは、山口晃だそう!! (クリックで拡大します)
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安藤緑山の象牙彫はスゴかった!!

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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/

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