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岐阜市歴史博物館「レオナルド×ミケランジェロ展」 [美術]

パートが休みだった10月5日(木)、岐阜公園内にある
岐阜市歴史博物館へ行ってきました。

織田信長公岐阜城入場・岐阜命名450年記念特別協賛事業
特別展 レオナルド×ミケランジェロ展
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の初日! そして、関連行事の
対話劇「生涯のライバル レオナルドとミケランジェロ」の
申し込みをしていたからです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci 1452-1519
ミケランジェロ・ブオナローティ Michelangelo 1475-1564

言うまでもないルネサンスの巨匠2人!!
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 15世紀イタリアで画家として才能を発揮し、建築、化学、解剖学の分野にまで関心を広げ「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ。
 10代から頭角を現し「神のごとき」と称された世紀の天才彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ。
 本展は、芸術家の力量を示すうえで最も重要とされ、巨匠の手の動きや対象を見つめるまなざしを直接感じることのできる自筆素描画作品を中心に、ライバルとも評される両者の芸術を対比する日本初の展覧会です。
(チラシ裏面・展覧会ウェブサイトより)

どちらか一人だけでもスゴイのに、二人を見比べることができる展覧会なんです!

この展覧会のこと、2015年12月22日(冬至)に行われた
こよみのよぶね」のイベントの挨拶で、細江岐阜市長が
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-12-24
「再来年、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの展覧会をします」
って、言ってたんですよ。その場には、岐阜県美術館長の日比野克彦氏も
いたので、てっきり岐阜県美術館でやるのかと思ってたら(岐阜県美術館には
ピエタやモーゼなどのミケランジェロの模刻もありますしね)
岐阜市歴史博物館でした。(岐阜市歴史博物館は岐阜市の施設だから)

へー、スゴイとは思いましたが、それほど期待はしていませんでした。
だって、まさか「モナリザ」やシスティーナ礼拝堂の壁画を持ってくるワケに
いかないじゃないですか。以前、福井県立美術館で「ミケランジェロ展」を
やるってんで、ダンナとドライブがてら見に行ったんですが、

福井県立美術館「ミケランジェロ展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-08-02

15歳のミケランジェロの「神のごとき」技量を示す《階段の聖母》とか、
貴重なデッサンなどが展示されていましたが、
ダンナと、なんかジミな展覧会だね‥‥って。

その展覧会の目玉の一つだった
《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》1530年頃

今回の展覧会にも出ていました。(最初のチラシの下部分に使われています)
女性を描くのに、男性のモデルを使っています。
左下には睫毛を長くして、女性らしさを出そうとした絵も描かれています。

この展覧会は、岐阜市歴史博物館に先立って、東京・三菱一号館美術館で、
2017年6月17日(土)~9月24日(日)に開催されました。

もちろん、せっかく岐阜で開催されるし、見に行くつもりでいました。
で、10月5日(木)のパート休み、どこの展覧会に行こうかなって考えていた時、
この日に、関連行事の対話劇があることを知ったんです。
見たいけど、こういうイベントってスグにいっぱいになっちゃうんだろうなって
岐阜歴史博物館のHPとか見てたら、まだ「受付終了」の表示がなかったので、
電話して聞いたら、受付可ってことだったので、2名で申し込みしました。
嬉しいけど、こんな素敵なイベントが2日前に定員200名に達していないって
どうなの?? って思いつつ‥‥それから、
大学の卒論でミケランジェロのピエタについて書いたって友人に
お誘いのメール出しました。最近ご両親の介護で忙しそうだからどうかなって
思ったけど、「行きた~い!!」って返事が来たので、
まだ前売り券が間に合うと、展覧会ウェブサイトからリンクされていた
e+(イープラス)で注文。

東京都庭園美術館「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-02-08
へ行った時に、イープラスで前売り券を買っていました。
その時より、我が家の近くにセブンイレブンができたので、さらに
受け取りが便利になりました。手数料無料なので、前売り券の
値段1枚1,300円で買うことができました。

当日は友人と岐阜のモーニングを楽しみ、
岐阜公園の駐車場(1回300円)に停めて、岐阜市歴史博物館へ。
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受付でセブンイレブンで発券された前売り券を出すと、
本来(?)の前売り券の半券をくれました。
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新しい2つ折りの豪華チラシも置いてあったのでゲット!
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会場に入ると、挨拶などのパネルがあり、
フィレンツェの風景が布にプリントされて展示されています。
岐阜市とフィレンツェは姉妹都市提携をしていて、
最初に展示されていた絵は、そのフィレンツェ市からの特別出品作品
(東京では展示されなかった絵ですよー!!)

ジョルジョ・ヴァザーリ/ジョヴァン・パッティスタ・ナルディーニ
《闘う騎士たち》1567年頃
近年展覧会が開催されているので、チラシやポスター等で見ていた
《アンギアーリの戦い》に似ているなって見たら、
 シニョリーア宮殿(現ヴェッキオ宮殿)の五百人広間の西側の壁に描かれたフレスコ画のための素描。サン・ヴゥンチェンツォの征服(フィレンツェがピサを破る)を描く。この場所はは、レオナルドが〈アンギアーリの戦い〉を描いていた場所であったが未完のまま終わり、後に作品は喪失した。本作品はこの未完の壁画、またはその下絵などを参考に描かれた可能性がある。その後、16世紀後半に現在見る形の壁画が完成した。シニョリーア宮殿では、ミケランジェロも〈カッシナの戦い〉を描こうとしたが、こちらも未完に終わっている。
 本作はヴァザーリの手によるとされてきたが、近年では壁画共作者のナルディーニによると考えられている。ナルディーニは、フィレンツェの画家ポントルモに学び、シニョリーア宮殿の絵画装飾に重用された。日本初公開の作品。
(出品リストの説明)
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そして、マルチェッロ・ヴェヌスティ(帰属)《ミケランジェロの肖像》1535年以降 と、
レオナルド・ダ・ヴィンチの自画像のファクシミリ版が並んでいます。
「ファクシミリ版」というのは、研究などのために高品質に複製されたものだそう。

そして、「最も美しい」とされるレオナルドの素描
《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》1483-1485年頃

左利きのレオナルドが左上から右下への斜線で描いた少女の素描は、
とても柔らかな雰囲気で素敵!!

対するミケランジェロは、福井県立美術館でも見た
《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》

右利きのミケランジェロは、クロスハッチングと呼ばれる、
斜線を交差させる描き方で、あたかも「削り取るように」
描いていて、力強い感じがします。

新しいチラシ中面(クリックで拡大します)
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天井からは、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの
それぞれの言葉が書かれた垂れ幕が並んでいます。
レオナルド「画家は、まず優れた師匠の手になる素描を模写することに習熟しなければならない。」
ミケランジェロ「素描しなさい。アントニオ。素描しなさい。時間を無駄にしないで」

素描が主の展覧会ってジミじゃないかって心配してたんですけど、
こういった対の垂れ幕が展覧会の章を区切るように下がっていたり、
子ども向けの解説がとてもわかりやすくて良かったです!
(この展覧会、岐阜市内の小中学生は無料)

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《レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく聖アンナと聖母子》1501-1520年頃
(新しいチラシ裏面右上)
ルーブル美術館にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ《聖アンナと聖母子》を模写した絵
ルーブルでレオナルドの絵を見たことがある友人によると、一回り小さいし、
(レオナルドの絵が168×112cm、こちらが99×72cm)
背景も違うと。展示でも、横にレオナルドの絵の写真がありましたが、
私は荒涼とした背景のレオナルドの絵より、緑豊かなこの絵の背景の方が
好きだなぁ。(私はルーブルには行ったことがありませんが)何より、
足元の野イチゴとか、ボッティチェリの《春》の足元に描かれた花とかを
思い起こさせるじゃないですか!
そして、子ども向けの解説を読んで、あらためて見ると、
この絵って、聖母マリアがその母の聖アンナの膝に腰かけているんですね!
なんか不思議な構図だなぁって。だから、聖アンナがずいぶん大きいし‥‥
ウフィツィ美術館所蔵のこの絵、優れた模写なんでしょうね。
優雅で素敵だって見ました。

当時、彫刻と絵画のどちらがより優れた芸術であるかを論じ合う
「比較芸術論争」が行われていたそうで、レオナルドとミケランジェロの見解が
それぞれ垂れ幕になっていました。

平らなものを立体に見せるという技量で、
彫刻より絵画が優れているというレオナルドに対して、
彫刻家であるミケランジェロは、絵画を劣っているとはみていなかったよう。

興味深かったのが、ミケランジェロ《イサクの犠牲》のための習作
イサクの頭の向きなど、いくつか描き直したり、裏面からも描いたり
しているのが、両面から見ることができる展示になっていました。
ミケランジェロのような大巨匠でも、裏面からなぞって描き直したり
しているんだ!って、ちょっと親近感がわいちゃいました。

第4章の 馬と建築 では、
それぞれが描いた馬の素描が出ていましたが、
レオナルドが描いた馬の前脚や後脚がすごい!!
筋肉の付き方など、ものすごく研究しているんだなって。

対するミケランジェロの馬の素描は、もちろんすごいけど、
レオナルドに比べると、それほどの情熱は感じられません。

そして「レダと白鳥」に見る2人の対比
どちらも「レダと白鳥」のテーマで絵を描いているが、それらは失われて、
追随者による模倣によつてオリジナルがしのばれる状況だそう。

《レオナルド・ダ・ヴィンチに基づくレダと白鳥》1505-1510年頃
レオナルドが生きた時代に描かれたもので、弟子の筆頭としてあげられる
メルツィの作品の可能性があるってことですが‥‥うーん、
なんか私はあまり好きじゃないなぁって。なんか気味が悪い‥‥
白鳥というより黒鳥が嫌らしい目をしているしー

《ミケランジェロに基づくレダと白鳥》1575年頃
は、オリジナルの下絵に基づいて、
後代の画家・フランチェスコ・ブリーナ(帰属)によって制作されたもの
福井県立美術館でも出てたんですが、その時も
えー? ミケランジェロの偉大さがこの絵ではわからないんじゃない??
って思ったんですけど。

展覧会の最後の部屋にドーーンってあるのが、
ミケランジェロ・ブオナローティ
(未完成作品、17世紀の彫刻家の手で完成)
《十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)》
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なんと撮影可!!なんですよ!!!
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撮影もさせてくれるし、あまりに白くて美しいので、かえって
風格がないようにも感じてしまうんですが、
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この彫刻は、ミケランジェロが1514年に制作を始めたけど、
顔の部分に黒い疵が現れたために制作途中で放棄されてしまったんだそう。
で、長く行方不明だったけど、2000年になって、ローマ郊外の小都市
バッサーノ・ロマーノにある修道院に納められていたこのキリスト像が、
ミケランジェロによって手がけられた作品であったことが明らかとなったと。
日本初公開だそう!!

この像を制作放棄した後に、注文主の催促を受けて、新たな大理石で
制作したのが、現在ローマのサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会にある
《キリスト》1921年 像とのこと。

wikipediaに画像がありました。なるほど、よく似ています。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4e/Michelangelo-Christ.jpg

それから関連イベント
ラ・コンパニア・デッレ・セッジョレ劇団(イタリア)による
対話劇「生涯のライバル レオナルドとミケランジェロ」を見ましたが、
長くなったので、そのことは次の記事で書きます。

誰でも知っているルネサンスの巨匠2人を比べられる展覧会!!
開館時間が午前9時から午後7時まで!!!
11月23日(木・祝)までの会期中無休!!!!

東京で見逃した人も、是非、観光がてら岐阜に来て鑑賞されてはいかがでしょう。
都会の展覧会のように混むことはないと思う(初日でこれですものね)ので、
素描も間近でゆっくり見られますよ。
もちろん近郊の方はこの機会をお見逃しなく!

あと、新聞社の方に言いたいですが、この展覧会、
主催の新聞社が岐阜新聞なんですよ。で、中日新聞には記事も出ない。
開幕の記事くらい掲載してもいいと思うんですけどー。

「レオナルド×ミケランジェロ」展覧会ウェブサイト:
http://www.gifu-np.co.jp/leomiche/

岐阜歴史博物館のウェブサイト:
http://www.rekihaku.gifu.gifu.jp/
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