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豊橋市美術博物館「ウィリアム・モリス」展 [美術]

(もう2週間も前のことですが、なかなか記事が書けなくて‥‥)
3月22日(木)豊橋市美術博物館まで行ってきました。
「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」
という展覧会が25日(日)までだったので。
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一応、大学でデザインを専攻(もう40年前ですが)したので、
現代デザイン論の授業で「モダンデザインの父」として
最初に習ったのがウィリアム・モリスでした。
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モリスのデザインしたテキスタイルや書籍は大好きで、
今までもモリス関連の展覧会は結構見てますし、
モリスの生涯の友人、バーン=ジョーンズの展覧会を
兵庫県立美術館まで見に行っちゃったこともあります。

兵庫県立美術館「バーン=ジョーンズ展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08

会期末が迫ってきて、モリスの展覧会は今までも結構見てるし、
あきらめようかなぁ‥‥とも思ったんですけど、
行っちゃいました。

豊橋市美術博物館のある豊橋公園の桜
3月22日(木)三分咲きくらいでした。
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豊橋市美術博物館へ行くのは3回目。最初は2011年7月3日(日)に
「カンヴァスに描かれた女性たち」展を見に行って、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-07-08

2回目は2016年5月17日(火)に「『描く!』マンガ展」を見に行ってます。
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-05-17

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この展覧会、「原風景でたどる‥‥」って副題がついていますが、
少年モリスが動物や草花に親しんだエピングの森、
中世の雰囲気が感じられるオクスフォード大学の由緒ある建物、
そして新婚のモリス夫妻が住んだ「レッド・ハウス」などが、
写真家・織作峰子氏の美しい写真で紹介されて、
イギリスのモリスゆかりの地を旅したような気分になれました。
もちろん、モリスデザインの壁紙やテキスタイル、そして、
「ケルムスコット・プレス」と呼ばれる書籍もたくさん展示されていて
嬉しかった。私、美しくデザインされたタイポグラフィーと
挿絵と植物文様が一体となったモリスの書籍が大好きなんです!

ホールをずっと奥へ進んだところにある受付で観覧料一般1,000円を払い、
最初の展示室では、いくつかの映像の展示と、奥の大きなスクリーンで
若きモリスの感性を育んだ場所が紹介されていました。

ウィリアム・モリスは、1834年ロンドン北東の郊外ウォルサムストウで生まれ
6歳になった1840年にウッドフォード・ホールに移り住みます。
その隣にあったのが王家の狩猟場として使われてきたエピングの森
豊かな自然の中で、モリスは動物や草花とのふれあいを楽しんだそう。
モリスの壁紙デザインには小鳥やウサギや草花がモチーフとして
使われていますが、そんな感性がこの豊かな自然の中で育まれたんですね。
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そして進学したオックスフォード大学で、
生涯の友・バーン=ジョーンズと出会うのですが、
中世の雰囲気を色濃く感じられる建物が素敵!!
(ハリー・ポッターの学校みたいだなーって見ました)
モリスたちの中世好き(?)にはたまらなかったろうなと。
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ラファエル前派の中心的存在だったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティのもとで、
バーン=ジョーンズとともに絵を習い始めたモリス。
ロセッティがオックスフォード・ユニオン(学生会館)の壁画制作の依頼を受け、
モリスたちもこの仕事に加わります。
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モリスはこの壁画制作で、ジェイン・バーデンと出会い、
結婚することになります。
彼女はロセッティが壁画制作のために採用したモデルでした。

1859年 モリスとジェインは結婚し、
1860年に「レッド・ハウス」に入居します。
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当時の四角い家に対して、赤煉瓦を使った革新的な家だったそう。

レッド・ハウスの内装はモリスと仲間たちの室内装飾の実験場となり、
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この共同制作の経験を通じて、
1861年にモリス・マーシャル・フォークナー商会が設立されました。

最後の展示室で、このレッド・ハウスの間取り図とともに、
各部屋の映像があり、レッド・ハウスを訪ねた気分になれました。

1871年、モリスはコッツウォルズ地方東部にあるケルムスコットで、
ロセッティと別荘の共同賃借を始めます。
この地方に特徴的な蜂蜜色のライムストーンで造られた別荘は
「ケルムスコット・マナー」と呼ばれ、
モリスは「地上の楽園」のようだと讃えたのですが、
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師と仰ぐロセッティと、妻ジェインとの三角関係に悩みます。
ロセッティの描く女性は多くがジェインの顔ですものね。
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チラシ表面の下に使われている部屋は、
ケルムスコット・マナーの《ホワイト・ルーム》だそう。

壁紙やテキスタイルなどは見たことがあるものも多かったですが、
やっぱり素敵だなぁと。図録も買ってしまいました。2,500円
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図録と無料の展覧会出品リスト

モリスのデザインをモチーフにしたスタンプを押すことができました。
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この展覧会、
2017年1月7日(土)~2月12日(日)に愛媛県美術館、
2017年2月25日(土)~3月26日(日) に福井市美術館、
2017年11月14日(火)~2018年1月8日(月・祝)に
奥田元宗・小由女美術館で開催され、
2018年2月12日(土)~3月25日(日)に
豊橋市美術博物館に巡回してきたようです。

ウィリアム・モリスの展覧会って結構やってるんですね。
「ウィリアム・モリス―デザインの軌跡」という展覧会が、
2018年4月21日(土)~7月16日(月)に、
アサヒビール大山崎山荘美術館で開催されるそうです。

私が見たウィリアム・モリスの展覧会
2004年7月17日~9月5日に岐阜県美術館で開催された
「ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ」展
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今回の図録と、「ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ」展の図録
この展覧会、2004年9月15日~10月3日に大丸ミュージアム・梅田
2004年10月7日~10月19日に大丸ミュージアム・東京 へと巡回しました。

2009年6月12日(金)~8月16日(日)に愛知県美術館で開催された
「生活と芸術―
 アーツ&クラフツ展
 ウィリアム・モリスから民芸まで」
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民芸運動の柳宗悦らが昭和初期に建てた「三国荘」の
再現展示もありました。(チラシ裏面右下)
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ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館との共同企画による
展覧会とのことで、愛知県美術館が入っている愛知芸術文化センターの
会報の表紙に使われているのは、
ヴィクトリア&アルバート美術館の「グリーン・ダイニングルーム」
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1866年、モリス・マーシャル・フォークナー商会が、
サウス・ケンジントン美術館(ヴィクトリア&アルバート美術館の当時の名称)から
世界初となる美術館内の食堂の装飾を委嘱されてデザインしたものだそう。

ついでに‥‥
大学の「現代デザイン論」の授業で使った教科書
勝見勝「現代デザイン入門」SD選書1

現代デザイン入門 (SD選書 1)

現代デザイン入門 (SD選書 1)

  • 作者: 勝見 勝
  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 1965/11/01
  • メディア: 単行本


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学生時代に買った本
「―アール・ヌーボーの源流―
 ウィリアム・モリスとその仲間たち」
岡田隆彦 編著 岩崎美術社
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ウィリアム・モリスとその仲間たち―アールヌーボーの源流 (双書美術の泉 34)

ウィリアム・モリスとその仲間たち―アールヌーボーの源流 (双書美術の泉 34)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩崎美術社
  • 発売日: 1978/03
  • メディア: 単行本



ケルムスコット・プレス チョーサー「カンタベリー物語」
挿絵がバーン=ジョーンズ、縁と字体のデザインがモリス
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デザインの参考にしたかったんですが‥‥とても手が出ませんでした。
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豊橋市美術博物館では、
魚町能面同好会による能面の展示などもありましたし、
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2階の常設展では、「室内でのひととき」というテーマで、
佐分眞《厨房》や鬼頭鍋三郎《午後》などが展示されていました。

三分~五分咲きの桜と、
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吉田城と
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豊川を見て帰りました。
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豊橋市美術博物館: http://www.toyohashi-bihaku.jp/

この展覧会の公式図録を元に書籍化した本

ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡

ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 求龍堂
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: 大型本



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