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岐阜県現代陶芸美術館「フィンランド陶芸」展 [美術]

1月13日(日)、多治見の岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「フィンランド陶芸
 芸術家たちのユートピア」展と、
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「マリメッコ・スピリッツ」展をやっています。
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昨年11月17日(土)からやっているこの展覧会、
私は岐阜県美術館の後援会員なので、岐阜県現代陶芸美術館の
展覧会も無料で見ることができるんです。
(岐阜県美術館は現在休館中で、その間は年会費を払っていない
―有効期限が延長されている―んですが、
岐阜県現代陶芸美術館の展覧会が無料で見られる特典は
有効とのことで、ちょっと申し訳ないですが嬉しいです。)

でも、フィンランド陶芸ねぇ‥‥なんてカンジで、
それほど見たいとも思わず、まぁ無料だし、そろそろ行こうか、
1月13日(日)14:00からギャラリートークがあるので、
どうせならその時間に‥‥なんてと思ってたんですが、
私のことなので、つい出かけるのが遅くなってしまい、
岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINOに着いたのが
14:10頃。駐車場がわりと混んでたのは、何か別のイベントを
やっている時にはよくあることなんですが、
岐阜県現代陶芸美術館がいつになく賑わっていて意外でした(失礼)
岐阜県美術館後援会会員証を提示して、チケットをもらい展覧会場へ。
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観覧料一般1,000円が無料!

少し先で学芸員の山口敦子さんの解説が聞こえていたので、
まずはそちらへ向かいました。


ギャラリートーク後に戻って見た
Chapter1 フィンランド陶芸の萌芽―ナショナル・ロマンティシズム

イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を受けた、
フィンランドの赤土で焼かれた器に
アール・ヌーヴォー様式の絵付けがされた、
アルフレッド・ウィリアム・フィンチ(1854-1930)の花瓶たち、
素朴な雰囲気でいいなって見ました。

この絵付け、暮にヤマザキマザック美術館で見た
「アール・ヌーヴォーの伝道師 浅井忠と近代デザイン」の
(とても私の好みで良かったんですが、感想書けておりません)
雰囲気に似ていて、やっぱりアール・ヌーヴォー好きだなぁと。


Chapter2 近隣諸国の影響を受けて―アール・デコ
(このあたりからギャラリートークを聞きながら鑑賞しました)

1917年、ロシアから独立したフィンランド
アール・デコ様式の陶磁器はスウェーデンの影響を受けていると

アラビア製陶所が、フィンランドの名窯だというのは、
岐阜県現代陶芸美術館などに通うようになって知りましたが、

Arabia 1873-

スウェーデンのロールストランド製陶所の子会社として、1873年に ヘルシンキのアラビア地区で創業し、初期にはロシア市場へ向けて 親会社のデザインを流用した陶磁器や衛生陶器を生産した。 1890年代より芸術家を招聘したことで、1900年前後には独自の デザインを生み出すようになる。(中略)1920年代から1930年代にかけて、 ヨーロッパ最大の規模にまで成長すると、芸術性の向上に対する気運が 高まりをみせ、1932年にクルト・エクホルムのもと美術部門が設立された。
同部門の作家たちには創作の自由が約束され、彼らの作品は 1937年のパリ万国博覧会を皮切りに広く知られていく。
(後略・図録より)

所属作家たちは、製陶所の提供する設備や材料の使用が可能で、 そのうえ給料も受け取っていた。このユートピアともいえる環境こそが フィンランド陶芸の特質を決定づけたのである。(図録より)

‥‥これが展覧会のサブタイトル「芸術家たちのユートピア」なんですね。
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ミハエル・シルキン(1900-1962)も、クルト・エクホルムによって
1936年にアラビア製陶所での制作を許可され、没するまで
美術部門に在籍して、プロダクト製作にも従事したそう。
動物をモチーフにした彫像がいくつか展示されていましたが、
とても素敵!!

チラシにも使われている《梟》や、
猫好きとしてはたまらない《猫》、うさぎ好きの友人に見せたい《兎》
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(図録より)
轆轤(ろくろ)を使って成形されているそうで、その丸い形がとてもいい!!

対して轆轤を使っていない《熊》や《オオヤマネコ》の
いかにもこの動物って重量感もいいし、

丸い膨らみの中から顔をのぞかせている《狐》の愛らしさ!

チケットに使われている《駱駝》の頭部のリアル(に見える)さ!
彼は陶芸の専門教育を受けてないので、かえって造形的に自由なことが
できたのではないかとのことでした。

《若い女性と悪魔》も好きだなぁ!


Chapter3 フィンランド陶芸の確立―オーガニック・モダニズム

トイニ・ムオナ(1904-1987) の、細く伸びた《筒花瓶》たちの
シャープな形が素敵だなと見ました。

キュッリッキ・サルメンハーラ(1915-1981)
チラシにも使われている《壺》とかの、整っているんだけど、
なんとも言えない独特で不思議なフォルム、いいなぁ!

アウネ・シーメス(1909-1964)
光を透過する磁器の特性を活かして、厚みの違いで模様が
浮かび上がる繊細なカップやボウルが素敵でした。

フリードル・ホルツァー=シャルバリ(1905-1993)
《ライス・ポーセリン》‥‥中国で発達した「蛍手」の技法を
研究して、アラビア製陶所で量産化できるようにしたそう。


Chapter4 フィンランド陶芸の展開―ビクトリアリズム

陶芸の技術とかあまりわからない私には、
やっぱりここが一番ユニークでインパクトありました。

ビルゲル・カイピアイネン(1915-1988)
チラシ表面に使われている《飾皿(テーブルのある部屋)》とかは、
ちょっとゴテゴテしてて、うーーん?って感じてたんですよ。
展覧会場でも、彫像《フラワーツリー》はちょっとグロテスクな
印象で、インパクトはあるんだけど‥‥って感じたんですが、
陶製のビーズをつないで作られた《ビーズバード》は
面白いなぁ!!って。時計のモチーフは、鳥は体内に正確な時計を
持っているからとか。すべて3時を指しているのも面白い。
私が気に入ったのが彫像《天使》
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妻と母を亡くした翌年に作られたとかで、ガラスなども使われて、
とても素敵でした。

そして、ルート・ブリュック(1916-1999) の陶板がとても素敵!!!

陶板ならではの、釉薬のガラスのような深い色と艶!!
輪郭線が盛り上がっていたり、削られていたりと質感も素敵。

特にこの展覧会の目玉《陶板「聖体祭」》は圧巻!!
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ホールに設置された記念撮影パネル

この作品が気に入って、ショップでクリアファイル400円も
買ってしまいました。
図録は2,300円(書店で買うと、プラス税金)
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ルート・ブリュック、初めて知ったって思ってたけど、
去年春に、岐阜県現代陶芸美術館「コレクション×キュレーター」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-04-13
に来た時、最初の新収蔵品の展示で、
ルート・ブルック(と出品リストには表記されていた)の
陶板付きデスクや、鉢などがあったんですね!!

素朴な詩情を感じる作風だなぁくらいにしか見てなかったんですが。

ルート・ブリュックの展覧会が2020年春に、ここ
岐阜県現代陶芸美術館に巡回してくるそうで、とても楽しみです!


Chapter5 プロダクト・デザイン―フィンランドと日本

フィンランドの陶器というと、シンプルでモダンな食器など、
シャープなプロダクト・デザインのイメージですね。

感想が書けてませんが、
2017年の愛知県美術館の「フィンランド・デザイン」展
鑑賞ガイドの表紙に使われていたのが
カイ・フランク《ティーマ》シリーズ
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この基になったのが1953年にカイ・フランクがデザインした
《キルタ》シリーズなんですね。

白に青いラインが入っただけの
いかにもモダンデザインって《シニヴァルコ》
(フィンランド国旗の色でもある“青と白”という意味だそう)
デザイン: クルト・エクホルム
あまりに革新的であったので、売り上げには結びつかなかったとか。

果物などが描かれて“楽園”という意味の《パラティッシ》は、
あの《ビーズバード》のカイピアイネンがデザインしてるんですね!
皿が、手間がかかる楕円形になっているのがカイピアイネンのこだわりだとか。

このあたりのプロダクト製品は岐阜県現代陶芸美術館の所蔵品でした。

Chapter4までのほとんどはフィンランド東部の
ムロンニエミに住むコレクター、キュオスティ・カッコネン氏の
「コレクション・カッコネン」所蔵


この展覧会、ギャラリートークがあったせいもあるんでしょうが、
岐阜県現代陶芸美術館では今までにないような鑑賞者の多さ、
それも子ども連れの若いカップルとかも多くて、ちょっと驚きました。
ギャラリーⅡで開催されている「マリメッコ・スピリッツ」展の
せいもあるんでしょうが。

近年は北欧のデザインが人気みたいですね。
ジェイアール名古屋タカシマヤで開催される北欧展は
すごい人出だそうですし。

昨年6月に開催された岐阜県現代陶芸美術館「デンマーク・デザイン」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-07-02

岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/


この「フィンランド陶芸」展、
茨城県陶芸美術館: 2018年4月21日(土)~7月1日(日)
目黒区美術館: 2018年7月14日(土)~9月6日(木)
と巡回してきて、
岐阜県現代陶芸美術館:2018年11月17日(土)~2019年2月24日(日)
その後、
山口県立萩美術館・浦上記念館:2019年4月20日(土)~6月30日(日)
大阪市立東洋陶磁美術館:2019年7月13日(土)~10月14日(日)
へ巡回するそうです。
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sknys

寒い季節には北欧美術が身に沁みます。
同じ時季の開催された〈ムンク展〉(国立西洋美術館 2007-08)
の館内は異常に寒かった。

トビカン前にウネウネと続く大長蛇の列‥‥「ムンク展」は90分待ち!
一通り見て回ってエレヴェータでエントランスに戻ると、
行列は途切れることなく、開館時間も30分延長されていました^^;
by sknys (2019-01-27 20:12) 

しーちゃん

sknys さん、コメントありがとうございます。北欧美術ってそんなに人気なんですね! 今まで知らなかったですが、この展覧会良かったです。しかし、美術展に行列ができるってのが、岐阜あたりに住んでいると信じられないんですよ。この岐阜県現代陶芸美術館の展覧会、いつになく混んでいたって書いてますけど、普段、展示室独り占め状態に近い環境で鑑賞しているものですから‥‥フィンランド陶芸の好きな方、ぜひ岐阜県現代陶芸美術館へ! じっくりゆっくり見られますよ!!
by しーちゃん (2019-01-28 13:57) 

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