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岐阜県現代陶芸美術館「古典復興からの展開」展 [美術]

7月2日(火)、岐阜県現代陶芸美術館へ行ってきました。

「コレクション展 明治150年記念2
 近現代の美濃陶芸
 古典復興からの展開」
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3月9日(土)から始まったこの展覧会、
7月21日(日)までということで、そろそろ行かなくてはと
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私は岐阜県美術館の後援会員なので、
岐阜県現代陶芸美術館の企画展も一度ずつ見ることができるんです。

‥‥まぁ、こういう陶芸の王道(?)っぽい作品って、
私にはその価値がよくわからないところがあるんですけど。

できればギャラリートークをやってくれる日曜に行きたかったんですが、
夏は息子がバイトで車を使うので(岐阜県現代陶芸美術館へは車がないと不便)
車が使えて、パートが休みだったこの日に行きました。

私のことなので、出かけたのは2時を過ぎていましたが、
ここは6時までやっててくれるので、私のような者にはありがたいです。

3時半頃に到着。ここは日曜でもそんなに混んでない
(セラミックパークMINOのイベントがある日を除いて)んですが、
平日のせいか、さらに閑散としておりまして
‥‥館内独り占め状態だった?
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受付で、岐阜県美術館の後援会員証を見せて、チケットをもらい、
古典復興からの展開」をやっているギャラリーⅠへ。

Ⅰ 明治生まれの陶芸家たち1 美濃桃山陶の復興
荒川 豊蔵(1894-1985)の展示から始まります。

チラシ表面の一番上に使われているのが
荒川 豊蔵《絵志野茶碗》1965年

今回の展覧会、ほとんどが岐阜県現代陶芸美術館の所蔵作品
(多治見市文化財保護センターや土岐市美濃陶磁歴史館などから
借りたものもありますが)
ところどころに持ち帰れる鑑賞カードも置かれています。

荒川 豊蔵《志野水指》昭和10年代半ば
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昭和5年(1930年)、美濃(岐阜県大萱)での志野陶片発見によって、 志野などの桃山陶が瀬戸で焼かれたという通説をくつがえした 荒川豊蔵は、自ら志野、瀬戸黒、黄瀬戸などの復元に挑みます。 豊蔵は桃山の古窯を発見した大萱の地に窯を築き、桃山陶復興への 並々ならぬ決意を示したのです。こうして昭和30年に、 豊蔵は志野と瀬戸黒の技術によって重要無形文化財保持者(いわゆる 人間国宝)に認定されることになります。(以下略・裏面の解説より)

続いて、
林 景正(1891-1988)
加藤 十右衛門(1894-1974)、
加藤 景秋(1899-1972) の作品が展示され、

荒川豊蔵の周辺 として、 と
「からひね会」の
川喜田 半泥子(1878-1981)
三輪 休和(1895-1981)
金重 陶陽(1896-1967)

「水月窯」の
荒川 豊蔵
荒川 武夫(1913-2012)

Ⅱ 明治生まれの陶芸家たち2 中国・日本の古典に学んで

五代 加藤 幸兵衛(1893-1982)
チラシ表面の上から2番目、キラキラの壺がこの人の作品
《萌黄金彩水指》1960年以降


加藤 土師萌(1900-1968)《黄地紅彩蜂葡萄文角皿》1954年頃
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鑑賞カードの解説によると、
加藤土師萌は色絵、金襴手、辰砂、影青(いんちん)、織部、均窯、古瀬戸、釉裏金彩など あらゆる技法を習得し、幅広い政策制作を行った作家です。
中国や日本の古い陶磁器、陶片等を参考にして、
黄地紅彩や萌葱金襴手などの技法を解明し、高い評価を得ます。
黄地紅彩は大変難しく、既に絶えた技法とされていましたが、土師萌は長年の研究によりこの技法を完成させました。
そうかー、そんなに難しい技法なんですね。知識のない私としては、
今まであまり価値がわかってなかったなぁ!

昨年秋に岐阜県現代陶芸美術館で開催された
「加藤土師萌展」(感想が書けておりませんが)
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晩年、皇居新宮殿におさめる萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺の制作に没頭し、 完成間近の1968年に他界しました。」(加藤土師萌展チラシより)
試作品のように(?)制作された壺、
金彩のキラキラ文様と萌葱色の深い色の壺が本当にきれいでした。
また、海外を訪れた際の街並みや陶磁器を描いたスケッチなども展示されて
幅広い創作活動をされた方なんだなと。
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富本憲吉と小山冨士夫
加藤土師萌と並ぶ色絵磁器の陶芸家として、
富本 憲吉(1886-1963)《色絵金銀彩四弁花模様飾壺》1960年
岐阜県現代陶芸美術館が誇る名品で、すごく高価なものだと聞いてます。
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金銀の華やかな模様がついた壺はもちろん素敵だけど
私は白のシンプルな《白磁大壺》1941年 も好きだなぁ。

そして、小山冨士夫(1900-1975) の作品も展示されていました。


Ⅲ 大正生まれの陶芸家たち 東洋の古典に学んで

塚本 快示(1912-1990)《白瓷輪花鉢》1977-80年頃(チラシ裏面2番目)
塚本快示は、その目標とした中国唐時代の邢州窯(けいしゅうよう)や北宋時代の 定窯の白磁、北宋時代に景徳鎮窯で産した青白磁に迫る技術で 作品の制作に取り組みました


加藤 卓男(1917-2005)《藍彩四方花器》1993年(チラシ裏面3番目)
1983年、ラスター彩、青釉、三彩の技術により岐阜県重要無形文化財技術保持者に認定
1995年、三彩の技術により重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定


Ⅳ 昭和前半生まれの陶芸家たち 美濃の伝統と陶芸家の個性

若尾 利貞(1933- )《鼠志野俎皿》2003年(チラシ裏面下左)
私、この方の名前知らなかったんですが、
琳派風の装飾がされた作品たち、気に入りました。

鈴木 藏(1934- )《志野大皿》2004年(チラシ表面一番下)
《志野茶碗》2002年
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加藤 孝造(1935- )《瀬戸黒茶碗》2002年(チラシ表面3番目)

安藤 日出武(1938- )《黄瀬戸大壷》2003年(チラシ裏面下右)

玉置 保夫(1941- )

林 正太郎(1947- )

ギャラリーⅠ 最後の部屋は、
受贈記念 コレクション展
 加藤孝造 作品展示

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平成28年度に加藤孝造氏より寄贈された同氏の作品を展示
写真撮影可!! でした。
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《赤絵輪連文壺》1958年頃
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《志野白帯文壺》1962年頃
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《志野花入》《志野茶盌》《鼡志野茶盌》
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《志野大鉢》1990年頃
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《唐津茶盌》《瀬戸黒茶盌》《瀬戸黒茶盌》
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《黄瀬戸壺》《黄瀬戸花入》《黄瀬戸茶盌》
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「黄瀬戸」っても、ずいぶん印象違いますね。
この壺と花入の形気に入りました。
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《鉄釉壷》1967年頃
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今回の展示、「コレクション展 明治150年記念“2”」
ってことなので、“1”って見たっけ? と思ったら、
昨年6月に見た「デンマーク・デザイン」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-07-02

の時に、ギャラリーⅡ D室にて展示されていました。

「近代の美濃陶芸1
 明治期の革新」
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西浦焼の大きな壺とかあったっけ!


ギャラリーⅡでは、
受贈記念 コレクション展
 熊倉順吉展
」が開催されていました。
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熊倉順吉(1920-1985)
京都に生れ、前衛陶芸のパイオニアとして活躍した陶芸家
一時モダンアート協会に属し、また1957年からは走泥社同人となって活動するなど、
早くから前衛陶芸の旗手として知られる陶芸家です。

今回展示されていたコレクションの多くが、
「稲塚コレクション」
京都の歯科医であった故稲塚英樹氏は、縁戚関係にあった熊倉順吉の制作活動を 長く支援してきました。

結婚の引き出物を注文したことが親交のきっかけだったそうで、
食器や花器については、箱に「お中元」「御歳暮」の熨斗紙の
かかるものもあったり、
小さな手や足の作品には稲塚氏の子供の手足から形をとったものがあるそう。
家族を含めた親しい関係がわかります。

今までもここで、熊倉順吉《ジャズの城》1977年 とかの
作品を見たことがあって、なんか面白い作品を作る人だなって
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今回、多くの作品を見ることができて、《ジャズの城》みたいな
オブジェっぽいのももちろん面白いけど、

歯医者さんにウケそう(?)な歯が並んでいる灰皿(?)とか、

《海鼠釉長靴》1968年、《ブーツのような花生》1971年
なんか、見てて笑っちゃうようなユーモアがあっていいし、

日常に使える茶器やお皿の、釉薬がたっぷりかかった
ぽってりとした形がすごくいいなと。

岐阜県現代陶芸美術館「1964」展 の時、
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28

ギャラリーⅡでやっていた「お茶の時間」で、
熊倉順吉《深海緑コーヒーセット》がすごく気に入ったのを覚えてます。

受付に言うと、熊倉順吉展のリーフレットがもらえました。
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ギャラリーⅡ B室では、熊倉順吉と同じく走泥社で活躍した
八木一夫、鈴木治、山田光の作品が展示されていました。

走泥社の鈴木治(1926-2001)と、美濃陶芸・志野の鈴木藏、
名前の漢字は違うけど、紛らわしいなぁ。

鈴木治《天馬横轉》1973年
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無料で見せてもらってるのに、鑑賞カードやリーフレットなども
もらって、なんだか申し訳ないような。
(でもこの展覧会、コレクション展なので、観覧料330円という安さ!)
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もっと見に来る人があってもいいんですけどねぇ。
まだ明るかったので、写真撮ってきました。(今までも結構撮ってますが)
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磯崎新(いそざき あらた)氏設計のカッコイイ建物です。
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これらは、手入れがされてないプランターではなく、
鯉江 良二《雨/土 ⇆ 陶》という「土に還る」シリーズから発展した作品
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ネジバナが咲いていました。
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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/
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