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東京ステーションギャラリー「メスキータ」展 [美術]

8月6日(火)、東京ステーションギャラリーの
「メスキータ」展を見てきました。
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ダンナの仕事の関係で、東京・渋谷へ行く用事があったので、
そのついでに、この展覧会見てこようって計画したんです。

「メスキータ」という版画家のことは、
この展覧会が開かれるまで全く知りませんでした。
雑誌「美術の窓」で2019年の展覧会をチェックしてた時も、
キャッチイメージ(?)に使われているこのチラシの絵を見て、
なんだか恐そうな絵だなぁってくらいの印象だったんです。

でも、5月19日朝の日曜美術館「エッシャー 無限性の彼方へ」で、
エッシャーの師として紹介されていて、白と黒の画面の
インパクトと、ナチスによってアウシュビッツで亡くなり、
アトリエに残された作品をエッシャーたちが決死の思い―
ナチスに知られれば命の保証はない―で持ち出して、
守り抜いたということを知って、興味がわきました。
そして、展覧会開幕以降、ツイッター等で流れてくる
良い評判もあって見てみたいと思ったんです。

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サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は、 19世紀末から20世紀初頭のオランダで活躍した画家、版画家、 デザイナーで、この時代のオランダにおける最も重要な グラフィック・アーティストの1人と言われます。
彼は美術学校で多くの学生を指導しましたが、そのうちの1人である M.C.エッシャーは大きな影響をうけ、生涯メスキータを敬愛して止みませんでした。

(チラシ裏面より)

メスキータ展のチラシ、東京ステーションギャラリーに行って
初めて手に入れたんですが、絵柄の違う4種類があったので、
図々しいとは思いつつ、全て持ち帰らせていただきました。
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モノクロの版画と力強い文字がインパクトあります!
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そして、4種類のチラシ裏面に載っている作品が違うんですね!!
(共通して使われている作品もありますが)
カラーの作品も入れているところなんかも洒落てます!

東京ステーションギャラリーに行くのは初めてで、
どこに入口があるのか、ウロウロしてしまいました。

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辰野金吾の設計により1914(大正3)年に建てられた東京駅丸の内駅舎
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歴史を感じさせる重厚な建物です。

凝った装飾が施されたドーム天井(南ドームで撮りました)
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北ドームに入口があります。
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券売機でチケット(一般1,100円)を買い、
エレベーターで3階展示室へ。

第1章 メスキータ紹介
自画像や息子をモデルにした作品などが展示されていました。
私がなんだかコワイ‥‥って見たチラシの男性の顔、
息子のヤープの肖像なんですね。1922年制作
《マントを着たヤープ》は1913年、
幼い頃の息子をモデルにした水彩画は1912年の制作と、
幼い頃から成人後まで作品があります。

頭蓋骨と向き合う自画像《メメント・モリ》1926年
彫った線で老いた男の顔が表現されていて、
頭蓋骨に向き合うあきらめのような表情、この作品いいなぁ!!
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第2章 人物
輪郭線でなく、彫った線の太さや形で立体感を出していたり、
白と黒で単純化されたフォルムの強烈なインパクトが面白い。

なんか素朴なところが魅力というか、
自分で彫って刷ってたんだなって。
彫っていく間の試行錯誤の跡がわかる展示もあって興味深かった。
この展覧会で、版画の「ステート」という言葉を知りました。
《ユリ》1916-17年 という作品では、全5ステートのうち、
第1ステート(左ページ)
第2ステート(右ページ上)
第3ステート(右ページ下)が展示されていました。
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早いステートにある彫刻刀の試し彫りの跡とかも興味深かった。

木版画では彫ってしまったら元に戻すことは難しいので、
ステートが進んで完成作となったものが一番いいとは限らないんですよね。
(見る側の好みもありますけど)
このチラシに使われている《鹿》1925年 は、
全10ステートのうち第4ステートなんですが、
ステートが進むと背景が整理されすぎちゃって、
シンプルになりすぎちゃってるなーって感じました。
(第9ステートと第10ステートが展示されていました)
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3階の展示室を出て、2階の展示室に向かう階段が素敵!!

小窓のステンドグラスとシャンデリアが素敵!!
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2階の展示室は歴史を感じさせる煉瓦の壁に作品が掛けられています。


第3章 自然
アムステルダムのアルティス動物園に取材した熱帯の植物や
エキゾチックな動物などが単純化、デザイン化されていて、
アール・デコっぽい?

京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-02-23
で見た木版画とか、

日本の田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎が1914~15年に出版した
冊子『月映』の木版画の雰囲気にも似ているなって感じました。
愛知県美術館「月映」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-06-08


第5章 ウェンディンゲン
展示室の中央に、メスキータが表紙を描いた
雑誌『ウェンディンゲン』が展示されていました。

「建築と友好」協会が発行する雑誌で、同協会には
建築家のみならず画家、彫刻家なども会員となっていて、
メスキータは1902年以来、協会の会員として活動し、

建築、絵画、彫刻、演劇、東洋美術なども取り上げた
雑誌『ウェンディンゲン』の表紙を
計9回(うち3回は同じデザインの色違い)デザインして、
そのうち第7巻1号(1925年5月)と第12巻1号は、
メスキータの特集だったそう。


展示の章が前後してたけど、
第4章 空想 では、
メスキータが無意識的に描いたというドローイングや、
1915年に印刷された『10点のリトグラフ集』や、
1918年に出版されたエッチング集
『グロテスクなイマジネーション』1910-17
の絵が展示されていました。
なんだか不思議な、タイトルどおりグロテスクな人々の絵で、
皮肉っぽいような? 正直木版画ほど好きにはなれなかったけど。

最後のコーナーのみ撮影可
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ドームの2階回廊を通って、ショップへ行きます。
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回廊には、辰野金吾が設計した創建当時の東京駅の模型や、
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戦災で南北ドームや3階が消失し、戦後の復興工事で、
2階建て、南北ドームの屋根は八角屋根に変更され、
1947(昭和22)年3月に竣工。
この姿で2007(平成19)年までの60年間使い続けられたそう。
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あ、私にはこの建物の方が「東京駅」ってイメージ!

1964年の東京駅周辺のジオラマ
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この前年まで、都市景観の保護のため建物の高さが
百尺(33メートル)以下に規制されていたが

規制が撤廃されて、超高層ビルが立ち並ぶようになり、
2014年にはこのように
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ドームの装飾に使われている干支のレリーフ(レプリカ)が
展示されていました。
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図録が3,080円でちょっと迷ったけど、買っちゃいました。
黒い紗(?)の生地を貼った表紙が版画っぽく(?)て、手触りも面白い。
(表紙がもうちょっとしっかりしてるといいなぁ。反り返ってきちゃうので)
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クリアホルダーも1種類購入。486円
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「メスキータ」展、
東京ステーションギャラリーで2019年6月29日(土)~8月18日(日)
に開催された後、

佐倉市立美術館で2020年1月25日(土)~3月22日(日)
西宮市大谷記念美術館で2020年4月4日(土)~6月14日(日)
宇都宮美術館で2020年7月5日(土)~8月30日(日)(予定)
いわき市立美術館で2020年9月12日(土)~10月25日(日)
と、巡回するそうです。

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展覧会を見終わった後、日本橋三越本店へ行きました。
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今年2月に見た
碧南市藤井達吉現代美術館「佐藤玄々(朝山)展」で知った
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-03-19
佐藤玄々の代表作《天女(まごころ)像》を見てみたいと思ってたからです。
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ドハデで巨大な彫刻だけど、巨大な中央ホールの中に立っていると、
それほどの大きさや派手さをを感じないというか、
彫刻も確かにすごいけど、この5階まで吹き抜けの中央ホールに
圧倒されました。
内装に使われた大理石にアンモナイトの化石が見えるのもすごい!

閉店時間が迫っていたので、地下の食品売り場で、2割引きに
なっていたお弁当を購入。新幹線の中で食べようと。
(ついでに東京のお土産も買おうかと思ったけど、ここは
高いものしかなかったので、東京駅の土産物店で買った)

日本橋
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翼のある麒麟像
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日本橋高島屋のディスプレイ カッコイイ!
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