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あいちトリエンナーレ2019(2) 愛知芸術文化センター10階 [美術]

あいちトリエンナーレ2019が開幕したのが8月1日(木)

開幕早々、企画展の一つである
「表現の不自由展・その後」が炎上、3日(土)限りで、
中止となったことは前記事に書きました。
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28

私は、初めての日曜となる4日に、愛知芸術文化センター会場を見に行きました。
今回も愛知県美術館友の会からパスポートが送られて来ましたし、
初回から見てるので、今回も楽しみにしていたんです。

慰安婦を象徴するとされる《平和の少女像》は見たかったけど、
前日は、街宣車が来てたり、会場で騒ぐ人もいたそうなので、
特に大きな混乱もない中で鑑賞できてよかったかも。
(結構混んでましたが)

今回もトリエンナーレのレポートをブログに書くのを楽しみに、
写真いっぱい撮ってきました。

8月4日(日)だけでは見終わらなかったので、
愛知芸術文化センター会場だけでも
18日(日)、そして8月27日(火)には
愛知県美術館友の会の鑑賞会に行ってます。
(ただ、参加者も多くて、説明の声が聴きとりづらかった(T.T)
 近年、聴覚の衰えは健康診断でも指摘されてるんですよ)

なので、違う日の写真が混在します。
ネタバレになるので、これから見に行こうとお考えの方はご注意ください。



まず、地下鉄「栄」駅からオアシス21からの連絡通路を通って行った
地下2階にあるのが
【A35】ピア・カミル《ステージの幕》

音楽バンドのTシャツを縫い合わせて作られた巨大な幕が
吹き抜けに吊り下げられています。
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私は音楽バンドよく知らないのですが、
このマーク(?)くらいはわかります!
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布の中にスピーカーも設置されています。

8月18日(日)撮影 日曜ということもあり、
子供連れの鑑賞者も多いです。
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Tシャツは大量生産や市場経済などを象徴する一方で、 音楽ファンのアイデンティティを示したり、 ファン同士の交流アイテムとして用いられます。
(あいちトリエンナーレ公式ウエブサイトより)

これらのTシャツは、作家が物々交換で手に入れたものだそう。

8月27日(火)に行くと「表現の不自由展・その後」の中止に抗議して、
スピーカーから流れていた音楽が停止され、
幕が一部まくり上げられていました。
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エレベーターで10階へ。扉もトリエンナーレ仕様になってます。
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愛知県美術館のロビーにあるのが
【A02】エキソニモ《The Kiss》
巨大なスマホ(に見えるモニター)に映る二人がキスしてるみたい。
小学生の男の子あたりが喜んで、はやしたてそうだけど、
モニターに映る人々はただ目を閉じているだけなんですよね。
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27日の鑑賞会の説明で、この巨大な手は特大の3Dプリンターで
出力されたもので、この大きさを出力できる3Dプリンターは
まだ少なくて、コストも高い。よく見ると、つなぎ目のような
段差もあって、将来この作品を見ると、2019年の技術レベルは
この程度だったのかって言われるかもしれないと。
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そして、このスマホ(に見えるモニター)実はくっついてないんですよと。
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展示室へ入ると最初の部屋が
【A03】アマンダ・マルティネス《欲望の構造》2019-8-4-(7).jpg

‥‥正直、これをどう見ていいのか、よくわからなくて、
なんだかジミだなぁ~って印象。
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【A04】レジーナ・ホセ・ガリンド《LA FIESTA #latinosinjapan》

名古屋の街のビルに外国人が集まってきて、
パーティをしている様子が映っています。

「Latinos in Japan(日本のラテン系アメリカ人たち)」という
看板が掲げられていて、ラテンのルーツを持つ作家が主催した
名古屋在住のラテンのルーツを持つ外国人労働者に呼びかけた
パーティだそう。

‥‥ふーん。NHKのドキュメンタリーみたいだなーなんて
映像作品があまり好きじゃない私は適当に見て次へ進んだんですが、

27日に行くと、「表現の不自由展・その後」の中止に抗議して、
映像の上映は中止され、撮影時に使用した小道具が散乱していました。
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ジェンダーや人種による差別など、社会的権力構造のなかに存在する人権侵害をテーマに扱う
作家のレジーナ・ホセ・ガリンドさんらしい抗議の展示だなって思いました。


【A05】アンナ・ヴィット《60分間の笑顔》
フォーマルなスーツを着た人々が笑顔で立っている姿が見えます。彼らは同じ姿勢、同じ笑顔のまま、60分間私たちのほうを見つめています。
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最初、タイトルも知らずに映像を見て、なんだか居心地が悪いな‥‥と。
各国の首脳が集まった会議の写真でこんな笑顔を見るような気がする。


【A06】ウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》

最初、この作品を写真で見て、これはパフォーマンス? って思っちゃった。
ホンモノの人がピエロの衣装を着て、今にも動き出しそうなところ‥‥って。
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これらの45体のピエロの彫刻は、人が24時間で繰り返し行っている家の中での
孤独な振る舞いを示しているそうで、それぞれに名前がつけられているそう。
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佇む/呼吸する/寝る/夢見る/目覚める/起き上がる/座る/聞く/見る/考える/立つ/歩く /おしっこする/シャワーを浴びる/着る/飲む/おならする/うんちする/読む/笑う /料理する/嗅ぐ/味わう/食べる/掃除する/書く/空想する/ 思い出す/泣く/居眠りする/感動する/感じる/うめく/楽しむ/浮かぶ/愛する/ 望む/願う/歌う/踊る/落ちる/罵る/あくびする/脱ぐ/嘘をつく
このピエロはどれなのか? って考えながら見るのもいいけど、
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とにかくこの部屋は楽しい!
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ピエロの横で同じポーズをして写真を撮っている家族連れや友人などがたくさんいます。
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しかし、今にも動き出しそう!
ピエロの恰好をした人が紛れていても気づかないかも。
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学芸員さんも「閉館後の点検に来るとコワイです」と(笑)
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【A07】クラウディア・マルティネス・ガライ
《・・・でも、あなたは私のものと一緒にいられる・・・》


小さなオブジェが並んだ展示‥‥うーん、正直これをどう見たらいいのか??
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そして、4日に行った時は奥の部屋の映像が見れましたが、こちらも
なんだか茫洋とした風景のような画面(解説によると陶器の表面の大写しだと)に、
昔殺された人物のモノローグが重なっていて、
なんだかコワイなぁ‥‥くらいの印象でした。
クラウディア・マルティネス・ガライはペルーの歴史に関連した社会・政治的問題に
関心を寄せて制作活動を行っている作家だそう。

ペルーは、文明の繁栄と滅亡が繰り返され、さらに海外からの征服者たちによって国境が何度も描き替えられた歴史を持ちます。
そんな戦争や植民地に関心を寄せている方ですから、
今回の「表現の不自由展・その後」の中止には当然抗議をされるでしょうね。

27日には映像作品の上映は中止、前の展示室は照明が落とされていました。


【A08】永田康祐
「Function Composition」
「Semantic Segmentation」
Translation Zone


実は4日に来た時は、これらの写真、よくわからなかったんですよね。
映像もチャーハンとか料理を作っているところだし‥‥
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27日に解説を聞いて、やっと少し理解したというか。

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これは、野菜やガラスポットを写した写真に見えるけど、よく見たら、
不自然なところで切れているし、パソコンのモニタらしき表示も見える
実物とモニタを重ねて、それをまた写真に撮ったりしているそう。
(写真が背景の映り込みで見にくくてスミマセン)
「Function Composition」とは? ってネットで調べたら、
数学において写像あるいは函数の合成(ごうせい、英: composition)とは、ある写像を施した結果に再び別の写像を施すことである。」だそう。

「Semantic Segmentation」とは、コンピュータが画像をそれが何かを認識すること
(スミマセン私よくわからないのでこれで合ってるかどうか?)だそうで、
左側の写真の下に「TABLES AND PLANT」と書いてあって、写真には数字があります。
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「PLANT」と認識した確率が92.4%
「TABLE」と認識した確率が、左のテーブルでは83.2%、右では87.6%なんだそう。

映像は、翻訳の問題を扱っていて、例えばある国の料理に使う食材を
翻訳しても、少しずつ違ってくるよね、と。


【A09】石場文子「2と3、もしくはそれ以外(わたしと彼女)」

4日に見た時は、いかにも若者の部屋wwってカンジで、
不自然さは感じつつも、この写真が何か?? みたいに通り過ぎてしまいましたが、
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解説を聞くと、この写真にモノの輪郭線のように写っている黒い線は、
作家があらかじめホンモノに黒で描いた線なんだそう。
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そういや、私たちは絵を描く時、何の疑問もなしに輪郭線を描きますけど、
実際には「輪郭線」なんて存在しないんですよね。

この3枚の写真の洗濯ばさみに吊るされているものは、
実際にはプリントアウトした紙なんだそう。
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【A10】村山悟郎《Decoy-walking》

これも、4日に来た時に??? ってカンジだった展示。
奥の空間に展示されているベルトコンベヤーの上を機械が歩いているのは
ほーって見てたけど。

これは「人間の歩き方の特徴をコンピューターによって認識する歩容認証という技術を応用した作品
なんだそう。って言われても私にはやっぱり???なんですけど。
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で、「周囲に置かれている三角形のミラーや銀紙は、レーダーを増幅または拡散して、索敵を欺くための軍事技術で、これらは総称してデコイと呼ばれています。
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27日の解説で、手前の空間に展示されていた多くの平面作品は、
スマートフォンで「顔認識」されるものなんだそう。
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これらの「変顔」とドローイング、顔認識されるものは+、
されないものには-がつけられているそう。
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私のiPhoneでも顔だと認識している様子
(画面の傷はスルーしてくださいね(^^;>
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展示室4から5への通り抜けができないので、一度ロビーに出ます。
【A11】田中功起《抽象・家族》

広い展示室5を不自然に区切って、描きなぐったような抽象絵画(?)がや
写真が展示されていたり、ダイニングセットがあったり、
三か所で映像が流れていて、リビングのようなソファで
ゆったり見ることができたりします。
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両親のいずれかが海外のルーツを持ち、かつ日本に暮らす出演者たちの家族史や個人史が描かれ」ているそう。
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日本ではそういう人を「ハーフ」って呼んで、
なんとなく「外国人」みたいに扱いますよね。
たとえ彼らが日本国籍を持ってて、日本で育って日本語を話していても!
日本人は単一民族であるというような幻想があって、
みんなと一緒がいい、みたいな同調圧力も強いので、
彼らが語る子供の頃の差別的な扱いとか、移民や難民の受け入れも
始まるだろうこれから、考えなきゃいけないことなんだろうなぁって
思いつつも、この映像合計で1時間50分あるそうなんですよ!
とても全部は見れないし、展示もなんだか雑だなぁってくらいで‥‥


【A12】伊藤ガビン
《モダンファート 創刊号 特集 没入感とアート あるいはプロジェクションマップングへの異常な愛情》


4日は入場待ちの人の列ができていたので、先に他を回ってこようと、
18日(日)に行った時は、まず最初にここの整理券をもらって
(日曜だったせいか結構混んでて、14時頃にもらったのが15:31の回でした)
27日(火)は、入れ替え時間まで待てば入れました。

「これは雑誌です」ってことで、トリエンナーレの広告が混じってたり、
クスッと笑ってしまうようなプロジェクションマッピングの
実験的(?)な映像、数字だとなんか哲学的だし、金魚だと日本の美、
太い線はやめましょう(笑)


【A13】ヘザー・デューイ=ハグボーグ
《Stranger Visions, Dublin: Sample 6》


壁のガラスケースに、とてもリアルな顔と、その下に黒い箱が展示してあって、
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これは作家が街で収集したタバコの吸い殻やチューインガムから
DNAを抽出して導き出した顔を3Dプリントした彫刻作品なんだそう。
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実際にその人に似ているかどうか知らないけど、
そんな時代になってるんだ! って、驚いて怖い気持ちになった。
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そして、化粧品のサンプルのような展示は、そういったDNA解析を
されないようにDNAの99.5%を消去するものなんだそう。
これはもう購入可能な商品だとか!
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【A14】dividual inc.《ラストワーズ/タイプトレース》

薄暗い部屋にいくつものモニタが並んでいて、それぞれに
文字が表示されていく様子が映っています。
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その前に、1台だけ、キーボードがカタカタと動いているモニタがあります。
人生の最後の10分で残す「遺言」だそう。
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キーボードを打つ際に、打ち直したり、ためらったりする様子が
表示される言葉をより印象付けているように感じました。


【A15】シール・フロイヤー《Untitled(Static)》

出窓のようになっている場所に透明な傘のようなものが吊り下げられていて、
その下に立つと、ノイズのような音が聞こえます。
うーーん?? まぁこの場所ならではの作品かな?

窓からこの風景が見えるのが気持ちがいい。
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【A16】文谷有佳里 「なにもない風景を眺める」 ほか

展示室のガラスケースを上手く利用したインスタレーション
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シャープな線で描かれたドローイングと、ガラスケースに描かれた
ドローイングが相乗効果で素敵な空間になっていた。
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展示室の出口横の、いつも資料映像が上映されている小部屋では、
【A17】菅俊一 「その後を、想像する」

大きなモニターには滑らかなアニメーションが上映されています。
映像の中で 何かが起きるその瞬間にアニメーションは暗転し、
次のアニメーションへと移り変わっていきます。

菅俊一さんのツイッターより

これ面白かった! この後どういう展開になるのか、
多分見てる多くの人が同じことを想像するだろうけど、
もしかしたら違う展開があるかも?とか考えたり。

Eテレっぽい?

この展示も、最後の一つは結果を見ることができないけど、
壁がなければああなるだろうと予測してしまいますよね。
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展望回廊に展示されているのが
【A18】ジェームズ・ブライドル《ドローンの影》

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窓に説明が書かれています。
ノースロップ・グラマンRQ-4 グローバルホークは、無人偵察機で
ある。他の航空機よりもはるかに高い高度で一日以上飛行すること
が可能で、太平洋を単独横断することができ、すべての飛行で10万
平方キロメートルの地形を撮影できる。非武装ではあるが、アフガ
ニスタン、イラク、リビアでの戦争で任務にあたり、世界中で災害
対応に役立ってきた。2011年、東日本大震災後、グローバルホーク
は、東北地方の調査飛行を行った。2014年に米空軍が青森県三沢
基地にグローバルホークの分遣隊を配置し、2018年に日本政府が
自衛隊にグローバルホーク3機の購入を承認した。


下を見ると、地面に描かれた白いラインは、グローバルホークの
実物大シルエットだそう。横幅約35m、長さ14m
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8月4日(日)は、オアシス21で「世界コスプレサミット」が開催されていたそうなので、
コスプレの人を含め、ドローンの影が描かれた場所にも多くの人が集まっています。
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8月27日(火)は、人がいなくて白いラインがはっきり見えました。
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はー、こんな調子で書いていったら、どれくらいかかるか‥‥?
途中で挫折するかもしれないけど、とりあえず、
あいちトリエンナーレ2019 愛知芸術文化センター10階のレポートでした。


あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/

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