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岐阜県現代陶芸美術館「ニーノ・カルーソ」展 [美術]

新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません!!
岐阜県でも4月10日に県独自の「非常事態宣言」が出ました。

その前に、4月4日から県の施設の臨時休館が決まり、
4月12日(日)までの会期だったこの展覧会も、
4月3日(金)で終了となってしまいました。
3月24日(火)に行っておいてよかった!!

「記憶と空間の造形
 イタリア現代陶芸の巨匠
 ニーノ・カルーソ」展
NinoCaruso.jpg

イタリア現代陶芸の巨匠ニーノ・カルーソ(1928-2017)は、
神話性、象徴性を制作におけるテーマの一つとしています。
初期は、自身のルーツであるシチリアの記憶と結びつけた
装飾的な器物を制作していましたが、次第に古代ローマや
ギリシャ、エトルリアの遺跡等を思わせる壁面や柱、門
などの形態制作を通じて、古代と現代を結ぶ空間の構築
へと向かいます。こうしたカルーソの表現は、日本を含め
世界中で高い評価を得ています。

(チラシ裏面の文より)
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スミマセン、全く知りませんでした。
1月19日の日曜美術館アートシーンで、
京都国立近代美術館で開催中のこの展覧会が紹介されて、
あ、岐阜県現代陶芸美術館に巡回してくるやつね、って
見たくらいで。

私が行った3月24日頃も、コロナで小中高が休校だったり、
イベントが中止になったりと、自粛ムードはありましたが、
ここの美術館、ホントに鑑賞者がいないんですよね。(失礼)
結構いい展示やってるんですが、
山の中にあって、車でないと行くのが不便だからでしょうか。
平日で、この、あまりメジャーでない展覧会なら、
空いてるだろうって思ったんですが、やはり!
他の鑑賞者に会いませんでした。
ちょっと遅い時間(3時過ぎ)に入ったってこともあったんでしょう。
ここは6時まで開館しててくれる(入館は5:30まで)ので、
私のような者にはありがたいです。

マスクごしに喋ったのも、受付で
「岐阜県美術館の会員です」と会員証を見せて、
「確認します。このシールを服の見えるところに貼ってください。
 展示物には手を触れないでください。」と言われたくらい。

展示室前の記念撮影コーナー
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ってことで、展示室へ入ると、奥には壁のようなものが
見えましたが(展示室ぐるっと回ってこの奥へ出ます)
手前には、ざらっとした皿に人物が描かれたものとか、
1964年の「現代国際陶芸展」でも紹介された2点の作品

2018年に開催された岐阜県現代陶芸美術館「1964」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-01-28

1964年当時「日本陶芸の敗北」と評されるほどの衝撃を、
日本の陶芸界に与えたという「現代国際陶芸展」を
検証する展覧会でした。この展覧会で紹介された
海外の陶芸作品の多くが京都国立近代美術館に収蔵されたとのことで、
「1964」展にも出てたこの2点も出品されてました。
NinoCaruso3.jpg
「1964」図録より
上《共蓋壺》1963年
下《壺》1963年

‥‥って、あ、私、「1964」展でニーノ・カルーソの作品
見てるんだって気が付いたのが、帰って来てから。
まったく印象に残っておりませんでした(^^;>

次の展示室へ進むと、
板でできた《パーテーション》1969年 とか、
鉄の大きな彫刻があって、え!? この人陶芸家よね??
って、ちょっと驚いたりしたんですが。

でも、ニーノ・カルーソ、発泡スチロールを原型として
作品を制作、それをモジュラー・ユニットとして組み合わせて
大きな彫刻や壁面を作ったりしていて、陶芸だけでない
建築デザインのような仕事もした人なんだなと。

滋賀県立陶芸の森の野外モニュメント《風と星》(1991)の
デザインもしているんですね!
ここも一度行ってみなくてはって思ってるんですが。
(3/25~5/31のリサ・ラーソン展、4/11から当面の間休館だそう)


古代ローマやギリシアの遺跡などを思わせるような
作品や空間が良かったです。

自分が見た夢から発想した不思議な家のような陶芸作品
《夢の館》1999年 とかが並ぶ展示空間は、
薄い布を通して外の風景が透けて見えるようになってて、
あら、この部屋、こんな演出(?)もできるんだ! って、
ちょっと新鮮だった。


最後の部屋は撮影可!
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《シチリアの記憶》
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窓から外の緑が見えるのもいい雰囲気。
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何種類かの白いモジュラー・ユニットを組み合わせて、壁面が
作られています。染色のように、全く同じ繰り返しで
並んでいるわけではないみたいですね。
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《ペトラ》2005年
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《パルミラ》2006年
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左《断片と素材》 右《ストラッポ》どちらも2006-7年
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《京都に敬意を表す》1972年 アルミニウム
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展示室を出たところに、ニーノ・カルーソが
発泡スチロールを使って作品を作っている映像があって
興味深かった。昔の映像なので、かなり粗かったですが、

陶芸の道に進むと決めた時、友人からは
「専門的な教育も受けてないのに、ばかげている」と言われ、
両親からは「もっと安定した仕事に就くように」と言われたって
話しているところが印象に残りました。


ニーノ・カルーソは、今年秋(9/18~10/18)に第12回の開催を迎える
国際陶磁器展美濃の第1回展(1986年)から第6回展(2002年)まで
審査員を5度歴任するなど、ここ美濃(多治見)にもゆかりの深い方だそう。
↑しかし、今年秋の開催大丈夫か‥‥??
その前に、次回の展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」
4月25日(土)からの開催だったんですが、臨時休館が5月7日(木)まで
延長になって、開幕が延期になりました。
楽しみにしていたので、早くこの新型コロナウィルス感染症が
終息してくれることを祈るばかりです。

岐阜県現代陶芸美術館ギャラリーⅡの展示は、
前回来た「小村雪岱スタイル」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-04
の時と同じ、「題名のない展覧会」他でしたが、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-10
もう一度見ても新しい発見があって面白かったです。
展示替えしているのもありましたし。

建物を出ると、ちょうど夕日がつくる影が面白かった。
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岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO、
シデコブシの自生地を守るために架けられた橋の下の
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シデコブシが花を咲かせていました。
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ミツバツツジのピンクも鮮やかです。
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岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/
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