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愛知県美術館「大浮世絵展」 [美術]

4月5日(日)、愛知県美術館へ行ってきました。
「大浮世絵展
 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」をやっていました。
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新型コロナウィルスのため、
愛知県美術館「コートールド美術館展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
2週間の会期を残して閉幕となったのが3月1日(日)

その頃は、3月15日過ぎにはコロナも収まるよねって、
お気楽な私は考えてたんですが‥‥

収まる気配もなく、4月3日(金)からのこの展覧会、
開催できるのか心配していました。

愛知県美術館のウェブサイトやツイッターで、
開幕できたって知って、ちょっと驚きつつも、
嬉しかったです。でもこの状況では、いつ閉まるか
わからないので、早く行かなくてはって。
名古屋の中心地・栄にあるので混雑がちょっと心配でしたが‥‥

いつもは混雑するオアシス21も、イベントもなくて人が少なかったです。
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愛知県美術館のある愛知芸術文化センターへの入口
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愛知県美術館の入口には消毒液が備えられ、
来場に際してのお願いが掲示されていました。

来場者のほぼ全員がマスクしてました。
もちろん私もマスク着用してましたが、
浮世絵の細かいところまで見ようと老眼鏡をかけると
眼鏡が曇ってうっとおしかったです。でも仕方ないですね。

友の会の会員証を見せてチケットをもらいます。
チケットの絵は何種類(5種類?)かあるみたいだけど、
写楽《3代目大谷鬼次の江戸兵衛》が使われたもの。
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浮世絵の歴史の中で誰もが知る4人の巨匠、喜多川歌麿、東洲斎写楽、 葛飾北斎、歌川広重。ここに近年人気の高まる歌川国芳を加えた 「五大浮世絵師」による浮世絵版画の展覧会(チラシ裏面の文より)

私、浮世絵の展覧会ってあまり積極的に行ったことはないです。
あちこちで見られたりして(江戸時代の庶民でも買えるような、
多量に刷られた大衆芸術ですものね! 当時の文化の高さってスゴイ)
まぁ、わりと‥‥本とかで見たり、パロディーっぽく扱われてたり、
ありふれてるしーみたいに、ちょっと低く見ていたとこもあったかも。

昨年12月15日の日曜美術館アートシーンの最初に、
江戸東京博物館でやってたこの展覧会が紹介されて、
国内のほか欧米の美術館、博物館、個人コレクション等から、 摺り・保存状態ともに良く、制作当時の鮮やかさを伝える優品 ばかりを集めました。」(チラシ裏面の文より)
ってことで、この機会に、浮世絵の巨匠の作品をちゃんとした(?)
木版画で見てみるのもいいかなって楽しみにしていたんです。

展示室へ入ると‥‥
愛知県美術館では、5人それぞれ壁の色が変えられていて、
喜多川歌麿は  茜色
東洲斎写楽は  深緑
葛飾北斎は 
歌川広重は  薄紅色
歌川国芳は  黄金色 となってました。
(私のうろ覚えなので違ってるかも?)

 喜多川歌麿 1753-1806

この展覧会で私、歌麿の浮世絵を初めてちゃんと見て、
すごく優雅で豪華なことを知って驚いたんです。
今まで印刷で見てたのと全く違う!
《煙草の煙を吹く女》の煙草の煙が空摺の凹凸で表現されていたり、
白い着物や半襟に空摺の模様が刷られていたり、

背景に真鍮粉が蒔かれてキラキラしていたり(これは
印刷では出ないですね! 図録見てもなんか黒い粒粒のようにしか
見えない。ベルギー王立美術歴史博物館から里帰りした
《青楼十二時》シリーズの素晴らしさ!!)

蚊帳の内と外にいる女性を描いた浮世絵の、蚊帳の繊細な表現!

べっ甲の櫛の透かしや布を透かして見る女性の表現の見事さ!

老眼鏡の曇り(マスクしているせいで)にもめげず
見惚れちゃいました!!


 東洲斎写楽 生没年不詳

謎の多い写楽。黒雲母摺(くろきらずり)大首絵の
役者絵28枚で突然浮世絵界に現れた写楽は、
わずか1年余りで消えてしまいました。

誇張の目立つその画風が好悪両様の反応を呼んだのは当然でしたが、 斬新なその役者絵は浮世絵界に刺激を与えることになりました。
(図録より)

歌麿の美人は皆同じに見えちゃいます(あ、私には。
《当時三美人》とか個性を描き分けているって
解説にはあるんですけど)が、写楽の役者絵は、それぞれの
個性が際立ってますよね。まぁ、役者のファンからしたら、
もうちょっとカッコよく描いてくれてもいいんじゃないかって
思うかも。


 葛飾北斎 1760-1849

日本だけでなく、世界でも有名な北斎。
90年の生涯で膨大な作品を残した「画狂人」

他の浮世絵師と出品数を同じにするため、代表作中の代表作、
誰もが知っている《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》をはじめ、
いわゆる赤富士、《凱風快晴》や、黒富士ともよばれる《山下白雨》

そして《諸国滝廻り》《諸国名橋奇覧》《千絵の海》シリーズの
風景画に加えて
《朝顔に蛙》《百合》といった花鳥版画が入ってました。

北斎の版画は、
岐阜県現代陶芸美術館「引き継がれるコレクター魂」展 で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-10-29
『北斎漫画』と『富嶽百景』全点が展示されてましたし、
(この展覧会、歌川国芳と月岡芳年の浮世絵も出てて、
とにかくすごい出品数でした。)

岐阜市歴史博物館「北斎漫画」展 も行ったなと。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2010-05-19


 歌川広重 1797-1858

広重っていえばという《東海道五拾三次》
子供の頃、永谷園のお茶づけにカードが入ってたなぁと。
(ずっと買ってないんですが、ネット見たら、また復刻したんですって?)

そして《木曽海道六十九次》《近江八景》《名所江戸百景》
花鳥画として《椿に小鳥》《葦に鴨》《和漢朗詠集 月に雁》が
展示されていました。北斎と同じような出品構成にしたわけですね。

北斎の風景画は奇抜な構図でインパクトありますが、
広重は安定した構図で雨や雪、月、夜などの風情があって、
見ていて穏やかな気持ちになれるというか。
花鳥版画も上品です。

中津川にある中山道広重美術館で「抒情の系譜」という
企画展をやってたので、
高畠華宵や蕗谷虹児を見たくて行ったんですが、
所蔵品展で初代広重と二代広重の作品が展示されていました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-11-21


 歌川国芳 1798-1861

近年人気の高い国芳。伊藤若冲や曽我蕭白らにつながる
「奇想の画家」として、ブームになってますね。
三枚続の大画面に大胆で躍動感に満ちたダイナミックな構図!
細部への描き込みと毒々しいまでの派手な色づかいは、
私としては、ちょっと引いてしまうところもあるんですけど。

チラシにも使われている《宮本武蔵の鯨退治》や、
《源頼光公館土蜘作妖怪図》は、実は当時の政権を
(徳川幕府の将軍・徳川家慶や天保の改革の中心人物、老中・水野忠邦)
風刺したものだとか。これは江戸っ子たちは狂喜したでしょうね。

有名な《相馬の古内裏》(巨大なガイコツが現れるやつ)は、
後期展示となってました。

国芳は猫好きとしても有名ですよね。

名古屋市博物館「いつだって猫展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-05-14

では、国芳のいろんな猫の浮世絵が見られて楽しかったですが、
今回の展示でも、猫の浮世絵や、遊び心あふれる戯画が
展示されてましたが、ちょっと疲れてきたのもあって、
このあたり、足早に過ぎてしまいました。

出口で、名前と連絡先、滞在時間を書く紙が用意されてて、
(スマホの)時計見たら、14:45
え?! ここ着いたのって12時15分くらいだから、
鑑賞に2時間半?!! かかってる!
これでも国芳あたりはかなりスッ飛ばしてるんですけど‥‥!

そう、浮世絵の展覧会って出品数が多いので、
鑑賞してると疲れちゃうってことも、私がなんとなく
浮世絵の展覧会に積極的になれなかった理由。

「"大"浮世絵展」って展覧会名つけるだけあって、
充実した展覧会で良かったです。
私、歌麿の浮世絵がこんなに良いんだって驚きましたし。

出口にあった記念撮影コーナー
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ちょっと疲れたけど、愛知県美術館のコレクション展は
いつもスゴイので、見ていきました。そのことは次の記事で。

展覧会の図録、今までの展覧会なら展示室のソファとかで
見れるように置いてあるんですが、今回はコロナのため、
ショップでも、見本がありませんでした。でもこの大きさ、
分厚さで、5人の浮世絵師の代表作と言えるような作品が
1冊になってるわけですし、これで2,600円(税込)は
お値打ちって言ってもいいですよね。
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銀色の箔押しのタイトルがカッコイイです。
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展覧会グッズも充実してましたが、とりあえず図録のみ買いました。

出品リスト見るとほとんどが途中で展示替えするので、
(同じ作品の所蔵先違いも含めて)
もう一度行きたいなって思いながら帰ったんですが、
それどころではなく、私が行った翌日の6日に
愛知県美術館の臨時休館が決まり、
当初は20日(月)までだったのが、5月7日(木)まで延長となりました。
(うーん、今の状況だと、5月8日の再開はできるのか??)

新型コロナウィルスの終息を願うばかりです。


愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
「大浮世絵展」公式サイトhttps://dai-ukiyoe.jp/

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gillman

これぼくも東京で見ました。素晴らしかったです。展示替えがあるのでやはり二度行きました。
by gillman (2020-04-19 20:16) 

しーちゃん

gillman さん、nice! とコメントありがとうございます。質、量ともに充実した浮世絵の展覧会でした。後期展示も見たいんですが、開幕から3日で臨時休館になってしまったので、私は見られただけいいのかも。コロナの終息を願うばかりです。
by しーちゃん (2020-04-22 14:24) 

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