岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭 AAIC 2020」 [美術]
6月4日(木)、岐阜県美術館へ行ってきました。
清流の国ぎふ芸術祭
ART AWARD IN THE CUBE 2020
が、6月2日(火)から開催されています。
本来なら4月18日(土)から開催される予定だった展覧会。
新型コロナウィルス感染症拡大防止で美術館が休館していたため、
開幕が延期されていました。
「ART AWARD IN THE CUBE 2020」とは、
4.8m(幅)×4.8m(奥行)×3.6m(高さ)の空間(キューブ)の中に、
テーマ「記憶のゆくえ」を解釈・表現する企画公募展
世代、ジャンルを問わず国内外から応募された710点の企画から、
様々な分野の第一線で活躍する審査員7人が厳選した18作品を、
岐阜県美術館、岐阜県図書館にて展示します。
(チラシ中面の文章)
3年前の2017年春、第一回目となる
「ART AWARD IN THE CUBE 2017」が開催され
岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-05-18
15組の入賞者の作品がそれぞれ意欲的でとても良かったので、
第2回目となるこの展覧会、楽しみにしていたんです。
新型コロナの影響で、開幕がいつになるかわからない状態の時、
入選作品18点は完成していて、ガイドブックを先行公開するって
知って、制作されたアーティストや主催者の心情を想い、
せっかく完成しているのだから見たい!! って、
展覧会が開催できることを祈ってましたが、
AAIC2020ガイドブック(PDF:4,411KB)
https://art-award-gifu.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/aaic2020guidebook.pdf
6月2日(火)に開幕できて本当によかったです。
期間は7月5日(日)までとなりました。
入館にあたっては電話による事前予約に協力くださいってことでしたが、
岐阜県美術館来館に際してのお願い
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/news/5-19kaikan/
まぁ‥‥読んでいくと、
予約人数に余裕がある場合、当日でもご入館いただけます。
ってことでしたので‥‥(^^;>
以下、ネタバレ含みますので、これから見に行けそうな方、
ご注意ください。見に行かれる時は、美術館からのお願いを守り、
靴を脱ぐ作品がいくつかありますので、脱ぎやすい靴がおすすめです。
写真撮影可(フラッシュ・動画不可)
久しぶり(?)の岐阜県美術館(帰る時に撮った写真)
前回は、3月21日(土)に来てます。
「それぞれの空間表現展」と
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
アーティストインミュージアム三輪祐子 を見ました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
美術館入口で、検温と手の消毒、入館における注意事項を聞きます。
もちろんマスク着用。
ここでもらう来館証が屋外作品の入場券になります。
「ART AWARD IN THE CUBE 2020」は
観覧無料で、ガイドブックももらえます。
(ガイドブックの会場マップ)
展示室3の入口のところにあったQRコードを読み込んで、
「岐阜県感染警戒QRシステム」にメルアド登録しました。
展示室3にあったのが、
【A】大貫仁美《秘められた、その「傷」の在処》
パッと見た時、レースでできた衣類なのかなって思ったんですが、
よく見たら、薄いガラスを金でつないでいるんですね!
「傷」を「美」に転じさせる「金継ぎ」という手法から、
傷を「記憶」と捉えて、
「ガラスで制作した、かつて誰かのものであったであろう衣服によって、ある人は覆い隠し、ある人は装飾し、ある人は剥き出しにし、ある人は気づくことなく「生きる」美しい「傷=記憶」の物語を空間内に展開する。」(作品紹介より)
繊細でとても美しい!
(写真では儚げな美しさがよくわからなくて残念‥‥
ぜひ実物を見てほしいなぁ)
【B】竹中美幸《記憶の音》
映像用フィルムがたくさん天井からぶら下がっています。
壁や床に投影される光の色がきれい!
これらのフィルムは「採集した音(主に時を告げる音)を世界共通の記号である音符に変換し、暗室で焼き付け現像した」ものなんだそう。
光がキラキラして、床の扇風機の風でフィルムが動き、
かすかな音をたてるのも良かった。
フィルムという忘れ去られようとしている素材も、
淡い光に郷愁みたいな感情がわいてきてよかった。
【C】大西康明《時間の溝》
白いキューブ内、メッシュ構造のテーブルの上には
様々な日用品が、床には本が置かれています。
全ての物が白く細い糸のようなもので覆われています。
説明を読むと、これは接着剤を垂らしたものなんだと。
接着剤‥‥ずいぶん前、愛知県美術館で接着剤を垂らして
ビニールシートを浮かせたインスタレーションを見たなー
って思い出してたら、正にその作家さんでした!
愛知県美術館 大西康明《体積の裏側》
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-03-27
全ての見慣れたものに白い塵が積もったみたいで、
長い時間が過ぎたような、人が滅んだあとの風景のような‥‥
白いキューブ内の白い世界、とても美しい!
【D】御宿 至《SOMETHING GREAT ~記憶の風景~》
「現代社会を象徴し世界の物流現場で無数に使用されているパレット(荷台)」が積み重なっています。その中に無数の物―身近にあるもの、見慣れたもの―が詰め込まれています。
「脳内にある“記憶の貯蔵庫”」「記憶が収められた引き出し」を
イメージしているそう。
膨大なモノが詰まったパレットの棚が迫力。
詰められているモノを見ていくのも面白いけど、私たちの
「脳内にある壮大な宇宙の神秘」が感じられるようでした。
時々、天井にグリーンの光の点が映し出されるのはどういう意図かな?
【E】宙宙(chuchu)《cloud》
スタッフから注意を聞いて、暗いキューブの中を進むと、
無数の光の点が無限の空間に広がっているような場所へ出ます。
自分が宙に浮いたかのような感覚。
鏡を使っているんでしょうね。草間彌生にもこんな
めまいのするような空間の作品がありましたが、
この「宇宙空間に放り出されたかのような感覚」面白いです。
【F】ADRIAN O.SALES(エイドリアン オー サレス)《WE GO ON》
「上部に配置された16のパネルは、人類の誕生から世代を超えて脈々と引き継がれてきた人間の遺伝子情報(記憶)を表す。下部の18のパネルは、ハイブリッド人間―すなわち、元となる遺伝子情報を継承しつつも、生存のために、必要に迫られてAI(人工知能)を搭載した優れた機械に拡張された人間の存在」
ってことだそうですが、うーん、なんかよくわかりません。
キューブの真ん中に階段が作られて、その上の天井が開いているのが、
この階段を上がっていったら(作品の階段には上れませんが)
どこへ行くことができるのかなぁ? なんて考えたりしました。
【G】Yuni Hong Charpe(ユニ ホン シャープ)《Repeat》
人がダンスしているシンプルな映像が見えます。
そのキューブの左右に映る映像が消えると、正面の映像が流れます。
正面の映像は、作家と娘さんとのフランス語の会話。
作家は「現在フランス国籍を持つが、母国語は日本語で、生まれは在日コリアン」なので、話すフランス語に日本語のアクセントが残っている。
それを娘さんに直されている。
うん、なんで大人になってから習う外国語の発音って
母国語の訛りが残ってしまうんでしょうね。
左右の映像は、作家が昔習った朝鮮舞踊の断片的な動作を
マネして踊るダンサー。体に染みついた記憶と、伝わった記憶。
ミケランジェロの模刻のある多目的ホールにあるのが
【H】北川 純《質量保存の法則》
二層になったビニール袋。下のビニール袋が膨らんでいくと、
高層ビル群のような風景となり、
下のビニール袋がしぼんでいくと、雑木林のような風景が
出現します。(それぞれ5分ほどで変わります)
「環境の質と量が一定に保ち続けられることを、質量保存の法則として表している作品。」
面白い!! 雑木林を切り開いてビル群にする現代社会、
でもビル群が滅びると植物が覆ってきて、全て地球という
環境の中での変化に過ぎない、みたいな現代社会への風刺というか、
環境問題についても考えさせられたりしました。
いつもは県民ギャラリーの展示室4にあるのが
【I】橋本哲史《こちら、1001》
キューブの外側には京都・三十三間堂の1001体仏像が
貼り付けられています。
内側は、カラフルで楽しい!
ポップな1001体仏像を作っている現場?
【J】平田昌輝《Artifact 19-2》
キューブの中に男性の半身像が置かれています。
彫刻に使われているのは「日本列島形成に伴ってできた三波川変成岩類と呼ばれる地質帯の変成岩である緑色片岩」
石ができる長い時の流れの記憶が黒に白い文様として入ってるんですね。
【K】森本 孝《そして、「宇宙の子」は、自ら造った 「仄かに酔ってるAI」と対決する。》
キューブ内、なんか雑然としているけど楽しい雰囲気。
「2001年宇宙の旅」で、人はAIと戦い
「AIであるHAL9000は最初に記憶に留めた歌、デイジー(ひな菊)・ベルを歌いながら記憶を失って行った」ことをモチーフにした作品
作家の森本孝さんは、定年退職後の65歳からアート制作を始めたという方。
手近なものを集めてつくる「ブリコラージュ」という方法で
作品を作っていらっしゃるそう。
小さな列車がレールの上を動いていたりして楽しいけど、
「あなたも私も、死により突然、個人の記憶と共に消え、無意味な無存在となる。」ことを表しているのだと。
【L】山本麻璃絵+姫野亜也《石斧をモチーフにした石斧の彫刻》
人間が道具を使い始めた旧石器時代から作られてきた石斧をモチーフに、
石を用いて彫刻を制作している姫野さんが石の頭を、
木を用いて彫刻を制作している山本さんが木の柄を作った作品。
二人とも武蔵野美術大学の彫刻科を卒業された方なんですね。
いろんな石斧があって面白い
(実際使えるのかどうかはわからないけど)
国境も言語もない頃から、石を削り、柄を付けて石斧を
作ってきたのかなって、人の根源的な記憶が立ち現れるような?
【M】笠原 巧《無秩序の中の秩序》
実験室のような部屋。
9台の測定機械がカタカタと動いています。
神話に登場する「ガンギエイ」(扁平で大きいがとても薄い)の
長さを測っているのだそうですが、
測定機械に竹の30cm物差し(小学校で使いましたね)が
使われているのがなんだかアナログっぽくもあり‥‥
何をしているのかはよくわからなかったんですが、
なんかカタカタ動く機械が面白かった。
作者も今までアートとは関係ない経歴で、なんか新鮮。
【N】川角岳大《私たちの知らない犬》
‥‥うーん?? これは何? 毛皮と、車の構造体??
犬の視点から見た世界??
犬の視力ってあまり良くないって聞いたことがあるけど、
断片的な毛皮は嗅覚で感じ取っている犬の記憶みたいな
意味なのかなぁ??
----
庭の展示を見に行く前に、岐阜県美術館の所蔵品展を見ました。
私は後援会員なので無料ですが、観覧には所蔵品展観覧料
(一般340円、大学生220円、高校生以下無料)が必要です。
「ルドンと日本」というテーマで、岐阜県美術館が多く所蔵している
ルドンの絵と、モローやゴーギャンの絵が並んでいたり、
影響を受けた日本人画家や、
ルドンの絵を所蔵してたって人(誰だったか忘れちゃいましたが
ちょっと意外な画風だった)の絵とか、
--追加--
8月8日(土)「大橋翠石」展へ行った時に所蔵品展見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-08-16
ルドンの絵を所蔵していたのは伊藤清永で、清永の《裸婦》が出てて、
竹内栖鳳の旧蔵だというルドンの絵が展示されているのを確認しました。
--
水木しげるのゲゲゲの鬼太郎やねずみ男たちが集まってる
大きな絵が掛軸になってるのが楽しかった!!
ルドンの蜘蛛や、目玉気球と同じ部屋ってのも洒落てます。
そして「春の名品展 日本画と工芸を中心に」
川合玉堂《藤》リアルな藤の花と、筆で一気に描かれた枝との対比、
雀の可愛らしさ、この季節に見られて嬉しい(6月7日までの展示)
展示室2の「アートまるケット アーティストがワタシんトコにやって来た! 岐阜県の滞在制作レビュー」は、前回見た(まぁ、あまり覚えてないんだけど)
のでパス
----
美術館を出て、庭へ
アリスティド・マイヨール《地中海》
【O】W.N.project (ワンニャープロジェクト)《Light NOW-イマココ》
白いキューブに描かれた犬と猫のマークがカワイイ。
スタッフの注意を聞いて、1人(1組)ずつキューブに入ります。
扉が2つあって、外側の扉をスタッフが閉めてから、
自分で内側の扉を開けて入ります。
これは「天井と壁に穴を2つ持つカメラ・オブスキュラ」で、
壁には外の風景が逆さに映って、壁の光の点は太陽が映っていた
‥‥んでしょうが、床がキラキラと星空のように輝いていたのが
印象的でした。星空のような光がゆらゆらするように見えたのは、
雲の動きが重なっていたのかなぁ??
あ、W.N.project って、小島久弥と江藤莅夏によるユニットなのね!
2016年夏の
岐阜県現代陶芸美術館「土の冒険のぼうけん」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-09-26
の作家さんたちじゃない!! この展覧会良かったー!!!
美術館の庭の風景。この風景が逆に映ってたわけね。
(なんかぼんやりとモノクロームだったけど)
今回は美術館の隣にある岐阜県図書館の庭も会場になって、
3作品が展示されています。
【P】保良 雄《beclouded, becalmed, belighted》
茶室のにじり口のような入口から入ります。
天井に赤い染み。そこから細い糸が石へと吊るされています。
細い糸を水(かつて国旗にも使われた日本茜から抽出した液体)が
伝って降りています。
ちょうど作家さんがいらしてて(茜の液体の補充?)
お話を聞くことができました。
【Q】と【R】は雨ざらしの屋外だけど、
特に【Q】はいいのかな? オーディオの機器とかありそうだけど‥‥
【Q】高橋臨太郎《Phantom container》
ふいご? 蛇腹? のようなものが取り付けられて、
音が鳴っています。オルガンのような?
弦がこすれるような? (台の上に弦が置いてあります)
「幻肢(失われた手足が今もあるという感覚)を持つ当事者の方の失われた身体のイメージ」
苦痛というより、なんか素朴な音のように聞きました。
【R】占部史人《空とカタツムリ》
布をつなぎ合わせて作られた大きなカタツムリ形の造形。
見てたら「中に入っていいですよ」と。
靴のまま入れました。
螺旋形の天辺から青空が見えます。
「カタツムリの螺旋形には人生の悲哀や世界の大きさを物語る象徴的な意味合いがあるのではないか。」
床は丸竹を並べて作られています。
展覧会、開催することができ、見に行くことができて良かった!!
18作品、どれも意欲的で楽しかった。
そして、キューブの中に1人(1組)しか入れない作品が多いので、
スタッフの方、ありがとうございます。ご苦労様です。
1番はどれか‥‥迷って選べないけど、私のお気に入りは、
【H】北川 純《質量保存の法則》
高層ビルと雑木林、見た目はとても違うけど、同じ地球上の変化に
過ぎないって、環境問題とかも考えさせられたし、なにより素朴な
ビニールの動きで変化していくのが楽しかった。
【B】竹中美幸《記憶の音》 光の色がとてもきれいだった。
【C】大西康明《時間の溝》 白い世界が美しかった。
【D】御宿 至《SOMETHING GREAT ~記憶の風景~》
膨大なモノの迫力! 私の記憶のイメージにいちばん近い。
しかし、前回のAAIC 2017、私のお気に入りと受賞作が
全く違っていましたので、
鑑賞された方の感想、お聞きしたいです。
前回のArt Award IN THE CUBE (AAIC) のこと
岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-05-18
岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/
清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2020
公式Webサイト: https://art-award-gifu.jp/
清流の国ぎふ芸術祭
ART AWARD IN THE CUBE 2020
が、6月2日(火)から開催されています。
本来なら4月18日(土)から開催される予定だった展覧会。
新型コロナウィルス感染症拡大防止で美術館が休館していたため、
開幕が延期されていました。
「ART AWARD IN THE CUBE 2020」とは、
4.8m(幅)×4.8m(奥行)×3.6m(高さ)の空間(キューブ)の中に、
テーマ「記憶のゆくえ」を解釈・表現する企画公募展
世代、ジャンルを問わず国内外から応募された710点の企画から、
様々な分野の第一線で活躍する審査員7人が厳選した18作品を、
岐阜県美術館、岐阜県図書館にて展示します。
(チラシ中面の文章)
3年前の2017年春、第一回目となる
「ART AWARD IN THE CUBE 2017」が開催され
岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-05-18
15組の入賞者の作品がそれぞれ意欲的でとても良かったので、
第2回目となるこの展覧会、楽しみにしていたんです。
新型コロナの影響で、開幕がいつになるかわからない状態の時、
入選作品18点は完成していて、ガイドブックを先行公開するって
知って、制作されたアーティストや主催者の心情を想い、
せっかく完成しているのだから見たい!! って、
展覧会が開催できることを祈ってましたが、
AAIC2020ガイドブック(PDF:4,411KB)
https://art-award-gifu.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/aaic2020guidebook.pdf
6月2日(火)に開幕できて本当によかったです。
期間は7月5日(日)までとなりました。
入館にあたっては電話による事前予約に協力くださいってことでしたが、
岐阜県美術館来館に際してのお願い
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/news/5-19kaikan/
まぁ‥‥読んでいくと、
予約人数に余裕がある場合、当日でもご入館いただけます。
ってことでしたので‥‥(^^;>
以下、ネタバレ含みますので、これから見に行けそうな方、
ご注意ください。見に行かれる時は、美術館からのお願いを守り、
靴を脱ぐ作品がいくつかありますので、脱ぎやすい靴がおすすめです。
写真撮影可(フラッシュ・動画不可)
久しぶり(?)の岐阜県美術館(帰る時に撮った写真)
前回は、3月21日(土)に来てます。
「それぞれの空間表現展」と
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
アーティストインミュージアム三輪祐子 を見ました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-07
美術館入口で、検温と手の消毒、入館における注意事項を聞きます。
もちろんマスク着用。
ここでもらう来館証が屋外作品の入場券になります。
「ART AWARD IN THE CUBE 2020」は
観覧無料で、ガイドブックももらえます。
(ガイドブックの会場マップ)
展示室3の入口のところにあったQRコードを読み込んで、
「岐阜県感染警戒QRシステム」にメルアド登録しました。
展示室3にあったのが、
【A】大貫仁美《秘められた、その「傷」の在処》
パッと見た時、レースでできた衣類なのかなって思ったんですが、
よく見たら、薄いガラスを金でつないでいるんですね!
「傷」を「美」に転じさせる「金継ぎ」という手法から、
傷を「記憶」と捉えて、
「ガラスで制作した、かつて誰かのものであったであろう衣服によって、ある人は覆い隠し、ある人は装飾し、ある人は剥き出しにし、ある人は気づくことなく「生きる」美しい「傷=記憶」の物語を空間内に展開する。」(作品紹介より)
繊細でとても美しい!
(写真では儚げな美しさがよくわからなくて残念‥‥
ぜひ実物を見てほしいなぁ)
【B】竹中美幸《記憶の音》
映像用フィルムがたくさん天井からぶら下がっています。
壁や床に投影される光の色がきれい!
これらのフィルムは「採集した音(主に時を告げる音)を世界共通の記号である音符に変換し、暗室で焼き付け現像した」ものなんだそう。
光がキラキラして、床の扇風機の風でフィルムが動き、
かすかな音をたてるのも良かった。
フィルムという忘れ去られようとしている素材も、
淡い光に郷愁みたいな感情がわいてきてよかった。
【C】大西康明《時間の溝》
白いキューブ内、メッシュ構造のテーブルの上には
様々な日用品が、床には本が置かれています。
全ての物が白く細い糸のようなもので覆われています。
説明を読むと、これは接着剤を垂らしたものなんだと。
接着剤‥‥ずいぶん前、愛知県美術館で接着剤を垂らして
ビニールシートを浮かせたインスタレーションを見たなー
って思い出してたら、正にその作家さんでした!
愛知県美術館 大西康明《体積の裏側》
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-03-27
全ての見慣れたものに白い塵が積もったみたいで、
長い時間が過ぎたような、人が滅んだあとの風景のような‥‥
白いキューブ内の白い世界、とても美しい!
【D】御宿 至《SOMETHING GREAT ~記憶の風景~》
「現代社会を象徴し世界の物流現場で無数に使用されているパレット(荷台)」が積み重なっています。その中に無数の物―身近にあるもの、見慣れたもの―が詰め込まれています。
「脳内にある“記憶の貯蔵庫”」「記憶が収められた引き出し」を
イメージしているそう。
膨大なモノが詰まったパレットの棚が迫力。
詰められているモノを見ていくのも面白いけど、私たちの
「脳内にある壮大な宇宙の神秘」が感じられるようでした。
時々、天井にグリーンの光の点が映し出されるのはどういう意図かな?
【E】宙宙(chuchu)《cloud》
スタッフから注意を聞いて、暗いキューブの中を進むと、
無数の光の点が無限の空間に広がっているような場所へ出ます。
自分が宙に浮いたかのような感覚。
鏡を使っているんでしょうね。草間彌生にもこんな
めまいのするような空間の作品がありましたが、
この「宇宙空間に放り出されたかのような感覚」面白いです。
【F】ADRIAN O.SALES(エイドリアン オー サレス)《WE GO ON》
「上部に配置された16のパネルは、人類の誕生から世代を超えて脈々と引き継がれてきた人間の遺伝子情報(記憶)を表す。下部の18のパネルは、ハイブリッド人間―すなわち、元となる遺伝子情報を継承しつつも、生存のために、必要に迫られてAI(人工知能)を搭載した優れた機械に拡張された人間の存在」
ってことだそうですが、うーん、なんかよくわかりません。
キューブの真ん中に階段が作られて、その上の天井が開いているのが、
この階段を上がっていったら(作品の階段には上れませんが)
どこへ行くことができるのかなぁ? なんて考えたりしました。
【G】Yuni Hong Charpe(ユニ ホン シャープ)《Repeat》
人がダンスしているシンプルな映像が見えます。
そのキューブの左右に映る映像が消えると、正面の映像が流れます。
正面の映像は、作家と娘さんとのフランス語の会話。
作家は「現在フランス国籍を持つが、母国語は日本語で、生まれは在日コリアン」なので、話すフランス語に日本語のアクセントが残っている。
それを娘さんに直されている。
うん、なんで大人になってから習う外国語の発音って
母国語の訛りが残ってしまうんでしょうね。
左右の映像は、作家が昔習った朝鮮舞踊の断片的な動作を
マネして踊るダンサー。体に染みついた記憶と、伝わった記憶。
ミケランジェロの模刻のある多目的ホールにあるのが
【H】北川 純《質量保存の法則》
二層になったビニール袋。下のビニール袋が膨らんでいくと、
高層ビル群のような風景となり、
下のビニール袋がしぼんでいくと、雑木林のような風景が
出現します。(それぞれ5分ほどで変わります)
「環境の質と量が一定に保ち続けられることを、質量保存の法則として表している作品。」
面白い!! 雑木林を切り開いてビル群にする現代社会、
でもビル群が滅びると植物が覆ってきて、全て地球という
環境の中での変化に過ぎない、みたいな現代社会への風刺というか、
環境問題についても考えさせられたりしました。
いつもは県民ギャラリーの展示室4にあるのが
【I】橋本哲史《こちら、1001》
キューブの外側には京都・三十三間堂の1001体仏像が
貼り付けられています。
内側は、カラフルで楽しい!
ポップな1001体仏像を作っている現場?
【J】平田昌輝《Artifact 19-2》
キューブの中に男性の半身像が置かれています。
彫刻に使われているのは「日本列島形成に伴ってできた三波川変成岩類と呼ばれる地質帯の変成岩である緑色片岩」
石ができる長い時の流れの記憶が黒に白い文様として入ってるんですね。
【K】森本 孝《そして、「宇宙の子」は、自ら造った 「仄かに酔ってるAI」と対決する。》
キューブ内、なんか雑然としているけど楽しい雰囲気。
「2001年宇宙の旅」で、人はAIと戦い
「AIであるHAL9000は最初に記憶に留めた歌、デイジー(ひな菊)・ベルを歌いながら記憶を失って行った」ことをモチーフにした作品
作家の森本孝さんは、定年退職後の65歳からアート制作を始めたという方。
手近なものを集めてつくる「ブリコラージュ」という方法で
作品を作っていらっしゃるそう。
小さな列車がレールの上を動いていたりして楽しいけど、
「あなたも私も、死により突然、個人の記憶と共に消え、無意味な無存在となる。」ことを表しているのだと。
【L】山本麻璃絵+姫野亜也《石斧をモチーフにした石斧の彫刻》
人間が道具を使い始めた旧石器時代から作られてきた石斧をモチーフに、
石を用いて彫刻を制作している姫野さんが石の頭を、
木を用いて彫刻を制作している山本さんが木の柄を作った作品。
二人とも武蔵野美術大学の彫刻科を卒業された方なんですね。
いろんな石斧があって面白い
(実際使えるのかどうかはわからないけど)
国境も言語もない頃から、石を削り、柄を付けて石斧を
作ってきたのかなって、人の根源的な記憶が立ち現れるような?
【M】笠原 巧《無秩序の中の秩序》
実験室のような部屋。
9台の測定機械がカタカタと動いています。
神話に登場する「ガンギエイ」(扁平で大きいがとても薄い)の
長さを測っているのだそうですが、
測定機械に竹の30cm物差し(小学校で使いましたね)が
使われているのがなんだかアナログっぽくもあり‥‥
何をしているのかはよくわからなかったんですが、
なんかカタカタ動く機械が面白かった。
作者も今までアートとは関係ない経歴で、なんか新鮮。
【N】川角岳大《私たちの知らない犬》
‥‥うーん?? これは何? 毛皮と、車の構造体??
犬の視点から見た世界??
犬の視力ってあまり良くないって聞いたことがあるけど、
断片的な毛皮は嗅覚で感じ取っている犬の記憶みたいな
意味なのかなぁ??
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庭の展示を見に行く前に、岐阜県美術館の所蔵品展を見ました。
私は後援会員なので無料ですが、観覧には所蔵品展観覧料
(一般340円、大学生220円、高校生以下無料)が必要です。
「ルドンと日本」というテーマで、岐阜県美術館が多く所蔵している
ルドンの絵と、モローやゴーギャンの絵が並んでいたり、
影響を受けた日本人画家や、
ルドンの絵を所蔵してたって人(誰だったか忘れちゃいましたが
ちょっと意外な画風だった)の絵とか、
--追加--
8月8日(土)「大橋翠石」展へ行った時に所蔵品展見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-08-16
ルドンの絵を所蔵していたのは伊藤清永で、清永の《裸婦》が出てて、
竹内栖鳳の旧蔵だというルドンの絵が展示されているのを確認しました。
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水木しげるのゲゲゲの鬼太郎やねずみ男たちが集まってる
大きな絵が掛軸になってるのが楽しかった!!
ルドンの蜘蛛や、目玉気球と同じ部屋ってのも洒落てます。
そして「春の名品展 日本画と工芸を中心に」
川合玉堂《藤》リアルな藤の花と、筆で一気に描かれた枝との対比、
雀の可愛らしさ、この季節に見られて嬉しい(6月7日までの展示)
展示室2の「アートまるケット アーティストがワタシんトコにやって来た! 岐阜県の滞在制作レビュー」は、前回見た(まぁ、あまり覚えてないんだけど)
のでパス
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美術館を出て、庭へ
アリスティド・マイヨール《地中海》
【O】W.N.project (ワンニャープロジェクト)《Light NOW-イマココ》
白いキューブに描かれた犬と猫のマークがカワイイ。
スタッフの注意を聞いて、1人(1組)ずつキューブに入ります。
扉が2つあって、外側の扉をスタッフが閉めてから、
自分で内側の扉を開けて入ります。
これは「天井と壁に穴を2つ持つカメラ・オブスキュラ」で、
壁には外の風景が逆さに映って、壁の光の点は太陽が映っていた
‥‥んでしょうが、床がキラキラと星空のように輝いていたのが
印象的でした。星空のような光がゆらゆらするように見えたのは、
雲の動きが重なっていたのかなぁ??
あ、W.N.project って、小島久弥と江藤莅夏によるユニットなのね!
2016年夏の
岐阜県現代陶芸美術館「土の冒険のぼうけん」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-09-26
の作家さんたちじゃない!! この展覧会良かったー!!!
美術館の庭の風景。この風景が逆に映ってたわけね。
(なんかぼんやりとモノクロームだったけど)
今回は美術館の隣にある岐阜県図書館の庭も会場になって、
3作品が展示されています。
【P】保良 雄《beclouded, becalmed, belighted》
茶室のにじり口のような入口から入ります。
天井に赤い染み。そこから細い糸が石へと吊るされています。
細い糸を水(かつて国旗にも使われた日本茜から抽出した液体)が
伝って降りています。
ちょうど作家さんがいらしてて(茜の液体の補充?)
お話を聞くことができました。
【Q】と【R】は雨ざらしの屋外だけど、
特に【Q】はいいのかな? オーディオの機器とかありそうだけど‥‥
【Q】高橋臨太郎《Phantom container》
ふいご? 蛇腹? のようなものが取り付けられて、
音が鳴っています。オルガンのような?
弦がこすれるような? (台の上に弦が置いてあります)
「幻肢(失われた手足が今もあるという感覚)を持つ当事者の方の失われた身体のイメージ」
苦痛というより、なんか素朴な音のように聞きました。
【R】占部史人《空とカタツムリ》
布をつなぎ合わせて作られた大きなカタツムリ形の造形。
見てたら「中に入っていいですよ」と。
靴のまま入れました。
螺旋形の天辺から青空が見えます。
「カタツムリの螺旋形には人生の悲哀や世界の大きさを物語る象徴的な意味合いがあるのではないか。」
床は丸竹を並べて作られています。
展覧会、開催することができ、見に行くことができて良かった!!
18作品、どれも意欲的で楽しかった。
そして、キューブの中に1人(1組)しか入れない作品が多いので、
スタッフの方、ありがとうございます。ご苦労様です。
1番はどれか‥‥迷って選べないけど、私のお気に入りは、
【H】北川 純《質量保存の法則》
高層ビルと雑木林、見た目はとても違うけど、同じ地球上の変化に
過ぎないって、環境問題とかも考えさせられたし、なにより素朴な
ビニールの動きで変化していくのが楽しかった。
【B】竹中美幸《記憶の音》 光の色がとてもきれいだった。
【C】大西康明《時間の溝》 白い世界が美しかった。
【D】御宿 至《SOMETHING GREAT ~記憶の風景~》
膨大なモノの迫力! 私の記憶のイメージにいちばん近い。
しかし、前回のAAIC 2017、私のお気に入りと受賞作が
全く違っていましたので、
鑑賞された方の感想、お聞きしたいです。
前回のArt Award IN THE CUBE (AAIC) のこと
岐阜県美術館「清流の国ぎふ芸術祭」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-05-18
岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/
清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2020
公式Webサイト: https://art-award-gifu.jp/
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