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国立西洋美術館「中世からルネサンスの写本」 [美術]

6月27日(土)に行った国立西洋美術館
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は
チケットが買えずに見られませんでしたが、

常設展のすごさに感動したことは前記事
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-25

新館2Fの版画・素描展示室で開催されていた小企画展が
「内藤コレクション展Ⅱ
 中世からルネサンスの写本
 祈りと絵」
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(チラシでは会期が3月3日(火)~6月14日(日)となっていますが、
 6月18日(木)~8月23日(日)に変更になりました。)

常設展のチケットで見られます!
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のチケットでも見られます)
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内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が長年にわたって蒐集され、当館に寄贈してくださった写本リーフのコレクションを紹介する企画」(チラシ裏面の文より)

内藤コレクション展としては、2019年10月19日~2020年1月26日に開催された
「ゴシック写本の小宇宙――文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」
に引き続いての企画で、今回の展示の中心は
時祷書に由来するリーフです。時祷書とは、一般の信者が日々の定められた時間に朗読する、聖書の抜粋や祈祷文などを収めた書物です。主な注文主は王侯貴族や裕福な市民であり、彼らの嗜好を反映した華麗な装飾が目を惹きます。また、15-16世紀のヨーロッパではルネサンス美術が花開きましたが、影響は写本挿絵の世界にも及びました。

展示室入口
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こんな貴重なものが写真可なのが嬉しい!
小さいし、ガラス越しなので上手く写ってませんが。
キャプションはわかるもののみ

《詩篇集より:アカンサス葉の装飾を伴うイニシアルC》
イングランド、ロンドン(?)、1400-25年、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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チラシ表面に使われています。
《時祷書より:受胎告知》リュソンの画家、
フランス、パリ、1405-10年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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《時祷書より:聖杯を持つ福音書記者聖ヨハネ》
北フランス、おそらくアミアン、1430年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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金の彩色がキラキラしていて美しい!


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《『ズヴォレ聖書』より:3つのイニシアルDの
内部に「ダヴィデ伝」の諸場面》
北ネーデルランド、ズヴォレ、1474年、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション(長沼基金)
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ポストカードも買いました。
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ジャン・コロンブの工房に帰属《時禱書零葉:キリスト降誕》
フランス、ブールジュ、1485年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション
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国立西洋美術館: https://www.nmwa.go.jp/jp/

内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」:
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2020manuscript2.html



今年5月3日に放送された「NHK日曜美術館」で、
“世界で一番美しい本”と讃えられる「ベリー侯のいとも豪華なる時祷書」
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/JZ9NX44N57/
のことが取り上げられていて嬉しかった。


私、この本(雑誌? 「中央公論 増刊号」昭和58(1983)年12月20日発行)
「ヨーロッパ中世の四季 木島俊介」
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で「時禱書(じとうしょ)」って知って、
ものすごい時間と手間をかけて作られた
繊細で美しい書物に、すごいなー!!って驚いたんです。
描かれた中世の衣装や風俗も興味深かった。
(中世の騎士道物語とか好きだったので)

表紙は『ベリー侯のいとも豪華なる時禱書』より
四月の野辺での婚約
ランブール兄弟制作 1411-16年頃
シャンティイ、コンデ美術館 蔵


『ベリー侯のいとも豪華なる時禱書』より
若葉の五月の楽しみ
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『恋の駒遊びの書』より
恋の園を訪れる詩人
15世紀末頃制作 パリ、国立図書館 蔵
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『ジャン・ド・クーシーの年代記』より
パリスとヘレネーの帰還
15世紀初頭頃制作 ウィーン、オーストリア国立図書館 蔵
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『ベリー侯の大時禱書』より
天国へ誘われるベリー侯
ジャクマール・ド・エダン他制作 1409年頃
パリ、国立図書館 蔵
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この展覧会を見て、写本が意外に小さく、
なので、描かれている絵や文字がものすごく細かいことに驚きました。
こんな細かい仕事をよくもまぁ! と。


中世好きのウィリアム・モリスが作った
ケルムスコット・プレスはこれら中世の写本を参考にしていることがわかりますね。
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「―アールヌーボーの源流―
 ウィリアム・モリスとその仲間たち」岩崎美術社 より


初期の写本の制作は、修道院の修道士たちの聖務として行われていたそうで、
こんなカンジだったのかなと(^v^)
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青池保子「修道士ファルコ」より

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symplexus

素晴らしい企画展ですね.見逃して残念!
by symplexus (2020-08-03 11:51) 

しーちゃん

symplexus さん、お久しぶりです。nice! & コメントありがとうございます。 とてもいい企画展でした。展示物は全て国立西洋美術館の所蔵作品ですので、また展示される機会もあると思います。コレクションを寄贈してくださった内藤裕史氏に感謝したいです。
by しーちゃん (2020-08-05 15:24) 

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