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国立国際美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」 [美術]

1月9日(土)、大阪の国立国際美術館へ行きました。
今年の初美術展は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」!
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1月7日に東京都など1都3県に緊急事態宣言が出されまして、
私のパート先では予約のキャンセルが続出。
1月9日(土)に入っていた団体も来ないとのことで、
私は急遽9日が休みとなったわけです。
突然空いた土曜日‥‥どうしようかって思って、8日金曜日、

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の公式サイトなど見てたんです。
https://artexhibition.jp/london2020/

大阪展も日時指定制かー、まさか明日なんて空いてないよね
なんて見てみたら、どの時間帯でもチケット取れるじゃないですか!

え?!! 大阪は空いてるの??
今年6月に東京へ行った時に、せっかくだから見たいと思って
チケットを買おうとしたら、土日はおろか発売期間2週間分の
ほぼ全てが売り切れ状態だったんですよ。なので
国立西洋美術館の常設展だけ見てきたんですが
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
(でも国立西洋美術館の常設展すごく良かった!!)

まさか2020年がこんな状態になるとは思ってなかった去年の今頃、
あちこちの雑誌で2020年イチオシの展覧会って取り上げられてましたね。
当初の予定は、東京展が国立西洋美術館で3月3日~6月14日、
大阪展が国立国際美術館で7月7日~10月18日でした。

それがコロナのため、東京展が2020年6月18日(木)~10月18日(日)、
大阪展が2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)に変更になりました。

もしかして名画をゆったりと見られる?? なんて、
ローソンチケットで9日(土)14:00のチケットをポチッとして、
近所のローソンで発券してもらいました。1,700円(手数料無料)


14:00にしたのは、私のことなので、朝ゆっくりと10時頃に車で出て、
西岐阜駅前の駐車場に停め(1日800円)、10:53の列車で、
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大垣・米原の2回の乗換(それも大垣では、前半分がそのまま米原まで行ったし、
米原では同じホームの反対側の列車に乗ればいいという便利さ)で、
13:13に大阪に着くので。(乗車券2,640円)

そこから徒歩で国立国際美術館へ。あちこち見ながら(ちょっと迷った(^^;)
ちょうど14時に美術館に着くことができました。
2021-1-9-(30).jpg
(帰る時に撮った写真)

もしかしてガラガラ? って期待したけど、入場待ちの列もあったし、
田舎者にしたら、やっぱ結構混んでるじゃんって。でも、
コロナがなくて日時指定制でなかったら、
この何倍もの鑑賞者が押しかけてたんでしょうねぇ。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーがこれまで世界のどの場所でも開催したことがない、大規模な所蔵作品展」で、
フェルメール、ゴッホらの傑作を含む全61作品、日本初公開。
なんだそう(公式ウェブサイトより)
LondonNationalGallery-3.jpg
(チラシ中面)

国立国際美術館 地下3階の展覧会場に入ると、

ロンドン中心部、トラファルガー広場に面して建つ
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの壮麗な建物の写真パネルと
挨拶があり、続いて

第1章 イタリア・ルネサンス絵画 の収集

カルロ・クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》1486年
受胎告知ってことだけど、不思議な絵。遠近法で描かれた
建物が装飾まで細かくキッチリと描かれていて、孔雀がいたり、
なんでリンゴとウリが転がってるの??
街の模型を持っているのが聖エミディウスだとか、
あちこち見飽きませんね。

ボッティチッリ《聖ゼノビウス伝より初期の四場面》1500年頃
えー?! ボッティチェリなの? 私の好きな憂い顔の女性が描かれてなくて
ふーーんってカンジなんだけど‥‥

その隣の、ドメニコ・ギルランダイオ《聖母子》1480~90年頃 が素敵!

ヤコポ・ティントレット《天の川の起源》1575年頃
この絵、本かネットかで見たことある! ここの所蔵だったのね。


第2章 オランダ絵画の黄金時代

レンブラント《34歳の自画像》1640年 や、

フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》1670-72年頃
もあって、名画に驚かなくなったというか、でも
このフェルメールの絵は、私ちょっとふーーん‥ってカンジなんですけど。
なんかタッチが粗くないですか? あ、そこが近代になって評価されているのかな?
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(チラシ裏面)

ウィレム・ファン・デ・フェルデ(子)
《多くの小型船に囲まれて礼砲を放つオランダの帆船》1661年 の
穏やかな海と空の色が好きだなと。


第3章 ヴァン・ダイクとイギリス肖像画

ヴァン・ダイク《レディ・エリザベス・シンベビーと
アンドーヴァー子爵夫人ドロシー》1635年頃
優美な姉妹の肖像画。バラを捧げる有翼のキューピッドも素敵。

クピドから花を受け取る妹のエリザベスとその傍らに立つ姉ドロシー。おそらくエリザベスの結婚を契機に描かれた作品です。フランドル出身の画家ヴァン・ダイクは、イギリスで肖像画家として活躍、気品溢れる人物描写と華麗な色彩で王侯貴族を魅了しました。彼の肖像画は、イギリスにおいて19世紀に至るまで絶大な影響力を誇りました。(公式ウェブサイトより)

ヘリット・ファン・ホントホルスト
《ボヘミア王妃エリザベス・ステュアート》1642年
黒いドレスの気品ある女性(さすが王妃さま!)の肖像画、
私とても気に入りました。
ドレスの質感や胸元のレースや宝石も素敵。
犬やバラの花もいいなぁ!

画家の名前をググったら、Wikiに画像があったのでお借りしました。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88
ヘラルト・ファン・ホントホルスト(Gerard van Honthorst,1592-1656)
と表記されていました。
20101124043458!Gerard_van_Honthorst_007.jpeg

ジョージ・スタップス《ミルバンク家とメルバーン家の人々》1769年頃 や
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー《トマス・コルトマン夫妻》1770-72年頃
のような、複数の人物を描いた絵は「カンバセーション・ピース」と呼ばれ、
18世紀のイギリスで人気だったそう。

カンバセーション・ピース! 私が学生時代にハマった
「家族の肖像」というルキノ・ヴィスコンティの映画があるのですが、
人嫌いで孤独に暮らす老教授(バート・ランカスター)が
カンバセーション・ピースのコレクターという設定でした。
初めは無作法で騒々しいと嫌っていた美青年(ヘルムート・バーガー)に
ひかれていくきっかけが、彼の絵についての知識に感心したことだったなぁと。
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あぁ、閑話休題


第4章 グランド・ツアー

18世紀、イギリスでは上流階級の子息たちがヨーロッパ文明揺籃の地であるイタリアを訪れることが流行し、グランド・ツアーと呼ばれる一大現象を巻き起こしました。

カナレット(ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1735年
ヴェネツィアを訪れた記念にこういう絵を持ち帰ったんですね。
さすがお金持ち!!

ヴェネツィアの風景画で有名なカナレットですが、
イギリスに来てイギリスの風景を描いているそう。
《イートン・カレッジ》1754年頃 は、
イートン・カレッジの卒業生あたりが買うことを
見込んで制作されたものではないかと。


第5章 スペイン絵画の発見

ムリーリョがその甘美な画風で18世紀から高い評価を得ていたように、スペイン国外におけるスペイン絵画再評価の先鞭をつけたのはイギリスでした。特に、19世紀初めのスペイン独立戦争にウェリントン公率いるイギリス軍が参戦したことを契機として、同世紀にはベラスケスやスルバランなどの作品がもたらされ、評価が確立されていきました。

ってことで、そうそうたるスペインの巨匠の絵が並んでます。

ゴヤ《ウェリントン公爵》1812-14年
多くの勲章を付けているけど、なんかぼさーっとしたような肖像画で、
(それだけにリアルだとも言える)これ、描かれた人は満足したのかな?
図録の解説でも、出来に満足しなかった公爵が英語とフランス語で
暴言を吐いて、場が大騒ぎとなったという伝承があるそう。

エル・グレコ《神殿から商人を追い払うキリスト》1600年
2012年にここで見た「エル・グレコ」展を思い出しました。
国立国際美術館「エル・グレコ」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2012-11-17

ベラスケス《マルタとマリアの家のキリスト》1618年頃
不満そうな若い女性と老女、窓枠(?)から見える
マルタとマリアの家のキリストの場面。
いろんな解釈がされているみたいです。

スルバラン《アンティオキアの聖マルガリータ》1630-34年
衣服の質感などもキッチリと描かれた若い女性の
ちょっと冷たい表情が印象的。
あ、聖人なの? 竜も描かれているけど、女性の存在感すごい。

でもやっぱりムリーリョ《幼い洗礼者聖ヨハネと子羊》1660-65年
あどけない子どもの姿で描かれた洗礼者聖ヨハネの可愛らしさ!
絶大な人気を誇っていたってのがわかる甘美な絵です。

《窓枠に身を乗り出した農民の少年》1675-80年頃
微笑む少年の表情いいなー!


第6章 風景画とピクチャレスク

イギリス美術を代表するターナーとコンスタブルの風景画
(スミマセン私、コンスタブルは知りませんでした)
二人の巨匠に至る風景画の流れが展示されているとのことですが、

うーん、なんか古臭い風景画‥‥ってくらいにしか(^^;
ちょっと疲れてきてたのかな?

ターナーの《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》1829年 も、
なんだかぼんやりした海の絵、ってくらいにしか‥‥


第7章 イギリスにおけるフランス近代美術受容

チラシのメインビジュアルになっている
ゴッホ《ひまわり》1888年
日本で人気のゴッホ、ゴッホといえば「ひまわり」
初来日ってことで、この作品を目当てに展覧会に来る人も多かったのかな?

ゴッホは生涯で7枚、花瓶に生けられたひまわりの絵を描いているそうで、
会場でも写真で紹介されていました。
最初に描いた4枚は、ゴッホが芸術家の共同体をつくることを夢見た
南仏・アルルで、パリからやってくるポール・ゴーガンを迎えるために
1888年8月に描かれたもので、
そのうちゴーガンの寝室を飾るにふさわしいと自ら認めサインを施したのは、
3作目の、現在ミュンヘンのノイエ・ピナコテークにあるものと、
4作目のこの、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのものの2点のみとのこと。

ちなみに2作目は1920年に大阪で織物業を営む山本顧彌太が購入して
日本にあったが、1945年空襲で焼失したそう(!)

ゴーガンが絶賛したこの4作目のひまわりの絵を元に再制作した
5作目が、現在東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館が所蔵する
《ひまわり》1888年11月末-12月初旬頃

その後、ゴーガンとの共同生活は破綻しますが、
ゴーガンから寝室に飾られていたひまわりの絵を
譲ってほしいという手紙が来て、ゴッホが
3作目を元に再制作したのが、6作目の
フィラデルフィア美術館にある《ひまわり》1889年1月

この4作目を元に再制作したのが7作目
アムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵する
《ひまわり》1889年1月 なんだそう。

ということで、この《ひまわり》は、ゴッホもゴーガンも
認めた作品ってことになるんですが、うーん、確かにいいけど、
それほどの出来?? なんて私は思っちゃったりもするんですが。
なんかちょっと素朴というか稚拙なカンジが‥‥

モネ《睡蓮の池》1899年
あれ? これって、ポーラ美術館の《睡蓮の池》とそっくり?!
https://www.polamuseum.or.jp/collection/highlights1/

なんかこのあたりの印象派、ポスト印象派の絵、
あんまりいいと思わなかったなぁ‥‥疲れてきてたのかな?

1年前に見た愛知県美術館「コートールド美術館展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
マネの《フォリー=ベルジェールのバー》をはじめ、
ゴッホ、セザンヌなど、印象派やポスト印象派の名品が並んでて、
すごくいいなって思った。

その時に知ったけど、イギリスでは印象派が受け入れられたのは
遅くて、コートールド美術館の創設者・サミュエル・コートールドが
印象派、ポスト印象派の作品を収集してコートールド美術館を設立。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーに印象派、ポスト印象派の
コレクションのための寄付をして、ゴッホの《ひまわり》なども
その基金で購入されたんだそう。


なんか不満っぽいことも言ったけど、やっぱり
ロンドン・ナショナル・ギャラリーだけあって、61点の名画、
それぞれ結構大きな絵で、迫力だったし、
西洋絵画の歴史と伝統の重みのようなものが感じられる展覧会でした。

公式ウエブサイトの作品紹介で、
https://artexhibition.jp/london2020/gallery/
なんと61点全ての画像を見ることができます!!(大きな画像で感動!)


そして、入場待ちの列より並んでいたのが、ショップへの列
クリアファイルや、「すみっコぐらし」とのコラボグッズもあったけど、

(私「すみっコぐらし」よく知らないんですけど、人気なんですか?
愛知県美術館「古代エジプト展」でもコラボグッズがあったんですが、
展示そっちのけでショップへ直行する人が押しかけたらしい。
転売目的で、購入するアルバイトもあったんだとか)

図録2,900円(税込)のみ購入。
表紙カバーがゴッホ《ひまわり》と
クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》が
あったけど、受胎告知の方を選びました。
それぞれの作品の解説も詳しくて充実しています(重い!)
LondonNationalGallery-book.jpg

エスカレーターで地下2階へ上がって、
コレクション展を見たことは次の記事で。


ロンドン・ナショナル・ギャラリー展: https://artexhibition.jp/london2020/
国立国際美術館: https://www.nmao.go.jp/
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