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岐阜県美術館「ミレーから印象派への流れ」 [美術]

10月2日(土)岐阜県美術館へ行きました。

「ミレーから印象派への流れ」をやっています。
Millet.jpg
この展覧会のチラシには、会期 9月5日(日)~10月21日(木)
ってあるんですが(今気づいたけど、ちょっと不思議な会期。最終日が木曜だ)

新型コロナのため、岐阜県美術館は8月20日(金)から
臨時休館となってしまいました。
当初は緊急事態宣言期間が9月12日(日)までだったので、
9月13日(月)からの開幕(月曜だけど臨時開館)の予定だったんですが、
緊急事態宣言期間が9月末まで延長されたので、
臨時休館期間が9月30日(木)までになってしまいました。

ということで、10月1日(金)に、やっと開幕を迎えられたわけです。
Millet-2.jpg

最終日が10月21日(木)なのは変わらないので、
わずか21日間の会期‥‥なんですが、
会期中は休館日なし! (月曜も開館!!)
金曜日に加え、土曜日も夜間開館日として20:00まで開館!!!

なので、パートは休みだったけど、いろいろ雑用が入っていた
10月2日(土)、夕方から行くことができました。
2021-10-2-(3).jpg

後援会会員証を提示して入ると、最初が、

Ⅰ ミレーと写実主義

あ、コローだって見た絵が、
コンスタン・デュティユー《風景、夕暮れの効果》ドゥエ美術館

コローとも親しかった画家だそう。

コローの絵も3点展示されていました
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
《カステル・ガンドルフォ、アルバーノ湖畔で踊るチロルの羊飼い》1855-60年
 ウェールズ国立美術館
が良かったなぁ! 穏やかでロマンチックな雰囲気。
このあたり、6月に名古屋市美術館で見た
「風景画のはじまり コローから印象派へ」展を思い出しました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-06-17

ジュール・ノエル《海》トマ=アンリ美術館
小さな絵だったけど、こういうクリアな風景画の方が、
暗くもやっとした風景より、私の好みだなー。
この展覧会、わりと海の絵が多いように感じたけど、
本展では英仏海峡沿いのドゥエ美術館、トマ=アンリ美術館、カンペール美術館に加えて、早くから印象派コレクションを形成していたイギリス、ウェールズ国立美術館から集めた、パリで見られるものとは 異なる個性的な名品をお楽しみいただけます。(チラシ裏面の文より)
ってことで、沿岸地方の美術館の所蔵品ってこともあるのかな。

ヨハン・バルトルト・ヨンキント《オーヴェルシーの眺め》1856年 ドゥエ美術館
も、クリアな風景画で良かった。ヨンキントはモネが師と仰いだ画家だそう。
「風景画のはじまり」展では、ヨンキントはエッチングしか見られなかったから、
今回油彩を見られてよかった。

展覧会のタイトルにもなっている
ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)の絵が7点
うち、6点がシェルブールのトマ=アンリ美術館所蔵

ミレー、初期はこんな絵を描いていたんだって、
なんか暗くてドラマチックな雰囲気の
《アラブの語り部》1840
《モーゼに扮した自画像》1841

ミレーは生まれ故郷に近いシェルブールで肖像画家として名声を得た
ってことで、

《部屋着姿のポーリーヌ・オノ》1843-44

23歳の若さで亡くなった最初の妻の肖像。
顔の色が不自然で気持ち悪い‥‥なんて感じてしまったのは、
貧困のために結核に冒されていたせいなのかな。

《シモン・ド・ヴォディヴィル夫人とその母デロンシャン夫人の肖像》1843-44
母娘の肖像画だけど、これ、注文主は不満なんじゃないの?

チラシ表面一番上に使われている《慈愛》1858-59 は、
穏やかで温かな絵でいいなって思ったけど、その他の絵は
私にはなんかうーーん‥‥ってカンジ。


Ⅱ モネと印象主義

シャルル・クワッセグの《海》と、
《浜辺の小船》どちらもトマ=アンリ美術館
海の荒れる波の表現がいいなって見た。

ギョーム・フアス《銀行家ルブラン婦人の肖像》1880 トマ=アンリ美術館
肖像画なら、こんなふうにリアルに美しく描いてもらいたいですよね。
身に着けた貴金属のきらめきもステキ。

そして、人気の印象派の巨匠たち、
セザンヌ、モネ、ルノアールが並ぶところ、やっぱりいいなって。

ポール・セザンヌ《プロヴァンスの風景》ウェールズ国立美術館
どこにでもあるような林を描いているだけなんだけど、
木々の緑が生き生きしていていい。

クロード・モネ は《睡蓮》1906 ウェールズ国立美術館 と、
ヴェネツィア描いた《パラッツォ・ダリオ》1908 ウェールズ国立美術館
が出てました。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《会話》1912 ウェールズ国立美術館
晩年のふわふわしたタッチの作品です。


フランソワ・ミレー《トゥルプの農場》1890 トマ=アンリ美術館
って絵があって、あれ? これって? とキャプションの横の説明を読むと、
ジャン=フランソワ・ミレーの第3子で長男(1849-1917)
父と同じような牧歌的て自然主義的な風景画や、父の絵の模写もしていると


Ⅲ 印象派以後そしてナビ派

アンリ・ウジェーヌ・ル・シダネル《日曜日》ドゥエ美術館
白いドレスの少女たちが佇んでいるロマンティックな絵、
あれ? この絵どこかで見たけど‥‥
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(図録よりスキャン)

2015年11月に行った
岐阜県美術館「最後の印象派」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-12-19
に出てて、とても気に入った絵でした。

この時、ひろしま美術館学芸部長 古谷可由氏の講演会も聞いて、
シダネル、いいなーって。
岐阜県美術館もシダネルの《月下の川沿いの家》1920年 持ってますが、
ヤマザキマザック美術館の《雪の下の藁ぶき屋根》とても私の好みです。

そして「最後の印象派」展のチラシに使われていて、
なんて私好みの絵なんだ! って思った、
アンリ・マルタン《野原を行く少女》1889年
今回の展覧会には出てなくて残念なんだけど、
その絵の少女と同じようなポーズの《調和》1894年 ドゥエ美術館
が展示されていました。でもちょっとぼんやりとジミなカンジ‥‥

今、ひろしま美術館で「シダネルとマルタン展」をやっているそうですね。
ひろしま美術館: https://www.hiroshima-museum.jp/
巡回はしないのかな?

ポール・セリュジエ《さようなら、ゴーギャン》1906年 カンペール美術館
Serusier.jpg
(図録より)
ゴーギャンが1903年に亡くなった後に描かれた絵なんですね。
左側の人物がゴーギャンで、右がセリュジエ
タヒチに行って亡くなったゴーギャンと、残ったセリュジェ
セリュジェは、ゴーギャンが描いた《こんにちは、ゴーギャンさん》
という絵でゴーギャンが着ていた洋服を着ているのだそう。

私が持っているゴーギャンの画集から
《こんにちは、ゴーギャンさん》
Gauguin.jpg


1880年代からポン=タヴェンに集まった、ゴーギャンを中心とする画家たちを
「ポン=タヴェン派」と呼ぶようになりますが、セリュジェもポン=タヴェンで
ゴーギャンの教えを受けます。その後、パリに戻ったセリュジェは仲間たちと
「預言者」を意味する「ナビ派」を結成します。

岐阜県美術館はルドンの作品を多く所蔵していて、
ルドンのセリュジェやモーリス・ドニの顔を描いた
版画(リトグラフ)を所蔵してますし、

セリュジェ《消えゆく仏陀―オディロン・ルドンに捧ぐ》1916年
などの絵も所蔵しています。ナビ派はゴーギャンだけでなく、
セザンヌやルドンも尊敬していたんですね。

最後に参考資料として、ミレーの名画が原寸大複製画で展示されていて、
《晩鐘》って意外と小さいんだなとか、
《種まく人》はボストン美術館の複製でしたが、これとほぼ同じ絵が
山梨県立美術館所蔵の《種まく人》なんだそう。


図録はちょっと迷ったんですが‥‥今回の展覧会、私好みの絵が
少なかったんですよね。でも知らない画家が多くて、知りたいと思ったこと、
「風景画のはじまり コローから印象派へ」展 で、やっぱり
図録買えば良かったかなと思ったこと、
後援会員割引で2,300円が2,100円で買えること、
最近はちょっと懐具合に余裕が出てきたこと、で買っちゃいました。
Millet-3.jpg

岐阜県美術館では、この他に「不在の観測」という展覧会も
やっています。そのことは次の記事で。


岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/
岐阜県美術館「ミレーから印象派への流れ」のページ:
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/events/millet2021/

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あっ、これから見に行かれる方に注意! 展示室かなり寒いです。
私はこのツイッター見て、薄い上衣を持って行ったんですが、
鑑賞しているうちに、それでも寒くなりました。
(ツイッターはスレッドで出てきてしまうので、インスタを埋め込みました)

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sknys

コロナ・ウイルス感染者数も激減した小春日和。
久しぶりに美術展に行こうとすると、予め日時を決めないと観られないない「予約制」という面倒臭いシステムになっていました。
当日券を求めて早目に外出したけれど、「ゴッホ展」(東京都美術館)は3時間待ち!
‥‥会場内も絵に描いたような3密状態で、これでは 「予約制・入場制限」 した意味がないじゃんと思いました。
岐阜県美術館も予約制なのですか?

ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)はゴッホの「世界最大の個人収集家」。
〈種まく人〉(1888)も展示されていました^^
by sknys (2021-11-20 14:09) 

しーちゃん

sknys さん、コメントありがとうございます。岐阜県美術館は混雑とは無縁の状態で、予約も何も‥‥。この夏の愛知県美術館「ジブリの大博覧会」は予約制で美術館ではチケットが買えず、会場内も混雑してましたが。「ゴッホ展」は名古屋市美術館へ巡回してくるけど、予約制になるのかな? コロナ対策というだけでなく、展覧会はゆったりした状態で見たい‥‥けど予約制はやっぱりちょっと面倒だなぁ(^^;
by しーちゃん (2021-11-22 00:01) 

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