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INAXライブミュージアム(3)世界のタイル博物館

もう1ヶ月半以上前の 2月13日(日)、
INAXライブミュージアムへ行き、

総合受付のある「窯のある広場・資料館」と 「建築陶器のはじまり館」を見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-03-20

ここへ行こうと思った企画展
「ナゴヤモザイク壁画時代」と「ものづくり工房」を見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-03-26

窯のある広場へ戻り、
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「世界のタイル博物館」へ
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常設展 1階の入口
ブルーのタイルで飾られたエントランスアーチも素敵だけど、
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続く壁の装飾が壮観!
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BC3500年頃のメソポタミア地域ウルクの人々が施した
クレイペグによる壁の装飾
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壁の断面が見えるようになっていますが、
クレイペグとは、円錐状のやきもの。
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5500年前のウルクの人々は、推定200万本以上の
クレイペグで装飾空間をつくりあげました。

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この壁は、約5万本あまりのクレイペグを
当時と同じように一つ一つ手作りし、
モザイク模様を土壁に再現したとのこと。
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1階の常設展示室は「装飾する魂」
5500年前のクレイペグ、4650年前の世界最古のエジプトタイル、イスラームのドーム天井など、時代別の装飾タイル空間を、ライブミュージアムにふさわしく、臨場感いっぱいに再現しています。」(INAXライブミュージアム ウェブサイトより)


世界最古のピラミッド、ジェセル王の「階段ピラミッド」の
地下空間にある「魂のための扉」BC2650年頃 の再現
ここに張られたタイルが、世界最古のタイルと言われています。
(2階の展示室でホンモノを見ることができます)
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ブルーの色は生命の色であり、王の再生や復活を願って
ブルーのタイルが張られたのではないかとのこと。


イスラームのタイル張りドーム天井
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イスラームのモスクや宮殿を飾るタイルパターンは、一見複雑に見えても実はコンパスと定規だけを使って描かれる幾何学形が繰り返されています。12種類の形と7色のモザイクタイルを組み合わせて、幾何学の天才たちが生み出したタイルパターンをここに再現してみました。
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住まいに登場したオランダのタイル
ブルー&ホワイトのタイル(17~18世紀、オランダ)
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17~18世紀のオランダでは生活の中にタイルによる装飾を取り込むようになり、フェルメール《牛乳を注ぐ女》のバックの壁の接地面にもデルフト焼きと呼ばれる中国の染付磁器の影響を受けた白地藍彩タイルが描かれているそう。
Wikiのパブリック・ドメイン画像お借りしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9B%E4%B9%B3%E3%82%92%E6%B3%A8%E3%81%90%E5%A5%B3
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イギリス
ヴィクトリアン・タイル(1830~1903年、イギリス)
産業革命によって中産階級が富を得て、タイルを豊かに使い始めます。タイルは当時の美術の流れである「アール・ヌーボー」様式を取り入れた彩り豊かな図柄で、公共の建物から市民の住宅まで広くつかわれるようになりました。
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そして日本のモザイクタイル
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階段に使われているタイルも素敵
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2階の展示室では、
左が、メソポタミアのクレイペグ 紀元前37~29世紀ウルク(イラク)
右が、銘文付日干煉瓦 紀元前22~21世紀ウル(イラク)
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日干煉瓦を野焼した焼成煉瓦
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建物に強度と耐水性を持たせることができた。
王の命令によってつくられた建造物に用いた焼成煉瓦には、
一つひとつに楔(くさび)形文字で名が刻まれ、大切に扱われた様子が伺えるとのこと。

彩釉煉瓦
左下 彩釉煉瓦 紀元前8~7世紀 ジヴィエ(イラン)
右下 彩釉煉瓦 紀元前8~7世紀 アッシリア
 描かれているのは、スフィンクス?
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上 ラスター彩星形タイルと青釉十字型タイル 13~14世紀
ラスター彩と呼ばれる光り輝く色が素敵!
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多彩婦人二人像組絵タイル 19~20世紀 イラン
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複雑なカットワークが施されたタイル
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絵画のような釉下彩タイル
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ウズベキスタン 14-18世紀 のタイル
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左が、シリア 14-20世紀
右が、パキスタン 15-19世紀 のタイル
細かい文様が素敵
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多彩物語図組絵タイル「ホスローとシーリーン」18-19世紀 イラン
叙事詩の一場面が描かれたタイル
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多彩群像図組絵レリーフタイル「ユースフとズライハ」19世紀 イラン
こちらも叙事詩の一場面が描かれています。
透明感のある青い釉薬がとても美しい!
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トルコ 15-17世紀
細かな花の紋様(唐草文?)が素敵。
トマト赤などと称される赤色が特徴的なタイルは、
16世紀後半に登場するが、17世紀には衰退するとのこと。
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モロッコ 14世紀-
色鮮やかなカットワーク・モザイク
細かな幾何学模様が目が回るようで、とても素敵!
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モロッコでは、昔ながらの手作業によるカットワーク・モザイクタイルの制作が現在も行われている。

展示室の床も装飾的で面白い
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左上は、ガウディのひまわりをモチーフにしたタイル
右上は、18世紀頃のスペインの組絵タイル
下段は、グラナダの緑釉タイル
錫釉で化粧掛けをした上に銅(緑)で淡く絵付し、コバルト(青)で輪郭を強調した緑釉のタイルがつくられた。
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オランダのタイル
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17~18世紀のオランダでは、大航海時代を迎えて富を蓄えた新しい市民層が台頭してきた。(中略)中でも人気なのが、中国の染付磁器の影響を受けて、デルフト焼きと呼ばれる陶器質の白地藍彩タイルであった。

聖書の場面が描かれたタイル
教育ツールとしての役割も果たしていたのではないかと。
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オランダ陶磁器工房組組タイル(複製)ティシェラー窯 1978年
1737年創業のフリースランド窯でのタイル製造の様子が描かれている。
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イギリスのタイル
産業革命の時代に富を得た人々は、新しい文化を生活の中に貪欲に取り込んでいった。(中略)1900年前後の建築ブームの中、ミントンやウェッジウッドなどの多くのタイルメーカーによって、多様な様式のタイルが生産された。一方で、画一的な工業製品への反動から、従来の手仕事を再評価するアーツ・アンド・クラフツ運動が起こった。
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象嵌タイル
摩耗しても図柄が消えにくいため、主として床用に使われた。
こんな凝った装飾の床、豪華だろうなぁ!
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物語を描いたタイル
19世紀、古代や中世の物語、ルネサンスやロマン派の文学作品が絵のテーマとして好まれた。」ミントン社のタイル
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チューブライニング風レリーフ
図柄の輪郭を凸の線で表現し、凹んだ部分に多彩な色釉を塗って焼成したタイル。
豪華!
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単彩レリーフ
凹凸をつけた素地に、鉛を含む色釉を掛けて焼成したタイル。
透明感のあるグラデーションが美しい!
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多彩レリーフ
凹凸を施した素地に、多彩な色彩を掛けたタイル。
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東洋趣味
日本や中国の模様を採り入れたタイル
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アーツ・アンド・クラフツ
左が、ウィリアム・モリスのタイル
右が、ウィリアム・ド・モーガンのタイル
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タイルの裏側を見せる展示
メーカー名が印されていたり、剥がれないように凹凸がつけられていたり、
レリーフタイルは、厚さをできるだけ均一にするために裏にも凹凸ができています。
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タイル文化の交流
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中国のタイル
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長いやきものの歴史を誇る中国。
明代、清代の染付磁器は、東西文化の交流の中で中近東のイスラーム圏やヨーロッパで憧れをもって迎えられた。その結果、ヨーロッパでは、オランダのデルフト焼きに代表されるブルー&ホワイトの器物やタイルが人気を博すなど、中国のやきものは西洋のやきものに非常に大きな影響を与えた。

空心塼 紀元前1世紀~紀元1世紀
古代中国で墓室の構造材や装飾として使われた
中が空洞で、文字や人物、馬、樹木などが型押しされている。
(瓦を除くやきものの建築素材を、中国では「塼(せん)」と呼んだ)
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日本のタイル
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古来、日本の建築は木と土と紙でつくられ、素材のもつ美しさを大切にしていた。 西洋の装飾する感覚からは程遠く、繰り返しの装飾を取り込んだのは明治にはいってからである。瀬戸でつくられた本業敷瓦は、西洋の影響を受けて白地に呉須の藍色で文様を絵付け下染付で、日本における最初の本格的なタイルとして、建物の水周りの壁や床に張られた。その後、ヴィクトリアンタイルを模倣したタイルが国産化され、国内のほかアジア諸国で使われるが、やがて日本独自の発展を歩み続け現在に至っている。

本業敷瓦
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「敷瓦」や「腰瓦」「化粧煉瓦」などと呼ばれてきたが、
1922(大正11)年の平和記念東京博覧会において、
壁や床の表面を覆うやきもの平板を全て「タイル」と称することになった。

旭焼、吾郷焼のタイル
日本近代窯業の育ての親とされるドイツ人科学者G.F.ワグネルは、1884(明治17)年、小石川(東京都)に試験工場を設立。そこでつくり出すやきものを「吾妻焼」と名付けた。1887(明治20)年には「旭焼」と改称。1890(明治23)年には深川(東京都)に旭焼製造所を設立する。有名な日本画家が絵付を担当し、主にアメリカへの輸出用に暖炉を装飾するタイルを制作した。
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和製マジョリカタイル
明治時代、洋館のタイル(ヴィクトリアンタイル)を目の当たりにした日本人が、
国産を始め、イギリスでの商品名に倣って「マジョリカタイル」として販売。

当初はデザインを複製していたが、
左が日本製で、右がイギリス製
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徐々に日本独自の意匠が普及し、やがて輸出されるようになると、
海外からの注文に応じて多岐に渡る意匠のタイルがつくられた。
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下段は、東南アジア向け吉祥文マジョリカタイル

タイルの歴史や、世界各地の美しいタイルを見ることができて、
とても面白かった。これらのタイルは、
世界のタイルを収集・研究した山本正之氏(1920-2000)のコレクションとのこと。

スマホで会場のQRコードから、展示解説の特設ページに
アクセスでき、詳しい解説を読むことができるのもよかった。
(日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)対応とのこと)


そして、企画展示室では、
優美な絵付けが施された古便器のコレクションが展示されていました。
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昔、実家の離れのトイレの便器に染付の花の模様が描かれていたのを、
離れを解体する時に初めて知りました。離れのトイレは客用で、
子供だった私はもちろん、家族も使わなかったんですよね。
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大便器と小便器に同じ文様が描かれた“セット便器”
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これらの古便器コレクションは、千羽他何之氏の蒐集品を母体としているとのこと。


レストラン「ピッツェリア ラ・フォルナーチェ」で、
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デザートセット850円をいただきました。
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ミュージアムショップで買った
「ナゴヤモザイク壁画時代」の図録550円 と、
「INAXライブミュージアム コレクション選集」1,980円
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「トイレの最中」1つ 324円(税込)
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最中の皮と、袋入りの餡子が入ってます(^^;
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最中の「便座」を外して、餡子を入れ、
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いただきまーすwwww
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INAXライブミュージアム: https://livingculture.lixil.com/ilm/
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