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名古屋市美術館「ゴッホ展」2022 [美術]

4月6日(水)名古屋市美術館「ゴッホ展」へ行ってきました。
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やっと‥‥というか、4月10日(日)までの会期中に、
なんとか行くことができました。

今年の3月は、とにかく忙しかった!
どれくらい忙しかったかって言うと、この私が
3月中、美術館へ行けてないんです(T.T)

岐阜県では3月21日(月・祝)まで、まん延防止等重点措置が
とられていたはずなんですが、私のパート先、今までは予約されても
まん防だってキャンセルされてた団体が、皆さん来られたんですね。
おかげで、2月とは全く変わって、コロナ前はおろか、
ここ5年間くらいの最高売上を記録!
加えて、通常でも2人、団体が入っているともっと必要な部署なんですが、
3人いるスタッフの1人が体調不良で、3月中頃から休みが続き、
3月末で辞めてしまったので、人手不足で大変!
定休日の日曜だけは休めたけど、もう遊びに行く体力がー
さらに加えて、ダンナが新年度の自治会長に選出されてしまい、
町内の細々した仕事も押し寄せてきて、目が回ってました(@.@;

なので、うーんまぁ、ゴッホは今までも結構見たしー
11年前にも名古屋市美術館で「ゴッホ展」が開催されて
見に行ってますしね。その時の記事がこちら:
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-02-26
(今回のゴッホ展がはじまってから、この記事のアクセス数が上がってるww)

今回のゴッホ展は、副題が
“響き合う魂 響きあう魂ヘレーネとフィンセント”って、
ゴッホの絵を収集したヘレーネ・クレラー=ミュラーに注目した企画で、
クレラー=ミュラー美術館のコレクションが多く出品されてます。
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 20世紀初頭、ファン・ゴッホ作品の世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー。ファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出し、情熱と理念をもって収集活動に打ち込んだヘレーネは、のちにクレラー=ミュラー美術館を設立し、作品を広く公開する夢を実現しました。
 本展では、作品を通じて魂の交流ともいえる深い結びつきを得た画家と収集家の関係に焦点を当て、ファン・ゴッホの魅力に迫ります
。(チラシ中面より)
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クレラー=ミュラー美術館の作品は、
2014年春に愛知県美術館で開催された
「印象派を超えて―点描の画家たち」展 にも多くが来てて、
(タイトルも“クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に”って、
今回のチラシ中面に使われているゴッホ《種まく人》が
メインビジュアルに使われてた)
私、「クレラー=ミュラー美術館の作品の額って、すごくシンプル!」って
感想を持ったんですよ(そこ?)

2017年の愛知県美術館「ゴッホとゴーギャン」展にも
クレラー=ミュラー美術館からゴッホの絵が来てて、
額がシンプルだから、クレラー=ミュラー美術館の絵はすぐにわかるなーと。

この額、今回のゴッホ展の図録によると、
開館時の写真を見ると(中略)ファン・ゴッホの作品は、ヘレーネが特別に選んだ簡素な木目調の額に収められ、適当な間隔をとって壁に吊るされている(写真番号)。これらの額は、作品の鑑賞を邪魔することがないように配慮されており、オランダ時代の作品には濃茶色のチーク材、フランス時代の作品には淡黄色のメープル材を使用するなど、制作年代によって木材の色調は使い分けられている。ヘレーネは(中略)購入したファン・ゴッホの作品はすべて、この額に入れ替えていたという。」(図録214ページより)
制作年代で額の色が変わっていることまでは気が付かなかったなー。

まぁそんなことから、この展覧会あきらめようかなーとも思ったんですよ。
日時指定予約制ってのも、シフトで休みになってても、急遽頼まれて
出ることも多かったので、買うのはためらわれたし。
(チケット購入後の変更や払い戻しはできない)
でもせっかく名古屋でやってるんだしなー

パートも、系列店からの応援を頼んでくれて、私は
4月5日(火)と6日(水)が、久しぶりの平日の休みになったんです。
行くならこの2日間しかないなー
(最終土日の9、10日は当日券の販売はしないとのことなので)

過去記事 岐阜県美術館「ミレーから印象派への流れ」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-10-10
へのコメントで、sknys さんが、
東京都美術館のゴッホ展へ当日券を求めて行って3時間待ち
だったそうだけど、

今回の「ゴッホ展」
東京都美術館で、2021年9月18日(土)~12月12日(日)
福岡市美術館で、2021年12月23日(木)~2022年2月13日(日) に開催された後、
名古屋市美術館で、2022年2月23日(水・祝)~4月10日(日) と巡回してきました。

まぁ名古屋だし、それほどではないとは思ったし、
当日券の販売状況を知らせるツイッターでも、
平日なら当日券買えそうだったので、
でも、4月5日(火)、さあ出かけるぞ! って時に自治会関連の
問い合わせがあって、対応したりしているうちに時間が過ぎ‥‥
気を取り直して翌6日(水)昼過ぎ、やっと出かけることができました。

あちこちで桜が咲いてたり、花が咲いてるのを見つつ、
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電車に乗るのも久しぶりー。


名古屋市美術館
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チケット売り場でスムーズに当日券を買うことができました。
平日一般1,900円

展覧会場も心配した程の混雑ではなく、まあまあストレスなく
鑑賞することができて良かったです。

最初にフローリス・フェルステルというオランダの画家が描いた
《ヘレーネ・クレラー=ミュラーの肖像》1910年 と、

彼女の美術品収集のアドバイザーであった
《H.P.ブレマーの肖像》1921年 が並んでいます。

ヘレーネの肖像画は、彼女は気に入らなかったそうですが、
理知的で意思が強そうな印象。

次に、ゴッホのオランダ時代の油彩画が並びます。

《麦わら帽子のある静物》1881年11月後半-12月半ば
(今回のゴッホ展の図録には、詳しい制作時も載ってる!)
この絵、2011年のゴッホ展にも出品されてて、私はブログに、
「質感がよく描けている」とほめられたという
《麦藁帽子のある静物》も、絵を学び始めた人が
一生懸命描いているという感じの、まぁ、平凡な絵

なんて、まぁ生意気にも書いたもんだって、
今読み返して赤面してるけど、うん、壺とかの質感がよく描けてるじゃん?

その隣に、ヘレーネが最初に手に入れたゴッホ作品だという
《森のはずれ》1883年8-9月
これは私、あまり感心しなかったけど‥‥

機織りをする織工を描いた《織機と織工》1884年6-7月
「醜いモデル」を選んでいると言われた
《女の顔》1884年11月-1885年1月
《白い帽子を被った女の顔》1884年11月-1885年5月
大胆な筆遣いが強烈な印象です。


素描家ファン・ゴッホ、オランダ時代

画家になるためにはまず素描に習熟する必要があると考えたゴッホ
多くの素描が展示されています。

なんか私、ゴッホの素描、あまり上手くないみたいな印象持ってたんですよ。
でも、風景画とか、意外と上手いじゃん、って。
とても真面目に、丁寧に描いてるって感じました。
ま、絵として見ていくのはちょっと退屈で、
混んでたこともあってかなりすっ飛ばしましたけど(^^;>


ヘレーネの愛した芸術家たち:写実主義からキュビスムまで

ヘレーネはゴッホ以外にも多くの画家の作品をコレクションしたけど、
自らが共感を覚えないブリュッケや青騎士を含むドイツ表現主義や、
アンリ・マティスやアンドレ・ドランといったフォーヴィスムの作品は
入手しなかった。
時にはブレマーの助言を無視して(ブレマーは印象派を好まなかった)
ルノワールやピサロの作品を入手したりしたし、

ハーグ派やバルビゾン派など、写実主義の作品を重要視した。

ここに展示されていたハーグ派を代表する重要な画家の一人だという
ウィレム・ルーロフス(1822-1897)
《小屋》1870年頃
なんか日本の素朴な田舎の家みたいな雰囲気で、私好きだし、

同じくハーグ派の画家
パウル・ヨセフ・コンスタンティン・ハブリエル(1828-1903)
《それは遠くからやって来る》1887年頃
日本の田園風景のような中を蒸気機関車が遠くから走って来る
なんか懐かしいような風景でとてもいい!

ヘレーネがアンリ・ファンタン=ラトゥールを高く評価していたってのには、
ちょっと意外というか、
ファンタン=ラトゥール《静物(プリムローズ、洋梨、ザクロ)》1866年
は、もちろん上品でいい絵だとは思うけど‥‥

スーラやシニャックなど、新印象派(あるいは分割主義)の作品の
コレクションが世界最大級だってのは、2014年に愛知県美術館で見た
「クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に
 印象派を超えて──点描の画家たち
 ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」展で知りました。

その時に来てた
ジョルジュ・スーラ《ポール =アン= ベッサンの日曜日》1888年
ポール・シニャック《ポルトリューの灯台、作品183》1888年
ヤン・トーロップ《版画愛好家 (アーヒディウス・ティメルマン博士)》1898-1900年
アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド《黄昏》c1889年 ←これ「点描の画家たち」では
《夕暮れ》ってタイトルだった絵だと思う。
に、また会うことができて嬉しい。私もこれらの絵、
キラキラしたカンジで、明るくて好きだなー。

オディロン・ルドン《キュクロプス》c1914年
おぉ、岐阜県美術館に多くの作品がコレクションされているルドン。
ヘレーネは神話や宗教を題材とする象徴主義の絵画を最初はあまり好きではなかった。
しかし、次第に理解を深め、ルドンの多くの作品を購入したとのこと。

バート・ファン・デル・レック《種まく人》1921年 が面白い!
シンプルでグラフィックなモダンデザインっぽい。
バート・ファン・デル・レックは、
豊田市美術館「モンドリアン展」で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-09-16
モンドリアンに感銘して結成された「デ・ステイル」の
作家だと紹介されてて、そこに出品されてた作品も
軽いカンジがいいなって思った。


乗馬姿が素敵なヘレーネの大きな写真を見つつ、2階の展示室へ上がると、
ファン・ゴッホ美術館から来たゴッホの作品が4点並んでました。

《ニューネンの牧師館》1885年9-10月
両親や妹たちが住んでいた牧師館で、
ゴッホは一時身を寄せるが、父が急死し、妹との諍いがあって、
この家を出る。新しい牧師が任命されれば、家族もこの家を
出なくてはならないので、もうこの牧師館を見ることはできない。
そんな想いを抱きながら描いたのか、暗い色調の絵。

《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》1888年6月
力強いタッチの海の波が迫力だった。
絵具に砂の粒子が含まれていて、実際に浜辺で制作されたものだと。

《黄色い家(通り)》1888年9月
ゴッホがゴーギャンと暮らすために借りた黄色い家。
「ゴッホとゴーギャン展」の講演会で、この絵について、
詳しく解説してもらったので、てっきりその展覧会で見たかと
思ったけど出品リストにはなかった。講演会のスライドだったのかな?
汽車が描かれていて、実際この家はアルル駅の近くだったとか。


それから、パリ時代のゴッホ
「点描の画家たち」展でも見た
《レストランの内部》1887年夏
それまでのゴッホの絵と比べてとても明るくなってます。
でも、スーラやシニャックなどと比べると、点描が雑というか、
そのせいで硬い印象になっていないとも言えるけど。
(スーラなど点描の絵って硬い印象ですよね)


アルル時代
黄色が印象的な《レモンの籠と瓶》1888年5月
大きな黄色い太陽!《種まく人》1888年6月17-28日頃


サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ
ゴーギャンとの共同生活が決裂して、ゴッホは
サン=レミの療養院に自ら入ります。

《サン=レミの療養院の庭》1889年5月
あーこれ、2011年のゴッホ展でクリアファイルを買った絵!
その時のブログに「こういう絵の良さがやっとわかるようになった」って
書いてるんですが、荒れ放題の木々や庭、ほとんど緑一色で、
絵になりにくいんじゃないかって思える場所を描いているんだけど、
なんか植物のエネルギーが伝わってくるようで、いいなって。

ゴッホの絵って、見る側の体調? というか感じる力ってのも
あるんじゃないかって思う。私、以前はゴッホの絵のタッチの粗さ
というか雑さ、みたいなのが、どうもダメだったんですよね。

そして、やっぱり最後に展示されていた、今回の展覧会の目玉とも言える
《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃
ゴッホがサン=レミの療養院を出るのが1890年5月16日なので、
この作品はサミ=レミで描かれた最後の作品だろうと。
その年の7月27日にゴッホは自分の胸をピストルで撃ち、
7月29日に弟テオに看取られながら息を引き取った(享年37歳)
とのことで、最晩年の糸杉が描かれた作品。
記憶から描かれた風景だそう。

空も道もウネウネした筆致で描かれていて、
走って来る馬車が落ちてしまうように見えたり、
この糸杉が生えている場所と道との高低は? なんてことも
思ったりするんだけど、やはり、すごい迫力です。


やっぱり展覧会、来て良かった。
ゴッホは今までも結構見たし―、なんて思ったけど、
いい絵は何度見てもいいというか、新しい発見がありますね。

ちなみに、今まで2回以上見た絵をチェックしてみました。
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(あくまで私が出品リストから書き出したものなので、
漏れや間違いがあるかもしれません。素描などは含めてません)


展覧会のショップでは、サンリオのキャラクター
「シナモロール」とのコラボグッズなどもあったみたいだけど、
混んでたし、とりあえず私は図録だけ購入。
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《夜のプロヴァンスの田舎道》が表紙に使われている図録
艶のあるニスが油絵のタッチのように追加印刷されていて、
ゴッホの絵の輝きがより再現されているように見えて素敵!
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オリジナル図録袋付 2,400円(税込)
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そういえば、ゴッホ展の図録買うの初めてだなぁ。
(最近ちょっと家計に余裕がある(^v^)


名古屋市美術館地下1階の展示室3では、
ゴッホ展の映像が上映されていました。

今回の展覧会の絵がオランダのクレラー=ミュラー美術館から
東京都美術館に運ばれて、展示されるまでの映像が興味深かった。

東京都美術館に着いても24時間以上は収蔵庫に運ばれて保管されるとか、
《夜のプロヴァンスの田舎道》だけ、
作品と額縁だけに光が当たっていて絵が際立っているとか。
(他の作品はふんわりとした光が周辺にも当たっている)


地下1階の常設展示室では「2021年度名品コレクション展Ⅱ」
最初のコーナーで、北川民次《赤津陶工の家》1941年 が
水彩の下図と共に展示されていて、
INAXライブミュージアムの「ナゴヤモザイク壁画時代」で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-03-26
北川民次の壁画が紹介されていたことを思い出しました。

北川民次の絵は、最後の展示室でも、
メキシコで描いた絵から、瀬戸の風景や働く人を描いた絵、
《雑草の如くⅡ》1948年 下でひしめく人を見下ろして、
テーブルの上で女性と戯れながら酒を飲む2人は、
東郷青児と北川で、二科会を風刺した絵ともとれるみたいな
解説を読んで、さすが反骨の画家、自分にも容赦しないなぁって。

閉館時間が迫ってたこともあり、あまりゆっくり見られなかったんですが、
赤瀬川源平の「模型千円札事件」の作品や資料などが展示されてたり、

レトロなテレビが組み合わさってロボットみたいな形になった
ナムジュン・パイク《ロボット家族(お父さん、お母さん)》1986年
目を引きました。

山本富章のカラフルな作品も展示されていました。
豊田市美術館「山本富章|斑粒・ドット・拍動」を思い出します。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-06-28


はー、やっぱり美術館はいいです!

名古屋市美術館: https://art-museum.city.nagoya.jp/
展覧会公式サイト: https://gogh-nagoya.jp/

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展覧会の感想が書けてないけど、クレラーミュラー美術館から
作品が来てた展覧会のチラシ貼っときます。

愛知県美術館「印象派を超えて──点描の画家たち」展 2014年
DIVISIONISM2014-(1).jpg
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愛知県美術館「ゴッホとゴーギャン」展 2017年
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先行チラシが豪華!
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観音開きを開けたところ
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ゴッホとゴーギャンのバージョンがあります。
Gogh&Gauguin-(6).jpg
Gogh&Gauguin-(7).jpg
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