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東京都美術館「エゴン・シーレ展」 [美術]

3月29日(水)、東京都美術館へ行きました。
「レオポルト美術館
 エゴン・シーレ展
 ウィーンが生んだ若き天才」
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今年の展覧会を紹介した雑誌を見て、
わー! エゴンシーレ!! 行きたいって思ったんですが、
パートが忙しかったり、自治会長のダンナの雑用とかもあり、
東京まで行くのは難しいなーって、
ちょっと諦めかけてたんですが、
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3月5日の「日曜美術館」で取り上げられていたり、
読んでいる gillmanさんのブログでも
https://gillman.blog.ss-blog.jp/
展覧会について(サイドバーで)書かれていて、
行きたい気持ちがどんどん高まってきたところで、

パート先もちょっと一段落して、
大学生が春休みで入ってくれたので、
3月29日(水)・30日(木)と連休を取り、
自治会長の引継ぎを28日にして、
(おかげてその前の夜は資料整理でほとんど徹夜ww(^^;;

展覧会公式サイト https://www.egonschiele2023.jp/ から、
29日(水)12:00~13:00のチケットを予約して、
(観覧料一般2,200円のところ、65歳以上は1,500円!)
東京へ出かけました!

新型コロナの規制もほぼなくなって、新幹線も混んでます!
(まだほとんどの乗客はマスクしてますが)
上野に着いたのが、12時10分前くらい。

今年の東京は3月22日に全国で最初に桜の満開が観測されましたが、
この日、上野の桜はまだ満開状態の見頃で、お花見の人もいっぱい!
外国人も多かったです。
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東京都美術館(この写真を撮影したのが12:00)
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展覧会の会期も残り少なくなって、
展覧会場入口前には長い列ができてました。
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ちょっと迷ったけど、音声ガイド借りました。650円


第1章 エゴン・シーレ ウィーンが生んだ若き天才

会場に入ってスグの正面に展示されていた絵は、
豊田市美術館蔵の
《レオホルト・ツィハチェックの肖像》1907年
ではありませんか!

豊田市美術館で見て、えー?!これもシーレなの? って
驚いた絵。初期の絵だろうなとは思ってたけど、
シーレ17歳の作品!
16歳で難関の美術アカデミーに合格したシーレの
高いデッサン力がよくわかる作品です。

描かれているレオポルト・ツィハチェックは、
シーレの叔父で、シーレの父が亡くなった後に
後見人となった人なんだそう。

豊田市美術館でもあまり展示されていないので、
専用(?)のガラスケースに入れられて、多くの人に
注目されてるのを見て、なんか誇らしいような?気分。

2018年に、豊田市美術館「プリューゲル展」をやってた時の
常設展で展示されていた写真
豊田市美術館「コレクション:閉じる、開く、また閉じる。」他:
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-06-10
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この時、豊田市美術館こんなにシーレの作品持ってたの?!って
驚いたんですよね。今回の展覧会にも来てる
《カール・グリュンヴァルトの肖像》はもちろん、
デッサンや版画も展示されていました。

豊田市美術館 エゴン・シーレのコレクション:
https://www.museum.toyota.aichi.jp/collection/egon-schiele


第2章 ウィーン1900 グスタフ・クリムトとリングシュトラーセ

この展覧会、「エゴン・シーレ展」ってタイトルですが、
クリムトなど、ウィーン世紀末の作品も多く展示されています。

2019年の国立新美術館「ウィーン・モダン」展:
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-06-18
の後半ともちょっと共通するような展示
「ウィーン・モダン」展でも、シーレの自画像はじめ
油彩やドローイングなど結構展示されてましたね。

京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」展:
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-02-23
で見た作品もありました。


第3章 ウィーン分離派の結成

ウィーン分離派展のポスターは、
「世紀末ウィーンのグラフィック」展などでも展示されてましたが、
このあたりのグラフィック・デザインは私のツボ!
文字のデザイン処理とか、すごくモダン!

そして、ここに展示されていた
エゴン・シーレ《菊》1910年 が良かった!

日本の漆器の装飾のようにも見えました。
この頃のシーレを「銀のクリムト」と呼んだ人もいたそう。


第4章 クリムトとウィーンの風景画

クリムトが多くの風景画を描いたことは知られていますね。
《シェーンブルン庭園風景》1916年
正方形のカンヴァス、池に映る緑の木々が装飾的でいいなぁ。

チロル地方の画家 アルビン・エッガー=リンツ(1868-1926) の
《昼食(スープ、ヴァージョンⅡ)》1910年
農民の昼食風景が、光り輝いているように描かれていて良かった。


第5章 コロマン・モーザー 万能の芸術家

コロマン・モーザー(1868-1918)
ウィーン工房のデザイナーとして、グラフィックをはじめ
家具やテキスタイル、金属製品などのデザインを手がけてます。

ウィーン工房を去った後は主に画家として活動したとのことで、
《キンセンカ》1909年 の鮮やかな色彩の対比が素敵でした。


エスカレーターで1階へ上がると、

第6章 リヒャルト・ゲルストル 表現主義の先駆者

リヒャルト・ゲルストル(1883-1908) は、
gillmanさんのブログで知りました。
https://gillman.blog.ss-blog.jp/

今回の展覧会の多くの作品の所蔵先・ドイツの
レオポルト美術館で、ゲルストル展を見たそうで、
《半裸の自画像》1902/04年 がとてもいいと書かれてました。
青い背景の中、光に包まれたように立つ半裸の男性
鋭い目がまっすぐ前を見ています。
迫力というか、神々しさのような雰囲気も感じる自画像で
すごかった。

「ウィーン・モダン」展には、ゲルストルが描いた
《シェーンベルクの肖像》1907年 が来てましたね。
その時は私、描かれている作曲家シェーンベルクに
気を取られてたんですが、
(シェーンベルクが描いた絵も展示されてました)
ゲルストルはシェーンベルクの妻と恋愛関係に陥り、
そのことが深刻な事態を招き、1908年11月に自殺。25歳


第7章 エゴン・シーレ アイデンティティーの探求

《ほおずきの実のある自画像》1912年
シーレの代表作の一つともいえる自画像。今回の展覧会の
メインビジュアルとしてチラシやポスターに使われてますが、
やっぱりいいなぁ!
この作品、当時の恋人の肖像画
《ワリー・ノイツェルの肖像》と対になるように描かれていたとか。

《抒情詩人(自画像)》1911年
激しいタッチが強烈な印象。
不自然な姿勢に、体はどうなってるのか? どこまでが背景?
なんてことも思うけど‥‥とにかくスゴイ迫力。

展覧会の2階出口にあった記念撮影パネル
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シーレは《抒情詩人(自画像)》を描いた頃、
詩も書いていたとか。


第8章 エゴン・シーレ 女性像

シーレというと、エロティックな女性像ってイメージなんですが、
1912年、家出してきた少女をアトリエに泊めたことや、
猥褻画を頒布したということで逮捕され、刑務所に収監されてます。

チラシ裏(?)面に使われている《母と子》1912年 も、
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《母と二人の子供Ⅱ》1915年 も、母親がガイコツのようで
ちょっと不気味‥‥母子の情愛みたいなものは感じられません。
シーレは母親に対して複雑な思いがあったようです。


第9章 エゴン・シーレ 風景画

この章は撮影可でした!!
《吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)》1912年
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一見、抽象画のような枯れ木の絵。
自然や風景を写したのではないことはわかります。
孤独感とそれに抗うようなエネルギーを感じます。

《丘の前の家と壁》1911年
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家を描いているけど、現実の風景を写そうとしたのではないですね。
厚塗りの絵具がいい感じです。

《ドナウ河畔の街シュタインⅡ》1913年
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《モルダウ河畔のクルマウ(小さな街Ⅳ)》1914年
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見下ろすような視点で描かれてますが、なんか平面的で、
絵本の中の街のようにカワイイって思っちゃいました。
(けなしているのではなくて、この絵、私結構好きです)

《小さな街Ⅲ》1913年
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暗い水面が画面下を大きく占めて、グラフィックなカンジ。

《クルマウのクロイツベルク山麓の家々》1911年
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シーレは風景でもドローイング上手いなぁ。
鉛筆の線がとても素敵。

《荷造り部屋》1917年
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軍隊での注文によって描かれた絵のせいか、
結構きちんと(?)写生されてますね。


第10章 オスカー・ココシュカ “野生の王”

赤い男を抱きかかえるガイコツのような女の
《ピエタ(「クンスシャトウ、サマーシアター」の演目、
「殺人者、女たちの野望」のポスター)》など、
インパクトあるポスターは「ウィーン・モダン」展でも
展示されてましたね。


エスカレーターで2階へ上がって

第11章 エゴン・シーレと新芸術集団の仲間たち

シーレが代表を務めた新芸術集団の仲間たち
アントン・ファイスタウアー(1887-1930)
アントン・コーリヒ(1886-1950)
アルベルト・パリス・キュータースロー(1887-1973)
ロビン・クリスティアン・アンデルセン(1890-1969)
の絵が展示されていました。


第12章 ウィーンのサロン文化とパトロン

豊田市美術館が誇るエゴン・シーレ
《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年
 が展示されていました。

豊田市美術館で撮影した画像
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この展覧会では二重の額に入れられて、
絵が一回り大きくなったみたいに見えました

カール・グリュンヴァルトはシーレが第一次世界大戦の
軍隊に召集された時の上官。芸術愛好家であった彼は
シーレのよき理解者となり、兵役中にもある程度
制作活動を続けることを許されます。


第13章 エゴン・シーレ 裸体

シーレの裸体ドローイング。上手いなぁ。
後にクリムトのドローイングも展示されていたけど、
ふわふわとした頼りなげなクリムトの線に比べて、
シーレの線はとても力強い。


第14章 エゴン・シーレ 新たな表現、早すぎる死

豊田市美術館も所蔵していて「ウィーン・モダン」展などでも見た
(ここに展示されていたのは宮城県美術館蔵のもの)
《第49回ウィーン分離派展》ポスター
シーレが原画を描いています。
空の椅子は1918年2月6日に亡くなったクリムトを示しているとのこと。

クリムトが亡くなって、シーレがオーストリアを代表する
芸術家と目され、第49回ウィーン分離派展では
多くの作品を展示し、大成功を収めます。

横長の大きな画面に裸の女性が大胆なポーズをとる
《横たわる女》1917年
シーツのシワが様式化されたように丹念に描かれて、
シーレならではの独特の絵で、
今回これが見られて良かったけど‥‥
私は1911~14年頃の神経質的な絵の方が好きだなー。

しかし、そんな絶頂期も――
1918年、大流行したスペイン風邪に、妊娠6ヶ月だった
妻・エーディトが感染し死去。看病にあたったシーレも
妻の死から3日後の10月31日に亡くなります。
28歳という若さ!


戦争が終わったのだから、
 僕は行かねばならない。
 僕の絵は世界中の美術館に
 展示されるだろう。

   ――エゴン・シーレ 1918年

1階のエスカレーター前のパネル
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百年前もパンデミックがあったんですね。
日本でもスペイン風邪の流行があり、
村山槐多が1919年、22歳で亡くなっています。
新型コロナの流行が始まるまで、
スペイン「風邪」という言葉で、私、当時の状況を
あまりイメージできずにいたんですが、
コロナみたいな状況だったんだな‥‥って。

もちろん図録購入3,500円(税込)
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ずっしりと大きく重いので、
これから持ち歩かなければいけないことを考え、
オンライン販売ってことも考えたんですが、やはり
スグ読みたいですからね!

エゴン・シーレ展図録オンライン販売:
https://shop.asahi.com/category/ASAS10/BKTZ230201010.html

そして《モルダウ河畔のクルマウ(小さな街Ⅳ)》の一部を
使ったTシャツも買っちゃいました。3,300円(税込)
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もちろんこの絵が気に入ったこともありますが、
このTシャツならフツーに普段着として着れるかな? と。
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展覧会来られて良かった。
展示作品が多すぎて、ちょっと疲れたかな? って気も
しないでもないけど‥‥シーレの作品に特化してもよかったかも。
(でもゲルストルの《半裸の自画像》は見られて良かった)


東京都美術館: https://www.tobikan.jp/
エゴン・シーレ展公式サイト: https://www.egonschiele2023.jp/


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今回の「エゴン・シーレ」展、30年ぶりってことですが、
私はその30年前の展覧会は知りませんが、

1979年に西武美術館で開催された
「運命の画家エゴン・シーレ展」のチラシ
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油画専攻の友人(の友人)が熱く語っていました。
絵も素敵だけど、モディリアーニのように
若くして亡くなったことも、ドラマチックだと。
私、それまでエゴン・シーレは知らなかったかも?
この展覧会、見に行ったかどうか記憶にありません。
(結局行ってないような‥‥)


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3月5日放送の「日曜美術館」
「孤高のまなざし“エゴン・シーレ”」で紹介されていた
シーレの絵をモチーフにした人形を制作している
ドールアーティストの宮崎郁子さんの人形、
とても素敵ですね! 展覧会開催されないかなぁ?


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sknys

夜間開館日(3月31日)に行きました。
当日券(トビカンのチケットカウンター)は待たされるのかと思って、近所のコンビニで発券予約してみました。
「国内30年ぶりのシーレ展」と謳っているけれど、レオポルド美術館から出品されたエゴン・シーレの作品は42点。
クリムトやオスカー・ココシュカなど、ウィーン分離派の作品も多数展示されていて、ちょっと肩透かしを喰らいました。
「運命の画家エゴン・シーレ展」(西武美術館 1979)にも行きましたよ^^
by sknys (2023-04-21 12:59) 

しーちゃん

sknysさん、「運命の画家エゴン・シーレ展」行ったんですか!! 油画科の友人の友人に強く勧められたんですが、多分行かなかったと思う(記憶がない) あの頃は展覧会そんなに行かなかったなー。
そう、この展覧会、クリムトやウィーン分離派の作品も多くて、まぁそちらも私好きだからいいんですけど、エゴン・シーレの作品だけでいいから、もっと見たかったなって気も(^^)
by しーちゃん (2023-04-23 23:28) 

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