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あいちトリエンナーレ2019(5) 名古屋市美術館 [美術]

しつこくあいちトリエンナーレ2019のレポートを続けます。

豊田エリア良かったけど、まだ見てない作品があるので、
先に名古屋市美術館のレポートから。
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あいちトリエンナーレ2019で名古屋市美術館へ行ったのは、
8月27日(火)が1回目。愛知県美術館友の会の鑑賞会が10:30から
あったんですが、私のことなので‥‥時間に間に合わず
1人で鑑賞しました。その日は午後から愛知県美術館の鑑賞会で、
そちらに間に合うようにと、途中からかなり急いで見たこともあり、
9月24日(火)にもう一度回りました。なので、写真が混在しています。

名古屋市美術館の周囲にカラフルなゴミ箱が設置されているんですが、
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これ、作品なんです!
【N12】バルテレミ・トグォ
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袋にはアフリカ54カ国の国旗がプリントされ
あ、万国旗かと思ったら、アフリカの国旗だけなんですね。

カメルーン出身である作家は、西洋とアフリカの関係性を背景に作品を作り続けています。 植民地時代から続く歴史の中で、宗主国より様々なことを押しけられてきたアフリカという存在について思いを巡らせると、このゴミ箱が象徴する局面へと想像が及びます。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/N12.html)

植民地としてアフリカはゴミ箱のような存在だったと?
作品とは思わなかったのか? ゴミが捨てられているのもありました。
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フリーパスを提示して最初の展示室へ入ると、
【N01】碓井ゆい「ガラスの中で」
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巨大なシャーレのような透明なアクリル枠が天井から吊るされて、
アップリケや刺繍が施されたオーガンジーの布が張られています。
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天井からの光で儚げで美しい。
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乳児や家族に関連するモチーフが2つずつ描かれているのは、
「染色体の構造にならい、左右対称で二つひと組みとなって」いるからだそう。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/N01.html)


【N02】今津景《生き残る》
吹き抜けの展示室に吊るされた巨大な幕とキャンパスに描かれた絵。
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壁のプロペラには踊るゴリラが映し出され、
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トカゲ(?)の前のスクリーンにはいろんなイメージ――
ポリゴンのような銃撃者、ジャングルや動物や人間など、
いろんなモチーフが絡み合い、現れては消える‥‥
破壊される自然?


【N03】藤井光《無情》
「海ゆかば」の歌声が響く展示室。モノクロの古い映像は、
国立台湾歴史博物館に収蔵されている歴史資料で、
台湾の人々を「日本人化」する目的で台湾内に複数設置された
「国民道場」の様子を報じたもの。
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そして、横の壁の4面のカラー映像は、
愛知県内で学び働く若い外国人らが、フィルムの中で行われている訓練や、宗教儀礼の様子を再演した映像
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映像の冒頭に挿入される文章は、日本で育った台湾人文学者、周金波による「国民道場」を舞台にした1944年発表の小説『助教』(日本統治下の 台湾総督府情報課委嘱作品)より引用されています。
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作家は近年、歴史的な事象を現代において再演する手法(リエナクトメント)を用いて作品を制作・発表しています。再演することによって、単にこれらが過去の事実であったということ以上の感情を、現代の観客に対して呼び覚まします。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/N03.html)

確かに‥‥古いフィルムは貴重な記録で、こんなことが行われていたんだなぁって
感慨がありましたが、どこか歴史的な目で見てたんです。それを
若い、日本それも愛知県内で働く外国人が再演すると、今、
外国人研修生の待遇なども問題になっていたりするけど、
同時代の問題は、近視眼的になって冷静な目で見ることができないだけに、
考えさせられました。
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【N04】モニカ・メイヤー《The Clothesline》
「表現の不自由展・その後」の中止を受けて、展示内容が変更されています。
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モニカ・メイヤーは、メキシコのフェミニスト・アートのパイオニア的存在で、
彼女が1978年に始めた《The Clothesline》という参加型プロジェクトでは、ピンク色の紙に、参加者が日常生活で感じる抑圧やハラスメントなどを匿名で書いてもらったものを展示する。」という展示だったのが、

これまでに集まった回答は取り外され、新たな回答は受け付けられず、
回答用紙が床に散らばっています。
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‥‥この作家らしい抗議のやり方だと思いました。
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名古屋市美術館地下1階 常設展示室3の
【N40】アート・プレイグラウンド つくる CREATE の入口前で、
モニカさんの同意のもと、自主的な企画として、
《子ども版 The Clotheslin》というプロジェクトが行われています。
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Q.子どもとして、嫌だな、と感じたことはありますか? それは何でしたか?
という問いの回答が展示してあります。
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うん、これいいですね! 今の日本では、強くなった女性(でもまだまだだとは感じる)より、
子どもの方が、虐待や抑圧にさらされているのかもしれない。

モニカ・メイヤーさんのプロジェクトの意義がわかったような気がしました。
本来の展示も見たかったです。


【N05】桝本佳子《五重塔/壷》ほか
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おー!! これ面白いです!! 私、岐阜県美術館後援会員になってて、
3,000円の年会費で、岐阜県現代陶芸美術館の展覧会も
企画展毎に1回ずつ無料で見られるので、近年見に行くようになって、
現代陶芸のオブジェ的なものも面白いなって見るようになったんですが
(陶芸の技術的なことはあまりわからない私には、むしろ
伝統的な抹茶茶碗とか壺なんかよりそっちの方が面白い)
こんな、伝統的な陶芸と現代的なオブジェを組み合わせた作品って
見たことがなかった!!
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伝統的な陶芸のパロディ?
ちゃんと伝統的な技法を見に付けた人でないとできない造形ですね!
かなりの超絶技巧なのでは?
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《カジキ釣り/壷》
波が描かれた大きな壺、明治の超絶技巧を扱った展覧会なんかで
見そう。その壺からカジキが飛び出ているのが面白い!!
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壺や皿で街ができています。
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学校。校庭で遊ぶ子どもたちが赤絵?の技法で描かれています。
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《イカ/壷》
この白いキラキラはラスター彩?
イカの中でランプがほのかに光るのがいい!
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《メロン/壷》
確かに、この壺(緑釉?)の表面ってメロンを想像させますよね!
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壺から鳥が出てきたみたいな。
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お皿に伝統的な技法で描かれた絵と立体が融合しています。
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《壷/桜》
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《圧縮紋(武人埴輪)》
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《五重塔/壷》
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陶芸の知識がもっとあると、この人の技術のすごさがもっと
わかるかもしれない。


階段を上って2階の展示室へ。
【N06】パスカレハンドロ
(アレハンドロ・ホドロフスキー&パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー)
サイコマジック:アレハンドロ・ホドロフスキーへの手紙
「アレハンドロ・ホドロフスキーのソーシャル・サイコマジック」

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壁に手紙が張り出してあり、その訳文が冊子になっています。
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奥の部屋の映像はアートとセラピーを組み合わせた
「サイコマジック」の様子とのことだけど、なんか‥‥
カルト宗教みたいな印象なんだけどー
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熱狂する人々‥‥なんか私はこういう雰囲気苦手。
ちょっといかがわしいって感じてしまうんですけど。
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【N07】青木美紅《1996》
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18歳のある日、母親から、自身が両親に切望されて配偶者間人工授精で産まれてきた 子供であることを知らされる。それは、幼い頃より彼女が感じてきた 「尋常でない母親からの愛」に理由があったのだと感じた瞬間でもあった。 奇しくも世界初のクローン技術で生まれた羊の「ドリー」と同じ年に生まれた彼女は、 以降自分を含めた「選択された生」にまつわる偶然と必然、 与えられた祝福と呪詛について考察を続ける。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/N07.html)
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展示室びっしりにラメ糸などで刺繍された布が張り巡らされ、
あちこちにゾートロープ(映像的に回転する連続絵)や、
自動的にめくれる絵本などが展示されたインスタレーション。
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なんか展示室の密度がすごく濃いっていうか圧倒されます。
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動画OKだったので、ゾートロープの1つを



【N08】タニア・ペレス・コルドヴァ
一列に並べられた7つの作品からなるインスタレーション
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《Time-lapse》
灰と化粧品と石灰化した土からできているそう。
「Time-lapse」とは、低速度撮影とか、コマ落し って意味らしいですが??
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この作品がやっぱり目を引きます。
《Second Figure standing next to a fountain》
三つ編みにされた長い髪の毛が天井から吊られ、
バケツのなかで自動的に洗髪されています。
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軽石に唇の彫刻が施されています。
《Mouth》 ‥‥そのままのタイトルですね
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《Portrait of a woman passing by》
模様のある大きな壺が置いてあります。
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花瓶と同じ図柄のワンピースを着た女性が会場内に現れるかもしれません
って、パフォーマンスがあるみたい。
(あいちトリエンナーレHP https://aichitriennale.jp/artwork/N08.html)
パフォーマンスの写真ありました(^▽^)

《Various pocket coins》
メキシコとアメリカのコイン(複製)が溶け合っているように見えます。
微妙な関係にある両国の価値体系を象徴するコインは、物理的に溶け合い交じり合った状態」だと。
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《Placebo》
Placebo‥‥偽薬って意味。プラシーボ効果とか言いますね。
アルミニウムの彫刻に、金色のチェーンネックレスと
純金のチェーンネックレスが使われているそう。
私にはどちらが純金なのか見分けがつきませんが。
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《Un parpadeo》
大理石の円柱の上には水盤が形成され、中にはカラーコンタクトレンズが片方だけ密やかに配されています。 もしかしたら同色のコンタクトをした人物が会場内にいるかもしれません。
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【N09】Sholim《Sholim Inspired by Tokyo Story》
わーー! うなされそうな画像!!
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マグリットの絵のようでもあります。
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これらは「GIFアニメーションの作品群です。作家はインターネット上で人気を誇るGIFアニメクリエイターで、日本で行われるGIFアニメ コンテストの審査員なども務めています。

Sholim の作品は、手持ちのスマホで鑑賞できるそう!
インターネット時代ならではの作品ですね。
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【N10】カタリーナ・ズィディエーラー《Shoum》
英国ニューウェイヴ・バンドのTears for Fearsによる1984年のヒット曲「Shout」を聞きながら、二人の男性が手分けして文字を書き連ねています。
セルビア人である彼らは英語がわかりません。聞こえてくる歌詞の音の響きに、知っている言葉で近いものがないか探り、何にも似ていない言葉に独自の解釈を加えてなんとか文字にしようと試みます。

(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/N10.html)
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外国語がわからない日本人が外国の歌を聞いて、テキトーにカタカナにするみたいな?

移民が言葉がわからない国に行って不安になるカンジ?

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あいちトリエンナーレのチケットで、地下1階のコレクション展も
見ることができます。

最初に喜多村麦子(1899-1986)《暮れ行く堀川》1928年がかかっていて、
初めて知った画家ですが、昭和初期の堀川に多くの舟が泊まっている
風景の日本画で、へーって見ました。

現代美術はくり返しや連続というキーワードで
アグネス・マーチンや山田正亮のストライプの作品や、
ショーン・スカリーなどが展示されてて、まぁいつものことながら
ふーーんってカンジで見てきました。

中村宏《車窓編 TYPE10-A,B,C》は、車窓にレオナルドダヴィンチ、
セザンヌ、デュシャンの絵が見える1981年に描かれた絵ですが、
今見ると、車窓がスマホの画面のように見えるなって。

エコール・ド・パリのコーナーでは、名古屋市美術館が誇る
モディリアーニ《おさげ髪の少女》はもちろんですが、今回、
パスキンの絵が並んでいて、あら名古屋市美術館こんなに持ってたんだ!と。
岐阜県美術館「パスキン展」のことはこちら:
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-07-13

そして、今年6月に名古屋市に寄贈された藤田嗣治晩年の絵2点が
名古屋市美術館で初公開されていました。
中日新聞6月21日(金)夕刊の記事
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この作品たち、岐阜県美術館「小さな藤田嗣治展」に出てた作品だ。
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04

翌6月22日(土)中日新聞朝刊の記事
寄贈者・平松潤一郎さんと河村たかし名古屋市長とが写っています。
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中日新聞7月12日(金)夕刊の記事。藤田嗣治の名画を寄贈する記事に、
作品の写真を使ったら、39000円の著作権料がかかったが、
朝刊では寄贈者と市長との写真を使ったので著作権料は発生しないって
記事があって、難しいんだなぁと。
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あいちトリエンナーレ2019(4) 四間道・円頓寺 [美術]

あいちトリエンナーレ2019のレポート その4

8月18日(日)に、愛知芸術文化センターを見てから、
四間道・円頓寺エリアへ。
「しけみち・えんどうじ」って、地元の人でないと読めませんね。

私も、ダンナが古い町家を改修した飲食店の広告の仕事をした時
‥‥ってもう10年以上は前か‥‥名古屋駅から歩ける距離に
こんなレトロな街並みがあるんだって知りました。

今回のトリエンナーレで、初めてアート会場となりました。
(前回までは長者町の古い商店などを会場としていて、私は
あの猥雑な雰囲気、好きだったんですが)

8月18日(日)のあと、
9月8日(日)にパフォーミングアーツ・サエボーグ(これ面白かった!!)を
見た後で来たし、11日(水)には大阪の友人と一緒に来てるので、
写真が混在しています。

愛知芸術文化センターから、名古屋テレビ塔下の地下街・セントラルパークを抜けて、
地下鉄桜通線「久屋大通駅」から2区、「国際センター駅」下車

2番出口を出て
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私の好きなレトロな街並みが残ります。
屋根神様を祀る中村家
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なごのステーション
四間道・円頓寺地区における「あいちトリエンナーレ2019」の拠点。
アート・プレイグラウンド もてなす INTERACT
という鑑賞者の交流(?)等ができるコーナーも設けられています。
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ここのコーナーにあった映像作品が
【S04】洪松明(ソンミン・アン)&ジェイソン・メイリング
《本当に存在する架空のジャンル》


‥‥音楽のジャンルに詳しくない私にはあまり興味がもてませんでしたが。

古い町家を活かしたお店「古民家ビストロ 狸」
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トリエンナーレの会場となっている
那古野一丁目長屋
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屋根神さまも祭られています。
屋根の上に小さな社を祭るという形態は、名古屋独特のものである」(設置されていた看板より)
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路地の先には子守地蔵尊のお社が。
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屋根のつる草も風情を感じてしまう。
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この会場にあるのが
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【S03】梁志和(リョン・チーウォー)+黄志恒(サラ・ウォン)
《円頓寺ミーティングルーム》


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会場に入った時、レトロな雰囲気の人物写真だなって見たんですが、
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古いスナップ写真に「たまたま写り込んだ無関係な人物」を
再現しているのだそう。
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「ウォーリーを探せ!」みたいで楽しかった。離れた場所にモト写真(?)が
あったりして、なかなか難しかったけど、全員見つけることができました(^^)v
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四間道
元禄13年(1700年)の大火で1600軒余りが焼失し、その後尾張藩4代藩主徳川吉通は、堀川沿いにある商家の焼失を避けるために、中橋から五条橋までの道幅を4間(約7メートル)に拡張した」Wikipediaより
このことから、四間道と呼ばれるようになったとのこと。

土蔵造りが並ぶ道となっています。
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土蔵を活かしたお洒落なお店(宝石屋さん?)
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古民家を活かした「エスプラナードギャラリー
http://www.dessert.co.jp
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あいちトリエンナーレ2019パートナーシップ事業として、
展示を行っています。私が行った9月8日(日)には、
樫澤三枝子写真展「花はやっぱり美しかった」
が開催されていました。
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写真の古典技法「プラチナプリント」による花の写真など。
しっとりした写真の質感が古民家の雰囲気と相まって素敵でした。

このお店も面白そう! 古美術「地球堂」
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江戸時代から続く豪商の住まいで、県指定文化財にもなっている
伊藤家住宅
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ここに展示されているのが
【S01】津田道子
《あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。》


伝統的な日本家屋の座敷が、鏡の虚像と実像、
スクリーンに映る今の映像(反対側の庭にカメラが設置されている)と、
過去にここで撮られた映像とが入り混じった不思議な空間になっていて、
とても素敵だった!
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二間続く座敷が鏡で虚像と実像がつながるようにも見えて面白い。
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土間のカマドの前では作家の言葉が聞けるヘッドホンを貸してもらえました。

伊藤家住宅の蔵にあるのが
【S02】岩崎貴宏《町蔵》

蔵に入ると、古い箪笥の引き出しや家具が積み上げられていて、その中に
細い通路ができています。土間から一段上がると、積み上げられた家具の上は、
一面に黒い炭で覆われています。
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城の石垣や寺の門も見えて、これは一面焼け野原になった戦災後の名古屋の街??
でもテレビ塔もあるってことは、未来の風景なのかも??
(最近「今を戦前にするな」って言葉を聞くようになりました。
こんな未来はまっぴらです!)
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この鑑賞の通路を近くを流れる堀川とすると、名古屋城石垣とテレビ塔、
反対側の円頓寺商店街のアーケードと専修寺山門が地図通りに配置されているそう。

伊藤家住宅の2作品、とても私好みで良かった!!
私のあいちトリエンナーレ2019のベスト3に入ります!!
(あとはやっぱり豊田・喜楽亭の《旅館アポリア》かな。)

トリエンナーレの案内を見つけて、この建物の中に入っていくと、
池や石畳の階段があるオシャレな空間に出て、いくつか飲食店なども
集まっているようです(なごのアジール)
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その一つのスペースで行われていたのが、
【S50】ユザーン『Chilla: 40 Days Drumming』
日本を代表するタブラ奏者ユザーンが、トリエンナーレ開幕とともに毎日10時間の修行を40日間続け」るという音楽プログラム。
8月1日(木)〜9月9日(月)の間行われて、私は9月8日(日)に聞くことができました。

インドの太鼓の一種であるタブラ、初めて知った楽器です。、
皮の真ん中に金属(Wikiによると「鉄粉を穀物の粉などと練りこんだ、
スヤヒーと呼ばれる黒いものが塗られている
」)部分があって、
それで高い音も出せるので、1人で複雑な音を奏でることができるんですね。
わー、これを10時間演奏するって、肉体的にもキツいんじゃない?
それを40日間?!! すごい!!


堀川にかかる五条橋 小さな祠も祀られていますね。
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かつて、清洲城下の五条川に掛けられていた橋を、 清州越(慶長15年(1610)より行われた清洲よりの町ぐるみの引越しをいう)の際に、 この地に移され、橋の名前もこれに由来するといわれる。
元は木橋であったが、昭和13年(1938)にコンクリート橋に架けかえられた。

(設置されていた看板より)
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円頓寺商店街のアーケード
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伊藤家の蔵で見た 岩崎貴宏《町蔵》にあったアーケードはこれですね。
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アーケードにピンクのロープがたくさん下がってます。
8月18日(日)に行った時には、このロープ何のため?
なんか華やいだ雰囲気でいいなーくらいで通り過ぎちゃったんですよ。
で、帰ってから、
【S06】アイシェ・エルクメン の作品だって知りまして!
《Living Coral / 16-1546 / 商店街》

円頓寺商店街と円頓寺本町商店街にかかるアーケードに、 特徴的な無数のロープがかかっています。 このロープは、60年以上の伝統を誇る「円頓寺七夕まつり」で、 住民が作った飾りを吊るすために用いられるものです。作家はこのロープの存在に着目し、 今回のあいちトリエンナーレの新作として、ピンク色のロープと交換してみせました。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/S06.html)

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ちなみにWikipediaでお借りしてきた円頓寺の写真
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E9%A0%93%E5%AF%BA
2015年11月7日に撮影されたものだそう。ロープが普通(?)の色です。
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あ、さっき伊藤家の蔵で見た山門だ。
真宗高田派 専修寺名古屋別院
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本堂は戦災で焼失したが、山門・鐘楼は創建当時のものを今に残している」(設置されていた看板より)
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円頓寺銀座街の看板が面白くて写真に撮ったんですが、
この「葛宇路」と書かれた交通標識が作品なんだって、後で気付きました!
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【S05】葛宇路(グゥ・ユルー)《葛宇路》

円頓寺銀座街の店舗跡に映像がありました。
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北京市内の無名の道路に、作家が自分の名を表した標識を設置したところ、 そのまま数年間にわたって撤去されないどころか、 実際に中国のGPSを使った地図サービスに反映され、宅配便の送り状などにもその名前が掲載される ようになりました。その後、一般人の彼が起こしたこの行動がインターネットや テレビニュースを通じて知れ渡り、中国当局によって標識は撤去されました。

ハハハ! なんか面白い!! いたずらっぽい行為だけど、
公共とは誰のものか。そこではどのような目的でどのような機能が存在し、 どうやって管理されているのか。世界はどのように形作られ、 そこへの私たちの参加はいかにして認められるのか。
(あいちトリエンナーレHPより https://aichitriennale.jp/artwork/S05.html)
なんてことまで考えさせてくれます。

また、資料などを展示しているこのレトロな会場がいいですね!!
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レトロな町には神社やお寺が多いです。
金刀比羅神社
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長久山圓頓寺
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このお寺の門前町としてできたのが円頓寺ですね。
お寺は「えんどんじ」と呼ぶのは今回調べて初めて知りました。

円頓寺駐車場の特設ステージのバックに描かれている作品が
【S07】鷲尾友公《MISSING PIECE》
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特設ステージでは、「円頓寺デイリーライブ」として、
毎週木曜日から日曜日の19時から、日替わりでアーティストが出演して行われる音楽ライブ
が行われているそう。

8月18日(日)の様子
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円頓寺商店街と円頓寺本町商店街の交差点にあった銅像(8月18日撮影)
織田信長像は、8月8日に像の左腕を壊される被害を受けたそうで、
情報提供を呼び掛ける貼紙がありました。
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豊臣秀吉像
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この交差点近くの幸円ビル2階にあるのが、
【S08】キュンチョメ《声枯れるまで》

キュンチョメの作品は、岐阜県美術館「ディアスポラ・ナウ!」展
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-12-15
で見たことがあります。

入場制限をしているので、8月18日(日)に行った時には外で少し待ちました。
雑居ビルの狭い階段を上がって、防火扉?のような、矢印がなければ
開けていいのか戸惑うようなドアを開けて入った先に、

性別を変え、自分の名前を変えた人たちの映像

最初の部屋には「私は世治
親と子が同じ筆を持ち、
親が子供に与えた名前上に、
子が自分で決めた名前を上書きしていく

次の広い部屋には「声枯れるまで
名前を変えたトランスジェンダーの人たちが、
新しい名前を叫び続ける
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3人のトランスジェンダーの人の映像があるそうですが、
私はJUNEさんの(それも一部)しか見てません。
こういうことをサラッと(?)告白させてしまうキュンチョメさんたちの
インタビュー力すごいなと思う。

部屋の奥まったコーナーに懐かしい(!)ラジカセとカセットテープが
置いてあって、トランスジェンダーの人たちが、
新しい名前を叫び続ける音声を聞くことができるようになってました。
(私はやってみなかったのですが)

さっきの銅像のある交差点を渡って、円頓寺本町商店街へ
こちら側には徳川家康像がありました。
『顰像』(しかみぞう)をモトにしているようですね。
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もう一つは写真撮ってこなかったですが、水戸黄門の徳川光圀でした。

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那古野二丁目長屋にあるのが
【S09】越後正志《飯田洋服店》

ボランティアの方が入口の階段を案内してくれました。
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2階へ上がると‥‥ここは洋服店?
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壁には「飯田洋服店」の文字もかかっています。

レトロな道具たち。懐かしい雰囲気だけど、うーーん??
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これらの道具類やスーツ生地は、ここから約200mほど西へ離れた「飯田洋服店」から移動してきました。

その「飯田洋服店」
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看板が取り外されて、透明なアクリル板に置き換わってます。

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ピンク色のショッピングバッグは、ピンクのロープの
【S06】アイシェ・エルクメンの作品《Living Coral / 16-1546 / 店》
それぞれのお店のショッピングバッグをピンク色のものに交換したのだそう。
袋に描かれたドローイングは作家によるその店の特徴を描いたものだそう。

多賀宮
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懐かしい雰囲気のスーパー!
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その隣にあるメゾンなごの808の1階にあったのが
【S10】弓指寛治「輝けるこども」

痛ましい交通事故のニュース、特に子どもたちが犠牲になる事故は、
聞いた時はとても心を痛めるけど、〇人死亡とかって報道に
慣れてしまってるというか、〇人それぞれに人生があって、
家族や周囲の人もいるんですよね。

2011年に栃木県鹿沼市でクレーン車が突っ込んで児童6人の命を奪った事故を題材に、
弓指寛治さんは、事故で亡くなった児童の遺族の話をもとに
作品を描いています。

デアゴスティーニの鉱物シリーズをおこづかいで全部揃えた愛斗くん
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サッカーが大好きだった大芽くん。
圭太君、宅馬くん‥‥
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子どもたちが過ごした日常生活が描かれます。
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暴力的な車の存在感
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そして、この作品は加害者の母親のコメントもありました。
交通事故は被害者だけでなく、加害者の家族も変えてしまいます。

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少し開かれたドアの外に展示されていた絵‥‥
なんか、いろんな感情がわき上がってきました。
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私も日常普通に車の運転をしているんですが、
いつ交通事故を起こすかもしれないわけです。
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でも車のカッコよさも確かにあるわけで‥‥
亡くなった愛斗くんの詩が心に響きます。
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‥‥まさに「情」を揺さぶられる作品でした。


メゾンなごの808の2階にあったのが、
【S11】毒山凡太朗 の映像作品3点

《君之代》は、戦前の日本統治時代―1895年から1945年の50年間―の
台湾で教育を受けて、日本語を話すことができる
台湾のお年寄りたちへのインタビュー
「同期の桜」や「月月火水木金金」を歌ったり、
教育勅語を暗唱する姿‥‥教育の怖さというか、日本は何をしたのか‥‥
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奥の部屋では、満開の桜が作られていてその下にモニターが
置かれています。《Synchronized Cherry Blossom》という新作だそう。
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それともう一つありましたが、ここで8月18日(日)の
「8時の終了時間となりました」で、見れてません。
※四家道・円頓寺エリアの開館時間は12:00~20:00(金曜日は21:00まで)
 休館日は月曜(祝休日は除く)

終了の片付けをするメゾンなごの808のスタッフたち
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ここからだと名古屋駅前まで10分ちょっとで歩けてしまいます。
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レトロな町並みみが好きってこともあるけど、私は
映像作品が多くて、ちょっとうーん‥‥だった愛知芸術文化センターより
四家道・円頓寺エリア良かった!!
特に伊藤家住宅の2作品が私のお気に入りで、
大阪の友人が来た時もぜひここは見せたくて、3回目の鑑賞をしました。

毎度ですが、記事がダラダラと長くなってどうもスミマセン。
まだ名古屋市美術館、豊田エリアもあるし、サエボーグのことも書きたいし、
もちろんクリムト展も見てるし‥‥こんな調子で書いていったら
終わるんでしょうか???


あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/

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あいちトリエンナーレ2019(3) 愛知芸術文化センター8階 [美術]

あいちトリエンナーレ2019 のレポート、しつこく続けます。

8月4日(日)に、愛知県芸術文化センター10階を見てから
8階へ行きました。

この日は途中までで閉館時間になったので、その後、
18日(日)に続き(っても8階は入口が一つだけなんですね)を見に行き、
27日(火)にも見て回ってます。
さらに9月11日(水)に、大阪の友人と一緒に見て回りました。

以下、ネタバレがありますので、これから見に行かれる方はご注意ください。

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10階から8階へ、エスカレーターで降りると、

【A40B】アート・プレイグラウンド あそぶ PLAY
の部屋があります。

建築家の遠藤幹子さんと、アーティストの日比野克彦さんと共に、ダンボールの造形を研究してきた愛知県内の小学生「ダンボール研究会(通称ダン研)」のメンバーが中心となって、使い方の決まっていない遊具などをつくっています。来場者のアイデアで変形・拡張されていく、自己責任で自由に遊ぶ公園です。

見学はこちらの通路からできます。
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段ボールでいろいろ作られていて、楽しそうです。
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吹き抜けの回廊にあるのが
【A60b】高山明 (Port B)
『パブリックスピーチ・プロジェクト』


岡倉天心『東洋の理想』、孫文『大アジア主義』、柳宗悦『朝鮮の友に贈る書』の
朗読が聴けるようになっています。
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これらの文章は、
アジアの友情と連帯を志し、現代人の情にも訴える名文だが、他者を同化する危険を孕むものでもある
『アジアはひとつ』という理想を掲げつつ、日本のアジア侵略を正当化もしくは正当化に利用された 戦前のアジア主義の言葉」を考えます。

‥‥私は時間がなくてほとんど聞いてませんが。

吹き抜けを見下ろす
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8階の愛知県美術館ギャラリーの展示室に入ると、まず

【A19】今村洋平 「tsurugi」「peak」
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シルクスクリーンを繰り返し刷り重ねて彫刻的な作品を制作する今村洋平さん。
私、この方の作品、見たことがあるはずなんですが‥‥どの展覧会だったのか?
シルクスクリーンをやったことがある私としては、これらの作品がどれほどの
手間をかけて作られているのか、すごくわかります。
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その制作の様子を記録した映像や道具類も展示されていました。
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【A20】袁廣鳴(ユェン・グァンミン)《日常演習》
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巨大なスクリーンに映し出される真昼の大都会、だけど、その街には
人が一人もいないんです! 停車した車が少し見えるけど、動いていない!
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最初に見た時、これは現実の世界?? CG?? って衝撃でした。
台湾では1978年より毎年春先に日中の30分間人々が屋内へ避難する
「萬安演習」という防空演習が行われているんですってね!

隣の部屋の《トゥモローランド》も衝撃だった
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遊園地が突然爆破され、元に戻るのがエンドレスで上映されています。

《日常演習》のサイレンと、《トゥモローランド》の爆破音が会場に響きます。


【A18c】ジェームズ・ブライドル《継ぎ目のない移行》
《ドローンの影》の作家の映像作品。
なんかRPGの背景のような映像って見たら、やっぱり、これは、
3Dアニメーションによって描かれた建物なんだそうですね。
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英国の入国審査、収容、国外退去の3つの管轄区域について、計画書や衛星写真などを手に入れ、中に足を踏み入れた人へのインタビューを通じて再現した
ものなんだそう。「この建物を通過する人々は強制的に国外へ移送されます。送還のために使用している拘置施設、法廷、飛行機を撮影することは違法です。


【A21】パク・チャンキョン《チャイルド・ソルジャー》

「表現の不自由展・その後」の中止に伴い、作家から展示一時中止の
申し出があり、8月6日(火)から展示室が閉鎖されています。

私が最初、4日(日)に行った時には見ることができました。
ライトボックスに入った9点のデジタル写真と
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それらを含む静止画にサウンドをつけたスライドショーで構成した映像インスタレーション

作家の母がかつて北朝鮮の少年兵を目撃したエピソードの中の『政府からの伝達やニュースで見聞きしていた怖い兵士像とは異なり、山の中で遊ぶ銃を持ったただの子供だった』という言葉から着想を得」たという作品。
‥‥この少年兵のケガの原因は何?? 終盤に流れる歌謡曲が明るいだけになんか悲しい。

昔見た(2000年公開・日本では2001年公開)
韓国映画「JSA」を思い出したりしました。


【A22】CIR(調査報道センター)
「表現の不自由展・その後」の中止に伴い、辞退の申し入れがあり、
展示中止となっています。

8月4日(日)に行った時には見ることができました。
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1977年に設立された米国の非営利報道機関」で、
取材結果をアニメ、演劇、ヒップホップ、アプリなど、多様な表現を用いて展開

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牛肉の問題や、難民の子どもが親と引き離されて収容施設に入れられている問題などが
わかりやすく映像になっていました。

4日(日)に行った時は、ここで閉館時間になりました。


この展示室のさらに奥が、問題となった
【A23】表現の不自由展・その後

様々な脅迫を受けて、開幕から3日間で展示中止となったことは
こちらの記事に: https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
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【A24】スチュアート・リングホルト《原子力の時計》
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大きな時計ですが、示されているのは現在の時刻ではありません。
この時計は「一日が18時間に圧縮された世界を表す大きな時計の作品」なんだそう。
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下に落ちている玉は、地球とか?
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10億年後には一日が34時間になるほどにまで地球の自転速度が低下していると予測されています
その頃には地球はどうなっている? 人類は存在している?


【A25】ワリード・ベシュティ
《FedEx》
《トラベル・ピクチャーズ》


FedExと書かれた段ボール箱の上にひび割れたガラス箱が乗っています。
世界的な運送会社FedEx社の段ボールでガラス箱を発送した結果で、
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壁の写真は、写真フィルムを空港の手荷物検査に通し、X線に感光させることで
傷みや変色が生じたものをそのまま現像・プリントしたものなんだそう。


【A26】パンクロック・スゥラップ《進化の衰退》

通路の壁に展示された巨大な木版画(写真4つつないでます)
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作家は、マレーシアの都市化されていない地域を活動拠点としたアーティストグループで、
木版画という技法は、電気・通信・流通といったインフラが安定していない社会においても、
手軽に素早く大量にいつでもどこでも情報が伝達できるということから、
木版画を用いて地域コミュニティやボルネオ島の先住民族が直面する問題を描いている
ということでした。

人の代わりに昆虫たちで社会の問題などを描いています。
細かく見ていくと面白いんでしょうね。

YouTubeや、ツイッターのマークも見えたり
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演説して兵隊を集めている?
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【A27】ハビエル・テジェス《歩行者》

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展示一時中止となっていますが、
私が行った8月18日(日)は、見られた最後の日だったはずなんですよね。
でも全く印象に残ってない‥‥多分、映像作品かーって、
通り過ぎちゃったみたいです。


【A28】イム・ミヌク《ニュースの終焉》

「表現の不自由展・その後」の中止に抗議して、
8月6日(火)から展示室が閉鎖されています。

8月4日(日)に行った時、時間がなくて、展示室入口に
カラフルなチマチョゴリが並んでいるのが見えたんですが、
展示室の閉鎖は残念です。

入口に提示されていたステートメント
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【A29】澤田華《Gesture of Rally #1805》

写真に写り込んでしまっている正体不明の何かを、様々な角度から検証し、その結果を提示
した作品。
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現代的なオフィスを写した写真に写り込んだこれは何?
っても、科学的に捜査しようってことではなくて、
なーんか、カエルみたいに見えるーみたいなノリ(?)だったりして
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【A30】タニア・ブルゲラ

展示室に入る前にみなさんの手にスタンプが押されます。この5桁の数字は、2019年に国外へ無事に脱出した難民の数と、国外脱出が果たせずに亡くなった難民の数の合計を表しています。
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そうして入った展示室の中にさらに部屋があり、その部屋は
メンソールが充満されていて、目元に刺激を感じます。

手に押されたスタンプの数字は、展示が始まった日からも
増え続けていました。

この作品、8月20日(火)からは展示一時中止となり、
展示室は閉鎖されています。
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【A31】ミリアム・カーン
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現代アートでは、こういった水彩画や油彩画の展示は
かえって珍しいかも。でもなんかとても美しい絵だなって見ました。
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彼女の絵画にたたえられている美しさは、単に美しいものを美しく描いた、 ということでは説明がつきません。幼い頃に見た原水爆実験のキノコ雲や、 それらの兵器開発を主導したオッペンハイマー博士が、自身と同じユダヤ人である事実
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原爆をめぐる「美」と「倫理」の葛藤を主題にした水彩シリーズ
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戦災で街が焼ける炎を美しいと見ていたって人の回想を聞いたことがありますね。

《笑わなければ》
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《美しいブルー》
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タイトルどおり、ブルーが美しい絵だけど、
「多くの難民が地中海を渡ってヨーロッパを目指している背景と関係があります。」
うーん、深い‥‥


【A32】藤原葵《Conflagration》

通路の壁に展示された大きな絵。
強烈な色彩と、メタリックなマテリアルもインパクトあります。
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1994年生まれの若い作家さんで、
アニメのエフェクトを引用した多様な『爆発』」をモチーフに
制作されているそう。
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【A33】キャンディス・ブレイツ《ラヴ・ストーリー》

手前の展示室内の巨大なスクリーンと、奥の空間にある6つのモニターによって構成されている映像インスタレーションです。
手前の部屋では、インタビューから抜粋・編集した難民のストーリーが、俳優(アレック・ボールドウィン、ジュリアン・ムーア)によって再演されています。

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何故わざわざそんな手間をかけたことを?
2人のプロの俳優が、それぞれ3人の難民のインタビューを断片的にごちゃまぜに
語るので、最初少し混乱します(あれ? さっきと言ってたことが違う? とか)
でも、さすがプロの俳優というか、その語りについ引き込まれて、
かえって奥の部屋で本人が語る映像よりも感情移入してしまいました。
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映像のバックの緑色と、床の緑色が美しい。
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奥の部屋にあるモニターには、6名の難民一人ひとりの実体験として、その逆境、脱出時の苦難、そしてたどり着いた現在の境遇について語っている様子が映されています。
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6人のインタビューを聞くのは時間がかかるので、そんなに聞けてないんですが、
祖国を離れる決心をしたこと、脱出時の苦難、現在の境遇など‥‥
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自分は祖国でそれなりの地位にいたし、国から逃れることになるとは
思ってもみなかった‥‥とか聞くと、今、日本でも「〇〇人は出ていけ」なんて
簡単に言う人がいるけど、自分が〇〇人だったら、ってことは
想像してみないんだろうか? って考えてしまいます。


愛知芸術文化センター地下2階のアートスペースXにあるのが、
【A34a】加藤翼《Woodstock 2017》
互いにロープで縛られたミュージシャンが四苦八苦しながらアメリカ合衆国の国歌を演奏する映像作品
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その近くの南階段下にあるのが
【A34b】加藤翼《2679》

愛知芸術文化センター隣にあるオアシス21の屋上で、互いにロープで縛られたミュージシャンが
四苦八苦しながら「君が代」を演奏します。
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加藤翼さんは、大きな木製構築物を地域の人々とロープを使って引き起こす
「引き興し」のプロジェクトの映像作品を豊田市美術館「蜘蛛の糸」展や、
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2017-01-15
「世界を開くのは誰だ?」展で見たことがあります。
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-07-11


やはり、あいちトリエンナーレのメイン会場だけあって、
愛知芸術文化センターの展示は見ごたえありました。
‥‥まぁ、ワタシ的には映像作品が多くて、ちょっと不満もありましたけど。


記事が長くてスミマセン。書くのに時間かかるのでなかなか進みませんが、
よろしければ今後もお付き合いください m(_ _)m

あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/
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あいちトリエンナーレ2019(2) 愛知芸術文化センター10階 [美術]

あいちトリエンナーレ2019が開幕したのが8月1日(木)

開幕早々、企画展の一つである
「表現の不自由展・その後」が炎上、3日(土)限りで、
中止となったことは前記事に書きました。
https://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28

私は、初めての日曜となる4日に、愛知芸術文化センター会場を見に行きました。
今回も愛知県美術館友の会からパスポートが送られて来ましたし、
初回から見てるので、今回も楽しみにしていたんです。

慰安婦を象徴するとされる《平和の少女像》は見たかったけど、
前日は、街宣車が来てたり、会場で騒ぐ人もいたそうなので、
特に大きな混乱もない中で鑑賞できてよかったかも。
(結構混んでましたが)

今回もトリエンナーレのレポートをブログに書くのを楽しみに、
写真いっぱい撮ってきました。

8月4日(日)だけでは見終わらなかったので、
愛知芸術文化センター会場だけでも
18日(日)、そして8月27日(火)には
愛知県美術館友の会の鑑賞会に行ってます。
(ただ、参加者も多くて、説明の声が聴きとりづらかった(T.T)
 近年、聴覚の衰えは健康診断でも指摘されてるんですよ)

なので、違う日の写真が混在します。
ネタバレになるので、これから見に行こうとお考えの方はご注意ください。



まず、地下鉄「栄」駅からオアシス21からの連絡通路を通って行った
地下2階にあるのが
【A35】ピア・カミル《ステージの幕》

音楽バンドのTシャツを縫い合わせて作られた巨大な幕が
吹き抜けに吊り下げられています。
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私は音楽バンドよく知らないのですが、
このマーク(?)くらいはわかります!
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布の中にスピーカーも設置されています。

8月18日(日)撮影 日曜ということもあり、
子供連れの鑑賞者も多いです。
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Tシャツは大量生産や市場経済などを象徴する一方で、 音楽ファンのアイデンティティを示したり、 ファン同士の交流アイテムとして用いられます。
(あいちトリエンナーレ公式ウエブサイトより)

これらのTシャツは、作家が物々交換で手に入れたものだそう。

8月27日(火)に行くと「表現の不自由展・その後」の中止に抗議して、
スピーカーから流れていた音楽が停止され、
幕が一部まくり上げられていました。
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エレベーターで10階へ。扉もトリエンナーレ仕様になってます。
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愛知県美術館のロビーにあるのが
【A02】エキソニモ《The Kiss》
巨大なスマホ(に見えるモニター)に映る二人がキスしてるみたい。
小学生の男の子あたりが喜んで、はやしたてそうだけど、
モニターに映る人々はただ目を閉じているだけなんですよね。
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27日の鑑賞会の説明で、この巨大な手は特大の3Dプリンターで
出力されたもので、この大きさを出力できる3Dプリンターは
まだ少なくて、コストも高い。よく見ると、つなぎ目のような
段差もあって、将来この作品を見ると、2019年の技術レベルは
この程度だったのかって言われるかもしれないと。
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そして、このスマホ(に見えるモニター)実はくっついてないんですよと。
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展示室へ入ると最初の部屋が
【A03】アマンダ・マルティネス《欲望の構造》2019-8-4-(7).jpg

‥‥正直、これをどう見ていいのか、よくわからなくて、
なんだかジミだなぁ~って印象。
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【A04】レジーナ・ホセ・ガリンド《LA FIESTA #latinosinjapan》

名古屋の街のビルに外国人が集まってきて、
パーティをしている様子が映っています。

「Latinos in Japan(日本のラテン系アメリカ人たち)」という
看板が掲げられていて、ラテンのルーツを持つ作家が主催した
名古屋在住のラテンのルーツを持つ外国人労働者に呼びかけた
パーティだそう。

‥‥ふーん。NHKのドキュメンタリーみたいだなーなんて
映像作品があまり好きじゃない私は適当に見て次へ進んだんですが、

27日に行くと、「表現の不自由展・その後」の中止に抗議して、
映像の上映は中止され、撮影時に使用した小道具が散乱していました。
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ジェンダーや人種による差別など、社会的権力構造のなかに存在する人権侵害をテーマに扱う
作家のレジーナ・ホセ・ガリンドさんらしい抗議の展示だなって思いました。


【A05】アンナ・ヴィット《60分間の笑顔》
フォーマルなスーツを着た人々が笑顔で立っている姿が見えます。彼らは同じ姿勢、同じ笑顔のまま、60分間私たちのほうを見つめています。
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最初、タイトルも知らずに映像を見て、なんだか居心地が悪いな‥‥と。
各国の首脳が集まった会議の写真でこんな笑顔を見るような気がする。


【A06】ウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》

最初、この作品を写真で見て、これはパフォーマンス? って思っちゃった。
ホンモノの人がピエロの衣装を着て、今にも動き出しそうなところ‥‥って。
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これらの45体のピエロの彫刻は、人が24時間で繰り返し行っている家の中での
孤独な振る舞いを示しているそうで、それぞれに名前がつけられているそう。
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佇む/呼吸する/寝る/夢見る/目覚める/起き上がる/座る/聞く/見る/考える/立つ/歩く /おしっこする/シャワーを浴びる/着る/飲む/おならする/うんちする/読む/笑う /料理する/嗅ぐ/味わう/食べる/掃除する/書く/空想する/ 思い出す/泣く/居眠りする/感動する/感じる/うめく/楽しむ/浮かぶ/愛する/ 望む/願う/歌う/踊る/落ちる/罵る/あくびする/脱ぐ/嘘をつく
このピエロはどれなのか? って考えながら見るのもいいけど、
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とにかくこの部屋は楽しい!
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ピエロの横で同じポーズをして写真を撮っている家族連れや友人などがたくさんいます。
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しかし、今にも動き出しそう!
ピエロの恰好をした人が紛れていても気づかないかも。
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学芸員さんも「閉館後の点検に来るとコワイです」と(笑)
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【A07】クラウディア・マルティネス・ガライ
《・・・でも、あなたは私のものと一緒にいられる・・・》


小さなオブジェが並んだ展示‥‥うーん、正直これをどう見たらいいのか??
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そして、4日に行った時は奥の部屋の映像が見れましたが、こちらも
なんだか茫洋とした風景のような画面(解説によると陶器の表面の大写しだと)に、
昔殺された人物のモノローグが重なっていて、
なんだかコワイなぁ‥‥くらいの印象でした。
クラウディア・マルティネス・ガライはペルーの歴史に関連した社会・政治的問題に
関心を寄せて制作活動を行っている作家だそう。

ペルーは、文明の繁栄と滅亡が繰り返され、さらに海外からの征服者たちによって国境が何度も描き替えられた歴史を持ちます。
そんな戦争や植民地に関心を寄せている方ですから、
今回の「表現の不自由展・その後」の中止には当然抗議をされるでしょうね。

27日には映像作品の上映は中止、前の展示室は照明が落とされていました。


【A08】永田康祐
「Function Composition」
「Semantic Segmentation」
Translation Zone


実は4日に来た時は、これらの写真、よくわからなかったんですよね。
映像もチャーハンとか料理を作っているところだし‥‥
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27日に解説を聞いて、やっと少し理解したというか。

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これは、野菜やガラスポットを写した写真に見えるけど、よく見たら、
不自然なところで切れているし、パソコンのモニタらしき表示も見える
実物とモニタを重ねて、それをまた写真に撮ったりしているそう。
(写真が背景の映り込みで見にくくてスミマセン)
「Function Composition」とは? ってネットで調べたら、
数学において写像あるいは函数の合成(ごうせい、英: composition)とは、ある写像を施した結果に再び別の写像を施すことである。」だそう。

「Semantic Segmentation」とは、コンピュータが画像をそれが何かを認識すること
(スミマセン私よくわからないのでこれで合ってるかどうか?)だそうで、
左側の写真の下に「TABLES AND PLANT」と書いてあって、写真には数字があります。
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「PLANT」と認識した確率が92.4%
「TABLE」と認識した確率が、左のテーブルでは83.2%、右では87.6%なんだそう。

映像は、翻訳の問題を扱っていて、例えばある国の料理に使う食材を
翻訳しても、少しずつ違ってくるよね、と。


【A09】石場文子「2と3、もしくはそれ以外(わたしと彼女)」

4日に見た時は、いかにも若者の部屋wwってカンジで、
不自然さは感じつつも、この写真が何か?? みたいに通り過ぎてしまいましたが、
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解説を聞くと、この写真にモノの輪郭線のように写っている黒い線は、
作家があらかじめホンモノに黒で描いた線なんだそう。
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そういや、私たちは絵を描く時、何の疑問もなしに輪郭線を描きますけど、
実際には「輪郭線」なんて存在しないんですよね。

この3枚の写真の洗濯ばさみに吊るされているものは、
実際にはプリントアウトした紙なんだそう。
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【A10】村山悟郎《Decoy-walking》

これも、4日に来た時に??? ってカンジだった展示。
奥の空間に展示されているベルトコンベヤーの上を機械が歩いているのは
ほーって見てたけど。

これは「人間の歩き方の特徴をコンピューターによって認識する歩容認証という技術を応用した作品
なんだそう。って言われても私にはやっぱり???なんですけど。
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で、「周囲に置かれている三角形のミラーや銀紙は、レーダーを増幅または拡散して、索敵を欺くための軍事技術で、これらは総称してデコイと呼ばれています。
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27日の解説で、手前の空間に展示されていた多くの平面作品は、
スマートフォンで「顔認識」されるものなんだそう。
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これらの「変顔」とドローイング、顔認識されるものは+、
されないものには-がつけられているそう。
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私のiPhoneでも顔だと認識している様子
(画面の傷はスルーしてくださいね(^^;>
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展示室4から5への通り抜けができないので、一度ロビーに出ます。
【A11】田中功起《抽象・家族》

広い展示室5を不自然に区切って、描きなぐったような抽象絵画(?)がや
写真が展示されていたり、ダイニングセットがあったり、
三か所で映像が流れていて、リビングのようなソファで
ゆったり見ることができたりします。
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両親のいずれかが海外のルーツを持ち、かつ日本に暮らす出演者たちの家族史や個人史が描かれ」ているそう。
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日本ではそういう人を「ハーフ」って呼んで、
なんとなく「外国人」みたいに扱いますよね。
たとえ彼らが日本国籍を持ってて、日本で育って日本語を話していても!
日本人は単一民族であるというような幻想があって、
みんなと一緒がいい、みたいな同調圧力も強いので、
彼らが語る子供の頃の差別的な扱いとか、移民や難民の受け入れも
始まるだろうこれから、考えなきゃいけないことなんだろうなぁって
思いつつも、この映像合計で1時間50分あるそうなんですよ!
とても全部は見れないし、展示もなんだか雑だなぁってくらいで‥‥


【A12】伊藤ガビン
《モダンファート 創刊号 特集 没入感とアート あるいはプロジェクションマップングへの異常な愛情》


4日は入場待ちの人の列ができていたので、先に他を回ってこようと、
18日(日)に行った時は、まず最初にここの整理券をもらって
(日曜だったせいか結構混んでて、14時頃にもらったのが15:31の回でした)
27日(火)は、入れ替え時間まで待てば入れました。

「これは雑誌です」ってことで、トリエンナーレの広告が混じってたり、
クスッと笑ってしまうようなプロジェクションマッピングの
実験的(?)な映像、数字だとなんか哲学的だし、金魚だと日本の美、
太い線はやめましょう(笑)


【A13】ヘザー・デューイ=ハグボーグ
《Stranger Visions, Dublin: Sample 6》


壁のガラスケースに、とてもリアルな顔と、その下に黒い箱が展示してあって、
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これは作家が街で収集したタバコの吸い殻やチューインガムから
DNAを抽出して導き出した顔を3Dプリントした彫刻作品なんだそう。
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実際にその人に似ているかどうか知らないけど、
そんな時代になってるんだ! って、驚いて怖い気持ちになった。
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そして、化粧品のサンプルのような展示は、そういったDNA解析を
されないようにDNAの99.5%を消去するものなんだそう。
これはもう購入可能な商品だとか!
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【A14】dividual inc.《ラストワーズ/タイプトレース》

薄暗い部屋にいくつものモニタが並んでいて、それぞれに
文字が表示されていく様子が映っています。
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その前に、1台だけ、キーボードがカタカタと動いているモニタがあります。
人生の最後の10分で残す「遺言」だそう。
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キーボードを打つ際に、打ち直したり、ためらったりする様子が
表示される言葉をより印象付けているように感じました。


【A15】シール・フロイヤー《Untitled(Static)》

出窓のようになっている場所に透明な傘のようなものが吊り下げられていて、
その下に立つと、ノイズのような音が聞こえます。
うーーん?? まぁこの場所ならではの作品かな?

窓からこの風景が見えるのが気持ちがいい。
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【A16】文谷有佳里 「なにもない風景を眺める」 ほか

展示室のガラスケースを上手く利用したインスタレーション
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シャープな線で描かれたドローイングと、ガラスケースに描かれた
ドローイングが相乗効果で素敵な空間になっていた。
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展示室の出口横の、いつも資料映像が上映されている小部屋では、
【A17】菅俊一 「その後を、想像する」

大きなモニターには滑らかなアニメーションが上映されています。
映像の中で 何かが起きるその瞬間にアニメーションは暗転し、
次のアニメーションへと移り変わっていきます。

菅俊一さんのツイッターより

これ面白かった! この後どういう展開になるのか、
多分見てる多くの人が同じことを想像するだろうけど、
もしかしたら違う展開があるかも?とか考えたり。

Eテレっぽい?

この展示も、最後の一つは結果を見ることができないけど、
壁がなければああなるだろうと予測してしまいますよね。
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展望回廊に展示されているのが
【A18】ジェームズ・ブライドル《ドローンの影》

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窓に説明が書かれています。
ノースロップ・グラマンRQ-4 グローバルホークは、無人偵察機で
ある。他の航空機よりもはるかに高い高度で一日以上飛行すること
が可能で、太平洋を単独横断することができ、すべての飛行で10万
平方キロメートルの地形を撮影できる。非武装ではあるが、アフガ
ニスタン、イラク、リビアでの戦争で任務にあたり、世界中で災害
対応に役立ってきた。2011年、東日本大震災後、グローバルホーク
は、東北地方の調査飛行を行った。2014年に米空軍が青森県三沢
基地にグローバルホークの分遣隊を配置し、2018年に日本政府が
自衛隊にグローバルホーク3機の購入を承認した。


下を見ると、地面に描かれた白いラインは、グローバルホークの
実物大シルエットだそう。横幅約35m、長さ14m
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8月4日(日)は、オアシス21で「世界コスプレサミット」が開催されていたそうなので、
コスプレの人を含め、ドローンの影が描かれた場所にも多くの人が集まっています。
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8月27日(火)は、人がいなくて白いラインがはっきり見えました。
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はー、こんな調子で書いていったら、どれくらいかかるか‥‥?
途中で挫折するかもしれないけど、とりあえず、
あいちトリエンナーレ2019 愛知芸術文化センター10階のレポートでした。


あいちトリエンナーレ公式webサイト: https://aichitriennale.jp/

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