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メディアコスモス新春美術館2020「色即是芸」 [美術]

2月11日(火・祝)、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」へ行きました。
1階の「みんなのギャラリー」で
メディアコスモス新春美術館2020~色即是芸~ が開催中
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「ぎふの画廊めぐり」を開催している
「タウンミュージアムぎふ」の6つの画廊がセレクトした
5名の作家による作品、および、
岐阜ゆかりの物故日本画家たちの作品が展示されています。
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笹木敦子(フェルト)/アートギャラリー水無月
鈴木 都[すずき しゅう](陶芸)/画廊文錦堂
傍島幹司(洋画)/柳ケ瀬画廊
寺倉京古[てらくら みやこ](陶芸)/田口美術
向井大祐[祐の字は[示右](日本画)/長江洞画廊
岐阜の物故日本画家たち/後藤紙店

入場無料で、立派なパンフレットももらえて、
一部を除いて写真撮影可、SNSへの投稿可! って太っ腹な展覧会!
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入口のすぐ横からは、後藤紙店による岐阜の物故日本画家たちの絵が

川合玉堂、前田青邨、守屋多々志‥‥
そうそうたる大家の絵が並んでいます(このコーナーのみ撮影禁止)

岐阜県美術館などで見る絵より小品で、ちょっと力が抜けた感じなのが、
またいいカンジだったり。パンフレットに載っている
守屋多々志《紙漉》は、樹皮に描いてあるのも面白い。
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そして反対側の壁には、長江洞画廊による向井大祐さんの日本画が
1988年生まれの若い作家さん
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素朴に咲くハルジオン(?)を描いた絵が1点ありましたが、《貧而楽道》2019
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その他は、冬の桜を描いた絵。
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無数の枝が繊細に描かれ、儚げに咲く桜の花が写実的に描かれていて
とても素敵!! 満開の桜でないところが、日本のワビサビの美意識ってカンジ。
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複雑に絡まり合う桜の枝が力強く美しい!
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大作が並んでいて迫力です。
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ちょうど会場に作家の向井さんもいらして、お話を聞くことができました。

メディコスから徒歩8分ほどの長江洞画廊でも個展をやっている
とのことで、後で行ってみました。
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向井大祐個展「線―律」
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こちらは小品だけど、冬の桜だけでなく、椿や蔦を描いた作品、
欲しい!って(もちろん買えるわけではないけど)見たのは、
既に結構売れてました!

次の展示室への通路には、2月16日(日)に開催される
高橋ユタカ氏を講師に招いた「猫のモビールをつくろう!」という
ワークショップの準備で作られたモビールが飾られていました。
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次の展示室は、田口美術による寺倉京古さんの展示
《まほらま》2017
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桃(?)から覗く赤ちゃんの顔の柔らかさ、かわいい!!

右側のお尻が覗いているのも、触ってみたくなる
肉感的なところ?がいいなー。
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こっちの作品も、表面のツヤツヤした質感がカワイイ。
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1994年生まれの若い作家さんなんですね。
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柳ヶ瀬画廊による傍島幹司さんの作品
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傍島幹司さんの作品は、岐阜県美術館でも見たことがあります。
今岐阜県美術館でやってる「カラー・マジック」展の
チラシ表面に使われているのも傍島さんの作品の一部ですね。
(前記事「円空大賞展」でコレクション展の「カラー・マジック」展に
ついても少し書いてます)
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-02-20

まぁ、私にはよくわからないなーみたいなカンジで見てたんですけど。
左から3番目の絵《ポントルモの聖ヒエロニムスの懺悔から》2019 は
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「マニエリスムの代表的な画家ヤコポ・ダ・ポントルモ(1494-1557)による
《聖ヒエロニムスの懺悔》をもとに描かれた作品」なんだそう
(もらったパンフレットより)

デッサンやスケッチも展示されていました。
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いろんな作品を描いていらっしゃるんですね。
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画廊 文錦堂による鈴木都さんの展示
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すごくスタンダード(?)な陶芸作品ってカンジなんですけど
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鈴木都さん、1984年東京生まれの方で、小学生時代から
陶芸を志すようになって、現在は土岐で窯を構えていらっしゃるそう。
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そして、アートギャラリー水無月による
笹木敦子さんのインスタレーション
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わー!! この空間とても素敵です。インスタ映えww!!


フェルトで作られているそう。
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どこか海の生き物を思わせるような形がユーモラスでもあります。
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今回で5回目となる「メディアコスモス新春美術館」ですが、
なんと今回が〈最終回〉なんだそう。とても残念です。

昨年のことはこちら:
メディアコスモス新春美術館2019「色即是芸」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-02-16
2017年と2018年の新春美術館のことも少し書いてます。

第1回目の2016年のことはこちら:
ぎふメディアコスモス「色即是芸」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-02-03

この展覧会を通じて、私は、岐阜にこんなに画廊があったんだ!って
驚いたんですが(岐阜は人口の割に画廊が多いんだとか)
まぁ、私は画廊の売り上げには貢献できそうにないですが、
地元のアート、作家さんのために、画廊の方、頑張ってください!


みんなの森 ぎふメディアコスモス: https://g-mediacosmos.jp/

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岐阜県美術館「第10回 円空大賞展」 [美術]

2月2日(日)岐阜県美術館へ行きました。

「第10回 円空大賞展 ―希求、未来への創造―」
が始まっていて、
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この日、円空賞受賞の池田学による解説が10時からあるってことで

リニューアルで、図書館側の入口が広くなりました。
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岐阜県美術館の開館を並んで待つなんて初めてです!
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まずは円空大賞展の会場の池田学さんの展示コーナーまで進んで

池田学《誕生》2013-2016
300×400cm という巨大な絵の前で、池田さんの解説を聞きます。
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この絵だけで一つのコーナーになっていたので、展示室激混み!

《誕生》は、文化庁芸術家在外研修員として海外へ行って
間もない時に、東日本大震災のニュースに接し、しばらく
ショックで絵が描けなかった‥‥こんな時に絵を描いていていいのか?
日本に帰ってボランティアに行った方がいいのでは?‥‥って時期を経て、
アメリカ・ウィスコンシン州にあるチェゼン美術館から
アーティスト・イン・ミュージアムの話があって、
3年かけて描いていったそう。美術館での滞在制作は、
まずこれだけの大作を描くスペースができたこと、そして
見に来てくれた人が、東日本大震災のことを気遣ってくれたり、
少しずつできていく絵を楽しみにしてくれたことがとても励みになったと。
(このあたり、あくまで私が聞いたことをうろ覚えで書いてます)

(以下の絵の写真は解説会が終わってかなり経ってから撮ったもの)
まずは左下のがれき部分から描き始め、
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右下の津波、
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そして2年目に大木へと描いていったとか。でも、最初にこんな
構図にするって意図があったわけではなく、毎日少しずつ‥‥
とても細かい作業なので、1日ずっと制作していても、
10センチ四方くらいしか進んでいかないと。

円空仏のような仏像の顔も描かれているのが、
円空賞をもらえた理由かもって(笑)
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上部は満開の花と見えるかもしれないが、実はこの花は全て
ホンモノの花ではなく、プロペラとか、遊園地のコーヒーカップ(?)
とかでできていると。
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放射能マークの花も。放射能が降ってくる中を進むイメージだとか。
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葉に見えるのも、よく見たらテントですね!
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「最後に描いたのはどこで、これで完成ってのはどう決めるんですか?」
って質問に、
「画面右の赤い花の右側端から出ている三つ葉みたいな枝」で、
展覧会も決まっていて、娘さんの誕生日とか?で、その日に
完成させるってのは決めていたみたいです。
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タイトルの《誕生》は、英語では〈Birth〉ではなく《Rebirth》で、
再生という意味を持たせていると。《再生》というタイトルの作品が
もうあるので《誕生》にしたそうです。

細部を見ているとずっと見飽きないので、皆、長い時間絵の前にいて、
鑑賞者が写らない全体の写真を撮るのはかなり大変!
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池田学さんの解説は他の絵についてもありました。
(スミマセン写真ボケてます)
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《再生》2001年
「第4回はままつ全国絵画公募展」で大賞をもらったもの。
応募の時のタイトルは〈沈没船〉だったけど、大賞の絵が〈沈没船〉では
って連絡があって《再生》というタイトルにしたそう。
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《けもの隠れ》1999
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大学院の卒業制作として描いたもので、
この絵で、これからの自分の進む道が見えてきたと感じたとか。
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アジサイの花かと見たら《放射能の花》2017
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《プロペラの花》2017
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《開墾》2017
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《表通り》2004
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エッチング《White Horse》2018
描写力すごいですね。
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池田学さんの展示、大作《誕生》を含めて21点が展示されてて
見ごたえあります。撮影可ってのも嬉しい!
(この「円空大賞展」最初と最後の円空仏などを除いて撮影可)

「円空大賞展」の最初に戻って、展示を見ます。

第10回 円空大賞は、Tara Océan財団

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へー?! こういう団体が選ばれるのって今までなかったんじゃないですか?
世界を舞台に環境問題の提起につながる調査を続け、 海洋が未来のために決定的な役割を果たしていることを、 アートを通して次世代に伝える」(チラシ裏面より)

環境問題を発信している団体ですが、写真がすごく美しいですね。
科学と芸術の融合
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彫刻(?)は、ロボット加工機によってつくられたものだとか。
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ゴーグルをつけると、バーチャルリアリティーで
タラ号に乗っているような気分が味わえます。
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円空賞 安藤 榮作

円空仏も一体となったこの空間、すごく素敵!
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人・自然・宇宙とのつながりの大切さを訴え、 原木や流木を手斧一本で叩き続けてつくられた木彫に、生きる瞬間の感覚を刻み付ける
正に現代の円空って感じですね。
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安藤榮作さんは、東日本大震災の津波と火災で福島県にあった自宅と
多くの作品を失い、原発事故で奈良県へ移住されたそう。

震災からの復興、希望のイメージとしての鳳凰でしょうか。
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あ、床に流れのように置かれた木は、人の形をしているんですね!
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円空賞 羽田 澄子
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日本の記録映画史に残る監督であり、社会問題や伝統芸能等に関わる人の生き方を美しく記録した

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スクリーンで「薄墨の桜」が上映されていました。
42分の作品なので、全部は見てませんが、
映像作品かーって(私は映像作品あまり好きではない。
ま、単純に時間がかかるからなんですけど)覗いたら、
今の、観光地として整備された淡墨桜からは信じられないほど
素朴な姿‥‥近くに田植えをしている田んぼがあったり、
村の婦人会が花見の出店を出してたり‥‥が映っていて、
興味深かった。1977年の制作だそう。


そして、円空賞 池田 学
小さなペンのみの超絶技巧で、ミクロとマクロの両方を同時にもつ独特の世界観をつくり上げる
の展示があって、


最後の展示室が、円空賞 大嶽 有一
鉄の板を用いて、均整のとれたシンプルなフォルムを追求し、錆びさせることで存在感のある作品をつくり出す
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とても静謐な雰囲気‥‥でも、どことなくユーモアも感じられたりして。
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第10回目となる今回の円空大賞展も、それぞれ素敵でした。


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岐阜県美術館ではこちらの展覧会(コレクション展)も開催されています。
円空大賞展の半券で見ることができます。
(「円空大賞展」が一般800円。「カラー・マジック」のみだと一般340円)
私は後援会員証で入れます。

「カラー・マジック
 田口コレクションと安藤基金コレクションから」
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岐阜県美術館の所蔵品の核となる二つのコレクションから、色をテーマに厳選して作品を紹介します。」(チラシ裏面より)
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特に県内の実業家・安藤鉦司氏からの寄付金を基金とした
「安藤基金コレクション」は、現代美術の購入に充てられていて、
岐阜県美術館の現代美術なかなか充実しているんですよね。

最初の展示室の壁一面が「あか」をテーマとしていて、
猪熊源一郎《スクエア・イン・ザ・ウォーター》1970 (チラシ裏面右)
白髪一雄《地魔星雲裏金剛》1960 とか、強烈な現代美術作品が並びます。

元永定正《せんとあかいろのかたち》1987
は、赤いかたちがユーモラスでインパクトあります。

このあたりの作品、私が赤が好きなこともあるけど、すごくいいなぁ!って。

高橋秀《記憶の風景》1988-89
シンプルな黒と赤のフォルムはちょっとエロティックにも見えます。

「あか」の反対側の壁が「しろ/くろ」で、藤田嗣治や、荒川修作、
齋藤隆のコンテで描かれた《飛》1971
ロダンの白い大理石の《イヴ》1883 に、
伊藤慶二の陶の作品も並んでました。

次の部屋は「あお」
李禹煥《線より》1977 や、三尾公三、サム・フランシス

「みどり」の部屋と続いて、「いろいろ」の部屋へ

この展覧会、キャプションのカードにそれぞれテーマの色のラインが
引かれているんですが「いろいろ」ではオレンジとイエローの2つの
ラインだったんですね、で、私はてっきりオレンジ色の絵かと思った
川合玉堂《春景秋景山水図》1918 が良かった!
それまでの主張の強い絵にちょっと疲れてたのかな? 癒された気分
全体の色調がオレンジ色なのは裏箔って贅沢な技法なんですね。

ちなみに、庭園に設置されている
アリスティド・マイヨール《地中海》1902-05 も、
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ルノワール《勝利のヴィーナス》1914 も、
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公益財団法人田口福寿会およびセイノーホールディングス株式会社から
寄贈された「田口コレクション」なんだそうです。

岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/


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「円空大賞展」過去記事
岐阜県美術館「第9回 円空大賞展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-02-15

岐阜県美術館「円空大賞展」パイプオルガンコンサート
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-02-18

岐阜県美術館「第8回 円空大賞展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-02-15

岐阜県美術館「第7回 円空大賞展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-19

岐阜県美術館「円空大賞展」と田中泯の場踊り(第6回)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-02-18

岐阜県美術館「円空大賞展」へ行く(第4回 円空大賞展)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2007-03-24

岐阜県美術館(第3回の円空大賞展についてちょっと書いてます)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06

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市之倉さかづき美術館「英国教会ステンドグラス展」

いつまで1月19日(日)のことをくだくだ書いているんだ
って思いもあるんですが(それからブログに書きたい展覧会
たくさん行ってるのに!) 岐阜県現代陶芸美術館へ行く前に寄った

市之倉さかづき美術館
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チラシ(三つ折りの跡がついてますが)

チラシミュージアム」というスマホのアプリで、
https://eplus.jp/sf/guide/museum

このチラシを見たからです(アプリからダウンロードした画像)
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「英国教会ステンドグラス展~海を渡った光のわざ~」
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おー! なんか私好み!!って。

イギリスで19世紀半ばから20世紀初頭に教会で飾られていたステンドグラス約13点を展示します。
イギリスでは戦後、諸事情により教会が解体され、内部を彩っていた素晴らしい工芸芸術が破壊、散逸しましたが、今回展示のステンドグラスの殆どは日本企業の目に留まり、破壊の危機を乗り越えて船に乗り海を渡ってやって来たものです。


2019年4月11日(木)~2020年3月25日(水) という結構長い期間の展示だったので、
のんびりしていたんですが、さすがにそろそろ行ってみなくてはと。

市之倉さかづき美術館には、2018年のゴールデンウィークに
母と天光の湯の福祉風呂へ行った時、ランチにここの
石窯ピッツァのレストランへ行ったことがあります。

市之倉さかづき美術館のランチと天光の湯の福祉風呂
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-05-09

ゴールデンウィークだってのに、あまりに閑散としてて、
いいのかな? って心配してしまうほどだったんですが、

まぁ、今回も‥‥こんな状態。
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前回は美術館へは入らなかったんですが、今回
400円の入館料を払って(幸兵衛窯との共通券が600円でしたが、
今回はそこまではいいかと) 展示室へ入ると、

幕末・明治から昭和にかけて作られた市之倉のさかづきが
ずらっと並んでいました。兵隊に行った記念に配ったという
「兵隊盃」とか、歴史を考えさせられるものもありましたが、
まぁ、盃って小さいので、なんかジミな印象だったのと、
かなり大きなストーブはついていたんですが、とにかく寒かった!

英国教会のステンドグラスは荘厳な雰囲気で良かったんですが、
寒くて、トイレに行きたくなって、2階の地元の巨匠8名の作品が
並ぶコーナーなどは、ほとんど素通り状態で出てしまいました。

広いショップは前回来た時も母と楽しく見ました。
区画割された棚に作家さんの作品が手頃な価格で並んでいて、
見ていて楽しいです。入館料が必要な展示室には人がいなかったのに、
ショップでは熱心に見て回っているお客さんが何組かいましたし、

隣のギャラリー「宙」では「新春さかづき展」が開催されていて、
結構作品が売れてました!

私は、陶器は買わなかったけど、今年のNHK大河ドラマ
「麒麟がくる」にちなんだお土産コーナーで、
3箱で750円(税込)ってリーズナブルさで買っちゃった
「光秀の三日天下餅」
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‥‥でも光秀が昔の「裏切者」の悪いイメージじゃない?
せっかくのお土産、もっとカッコイイ光秀でもよかったんでは?
(もちろんカッコイイ光秀をモチーフにしたお土産の方が多かったですが)

前回来た時(2018年)はNHK朝ドラ「半分、青い。」のお土産が並んでましたが、
今年は「麒麟がくる」で、また東濃は沸きそうです。
(今回は東濃だけでなく、「麒麟がくる」大河ドラマ館は、
 岐阜市歴史博物館
 恵那市明智町の大正ロマン館
 可児市の花フェスタ記念公園内 と、岐阜県内に3か所あります。
 他に京都府亀岡市と京都市福知山市にもあるそうですね)

市之倉さかづき美術館: https://www.sakazuki.or.jp/

チラシミュージアム: https://eplus.jp/sf/guide/museum

ショップで見つけて買った
小栗左多里&トニー・ラズロ「手に持って、行こう」
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岐阜県関市出身の小栗さんがダーリンと、関の刃物や美濃和紙、
陶器づくりを体験します。
陶器づくりは幸兵衛窯の加藤亮太郎さんの指導で作ってて、
美濃焼ミュージアムにも行ってます。



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岐阜県現代陶芸美術館「題名のない展覧会」 [美術]

1月19日(日)、岐阜県現代陶芸美術館のギャラリーⅠで
開催されている「小村雪岱スタイル」展を見た後、
ギャラリーⅡへ

「令和改元記念事業
 題名のない展覧会―Give Me a Name!」

というコレクション展をやっています。
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みなさんは美術館の展示室で
どのくらいの時間、作品を見ていますか?


美術館は、作品と直に向き合うことができる場所です。だからこそ、作品そのものを味わってほしい、そして作家の思いや様々なことを想像してほしい。この展覧会はそのような思いで企画しました。
本展では、作品の題名や詳細を記したキャプションを作品から離して掲示しています。まずは作品とじっくり向き合ってみてください。たとえば作品の題名を想像しながら、みなさんの見方・感じ方で、思いを巡らせてみてください。
展示室には様々な想像をかきたてる作品が並んでいます。見て、感じて、考えて、心ゆくまで作品や作家との語らいを楽しんでいただければ幸いです。

(チラシ裏面の文)
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なかなか新鮮な体験です!
いつもキャプションを読んでから作品を見るか、
作品を見てキャプションを確認したりするんですが、
あなたならこの作品にどんな題名をつけますか? って聞かれると、
まずは作品をじっくり見ないといけないわけで。
そして、展示されている作品がまた不思議な形の現代陶芸作品なんですね。

展示室の最後にキャプションが提示されていて、
作家がつけた名前がわかるようになっているんですが、
ネーミングに感心したり、もう一度作品を見直したりしました。
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入口にあった作品、私は〈遺跡〉ってつけたんですが、
ヨハネス・ゲプハルト《神殿の緑聖堂》1992年
岐阜県現代陶芸美術館の収蔵品データベースに画像ありました
http://jmapps.ne.jp/momca/det.html?data_id=1487

なんかグロテスクな形に、私は〈内臓〉とか〈腐乱〉ってつけたのが
アドリアーン・リース《兵士》2000年
そうか、兵士か‥‥って! オランダの作家(1957- )だそう

バブス・ハーネン《喜びの島》2000年
この作家もオランダ(1948- )
‥‥ちょっと記憶があいまいなんですが、この作品、私は
土台?のワッフル型で押したような部分が目について、
〈痕跡〉ってつけたんですが《喜びの島》か! いいタイトルですね。

なんかゆるい動物のようなものがくっついているのが面白いなぁと、
〈てっぺんまで登ろう〉なんてどうかな?って思ったのが、
周邦玲《月光の下、平和を語る》1993年
台湾の作家(1958- )
岐阜県現代陶芸美術館の収蔵品データベースに画像と詳しい解説があります。
http://jmapps.ne.jp/momca/det.html?data_id=739
この作家さんのもう一つの収蔵品(今回は展示されていません)が
《思想の毒に盲いたもの》文学的なタイトルをつけられるんですね。

〈縦の波〉とか、〈立ち上がる波〉なんて形からつけたのが
神田樹里《志向》2013年

そして、チラシに使われているキラキラ・ハデハデな作品!
一番下の台座の形も面白いけど、その上に乗ってる
金と銀の柔らかなひょうたんのような形、その上に乗ってる
ピーマンも面白い。私は〈虚栄〉ってつけたけど、
坪井明日香《女のおしゃべり》2003年
ハハハ‥‥! ユーモアのあるタイトルがいい!
金と銀のひょうたんが、おっぱいのようにも、
マンガの吹き出しの形のようにも見えてきました。

以前(2015年3月15日)ボランティアスタッフによる
ギャラリートークをしていただきながら見た
「象るかたち」展で、

岐阜県現代陶芸美術館「世界とつながる本当の方法」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-03-20
のコレクション展でした。少し感想を書いてます。

女優でもある結城美栄子さんの陶芸作品だって説明で
見ている《Tomorrow》1988年
この作品は覚えてましたがタイトルは記憶になかったです。
〈黒い少年〉〈立てる少年〉〈サーカスの少年〉とか浮かんだんですが、
あまりにそのままだなーと〈明日の少年〉ってのはどうかなって
思ったんです。で、題名を確認したら《Tomorrow》
ちょっと驚きつつ、嬉しかった。
収蔵品データベースに画像と解説があります
http://jmapps.ne.jp/momca/det.html?data_id=726

以前にもコレクション展で見て、陶でこんな薄い作品が!
って驚いた光に透ける靴の形の作品
そのまま〈光の靴〉とつけましたが、
小塩薫《痕跡からの結晶―泡の靴》1994年

本が焼け焦げている‥‥〈文明の崩壊〉って付けました。
荒木高子《頽廃の聖書》1985年
http://jmapps.ne.jp/momca/det.html?data_id=720

面白かった!「題名のない展覧会」5月10日(日)までやってます。

階段を上がって、展示室Bでは、
富本憲吉《色絵金銀彩四弁花模様飾壺》1960年 をはじめ、
荒川豊蔵、八木一夫、ハンス・コパーなど、
岐阜県現代陶芸美術館を代表するような作品が並び、

展示室C,Dでは、新収蔵された作品が並んでいました。
前回の「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」で
展示されていた大倉陶園の《白磁金彩カップ&ソーサー》
コレクションに加わったんですね。
「オークラのホワイト」と評された白磁に金縁の
カップ&ソーサー、品格を感じます。

加藤 智也《Topological Formation》2016年
黒くて大きなモコモコとした形が面白かった。

コレクション展も楽しませてもらいました。


岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/
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岐阜県現代陶芸美術館「小村雪岱スタイル」展 [美術]

1月19日(日)岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。

「小村雪岱スタイル
 江戸の粋から東京モダンへ」をやっています。
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小村雪岱、近年展覧会が開催されていたりして
名前は知っていましたが、江戸の浮世絵師かしら?
なんてくらいの認識だったんですよね。

 大正から昭和初期にかけて装幀、挿絵、舞台美術など多岐にわたるジャンルに新風を吹き込み、大衆を魅了した小村雪岱(1887-1940)。いまその再評価の機運が高まっています。(チラシ裏面の文より)

私は岐阜県美術館の後援会員になっているので、
岐阜県現代陶芸美術館の展覧会も企画展ごとに1回ずつ
無料で見ることができるんです。なので、前回来た時
(ブログに記事が書けておりませんが、去年10月27日に
「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」を見ました。
 皇室のお誂え洋食器など、とても素敵だった!)
チラシを見て、あら今度は陶芸じゃないんだ。でも面白そう‥‥と。
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もちろん見るつもりでいましたが、目覚まし代わりにつけている
NHKラジオ「橋本麻里の美術館で会いましょう」の
新年早々の放送で最初に紹介されたり、1月12日の
日曜美術館アートシーンで紹介されたりして、
これは早く行かなくては! と。

1月19日(日)は、学芸員によるギャラリートークが2時からあると知り、
その時間を目指して着いたのが20分程前。
展示室前の記念撮影コーナー
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会員証を見せて、チケットをもらい、時間まで展示室を見てて、
2時になったので入口へ戻ると、
いつも閑散としているこの美術館(失礼)にしては
意外なほどの鑑賞者が集まってました。

まずは肉筆画、木版画の展示から
最初に展示されていた《柳橋》(チラシ裏面2段目)
雪岱のこの大きさの肉筆画はとても希少なんだそう。

《こぼれ松葉》落ちてくる松葉を見上げている女性が
墨だけで描かれている掛軸は、極限まで省略された絵と余白、
線の繊細さがとても素敵。
地面に散った松葉と数羽の青い小鳥だけの《碧鳥》も
詩情っていうか、すごくカワイイ!

木版画は数点を除き、ほとんどが没後に刷られたものとの
ことですが、省略や余白を生かした雪岱の絵は、
木版画という技法、とても合ってます。

チラシのメインビジュアルになっている《青柳》や、
ポスターに使われていた《雪の朝》(2つ折りチラシ中面右下)
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どちらも人は描かれておらず、端正で静謐な画面の中、
どこか物語を感じさせるような情緒が素敵。

雪岱を一躍有名にしたのが、泉鏡花『日本橋』の装幀
大正3年(1914)雪岱28歳の時。これ以降、鏡花の本をはじめ
人気装幀家として、多くの作家の本の装幀をします。

表紙だけでなく、見返しにも気を配っていて、
雪岱が装幀すると売れ行きがいいと言われたのがわかります。

雪岱の前に鏡花の本の装幀をしていた鏑木清方は、
挿絵画家からスタートして、美人画、日本画へと進んだ人ですが、
雪岱はまず日本画の基礎を東京美術学校(現東京藝術大学)で
下村観山に学び、卒業後に国華社で古画の模写に従事したりしたのち、
装幀や挿絵へと進んだと。

東京美術学校時代の写生や模写、国華社時代の古画の模写が
展示されていましたが、確かな技術を持った人なんだなぁと。

発足まもない資生堂の意匠部で、商品や広告のデザインにも携わり、
「資生堂書体」を作ったりもしたそう。

泉鏡花の装幀で、いわば仕事を奪ってしまったともいえる
鏑木清方ですが、ずっと親しい関係が続いていたそうで、
清方の随筆集『銀砂子』の装幀を雪岱に依頼しているし、
清方の口絵で雪岱が装幀をした泉鏡花の本もありました。

そして大人気だったという雪岱の挿絵。
図録の裏表紙にも使われている《おせん 雨》は、
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朝日新聞に連載された邦枝完二の小説の挿絵を
雪岱が大きく描きあらためたものを木版画にしたもの。
傘の重なりの間に、逃げる黒頭巾のおせんがチラリと
見えるのが、なんとも粋というか、
デザインセンス溢れる画面が素敵。

矢田挿雲『忠臣蔵』や、土師清二『旗本伝法』の挿絵など
(私の全く知らない小説家ばかりですが)
江戸の風俗の情緒あふれる絵が、モノクロの中に、
黒の塗りつぶしがとても効果的に使われていたりして、
「雪岱調」と呼ばれた挿絵が大人気だったのがわかります。

挿絵、装幀で多忙だった雪岱ですが、依頼を受けて
(頼まれるとつい引き受けてしまう人の好さもあったみたい)
舞台装置の原画も描いていたそうで、
中里介山『大菩薩峠』や、坪内逍遥『桐一葉』の舞台装置原画が
展示されていました。省略が特徴的な雪岱の絵と違い、
ものすごく細かく描かれていて、これを元に作られた大道具の装置が
今も残っていたりするとか。雪岱の肉筆画は希少で貴重だけど、
もしかしたら、舞台装置の原画がまだ出てくるかもって話を聞きました。

多岐にわたる仕事で多忙だった雪岱。過労からか、
昭和15年(1940)、脳溢血で倒れて亡くなります。54歳。

江戸の粋を受け止め、東京のモダンを体現した『意匠の天才』
(チラシの文より)だったんですね。

「昭和の春信」と称された雪岱
展覧会では、鈴木春信(1725?~1770)の錦絵も展示されていました。
歌麿の美人画とちょっと違って上品でたおやかな印象を受けました。

そして、「江戸の粋から東京モダン」というセンスに溢れた工芸作品や、
雪岱のオマージュとして制作された現代作家の作品の展示もありました。

この展覧会の多くの出品作が、以前にここ
岐阜県現代陶芸美術館でも開催された
「超絶技巧!明治工芸の粋」展
 2015年9月12日(土)~2015年12月6日(日)や、
続編の「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」展
 2018年6月30日(土)~8月26日(日)の
(どちらも私見に行って、すごく良くて図録まで買ってるのに、
 ブログに感想が書けておりません)
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清水三年坂美術館の所蔵品で、今回の展覧会でも
所蔵品の中(個人蔵のものもあり)から
柴田是真の漆芸や、並河靖之や濤川惣助の七宝、
櫛や笄(こうがい)、簪(かんざし)、帯留なども展示されてて、
超絶技巧とデザイン感覚にため息がでました。

「超絶技巧!」展で驚いた安藤緑山のリアルな牙彫。
今回、緑山の次男夫人が結婚祝いにもらったという帯留
《苺牙彫帯留》(この作品のみ三井記念美術館蔵)が出てて、
苺のリアルさと可愛らしさがやっぱりスゴイ!

《柳鷺図刺繍屏風》の大きさと超絶技巧も驚きです。


最後の部屋は撮影可!! 現代作家の作品だけでなく、
雪岱の肉筆画もさりげなく(?)展示されているのが嬉しい。

小村雪岱《赤とんぼ》昭和12年(1937)頃
暖簾から顔だけ出す女性が見ているのは、赤とんぼ!
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厚さ数ミリにまで楠を彫り込んで作られた
松本涼《枯薔薇》2019年 と、《折鶴》2019年
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小村雪岱《写生 ヤマユリ》と、
松本涼《枯山百合》2019年
百合の雄しべ雌しべ以外は一本造りという超絶技巧!
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花鋏は、漆芸家・若宮隆志がプロデュースする輪島の漆芸職人集団
「彦十蒔絵」が作った見立漆器「鋏」2019年

彦十蒔絵《鉄瓶 鉄錆塗》2015~2019年
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鉄瓶が4つ並んでいるのではなく、本物は一番左のみで、
右にいくに従い、その鉄瓶の錆びて朽ちていく姿が漆塗りで
表現されているのだそう。
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竹の網組で作られた作品
本田聖流《輪廻》2019年
網代編みという技法で作られたメビウスの帯のような「輪廻」
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本田聖流《プロミネンス》2019年
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臼井良平《目薬と手鏡》2019年
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今回の展覧会のメインビジュアルにも使われている
雪岱《青柳》の「見立て」として制作された作品。
鼓と三味線のかわりに、
ガラスでできた小さな目薬と手鏡が置かれてます。
臼井良平さんは
「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」展で、
ガラスでできたペットボトルや水の入ったビニール袋が
展示されてましたね。


小村雪岱のモダンなデザイン感覚、とても気に入りました!
学芸員の説明を聞けたのも良かった。
ギャラリートークの後、もう一度じっくり展示を見て、

図録(2,750円)とクリアファイル(330円)を購入。
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クリアファイルはいくつか種類があって迷ったけど、
団扇絵の原画ではないかという《月に美人》を買いました。
学芸員の方の説明で、うっすらと描かれた月に気付きました。
掛軸の仕立ての布も素敵。
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クリアファイルのもう片面は、
『小村雪岱画集』表紙絵 「柳に梅花図帯」より
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「小村雪岱スタイル」展
岐阜県現代陶芸美術館で、2月16日(日)まで開催された後、

(山口展)山口県立美術館 2020年10月30日~2021年1月3日
(東京展)三井記念美術館 2021年2月6日~4月18日
(富山展)富山県水墨美術館 2021年4月下旬~6月(予定)
と巡回するそう(巡回展の間が結構空いてますねー)
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