SSブログ

練馬区立美術館「津田青楓」展 [美術]

3月15日(日)、練馬区立美術館へ行ってきました。
「生誕140年記念
 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」
という展覧会をやっています。
TsudaSeifu.jpg

TsudaSeifu-2.jpg


3月14日(土)・15日(日)と、ダンナの仕事の手伝いで東京へ行ったんです。
新型コロナウィルスの影響で、私のパートもヒマで、
土日と連休になったので、(日曜はもともと休みなんですが)
ちょうど仕事で東京へ行くダンナが付いて来るか? と。

用事も日曜の昼頃には終わるので、どこか美術館へ行きたいけど、
新型コロナウィルスの影響で休館しているとこが多いからなぁ‥‥
と思ったけど、ネット調べると、ここは開館してる! って。
練馬区立美術館: https://www.neribun.or.jp/museum/

津田青楓という画家、チラシを見るまで知りませんでした。
この展覧会のチラシは地元の美術館(所蔵作品を貸し出している名古屋市美術館だった?
ポスターもあったかな??)へ行った時に手に入れてたんですね。

アール・ヌーヴォー風の図案――ステンドグラスのデザインにも使えそう!
――が、気に入って持ち帰ってきました。その時は
東京の、それも練馬だし、行けるとは思ってなかったんですが、
調べたら、渋谷からも東京メトロ副都心線直通で行けると知って。
(私は1回の乗換で行きましたが)西武池袋線「中村橋」駅下車、徒歩3分。

表示に従って線路(高架)沿いの道を歩くとすぐでした。
2020-3-15-(37).jpg

美術館の隣が「練馬区立 美術の森緑地」として、
2020-3-15-(40).jpg
不思議な動物たちの彫刻があちこちに! カラフルで楽しい!!
日曜だったこともあって、子どもたちや親子がたくさん来ていて、
いいですね! こんな公園!!
(写真いっぱい撮ったので、記事の終わりに詳しく載せます)

2020-3-15-(42).jpg
階段を上がった2階が美術館の入口になっています。
2020-3-15-(43).jpg

観覧料一般1,000円を払って、同じフロアの展示室へ
第一章 因習に背く 図案から美術へ

私好みの図案がまず目に入ってテンション上がります!
いいなぁ!!
TsudaSeifu-(11).jpg
美術館で買った「津田青楓の図案」より

 1880年(明治13)に京都市中京区に生まれた津田青楓(つだせいふう、1880~1978、本名・亀治郎)は、1896年(明治29)に生活の糧として図案制作をはじめたことから画家人生の第一歩を踏み出します。歴史画家谷口香嶠に師事し日本画を学び、関西美術院では浅井忠らにデッサンを学んで(後略) チラシ裏面の文章より

京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」展 で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-02-23

展示されている図案集とか素敵!!って見たんですけど、
それらにも通じるような(年代が同じ頃ですものね)

植物のデザインはアール・ヌーヴォーに通じるような
TsudaSeifu-(13).jpg

青楓は関西美術院で浅井忠に学んでいるので――
アール・ヌーヴォー全盛期のフランスに留学した浅井忠は、帰国後、
京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)の教授となり、
関西美術院を開いて後進の育成に努力したと。
浅井忠の図案により、青楓の幼友達で「小美術会」を結成した杉林(浅野)古香が
蒔絵を作った《白川女小手筥》が展示されていました。
2018年暮にヤマザキマザック美術館で見た
「アール・ヌーヴォーの伝道師 浅井忠と近代デザイン」って展覧会
YamazakiMazak-AsaiChu-(1).jpg
(私好みの展覧会だったのに、感想が書けておりません)で、
これ展示されてました!! あらためてその時の出品リスト見たら、
「浅井忠図案、杉林古香作」って漆器が7点も出てた! し、
浅井忠が教材にするためにフランスから持ち帰ったミュシャなどのポスターがあって、
青楓もそれらを見て、参考にしたんだろうなって思いますが、
もともとアール・ヌーヴォーが日本美術の影響を受けているので、
親しみやすかったこともあるでしょうね。

田園風景を写生して図案化してたりするのもあって、
日本的な情緒がとても素敵。
TsudaSeifu-(12).jpg
TsudaSeifu-(14).jpg
TsudaSeifu-(15).jpg
TsudaSeifu-(16).jpg

そんな中、青楓は徴兵され兵役に。除隊して兄一草亭と浅野古香により
「小美術会」を結成し、図案作品を発表する機関紙を創刊するも束の間、
日露戦争が勃発して、再び招集され、203高地の激戦地へ!
その凄惨な体験を赤裸々に1915年(大正4)文芸雑誌『白樺』などに発表しています。

1932年(昭和7)、青楓は『婦人之友』から届いた「世界からなくしたいもの」
というアンケートに答えて曰く、「戦争」と。(昭和7年ですよ!!)

青楓が戦地から浅野古香に送った葉書が展示されていました。

20代の5年間を奪われた青楓(死と隣り合わせの激戦地!)
遅れを取り戻すべく、農商務省海外実業練習生に合格し、
1907年(明治40) フランスへ。アカデミー・ジュリアンで学びます。

デッサンを習ったジャン=ポール・ローランスの《ピエトロ》1907年
という絵が展示されていました。古典的で重厚な歴史人物画。

フランス留学で一緒だったのが、8歳年下の安井曾太郎

異国での3年間を共に過ごした安井とは生涯の友となります。

1910年(明治43)帰国した青楓は191年1(明治44)東京へ。
夏目漱石と出会い、親しく交わるようになります。

漱石とその周りに集まる十弟子(11人の図もあり)を俳画風に描いた絵が楽しい。

漱石晩年に出版された著書の多くの装丁を青楓が手掛けているとのこと。

1916年(大正5)12月9日、漱石が亡くなった時、青楓は人目を憚らず号泣します。

この部屋だけでも、図案集やハガキ等の資料がいっぱいだったんですが、
「上の階に続きます」って言われて、階段を上がった最初の部屋には
青楓が装丁した本がずらっと並んでいます。

夏目漱石だけでなく、漱石門下の森地草平、鈴木三重吉、
与謝野晶子や高浜虚子など多くの本の装丁をしていたことがわかります。

ずっと前に古本市で買った(私が買うんだから安かったとは思うんですが)
漱石遺作「明暗」 大正6年1月26日発行 大正14年3月3日58版発行 岩波書店
Souseki-meian-(1).jpg
主人公の名前が「津田」です。
Souseki-meian-(4).jpg
装丁者の名前は書いてないし、今回の展覧会には別の装丁本が出てたけど、
青楓の装丁かなぁ??
Souseki-meian-(3).jpg


さて、次の展示室からが
第二章 帝国に背く 社会派の画家

1911年(明治44)文部省美術展覧会(文展)に入選するが、
1913年には落選、アカデミズムに凝り固まった洋画の鑑査に不満を持った
青楓は、1914年、同じ意識を持つ画家たちと二科会を設立。
反文展の在野美術団体 二科会の中心メンバーの一人として活躍します。

1923年(大正12)関東大震災の混乱を避けて京都に戻った青楓は、
マルクス主義経済学者・河上肇と出会います。

河上の影響で、社会思想への関心を深め、活動の援助をおこないます。

この頃の青楓の絵は、正直、私にはうーーん?ってカンジなんですけど、
《研究室に於ける河上肇像》1926年 はいいなって見た。

そして、国会議事堂と民衆の住むバラック建築を対比的に描いた
1931年(昭和6)の第18回二科展出品作
《ブルジョワ議会と民衆生活》の下絵
展覧会出品時には、タイトルも「新議会」と改題を命じられたそう
隣に展覧会に出品された本画の絵葉書が展示されていましたが、
1933年に青楓が逮捕された折に官憲に押収され、現在は下絵しか残っていないそう。

やっぱり迫力なのは、1933年(昭和8)、特高の拷問を受けて獄死した
小林多喜二のデスマスクも展示された一角。
十字架のキリスト像にも匹敵するようなものにしたいといふ希望を持って
描いたという《犠牲者》1933年
画面左下の鉄格子の窓から見える国会議事堂が強烈な批判になってます。

この絵は、青楓が官憲に踏み込まれる直前に気付いて隠したため、
押収を逃れたが、敗戦から5年後の1950年(昭和25)にやっと初公開されたとのこと。

逮捕された青楓は、転向を誓約することで釈放されますが、
洋画断筆を宣言して、二科会からも脱退します。

河上肇を支援する一方、青楓は1926年(大正15)「津田青楓洋画塾」を開き、
1930年にはその東京塾を、1932年には名古屋研究所を開き、塾生は
京都、東京、名古屋を通して約150名にまで及んだそう。

塾生であった今井憲一や、下郷羊雄、北脇昇、オノサトトシノブの絵や
青楓塾展のポスターも展示されていました。

下郷羊雄(しもざと よしお)と北脇昇!
愛知県美術館「アイチアートクロニクル展」で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-04-15
1930年代の名古屋はシュルレアリスムの一大拠点だったと、
その中心人物として、下郷羊雄が紹介されてて知ったんですが、
下郷が実家の援助で名古屋市内に構えたアトリエに
津田青楓塾名古屋研究所を開くんですね。
まぁ、なんとも個性的な絵を描く人です。

その「津田青楓塾」も津田の逮捕と共に終わってしまいました。
窓側の廊下を通って次の展示室へ行くと、


第三章 近代に背く 南画の世界へ

青楓は二科会の中心メンバーとして活躍していた時でも、
日本の伝統的画材による作品も描いていましたが‥‥

どこの谷川の風景か? って見たら、遠くにニコライ堂も見える
《お茶の水風景》1918年 とか興味深かった。

1933年の官憲の弾圧による洋画断筆宣言以降、伝統的な日本画、
なかでも詩と画の交錯する南画の世界を追求していくことになり、

なかでも、良寛への関心を深めていきます。
良寛の「堪えしのぶ」生き様を自分と重ねていたんでしょうか。

津田青楓、画家3人分くらいの仕事をした人ですね!
明治・大正・昭和にわたる98歳の生涯

多くの作品や資料に丁寧な解説がついて充実した展覧会でした。
見に来ることができて良かったです。

図録をぜひ買わなくちゃと、ショップ(ってほどのものはなく、
チケット売場のカウンターの前に机一つおいてあるくらい)へ行くと、
「津田青楓の図案」って本が置いてあって、津田青楓の仕事の中で、
私は図案が特に気に入ってたので、この本欲しくなっちゃったんですね。
2,800円+税かー、図録(2,700円+税のところ、税抜の2,700円で買える!)
あきらめてこっち買おうかな‥‥とも思ったんですが、やっぱり図録も
欲しくて2冊奮発しちゃいました!
TsudaSeifu-(5).jpg

ついでに練馬区立美術館の隣の美術の森緑地のペンギンさんを使った
オリジナルクリアファイル350円も買っちゃいましたー!!
TsudaSeifu-(19).jpg

津田青楓の美術館が、山梨県笛吹市にあるそうですね。
青楓と親交のあった笛吹市一宮町出身の歴史家 故 小池唯則氏が
私財を投じ、昭和49年(1974)10月23日に開館した、
ぶどう畑の中にある小さな美術館。
TsudaSeifu-(3).jpg

青楓の遺族からの寄贈もあり、現在500点以上の作品を収蔵していて、
今回の展覧会にも多くの作品が出品されてました。
この展覧会最大201×353cmの《疾風怒濤》1932年 もここの所蔵。
「背く画家」らしい反骨と迫力が感じられる作品でした。
TsudaSeifu-(4).jpg


さて、美術の森緑地の不思議な動物?たちを紹介します。

美術館の前にあるのが《うつるもの》鞍掛純一
2020-3-15-(44).jpg

階段の両脇に《トンボ》内山翔二郎
2020-3-15-(45).jpg
2020-3-15-(63).jpg

隣の建物2階になかなか良さそうなカフェ? 発見!
昼ごはん食べてなかったことを思い出して、行ってみることに。
2020-3-15-(62).jpg

《キリン》以下、鞍掛純一
2020-3-15-(47).jpg

《ゾウ》
2020-3-15-(66).jpg
2020-3-15-(65).jpg

《ペンギン》
2020-3-15-(70).jpg

《ゴリラ》
2020-3-15-(68).jpg

《手長サル》
2020-3-15-(69).jpg

《イヌ》
2020-3-15-(67).jpg

《ライオン》
2020-3-15-(64).jpg

ずんぐりむっくり《カエル》
2020-3-15-(48).jpg

カラフルな《トカゲ》
2020-3-15-(61).jpg

《トラ》
2020-3-15-(50).jpg

《ヘビ》
2020-3-15-(51).jpg

なんとも幸せそうな、寄り添う《ネコ》島田紘一呂
2020-3-15-(60).jpg

後ろの塔の上の彫刻は《森の幻想》古賀忠雄
2020-3-15-(53).jpg

練馬って言ったら、大根のイメージですよね。
《ネリマーマ》あきびんご
2020-3-15-(38).jpg

練馬区立美術館のキャラクター
《ネリビー》ナガクラトモヒコ
2020-3-15-(71).jpg

隣は「サンライフ練馬」中高年齢労働者などの雇用促進と
福祉の向上を図るための労働相談などを行う施設なんだとか。
2階に、さっき雰囲気良さそうって見たレストラン「月の風」があります。
2020-3-15-(54).jpg

公共施設にあるレストランにしては、ランチやカフェだけでなく、
ディナーもやってアルコール等もある本格的なイタリアンレストラン。
2020-3-15-(59).jpg

ガラス張りの開放的な雰囲気も素敵。
2020-3-15-(57).jpg

かなりお腹空いてたので、今月のメニューの
白菜ときのこのクリームパスタをいただきました。
美味しかった。かなりのボリューム!
ちょっと中途半端な時間にお腹いっぱいwwになっちゃいました。
2020-3-15-(56).jpg
アイスカフェオレつけて1,320円でした。

練馬区立美術館: https://www.neribun.or.jp/museum/


この展覧会の図録は楽天でも買えます
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和
価格:2970円(税込、送料無料) (2020/3/23時点)







--追記--
中日新聞2020年3月24日(火)夕刊に載った
練馬区立美術館学芸員の喜夛孝臣さんが寄稿した記事
chunichi2020-3-24.jpg

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

名古屋市美術館「岸田劉生展」 [美術]

1月28日(火)に行ってきた
名古屋市美術館「岸田劉生展」のことを
KishidaRiusei(1).jpg

劉生というと「麗子」なのかな? でもそれだと、
なんか不気味な絵を描く画家、みたいなイメージになっちゃうのでは?
KishidaRiusei(2).jpg

日本の近代美術史に比類なき足跡を残した岸田劉生(1891-1929)。劉生といえば愛娘を描いた「麗子像」が代表作として挙げられますが、肖像画だけでなく、静物画、風景画といった多彩なジャンルで独創性豊かな傑作を残しました。劉生はものの存在を見つめ、美を求め、さらに深い精神性を追求する独自の写実絵画の道を歩み続けました。その劉生の美意識は、新しい美術を模索する若い作家を中心に当時の洋画壇に強い影響を与えました。
(チラシ中面の文より)
KishidaRiusei.jpg

私は岐阜県美術館で岸田劉生《自画像》を見たり、
愛知県美術館の《高須光治君之肖像》を見て、
その深い写実表現すごいなって見てましたし、
13726.jpg
(愛知県美術館蔵のこの絵、もちろん展示されてました)
愛知県美術館ウェブサイト
コレクション検索で公開しているデジタル画像のうち、 「Public Domain」(パブリックドメイン)の表示があるものは、 当館に申請することなくダウンロードし、自由に複製、 再配布することができます。

愛知のこの100年のアートシーンを辿った
愛知県美術館「アイチアートクロニクル展」で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-04-15

私は、劉生が中心となって結成された「草土社」や
「草土社」の愛知での展覧会に触発されて結成された「愛美社」の
画家たち―河野通勢、大澤鉦一郎、宮脇晴、山田睦三郎たち―の絵が
一番気に入ったというか‥‥まぁ、私は写実絵画が好きというか、
その後の前衛的な絵画ってやっぱりよくわからないってこともあって。

日曜美術館で、東京ステーションギャラリーの展覧会が取り上げられて、
会田誠さんが<意識高い系>画家って言ってて面白かった。
(私が見に行った後の2月2日に再放送があって、復習しながら興味深く見ました)

なので、1,200円の前売券買うつもりでいたら(当日一般1,400円)
金券ショップで前売より20円安いチケットを発見して買っちゃいました。

できるだけ混んでいない会期早めの平日に行ったつもりでしたが、
2020-1-28-(4).jpg
展覧会場は意外と鑑賞者がいました。

入口のパネル
2020-1-28-(5).jpg

この展覧会、しりあがり寿さん描く麗子がカワイイ!
2020-1-28-(6).jpg
麗子の赤い肩掛けとカツラをつけて記念撮影ができます!!ハハハ!!
(前の二人が盛り上がって写真撮ってたので、
この写真撮るまでかなり待った(^v^)

第一章
まずは1907年、劉生16歳のみずみずしい水彩画から。

そして黒田清輝の白馬会葵橋洋画研究所で学んでいた頃
劉生18歳の《橋》1909年9月15日 は、浮世絵風でもあり、
川面の反射が印象派風でもあって、とても気持ちのいい絵だと見ました。

そう、この展覧会で気がついたのは、ほとんどのキャプションに
絵の制作年月日まで記されていたこと!

年月日まで正確な年代順に並べられた絵で、
劉生が辿った絵の道がよくわかります。

劉生が「第二の誕生」と呼んだ雑誌『白樺』との出会い。
『白樺』が紹介する後期印象派の画家たちの絵から
影響を受けて描いたゴッホ風の《自画像》1912年3月14日や、
マチスのような色面構成による風景画

第二章では、
「首狩り劉生」と呼ばれた友人たちの肖像画、
そして自画像が正確に年代順に並べられているので、
筆致が細かく、細密に、より写実へと進んでいくのがわかります。

よく見ている(はずの)岐阜県美術館蔵の《自画像》1914年5月20日 も
もちろん並んでましたが、
自画像の中でわりと遅くに描かれた作品なんだと確認しました。
しかし、パッと見、同じような自画像が並んでて、
あ、これ岐阜県美術館の?って見たら違ってたりして、
まぁ飽きもせずに描いたもんだって気持ちと、よくこれだけ
様々な所蔵者から集めてきたものだ、大変だったろうなーなんて。

第三章
名古屋市美術館の展覧会では劉生の風景画の傑作で、
重要文化財にもなっている
《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年11月5日
が展示されてなくて残念だったんですが、
その場所を遠くから見た風景画
《代々木附近(代々木附近の赤土風景)》1915年10月15日 があって、
あ、ここを描いたのね! と興味深かったし、

《冬の崖上の道》1915年12月23日 や、
《冬枯れの道路(原宿附近写生)》1916年1月7日 などは、
土の道しか描いてないのに、不思議な迫力がありました。

劉生が肺結核の療養のために転居した家の隣に住む医師を描いた
《古谷君の肖像(草持てる男の肖像)》1916年9月10日 が良かった!

階段を上がった2階の 第四章では、麗子ちゃんの肖像がずらり!
村娘のお松をモデルにした絵もありました。

メナード美術館が所蔵する、赤い肩掛けを着た麗子の水彩画が
良かった。額装に布が使われているのもいい雰囲気。

チラシ中面右下の《麗子座像》1919年8月23日 ポーラ美術館蔵 は
すごい迫力! 油彩で描かれた絞りの着物など、
手触りまで伝わってくるような細密描写がすごい。
後年、麗子が足が痛いのをこらえて、溢れてきた涙が
流れないようにしていたって回想しているそうだけど、
そんなうるんだ目や真剣な表情、鬼気迫るような絵だなと。

重要文化財にもなっている、劉生といえばイメージする
《麗子微笑》1921年10月15日 東京国立博物館
2月16日までの限定公開でしたが、見ることができて良かった。
写実を極めた後だからこその不思議な絵。
この麗子の微笑みは、モナリザの微笑みや、仏像の微笑みを
思い出させるようで引き付けられました。

で、第五章
《麗子微笑》で出てきた不気味さグロテスクさがもっと強くなった
《二人麗子図(童女飾髪図)》1922年3月21日 泉屋博古館分館 や、
《童女舞姿》1924年3月7日 大原美術館 にはうーん‥‥となって

絹本着彩の《七童図》1922年9月13日 は、力の抜けた感じが
微笑ましくはあるんだけど‥‥

1922年6月から、骨董の収集に没頭しだして、

第六章
1924年11月から始まった茶屋遊びの放蕩で、
生活と制作に支障をきたして‥‥って解説を読んで、
劉生さん、何やってるのww! って。

再起をかけて1929年満州へ渡り、
《満鉄総裁邸の庭》1929年11月 などを描いて画会を開くも、
体調不良で山口県徳山(現・周南市)まで戻り客死。享年38

‥‥38歳!!
独自の絵の道を突き進んでいった劉生の生涯がよくわかる展覧会でした。

図録がとても充実してます! 2,500円(税込)
Riusei (3).jpg
自立するほど分厚い図録の後半88ページにわたって、
山田諭 編「岸田劉生活動記録」が載ってます。

活動については劉生の日記や論考、書簡などから記載され、
制作した作品については現在の所蔵先はもちろん、
初出展覧会名なども付記されてて、ものすごーーく詳しい!!

名古屋市美術館「画家たちと戦争」展 で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-09-24
展覧会の企画・担当学芸員の山田諭さんによる作品解説会があって、
それぞれの画家たちのことを詳しく説明していただいて、
とてもよく分かったんですが、現在、山田諭さん
京都市美術館の学芸課長になっていらっしゃるんですね。

しりあがり寿さん描く麗子のクリアファイルも
買っちゃいましたよ! 407円(税込)
Riusei (1).jpg
Riusei (2).jpg

名古屋市美術館のコレクション展の、郷土の美術の部屋では、
岸田劉生展にあわせ「岸田劉生と愛美社」として、
大澤鉦一郎、宮脇晴、山田睦三郎、水野正一らの絵と、
1921年の草土社名古屋展第2回の開催に尽力した一人で、
劉生に師事していた片野元彦へ、お礼と記念に贈った
岸田劉生《なわとびの図》や、1923年に関東大震災が起きた際、
片野は、鵠沼の劉生の家に駆け付け、京都に移るまでの2週間、
劉生一家を片野家に滞在させたお礼に贈った
《菊(君子独居)》の絵と、ろうけつ染めの布が展示されていました。



美術館を出て、隣の名古屋市科学館の間を通り抜けて帰ろうとしたら、
2020-1-28-(8).jpg
(16時頃)プラネタリウムの最後16:40の回がまだ入れるって知ったので、
見ていくことにしました。800円 科学館のプラネタリウムは2回目。
前回は名古屋に遊びに来た友人たちと入ったんですが、
名古屋市科学館プラネタリウムと大須散策ミニ同窓会
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-03-07
学芸員の解説が穏やかな声で眠ってしまいました(;.;)
今回はちゃんと起きてましたよ(^v^)v
テーマが「オリオン座物語」で、この頃、オリオン座の
ペテルギウスが観測史上異例の暗さになってて、超新星爆発が
起きるのではないかって言われてたので、興味を持ってたって
こともあるんですが(その後、また明るくなりつつあるそうですね)

--オマケ--
中日新聞1月25日(土)の記事
Riusei-chunichi.jpg
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

豊田市美術館「岡﨑乾二郎 視覚のカイソウ」展 [美術]

新型コロナウィルスの影響でパート先も人手不足が一転!
お客様も少なくてヒマなので急遽休みも増えました。
1月26日(日)に行った展覧会のことを今更ですが書いておきます。

岡﨑乾二郎 視覚のカイソウ
OkazakiKenjiro-(4).jpg
このチラシ表面に使われているのは《おかちまちb_5》豊田市美術館蔵

2019年12月29日の日曜美術館で(アートシーンではなく本編で!)
取り上げられていて、いろんな活動をなさってる作家なんだと
OkazakiKenjiro.jpg
造形作家、岡﨑乾二郎(1955 年〜)は、初個展「たてもののきもち」でレリーフ〈あかさかみつけ〉シリーズを発表して以来、彫刻、絵画、映像、メディア・アート、建築からテキスタイル作品、舞台美術、絵本、タイル、支持体(画板)ロボットとの協働によるドローイングまで、あらゆるジャンルにおいて最前線で制作を続けてきました。(チラシ裏面の文より)

豊田市美術館で、展覧会のチラシ7種類見つけたので、ずうずうしくも
全ていただいてきました。(でも全部で8種類あるみたい。コンプリートできてない(T.T)

《おかちまちa_2》作家蔵 が使われています
OkazakiKenjiro-(5).jpg

《おかちまちa_1》作家蔵
OkazakiKenjiro-(6).jpg

《おかちまちb_2》豊田市美術館蔵
OkazakiKenjiro-(7).jpg

《おかちまちd_5》作家蔵
OkazakiKenjiro-(8).jpg

《おかちまちb_3》豊田市美術館蔵
OkazakiKenjiro-(9).jpg

《おかちまちc_3》作家蔵
OkazakiKenjiro-(10).jpg
裏面は文字の色とか少し違いはありますがほとんど同じ


私がその時まで知っていたのは、透明度の高い絵の具を塗りたくった
タイトルがやたら長い作品を描く作家――ってことと、

2017年に豊田市美術館「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」へ行った時、
岡崎乾二郎が企画監修した展覧会「抽象の力」も開催されていて、
見てはいるんですが、モンテッソーリやシュタイナーの幼児教育用具が
展示されていたのが印象的ではあったんですが‥‥

豊田市美術館は年間パスポートがあるので行くつもりではいました。
この日、14時から学芸員によるギャラリートークがあると知ったので、
この機会に行ってこようと。
2020-1-26-(8).jpg

出品リストが16ページもある小冊子になってる!
作品の配置図
OkazakiKenjiro-(11).jpg

ギャラリートークの時間まで少しあったので、展示室に入って待ってました。
一部ガラスで向こう側が見える壁が面白い。
2020-1-26-(9).jpg

14時になったので入口へ戻ると、学芸員さんが大勢の鑑賞者に囲まれてました。

入口横の壁面にずらっと並んだレリーフは、
〈あかさかみつけ〉シリーズ
2020-1-26-(76)p.jpg
(写真、後で撮ったものと混在しています)

岡崎乾二郎は、1981年の初個展「たてもののきもち」で、
《あかさかみつけ》シリーズを発表して、大きな話題になったそう。
2020-1-26-(11).jpg

見る角度が違うといろんな形が出てきます。
2020-1-26-(12).jpg

これらは同じ形? 色違いでたくさん並んでます。
なんか‥‥安っぽいようにも見えちゃうんですけど。
素材は、それまで美術作品にはほとんど使われたことがなかった
スチレンボード(日曜美術館の番組で言ってた。出品リストには、
「ポリプロピレン、ポリエチレン」と)だそう。
2020-1-26-(15).jpg

不思議な形は、洋服の型紙からきてるとか聞きました。

反対側の壁にはドローイングが。同じ絵が何枚もある?
これらはロボットによる描画なんだそう。
2020-1-26-(14).jpg
でもよく見ると全く同じではなくて、筆の太さとか、
微妙に違うところがあると。
2020-1-26-(64).jpg


「ブランカッチ礼拝堂壁画分析」のコーナーでは、
鑑賞者がタブレットをかざして熱心に見てます。私も体験させてもらうと、
ブランカッチ礼拝堂の壁画がそれぞれに交わり、重なるように
描かれているということがARを使って説明されてます。
2020-1-26-(65).jpg
キリスト教の知識がないので、細かいことまでは理解できないんですが、
構図を決めるにあたり、いろんなことが計算されて描かれているんだなぁとか、
中央に描かれていた絵の予想とか、
(このマリアの絵は壁画とは様式が違いますものね)
とても興味深く見ることができました。
2020-1-26-(66).jpg


たまにレリーフが壁の高~いところに展示されていたりします。
《711 6692 Gohongi》
2020-1-26-(16).jpg

ちょっと形が違う。
2020-1-26-(17).jpg

《かっぱぱし》1981 池上弥々氏蔵
作品の影もなんか面白い。
2020-1-26-(18).jpg

《あかさかみつけ》1981 高松市美術館
2020-1-26-(19).jpg

《そとかんだ》1981 高松市美術館
2020-1-26-(20).jpg

《おかちまち》シリーズのうちの1点
2020-1-26-(67).jpg

そして、長wwwwいタイトルがついた絵画
2020-1-26-(69).jpg

私は学芸員さんの解説や日曜美術館を見るまでは、これらの絵画、
勢いというか、即興で、絵具をキャンバスに塗りたくっているみたいに
思ってたんですが(アクション・ペインティングみたいな)
実は綿密に計算して描いているってのを知りました。
2020-1-26-(71).jpg

2枚組になった絵とかあるんですが、片方に描かれている形が
もう片方にも(色を変えたりして)描かれていたりするそう。
2020-1-26-(70)p.jpg
2020-1-26-(70).jpg

学芸員さんの説明に、もう一度形を探しながら鑑賞してみたり‥‥


左の壁の3枚組は 2009 愛知県美術館蔵
(タイトルは長すぎてここに書けませんww)
2020-1-26-(72).jpg
右の壁の3枚は 2018 個人蔵

絵画作品としては早い1992年制作の絵
2枚組ではないよう(所蔵が違う)だけど、
同じ形が描かれたりしてますね。
2020-1-26-(73).jpg

左の壁の2枚が1992年 右が1994年制作
2020-1-26-(75).jpg

2階への階段を上がって、ふと壁を見ると
このレリーフはちょっと雰囲気が違いますね
《3時15分》
2020-1-26-(54).jpg

2階の展示室1では、まずこの彫刻(?)の大きさに圧倒されます。
逆三角形の不安定な形に見えるけど、上部の1点で支え合って
自立しているんだとか。
2020-1-26-(79).jpg
2020-1-26-(83).jpg
2020-1-26-(84).jpg


壁には木で作られたレリーフ
《でんえんちょうふほんまち》シリーズが
2020-1-26-(78).jpg
スチレンボードのものより大きいけど色はついてない
2020-1-26-(24).jpg

セラミックによる彫刻
《ケウシュとてをあげ トンソクとあしをかたぶけて》2000
2020-1-26-(81).jpg

異なる粘土がつぶし合っているのか、支え合っているのか‥‥?
2020-1-26-(82).jpg


階段を上がって、小さめの展示室2では、

布を使った作品が並んでいます。
左《斧を磨いて針にする》1986 高松市美術館
右《木灰木を育てる》1986 千葉市美術館
2020-1-26-(86).jpg
母親が洋裁好きで、型紙から発想された作品だとか


展示室3
レリーフ作品が大きくなって転がっているwwみたいな
タイトルはものすご~く長いので書きません。鋼と木でできているそう。
1990-1991 大阪中之島美術館
2020-1-26-(34).jpg

日曜美術館で新しくできた池袋の複合施設に岡崎乾二郎さんの
《ミルチス・マヂョル》というタイトルの巨大なタイル壁画作品が
設置されたと知りましたが、ここでもタイルの壁が展示されていました。

《Martian canals/streets》2019
2020-1-26-(31).jpg

いろんなサイズ、色、質感(光沢あり・なし)のタイルが組み合わさってます。
2020-1-26-(32).jpg


釉薬セラミックタイル144枚組の作品が2点
どちらもものすごーーく長いタイトル
2020-1-26-(35).jpg

黒いほうが2011年制作
2020-1-26-(36).jpg

白いほうが2013年制作
2020-1-26-(37).jpg

写真ボケてますが、ケースの中の粘土の彫刻は
《エンディミオン》2003 個人像
2020-1-26-(38).jpg

岡崎乾二郎さんの執筆した本や
2020-1-26-(41).jpg

活動などの展示
2020-1-26-(42).jpg

「ポンチ絵」ってのが並んでいます
2020-1-26-(39).jpg
子供の落書きみたいなのが、箱に入ってます。
が、紙が折りたたまれたり破られたりと
立体的で奥行が出てるのが面白い!
2020-1-26-(87).jpg
2020-1-26-(40).jpg


展示室4
2020-1-26-(44).jpg
透明感のある絵具がなんかいい感じ
2枚組の作品の同じ形を探すことも覚えました。
2020-1-26-(29).jpg
2020-1-26-(46).jpg
2020-1-26-(47).jpg

やっぱり私は、チラシ裏面にも使われている
1997年制作 豊田市美術館蔵のこの2枚組の絵が好きだなぁ。
2020-1-26-(30).jpg

小さな作品は、額(?)の木枠が凸凹してるのが面白ーい!
2020-1-26-(28).jpg

この作品、気に入りました! 美味しそう!?
2020-1-26-(27).jpg

最後の展示室にあったのが石膏でできた大きな彫刻
2020-1-26-(49).jpg
2020-1-26-(50).jpg
《間違えもせず、手探りもしないで、まっすぐ食卓の上に手を伸ばす。それから、また壁に
手を触れないで、三度跳んだら部屋の外だったが、扉を閉めるのを忘れていた。》1995
2020-1-26-(51).jpg
↑このタイトルまだ短いんですよ!

階段のところにあったのが、セラミックの彫刻
《チウメンとひるはねむり、セキミとよるはいぬ》2000
↑このタイトルは意味不明‥‥ま、長いタイトルも意味わからないけど
人が抱き合っているようにも見えました。
2020-1-26-(52).jpg

うーーん、どうなんでしょう? いろんな作品があって、
面白かった‥‥のかな??

でも、ワタクシ的に一番良かったのは、
美術館のレストラン「ル・ミュゼ(味遊是)」の、
岡崎乾二郎展にちなんだスイーツ!! インスタ映えww


クリームが岡崎乾二郎の絵のタッチを、
リンゴのチップがレリーフをイメージしているのだそう。
(すっごくいいっ!! (*^▽^*)
2020-1-26-(58).jpg
ドリンクとのセットで1,500円でした。

もちろん常設展のクリムトとエゴン・シーレも見て帰りましたよ。
2020-1-26-(61).jpg


2020-1-26-(88).jpg
豊田市美術館:https://www.museum.toyota.aichi.jp/

nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

ヤマザキマザック美術館「木村忠太の世界」展 [美術]

新型コロナウィルスで全国の小中高校が休校となり、
多くのイベントが中止・延期になっりと、
世間は大変なことになってます。

ヤマザキマザック美術館も3月2日(月)から臨時休館となり、
まだ1週間ほど会期があったこの展覧会も終了となってしまいました。

2月23日(日・天皇誕生日)に行っておいてよかった!!

「フランスに生きた日本人画家 木村忠太の世界」
KIMURA-chuta.jpg

木村忠太という画家、今まで知りませんでした。
KIMURA-chuta2.jpg

 香川県高松市に生まれた木村忠太(1917-1987)はフランスに生き、フランスで活躍した画家です。1953(昭和28)年36歳の時にフランスに移り住み、南仏とパリの風景を描き続けました。現実の風景を題材としながらも、華やかな色彩と自由自在な線によって、光の中で移ろう風景の記憶を画面に捉えました。色彩に満ちた画面の中に、人物や家、木々、道、自転車、車などの形が奔放な線によって浮かび上がり、美しい余韻となって心に残ります。
(チラシ中面の文より)

ヤマザキマザック美術館は、私の大好きな美術館で、
2010年に開館して以来、企画展にはたいてい行ってるんですが、
今回は、ちょっと私の趣味とは違うかな‥‥とも思いつつ。
2020-2-23-(4).jpg

一般1,200円の入場料が、チラシについていた割引券で100円引の
1,100円になりました。(ドニチエコきっぷや、JAF会員証、
大垣共立銀行のスマイル会員証などでも100円引になります。併用不可)

今回は5階からということで。

ブーシェやヴィジェ・ルブランなどの絵が並ぶ赤い壁紙の部屋は、
いつ来ても豪華で優雅で、とても素敵です!

次の、いつもは印象派の絵が並んでいる黄色い壁紙の部屋からが
「木村忠太の世界」展となっています。

ヤマザキマザック美術館は無料で音声ガイドを貸してくれるんですが、
木村忠太の絵の解説もあって、それがとても丁寧で良かったです。

チラシの絵を見て、なんだか子供が描きなぐったような、
抽象画だなって思ってたんですよね。でも、音声ガイドを聞いて、
描かれている木や家や車、自転車などに気付きました。
(ちゃんとタイトルまで読めば風景画だってわかるんですけどね)

《デルシュ通り》1967年(チラシ中面上段中)は、下絵と
写真(現在は通りの名前が変わっているそう)も展示されていて、
色や線の中に車や木々や人、塀などが構成されているのが
見えてきて、面白いなーと。

やっぱりいいなー! って思ったのは、チラシ表面に使われている
《セーヌ河畔》1975年 赤い色がとても鮮やかで印象的!
音声ガイドで、この絵に描かれているセーヌ川や橋、河畔の建物に
気付くことができて、あらためて絵を深く見ることができました。

そして、《セーヌ河畔》を含めて、ヤマザキマザック美術館は
木村忠太の絵を3点所蔵しているんですが、それがすごくいい!
収集した美術館創立者の故・山崎照幸氏の審美眼を感じます。

愛知県美術館所蔵の《マヌル河の運河》1966年(チラシ中面上段左) は、
制作年が早いせいか、色がシックで、かなり具象に近いところが、
私は一番なじめたというか、いいなと思いました。

三重県立美術館所蔵の絵の前には結界のロープが張られてるんだ
ってこととか‥‥え?そこ(笑)

なんとなく、60~70年代の雰囲気っていうか‥‥あ、私は
全くのシロートの直感で言ってるだけなので、的外れかもしれないけど、
三岸節子の風景画なんかと似てるななんて。

デッサンの自由な線や、リトグラフは色がシックでレトロっぽい(?)のも
いいなって思った。

5階を見終わって4階へ

エレベーター前のドームのシャンデリアと
2020-2-23-(15).jpg
ルイ・ヴァルタ《秋の花》
2020-2-23-(13).jpg
「聖なる風景」展で来た時に、この絵を見て、とても気に入りました。
http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-01-30

アール・ヌーヴォーのガラスが並ぶ展示室
(ヤマザキマザック美術館の常設展は撮影OK!)
2020-2-23-(7).jpg

エミール・ガレ《蜻蛉文脚付杯》
2020-2-23-(6).jpg

エミール・ガレ《アイリス文花器》
2020-2-23-(8).jpg

ティファニー《ケシ文ランプ》と
2020-2-23-(10).jpg
アンリ・ル・シダネル《雪の下の藁ぶき屋根》
2020-2-23-(9).jpg
この絵も、「聖なる風景」展で見た時に感動したなぁ!

その少し前に、岐阜県美術館「最後の印象派」展の講演会で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-12-19
シダネルのことを聞いてて、日本でも大正期にはたいへん人気があった
画家だと。岐阜県美術館にも《月下の川沿いの家》という
ロマンティックな作品があっていいんだけど、私は
ヤマザキマザック美術館のこの絵、とても好み!!

マリー・ローランサン《シェシア帽を被った女》と、
ルイ・マジョレルの家具
2020-2-23-(11).jpg

キャプションが近くになかったので確認できないのですが、
いかにも“アール・ヌーヴォー”ってカンジのランプ(?)
2020-2-23-(12).jpg

ショップで「木村忠太の世界」図録を購入。330円(税込)
ここの企画展の図録は手頃な値段で嬉しい。
KIMURA-chuta-(3).jpg

ついでに、こんなオリジナルグッズを見つけて購入。350円(税込)
ヤマザキマザック美術館所蔵の絵の女性4人を使った付箋。
YamazakiMazakM.jpg
左から(いずれも部分)
エリザベト ヴィジェ・ルブラン
 《エカチェリーナ・フェオドロヴナ・ドルゴロウキー皇女》1797年
ジャン・マルク ナティエ《狩りの衣を着たマイイ伯爵夫人》1743年
ニコラ・ド ラルジエール《ジャッソ夫人とふたりの子供》1707年
エリザベト ヴィジェ・ルブラン《リラを弾く女性》1804年

1階のカフェテリアTOPEがまだ注文できたので、
「木村忠太の世界」展オリジナルスイーツをいただきました。
2020-2-23-(17).jpg
チラシにも使われている《セーヌ河畔》をイメージしたそう。
胡桃入りチョコレートケーキを赤いソースやクリームで彩ってます。
チョコレートソースが絵の線を思わせますね。
ドリンクとのセットで980円(税込)でした。甘~い! 幸せ♡


過去記事:
ヤマザキマザック美術館: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-01-24
「ロココの雅」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2011-08-28
「エマイユの煌き」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2012-08-09
「フランスの美しい風景」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2013-05-29
「森の夢」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2013-07-28
「動く絵」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-02-06
「ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-09-10
「名古屋ひつじ物語」: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-01-15
「世界に挑んだ明治の美: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2015-06-16
「聖なる風景」展: http://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-01-30
「アイズピリ」展: https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-09-08
「はしもとみおの世界」展: https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-01-15
「ロイヤルコペンハーゲンのアール・ヌーヴォー」: https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-08-03

行ったのに感想が書けてない展覧会(T_T)
「もっと知りたい名画の世界 よそおいの200年」2017/4/22-8/27
「尾州徳川の花相撲 帝も侍も熱中!いとしの植物たち」2018/4/20-8/26
「アール・ヌーヴォーの伝道師 浅井忠と近代デザイン」2018/11/17-2019/2/17

ヤマザキマザック美術館: http://www.mazak-art.com/

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:アート