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リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 [本]

今頃‥‥と言われるかもしれませんが、リリー・フランキーの
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を読みました。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2005/06/28
  • メディア: 単行本


図書館の棚に並んでいるのを見つけて借りてきました。
(図書館の本には、この文字がズラズラと並んだ帯はついていませんでした)

映画やテレビドラマにもなっているそうですが、私はどれも見ていないです。
リリー・フランキーがどんな人かも知らなかったです。

この本を知ったのは、友人に大学を留年する息子のことをグチっていた時
(まだ映画などになる前でした)に、
最近感動した本だけど――と、友人が教えてくれました。
「大学留年してるし、卒業後もメチャクチャしてる息子に注ぐ母親の愛情がすごいよ」と。

で、やっと読んだわけですが、
最近、ウチの息子の問題で色々落ち込んでいるので、小説として楽しむというより、
我が家と比べて色々考えてしまいまして‥‥

ウチの息子は借金とか作ってこないだけまだマシかなぁーーとか、
でも、リリーさんは一応仕事とかも成功しているからいいんだけど、
これでぐうたらなままの生活だったら、目も当てられない。
息子の場合はこれからどうなるのか‥‥とか。
私はここまで息子に愛情を注いできただろうか、尽くしてやっただろうか‥‥とか。

リリーさんは1963年生まれとのことで、私より6歳ほど若いけど、
リリーさんのオカンは、本に昭和6年生まれとあったので、私の父親と同じ。
なので、小さい頃のエピソードは、私の子供時代を思い出して、
成長してからのエピソードは、全くしょうがないと息子を思う母親の立場で、
そして介護のエピソードは、最近、老いたなぁと思える父母を思う子の立場で、
読んでしまいましたね。

しかし、オカン、すごいです。
母の愛はすごいというけど、自分を省みると、母親として
子供のことを考えるより自分のことを考えてしまうところがありまして、
息子のことは、育て方に問題があったのかな‥‥とか。
今、ニートだのフリーターだのという問題が出てきているのは、社会的な
問題はもちろんだけど、私たちの世代が、子育てが下手だったのかなぁ。

私の同級生には独身や子供がいない夫婦というのも多いです。
DINKS(Double Income No Kids)という言葉が適齢期あたりに流行りまして。

これが、私の母の世代になると、戦中・戦後の貧しい中、大勢の兄弟たちと
力を合わせて、必死になって生きてきて、子育ても、子供にひもじい思い、
貧しい思いをさせまいと、とにかく頑張ってきたという気がします。
もちろん、中にはオトンのような、桁違いのハチャメチャもいるでしょうが。

がむしゃらに働いて金持ちになった一代目。子供には貧しい思いをさせまいと、
自分たちが受けられなかった教育も受けさせようと、頑張って子育てをしました。
二代目は、そんな親の愛情に包まれて育ち、立派な教育も受けましたが、
自由だの権利だの、そんな言葉に浮かれ、親から受け継いだ財産で
贅沢な生活をしてきました。
さぁ、生まれたときから全てがあり、贅沢な生活で育った三代目は‥‥?
二代目はまだ貧しい暮らしも、親が奮闘する姿も知っていますが、
三代目は贅沢な暮らししか知りません。金持ちは三代で潰れると言いますね。

しかし、私も、息子とこんな老後が送れるようになるといいなぁと思ってしまう。
オカンが日記の間に挟んでいた葉祥明の詩のように、

「我が子がどんなに偉くなるよりも
 どんなにお金持ちになるよりも
 毎日元気でいてくれる事を
 心の底から願います
 どんなに高価な贈り物より
 我が子の優しいひとことで
 十分過ぎるほど倖になれる
 母親というものは
 実に本当に無欲なものです」(抜粋)

‥‥そうなんだよ、頼むよ、我が息子!
私もオカンのように、自分の葬式代くらいは積み立てておくようにするから!

ただ、小説としては、なんか完成度が低いというか、統一感が無いというか、
雑多な印象を持った。
「東京タワー」というタイトルが、ちょっと疑問だし、
最初に東京タワーを描写して、それからすぐに幼児の頃の記憶の話になるので、
私は、幼児の頃は東京で家族揃って暮らしていたのかと思ってしまいましたが、
育ったのは福岡なんですよね。
「五月にある人は言った。」という言葉が何回か出てきますが、特にどんな
意味があるのか、そこだけ文章が変わっているが、あまり効果があるとは思えない。
そして、オカンとボクは、やはり実の母子なんでしょ?
途中、思わせぶりなシーンとかあるけど、どういう効果を狙ったのか?
無い方がいいんじゃない?

本を読んですぐ泣く私ですが、この本のオカンとボクとの話では泣けませんでした。
唯一泣いたのが、オカマのママの母親の手紙。
「あんたがどんな身体になっていても、あんたは私の子供なんやから」

言い古された言葉ですが、やはり、親と子という関係は切っても切れませんね。
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コメント 2

たまのママ

私は、映画( オダギリジョー・樹木希林)、TV(速水もこみち・倍賞美津子)両方観ました。
私は、TVの方が好きです。単純にもこみちクンが好きだからですが(笑)
でも、これだけ母に愛情を注がれて思われていると子どもはしんどいんじゃないかと思いましたが、そうでもなかったのかな??リリーさんは??
お母さんが、マー君のためにお金をためている場面や、汽車で上京していく時おにぎりにそっとお金を忍ばせておく場面・・・母としてジーンときました。
マー君は優しい男の子ですよね~。男の子はみんな母親に優しいんじゃないですか。たぶん、きっと。。そうじゃないとここまで育てた甲斐がないというものですよね。
しーちゃんの息子さんと少しだけ重なる部分がありましたか・・・。
“東京タワー”というタイトルは、東京への憧れ??なんでしょうか。
by たまのママ (2009-06-05 18:14) 

しーちゃん

たまのママさん、コメントありがとうございます。映画やTVにもなっているんですよね。私はどちらも見ていないのでわかりませんが、多分、本より一般受け(?)するように描いているんじゃないかと‥‥本では、とにかく学生時代と卒業したあたりの主人公の身勝手ぶりが目に余って‥‥これは今の私の落ち込んだ気持ちがよけいそう思わせるのかもしれません。つい暗~い感想になってしまいました。
by しーちゃん (2009-06-07 17:33) 

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