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大阪中之島美術館「女性画家たちの大阪」 [美術]

2月24日(土)、大阪中之島美術館の
「決定版!
女性画家たちの大阪」展 を見てきました。
OsakaWomenPainters.jpg

大阪では多くの女性日本画家が活躍していたそうですね。

とかく男性中心だった美術界で、これは
近代大阪の大きな特色だったのではないでしょうか。

大正元年(1912)、20歳だった島成園(しま せいえん)が文部省美術展覧会に入選し、その成功に触発されて同世代の岡本更園(おかもと こうえん)や木谷千種(きたに ちぐさ)、生田花朝(いくた かちょう)なども続きます。女性の社会的な活動が制限されていた時代にあって、絵筆ひとつで個性と才能を発揮し、正しく評価される可能性に女性たちは目覚め、発奮したのです。(チラシ裏面の文より)

チラシ見て、ちょっと少女漫画みたいな雰囲気
なんて感じてしまったんですよね。
どこが? って言われるかもしれないけど。
優美でロマンティックな感じ?

1964年に高校2年生の里中満智子が
第1回講談社新人漫画賞を受賞してデビューしたことに触発されて
多くの少女が漫画家を目指した(憧れた‥‥私も
それからかなり遅れてだったけど、そんな一人だったかな)
ことを思いました。その頃の少女漫画は手塚治虫、ちばてつや、
石森章太郎など、男性によって描かれている作品も多かったです。

まぁそんなで、この展覧会行きたいなって思ったんです。
でも、パートの休みがなかなかなかったり、休みでも
ダラダラと朝過ごしてしまって、つい行きそびれていました。
大阪だし、諦めようかなとも思ったけど、
珍しくパートが土曜日休みだった24日に思い切って行きました。
会期【2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)】ギリギリ!

行きの列車の中で、美術館のチケットサイトからオンラインで
チケット買って正解! 一般1,800円

この日、大阪中之島美術館では「モネ 連作の情景」という展覧会も
やっていて、美術館のチケット売り場は結構並んでいたので。

スマホのQRコード画面を見せてエスカレーターに乗り、

「女性画家たちの大阪」展は4階展示室(「モネ―」は5階)
QRコードを読み取ってもらい入場。
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第一章 先駆者、島成園

島成園(1892-1970)
京都の上村松園、東京の池田蕉園と並び閨秀美人画家の三園と称され」たことは、
2016年に岐阜県美術館で開催された
「ジャパン・ビューティー」展で知りました。
「閨秀」なんて言葉にはちょっと抵抗があるけど、
これは「ジャパン・ビューティー」展の図録の
島成園についての文章。今回の展覧会でとても残念だったのは、
図録が売り切れていたことー(T.T)

多くの女性画家が紹介されていて、展覧会見ながら、
後で図録でしっかり確認しようと思ってたのにww(泣)

なので以下「ジャパン・ビューティー」展や
「福富太郎の眼」の図録などを参考にしながら書きます。
(あぁ、この展覧会の図録欲しかった!)

最初に展示されていたのが、
《祭りのよそおい》大正2年(1913) 大阪中之島美術館蔵
20歳で文展に初入選した翌年、大正2年の第七回文展入選(褒状)
三人の華やかな着物の少女に対する地味な着物の少女が描かれています。、
少女たちの愛らしさはもちろんだけど、
貧富の差みたいな社会問題も描き出されていて、いいなって。
昔は身なりで貧しいか豊かか、身分が一目でわかりましたよね。

その隣に、《おんな(原題・黒髪の誇り)》大正6年
あ、これ、あべのハルカス美術館
「コレクター福富太郎の眼」で見た絵だ!って
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-01-30
女の情念を感じさせるような黒髪と、
般若が描かれた着物が印象的で、
あの展覧会の中でも気に入った絵だったので嬉しい。
ShimaSeien.jpg
「コレクター福富太郎の眼」図録より

大正元年(1912)第六回文展に初入選(褒状)して評判になった絵が
《宗右衛門町の夕》
この展覧会に展示されていたのは、その絵と同じものを描いてほしいと
依頼されて描いた個人蔵の《宗右衛門町之夕》

「福富太郎の眼」展で気に入った《春の愁い》大正6年頃 も
展示されていて、これも島成園だったのね!
福富太郎の感性、すごく私好みだわーと。
ShimaSeien.jpg

チラシ裏面左上に使われている
《無題》大正7年 大阪市立美術館蔵
女性の顔の痣が異様な雰囲気‥‥!
描きかけのようなバックも不思議なインパクト。
これは下絵の前の自画像、というか描かれているのは
自分らしいが、島成園の顔には痣などない。
わざわざ痣を描いたのはどんな心境が?
この表情といい、内面の苦しさ、悩みを表しているのか?

撮影可だった第5章に展示されていた
島成園《自画像》大正13年
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なんか訴えてくるような迫力の、印象的な絵!

《伽羅の薫》大正9年(1920)
デカダンな雰囲気漂う細長くデフォルメされた太夫の姿
美人画の範疇から外れてしまうような迫力!
賛否両論が巻き起こったそうですが、まぁ、私も
好きか嫌いかって言われると‥‥だけど、大正9年に
この表現はすごく新しいんじゃないですか?

大正9年(1920)に銀行員と結婚後は夫の転勤に同行して
大阪や画業から離れるが、戦後は大阪に戻り、制作を再開

ってことですが、この展覧会には戦後の絵は出てないような‥‥
昭和に入ってからの絵は、なんかちょっと、
フツーの絵(?)になっちゃったみたいで、
情念みたいなものが感じられない。
やっぱり結婚生活が制作の支障になってたのかな。
昔の少女マンガ家も、結婚して辞めちゃう人多かったですよね。
残念だなぁ。


第2章 女四人の会―島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊

島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊で結成した「女四人の会」

井原西鶴「好色五人女」に登場する女性をテーマに
第一回展が大正5年(1916)に大阪三越で開催されます。
女性だけで開催したことから「生意気」だと批判されたとか。
展覧会の後の方で、4人がそれぞれの出品作の前に立って
撮影した写真が展示されてましたが、皆若くて素敵!
気概にあふれているというか。



チラシ裏面右上に使われている
木谷千種《をんごく》大正7年(1918) は、前期展示で見られなかったけど、
《浄瑠璃船》大正15年(1926) が展示されていました。
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(クリアファイル購入 440円)
なんて優雅で贅沢な世界なんだ!!
大店のお嬢様が、船でうっとりと浄瑠璃を聞いています。
抹茶を立てている女性もいますね。

木谷千種(1895-1947)東京の池田蕉園に学び、大阪へ戻り、
「八千草会」で多くの女性画家を育てたとのこと。


松本華羊《殉教(伴天連お春)》大正7年(1918)頃
MatsumotoKayo.jpg
これも「福富太郎の眼」展ですごく気に入った絵!


第3章 伝統的な絵画―南画、花鳥画など

女性画家が活躍したのは、美人画だけではありません!

江戸時代から大阪で興隆した文人画(南画)の分野においても河邊青蘭(かわべ せいらん)、融紅鸞(とおる こうらん)などが活躍しました。彼女たちは画塾で後進の女性に絵を教え、グループを結成して絆を深め、その裾野はさらに広がりました。(チラシ裏面の文より)

このあたりの絵、詳しくないので、私には
絵を見ても、名前でも、女性が描いたのかどうかわかりません。
女性がこんな絵も描いていたのね! と。


第4章 生田花朝と郷土芸術

生田花朝が描いた大阪の寺や祭の絵が展示されていました。

《四天王寺精霊会図(原題・四天王寺曼陀羅)》昭和2年(1927)
大きな画面に四天王寺の建物や人物が細かく丁寧に描かれています。

チラシ裏面に使われている《だいがく》昭和時代 は、
行根神社の神事だそう。柔らかな色調が上品。


第5章 新たな時代を拓く女性たち

この章、撮影可!!
島成園や木谷千種らに影響を受けて、多くの女性画家が活躍したんですね。

「島成園と浪華の女性画家」展(2006年)の開催から17年。作品の発掘や調査研究の深化に多大なご協力を得て、本展では50名を超える近代大阪の女性日本画家の活動を、約150点もの作品と関連資料によって紹介します。(チラシ裏面の文より)

そんな調査研究の成果がまとめられた図録、欲しかった! (未練がましい)
図録で確認しようと思ってたので、
せっかく写真撮ったのに、作者とタイトルがわからない(T.T)

多分、金澤成峰《哀しみ》大正後期-昭和前期 だと思う
(ネットで確認できました!)
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白無垢に赤い着物を抱え、髪には折れた矢が刺さっています。
戦で恋人か婚約者を失ったのか。


吉岡美枝《樋口一葉》昭和17年(1942)
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鏑木清方が樋口一葉を描いた絵に似てるな、
あの絵どこで見たんだっけ? と探したら、
東京藝術大学のコレクションから、女性像に注目した
名古屋市美術館「麗しきおもかげ」展でした
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-04-24
Kiyokata-Ichiyo.jpg
キャプションの解説にも「清方作品を参考にした可能性が高い」と。
でも吉岡美枝の一葉はちゃんと机に向かってます!


ガラスの映り込みでうまく撮影で来てませんが
三露千鈴《殉教者の娘》大正15年(1926)
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たおやかで上品な女性の絵
「八千草会」で学んだ三露千鈴は、わずか22歳で亡くなってしまったと!
チラシ裏面左下の《化粧》大正後期 も三露千鈴の絵


西口喜代子《淀殿》大正後期-昭和前期
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「ジャパン・ビューティー」展で見た
木谷千草《化粧》に似てるなって見たんですが、
ネット見てたら木谷千草《化粧》は前期に展示されていたみたいですね。
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西口喜代子《淀殿》も完成度が高くて素敵!
「八千草会」で学んだ人らしいですが、
これだけの絵を描いた人のことが、よくわかっていないとか。


橋本花乃《七夕》昭和5-6年頃
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七夕の飾りつけをするおかっぱ頭の少女たち。
それぞれの着物の柄も細かく描かれています。


鳥居道枝《少女像》大正9年頃
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伝統的な美人画や日本画からはみ出してしまうような
肉体を感じさせる立体的な表現! 少女の顔もいいなぁ!


図録が買えなかったのが残念だけど、(まだ言う(^^;
見に行けてよかった展覧会でした。
(お正月2日からやってたんだ‥‥知ってたらww)

この日、大阪中之島美術館では「モネ 連作の情景」展もやってて、
できたらそちらも見たいと思ってたんですが、
すごい行列で諦めました。

「女性画家たちの大阪」展は、そこそこ混んでたけど、
まぁストレスなく見られて良かったです。

そんなことも含めて、この展覧会以外のことは次の記事で――

大阪中之島美術館: https://nakka-art.jp/

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