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愛知県美術館「コレクションズ・ラリー」 [美術]

1月21日(日)、愛知県美術館へ行きました。
「コレクションズ・ラリー」展 が開催されています。
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愛知県陶磁美術館のコレクションと
愛知県美術館のコレクションの中から、
両館の学芸員4人が
それぞれ独自の視点でテーマを立てて紹介する展覧会

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愛知県陶磁美術館が休館中(2025年4月に再開予定)だからこそ実現したこの企画

両館の「コレクションを合わせると、その数は17,000件以上

同じ愛知県立の美術館同士ですが、意外にもこのように大きな規模での共同企画を行うのは初めてのこと
(チラシ裏面の文より)

なんだそう。でもまぁ、チラシも含めて、
(表面は今時珍しい2色刷り!)
なんかジミな展覧会だな‥‥って気も(^^;

1月16日(火)に始まった展覧会(~4月14日(日)まで)
わりと早いこの日に行ったのは、
この日の11:00-12:00 にトークラリー(学芸員による展示説明会)が
あったから。

11時に愛知県美術館へ行こうと、私にしては早い9時半頃に
家を出ました。愛知県美術館には11時10分前くらいに到着。

愛知県美術館と陶磁美術館の学芸員さんが1人ずついらして、
トークラリー参加者と共に展示会場へ。

私、最近かなり耳が遠くなってきたので、
学芸員さんのお名前とか聴き逃していることも多いし、
以下、聞き違いや記憶違いもあるかもしれません。
(それに半月以上前のことだしー)

会場の入口には一対の狛犬が置かれています。

瀬戸窯《御深井釉狛犬》江戸時代(18-19世紀)
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これ、向かって右の口を開けている方は獅子で、

左の口を閉じている方は角があって、こちらが狛犬
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なんですが、2つを合わせて狛犬と呼んでいるとのこと。

狛犬は、その背後にあるものを守るってことから、
今回の展覧会の入口や、各章の入口に置いたそう。
狛犬っていうと、神社の境内の石製のものを思い浮かべますが、
愛知県陶磁美術館にはたくさんの陶製狛犬が
コレクションされているんですね。

私が2020年11月に愛知県陶磁美術館に行った時には、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
西館に陶製の狛犬がたくさん展示されていました。
(今は移動したみたいですが)
陶製の狛犬は神社へ奉納するために作られた
小ぶりなものが多いとのこと。

トークラリー参加者の方からシーサーとの違いを質問されて、
沖縄のシーサーは獅子で中国から伝来したもの

狛犬は「こま=高麗」ということから、中国から朝鮮に伝わって
伝来したために「こまいぬ」と呼ばれるようになったのではないかと。
角があることから、一角獣も入っているかもしれないと。

展示室3は、イントロダクションとして、この狛犬の他、
展覧会の4章から各1点ずつが展示されていました。

縄文土器《深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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久野真《鋼鉄による作品 #272》1975年
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次の展示室2 へ、狛犬の間を通って入ると、
第1章 JOMON
日本のやきもの史上、最古にして最大の人気を誇る縄文土器。その造形のどんなところに人々は惹きつけられるのか、土、形、紋様などの視点からその魅力を探りつつ、共鳴する作品とともに楽しみます。

ってことで、愛知県陶磁美術館所蔵の縄文土器が展示されています

縄文土器《深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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縄文土器《双耳深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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縄文土器《円筒深鉢》縄文時代前期~中期(紀元前3000年頃)
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岡本太郎が縄文土器の美しさを絶賛して、
それまで歴史的資料として見られていた縄文土器が、
美術的に見られるようになったわけですが、
これらの縄文土器、日常使いにもしていたようで、
なぜこんな魅力的な装飾がついているのか、
いまだによくわかっていないとか、

縄文土器にもこんな鮮やかな色がついたものもあります と
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左《注口土器》縄文時代晩期(紀元前1000年~紀元前500年)
右《朱彩浅鉢》縄文時代晩期(紀元前1000年~紀元前500年)


縄文土器とこんな絵が並んでいるのがいい!!
アメデオ・モディリアーニ《カリアティード》1911-13年
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《土偶》縄文時代晩期(紀元前1000~紀元前500年)
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土偶はあまり見つからないので、とても貴重だとか。

ほとんどがどこか壊れていたり、ばらばらに破壊されていたりで、
たとえば体の悪いところを撫でて穢れを移すような儀式に
使われたのかも と。
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撮影可・不可、SNS投稿可・不可がそれぞれの作品毎に表示してあり、
展示室の真ん中にあった巨大な作品
岩村遠《Neo Jomon:Haniwa -Majin-》2020年
すごく良かったけど、撮影不可で残念。

撮影可でもSNS不可の作品は、
間違ってアップしてしまうといけないので撮影しませんでした。

淺井裕介《その島にはまだ言葉がありませんでした》2019-2020年
土で描かれた巨大な絵。縄文土器と並んでいてとても良かった。
(チラシ裏面にも縄文土器と並んでいます)


振り返っているような姿がユニークな狛犬
瀬戸窯《御深井釉鉄釉狛⽝【愛知県指定⽂化財】》1749年
もしかしたら、左右逆かもしれない。かなり自由に作っている と。
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の間を通って、

第2章 うーまんめいど
映像作家・出光真子の著書『ホワット・ア・うーまんめいど』に着想を得たこの章では女性作家による作品を特集します。また、近年の両館の新収蔵作品も展示いたします。

この章を担当した愛知県美術館の学芸員さんが解説してくれました

2つのモニタに映し出されている映像は、
出光真子《アニムス Part1》と《アニムス Part2》どちらも1982年

出光真子さんは、出光興産の創業者の娘で、
サム・フランシスと結婚していたこともある映像作家
主婦の日常を写した映像に、彼女の内面を表す(?)男性人物が
重なります。

うーーん、チラッとしか見てない(音声も聞いてない)けど、
なんか古いバラエティ番組の映像みたいなカンジで‥‥

小形こず恵《染付鉢「酔芙蓉」》2021年
繊細な形とブルーとピンクの色づかいが素敵
キャプションに付けられたキャッチフレーズ(?)がいい
うつわにうつる花びらの色
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あっ、昨年秋に岐阜県現代陶芸美術館で大規模な個展を見た
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-25
三島喜美代《「Package」》1971/1973年
このピカピカ光る作品、陶でできているんですね。
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この作品面白いなぁ!
高橋皓子《地衣のシリーズ》1979年
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木綿と綿で作られた柔らかな形の中から、
内臓を思わせるような赤い布がはみ出しているのが
ちょっとドキッとします。

高橋皓子《行間》1981年
麻布で作られているんですね
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トークラリーを聞かなかったら、陶器の置物ね、くらいの印象で、
じっくり見ることはなかっただろう作品。
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月谷初子《置物・人形》1915-30年頃
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日本で最初期に洋風彫刻を学んだ月谷初子(1869-1945)
彼女は12歳の時に、工部美術学校でラグーサに学んだ彫刻家・小倉惣次郎に弟子入りしました。やがて初代宮川香山に師事して陶彫に技術を身に付けます。その技術を活かして全国の窯場を渡り歩いた後に、1929年から名古屋の御器所で窯を開きました。
(キャプションの説明より)
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宵越しの金は持たないみたいな奔放な性格で、
波乱万丈の人生を送ったみたい。

へー、こんな女性作家がいたのねと、興味深く聞いていたら、
ここで予定時間(11:00-12:00)となって、トークラリー終了。

トークラリーは、この日の他、2月10日(土)、4月6日(土)の11:00-12:00
3月8日(金)18:30-19:30にも行われます。


この幻想的で鮮やかな色使い、面白いなーってキャプション見たら、
作家名に「ノロ燐」と
左《胎芽その刻印》1964年 右《胎芽とその兇星の寓話》1966年
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ノロ燐《胎芽供養堂》1964年
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あー! これ、2016年の岐阜県美術館「第8回円空大賞展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-02-15
円空賞を受賞されていて、
60年代アングラっぽい雰囲気が強烈な印象だった方!! って。
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愛知県美術館に収蔵されたんですね!(令和4年新収蔵作品)


そしてこちらも強烈なインパクト!!
前本彰子《Silent Explosion──夜走る異国の径》1988年
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面白い形!!
横田典子《ツチ・ビト−輪−》2021年
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名和聡子《BOY》2009年
巨大な顔写真かと見たら、アクリル絵具で描かれた作品!
そして、この顔は作者自身の顔を男子に変えて描いたんだそう。
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第3章 ハードロック/ヘヴィメタル 
硬い岩と重金属をあえて直訳したこの章では、文字通りゴツゴツした物質感や、重さや硬さなどを想像させる作品が並びます。

狛犬の間を通って長く伸びる作品
(キャプションを確認してこなくて、出品リスト見てもどれだか??(^^;;
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杉浦康益《陶による岩の群》1991年
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これ、石ではなく陶でできているんです。
同じ形が並ぶ違和感
愛知県陶磁美術館や岐阜県美術館の庭にも、
杉浦康益の《陶による岩の群》がありますね。
(岐阜県美術館は《陶による石の群》って作品名でした)

久野真《鋼鉄による作品》1982年
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中村錦平《華麗ニシテ虚言》1991年
このゴテゴテ感、面白~い!
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第4章 祈り
展覧会を締めくくるこの章では、仏教美術や墓の副葬品などを通して、作品に込められた祈りや死後の世界に対する人々の想いについて考えてみます。

瀬戸・美濃窯《鉄釉狛犬【愛知県指定文化財】》江戸時代(18-19世紀)
の間を通って第4章へ
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中国《如来三尊仏龕》北魏時代(6世紀)
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これ、愛知県美術館木村定三コレクションなんですが、
知識がない私が見ても、なんかスゴイ‥‥って
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第4章で展示されているものの半分くらいが
愛知県美術館の木村定三コレクション!
あらためて、すごいの持ってたんだなって。

こちらも木村定三コレクション
朝鮮《童女立像》朝鮮時代(15-19世紀)
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死者を供養するために作られた、
ハスの花を持つ童女像
穏やかな表情に癒されます

《獅子・狛犬像》室町-桃山時代(16世紀)
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こちらも木村定三コレクション。木造
トークラリーを聞いたおかげで、
左が角がある狛犬で、右が獅子だとわかる!

《神将形立像》平安時代(12世紀) 木村定三コレクション
十二神将の中の一体。
十二神将は、古代インド神話に登場する神々を仏教に取り入れた仏「天」に属し、
薬師如来に仕えていて、甲冑を身にまとい、悪鬼を踏みつけています。
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《菩薩立像》飛鳥時代(7世紀) 木村定三コレクション
小さくてかわいらしい仏様、だけど
国内でも古い飛鳥時代の仏像」(キャプションより)
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左 《須恵器 双耳壺》奈良時代(8世紀)
右 猿投窯《灰釉短頸壺【愛知県指定文化財】》平安時代前期(9世紀)
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どちらも愛知県陶磁美術館所蔵の古い壺
骨壺に使われたのかもしれないと。

《須恵器 突帯刻文壺》平安時代後期(11世紀)
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《鬼瓦》統⼀新羅時代(7〜10世紀)
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猿投窯《灰釉多口瓶【重要文化財】》平安時代初期(8世紀末)
中心の口を囲むように、四つの口が肩につけられた奇妙な形の壺。
仏教に関連する祭祀道具だと考えられる。定かではないが、
五つの口に花を生けて供えたのかも と。
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SNS不可で残念だけど、
熊谷守一《観世音菩薩》1940年 木村定三コレクション
は、思わず笑っちゃう程いい!!(チラシ裏面右下)

珠洲窯《五輪塔》鎌倉時代(13世紀)
能登半島地震で大きな被害があった珠洲には、
12~15世紀に珠洲窯があったんですね。
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スマホでQRコードを読み取り、五輪塔の構造がわかるCGが見られました

湖西窯《五輪塔形経筒外容器【重要文化財】》平安時代末期(久安2年:1146)
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会場出口にも狛犬が置かれています。
瀬戸・美濃窯《御深井釉狛犬【愛知県指定文化財】》江戸時代(18-19世紀)
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あ、会場の入口前にあったこちらの作品
石ころが積み上げられている のではなくて、
チラシが固められてできているんです!
大嶽恵子《情報の石》1984年
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コレクションズ・ラリー展、4つの章それぞれ違う味わいで、
面白かったです。私は縄文土器の第1章も良かったけど、
第2章 うーまんめいど の作品が新鮮でインパクトあって
面白かったなぁ!!

この展覧会、観覧料がなんと一般500円という安さ!!
(高校・大学生300円 中学生以下無料)
これでコレクション展も見られるんですよ!
とてもお値打ちです。

コレクション展のことは次の記事で書きます。

愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/

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