ヤマザキマザック美術館「杉浦非水の世界」 [美術]
1月7日(日)、ジェイアール名古屋タカシマヤで
「京都 細見美術館の名品」展を見た後、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-01-15
ヤマザキマザック美術館へ行きました。
「レトロ・モダン・おしゃれ
杉浦非水の世界」という展覧会をやっています。
杉浦非水のデザインは大好きだし、
ヤマザキマザック美術館も私の好きな美術館で
ここの企画展は全て見に行っているんですが、
杉浦非水の展覧会は2022年1月4日(火)に
三重県立美術館へ見に行ったなーってことと、
会期がわりと長いので、
2023年10月27日(金)~2024年2月25日(日)
のんびりしていたんですね。さすがにもう行かなくては、と。
入館料一般1,300円が、大垣共立銀行の年金サークル
「スマイル倶楽部」の会員証で100円引きの1,200円になりました。
市バス・地下鉄のドニチエコきっぷや一日乗車券や、
名古屋市美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」のチケットでも
100円引きになります。(併用不可)
4階から見て行きます。無料の音声ガイド借りました。
今回の企画展は撮影不可でした。
最初に展示されていたのはポスター
《貯蓄は根の如く 平和は花の如し》1917年頃
この展覧会、前期2023年10月27日(金)~2024年1月8日(月・祝)と
後期1月10日(水)~2月25日(日)で、展示替えがあり、
見に行ったのは前期だったので、原画の展示でした。
三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より
原画の「平和条約成立記念」という文字が線で消してあり、
出来上がったポスターにはありません。
1917年というと、大正6年 第一次世界大戦のさなか。
ロシア革命がおこった年。平和条約とは、
アメリカ合衆国ウィルソン大統領の十四か条の平和原則のこと?
(スミマセン、このあたり全く無知でネットで調べた知識です)
「平和は花の如し」この時代に平和が美しくいいものだって
認識されていたんだなぁって(これから第二次世界大戦もあるのに)
でも花のように儚いものだともとれる。
だから貯蓄をしましょうってメッセージなんだろうけど。
それから有名な三越のポスター(チラシ中面左上)
あれ?展示されていたポスターの女性が手にしているのは
「みつこしタイムス」だけど、三重県立美術館で見たのは
「三越」を持っている!?
三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より
《三越呉服店 春の新柄陳列会》1914年
岐阜長良川鵜飼のポスターもあったのは興味深い
ヤマザキマザック美術館の図録より
(私が見た前期に展示されていたのは上左側)
三越の広報誌「みつこしタイムス」や「三越」がズラリと並びます。
アール・ヌーヴォー風、アール・デコ風、人物から動物、植物、
西洋風から日本風、表表紙と裏表紙がつながったデザインなど様々。
「三越の非水か、非水の三越か」と言われたとか。
興味深かったのが、杉浦非水の作品は故郷にある愛媛県美術館に
充実したコレクションがあって、三重県立美術館で見た展覧会でも
かなりの作品が愛媛県美術館の所蔵作品でした。
今回も愛媛県美術館の所蔵作品が多く出品されていますが、
この三越広報誌、ヤマザキマザック美術館所蔵のものも
多くあったこと。
『子宝』という、三越顧問であった児童文学者、巌谷小波(いわや さざなみ)の
監修のもとに、非水が挿絵と装丁を担当した育児記録書が展示されていましたが、
非水が「此当時としては寝食を忘れるほど没頭して数ヵ月を費やして完成した」
「出来上がってみると予告定価一冊金五円也は遂に原価に到達してしまった」
という育児記録書というよりも贅沢な石版画(リトグラフ)の作品集でした。
そして、島根県出雲市の造り酒屋のお嬢さんが
嫁入りの時に仕立ててもらったという
《白地鈴蘭に鳥模様長襦袢》1913-16年頃(チラシ中面右中段)
非水の『三越』第3巻第8号(1913年8月刊行)の表紙デザインが
使われているとのことだけど、とてもカワイイ!!
ヤマザキマザック美術館のショップで買った
「杉浦非水のデザイン」の表紙にもこの柄が使われています。
『非水百花譜』が展示されていました。
去年3月、東京国立近代美術館のコレクション展で見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-04-24
これ木版画なの?! って驚いたんですけど、
三重県立美術館でも見てるはずなんですよね。
今回の展覧会見てきて、三重県立美術館で買った図録あらためて見たら、
ちゃんと載ってるじゃないですか! それも大正版も昭和版も!
大正版は島根県立石見美術館のものが、
昭和版は愛媛県美術館のものが出品されていました。
1920-22(大正9-11)年に1輯5点の花弁図を20輯、計100点を刊行した
『非水百花譜』
非水が原画を描き、当代一流の彫り師と刷り師が木版画にした花の図譜だが、ただの木版画集ではなく、グレー一色で刷った花のシルエット図「投影写生図」と、写真図版(その多くは非水自身が撮影)・部分図等が掲載された植物解説が3枚セットになっており、豪華な植物図鑑にもなっている。
1923(大正12)年の関東大震災の折に版木が焼失したため、非水の手元にあった原画から再び版木を作り、1929-34(昭和4-9)年に再販した。(ヤマザキマザック美術館の図録より)
今回展示されていたのは昭和版(愛媛県美術館所蔵)
これが木版画?! って驚くほど繊細で美しい!
とてもリアルなのに構図とか、デザイン的にもきれい!!
ヤマザキマザック美術館が所蔵する植物文様が施された
ガレなどのガラス器も隣に展示されていて素敵でした。
非水のデザインしたタバコのパッケージや、
図案集、雑誌表紙、書籍装丁、広告等もいろいろ展示されていました。
非水の妻・翠子(すいこ)の歌集の装丁はもちろん、
翠子の実兄で福澤諭吉の娘婿となった実業家・福澤桃介の伝記の装丁や、
福澤が女優川上貞奴と暮らした名古屋の邸宅
「二葉御殿」(現・文化のみち二葉館)の
ステンドグラスの一部は非水のデザインとのこと。
非水は1922-24(大正11-13)年、46歳の時
念願だったヨーロッパ留学を果たします。
(関東大震災のため予定を短縮して帰国)
この間に描かれた《滞欧期スケッチ》や《ヨーロッパ日記》
非水の旅行鞄(鞄というよりもはや家具では?)も展示されていました。
非水は滞欧中に300点ものポスターを収集しているそう。
非水のポスター《三越呉服店新館落成》1914年 に描かれたような
ジョルジュ・ドゥイエ《レセプション・ドレス》1903年頃 や、
《銀座三越 四月十日開店》1930年 に描かれたような
ガブリエル・シャネル《ディ・スーツ》1927年頃 も
展示されていて興味深かった。
(どちらも神戸ファッション美術館所蔵)
5階の常設展を見た後(去年7月9日に見た時の記事)
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-08-10
ショップで、
図録500円(ここの図録はリーズナブルで嬉しい)と、
「杉浦非水のデザイン」3,080円を買いました。
裏表紙
非水のこんな図案、とても素敵!
年賀状のデザインいいな、真似したい!
三重県立美術館「杉浦非水 時代をひらくデザイン」
あらためて図録見たら、すごい出品数と充実ぶりに驚いた。
やっぱり、ブログに感想書いておかないと忘れちゃうんだなと反省。
ブログに感想を書こうとすると、少なくとも図録は
もっと丁寧に読んだはず(^^;
三重県立美術館の記念撮影スポット
《東洋随一の地下鉄道 上野浅草間開通》1927年 の
ホームの乗客の中に紛れ込むことができます。
欧州留学中に目にしたアール・デコの幾何学的デザインの
影響がわかります。手前の女性の洋装もモダン。
三重県立美術館、こんなディスプレイもありました。
ショップで図録と、非水デザインのスカーフエコバッグを購入。
これ、今でも私のバッグの持ち手につけて使ってます。
外すとエコバッグになるんですよ! オシャレで便利です!!
「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展は、
島根県立石見美術館で2021年7月3日(土)~8月30日(月)
たばこと塩の博物館で2021年9月11日(土)~11月14日(日)
三重県立美術館で2021年11月23日(火・祝)~2022年1月30日(日)
福岡県立美術館で2022年4月15日(金)~6月12日(日)
と、巡回しました。
ヤマザキマザック美術館の展示は巡回ありません。
ヤマザキマザック美術館: https://www.mazak-art.com/
「京都 細見美術館の名品」展を見た後、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-01-15
ヤマザキマザック美術館へ行きました。
「レトロ・モダン・おしゃれ
杉浦非水の世界」という展覧会をやっています。
杉浦非水のデザインは大好きだし、
ヤマザキマザック美術館も私の好きな美術館で
ここの企画展は全て見に行っているんですが、
杉浦非水の展覧会は2022年1月4日(火)に
三重県立美術館へ見に行ったなーってことと、
会期がわりと長いので、
2023年10月27日(金)~2024年2月25日(日)
のんびりしていたんですね。さすがにもう行かなくては、と。
入館料一般1,300円が、大垣共立銀行の年金サークル
「スマイル倶楽部」の会員証で100円引きの1,200円になりました。
市バス・地下鉄のドニチエコきっぷや一日乗車券や、
名古屋市美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」のチケットでも
100円引きになります。(併用不可)
4階から見て行きます。無料の音声ガイド借りました。
今回の企画展は撮影不可でした。
最初に展示されていたのはポスター
《貯蓄は根の如く 平和は花の如し》1917年頃
この展覧会、前期2023年10月27日(金)~2024年1月8日(月・祝)と
後期1月10日(水)~2月25日(日)で、展示替えがあり、
見に行ったのは前期だったので、原画の展示でした。
三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より
原画の「平和条約成立記念」という文字が線で消してあり、
出来上がったポスターにはありません。
1917年というと、大正6年 第一次世界大戦のさなか。
ロシア革命がおこった年。平和条約とは、
アメリカ合衆国ウィルソン大統領の十四か条の平和原則のこと?
(スミマセン、このあたり全く無知でネットで調べた知識です)
「平和は花の如し」この時代に平和が美しくいいものだって
認識されていたんだなぁって(これから第二次世界大戦もあるのに)
でも花のように儚いものだともとれる。
だから貯蓄をしましょうってメッセージなんだろうけど。
それから有名な三越のポスター(チラシ中面左上)
あれ?展示されていたポスターの女性が手にしているのは
「みつこしタイムス」だけど、三重県立美術館で見たのは
「三越」を持っている!?
三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より
《三越呉服店 春の新柄陳列会》1914年
岐阜長良川鵜飼のポスターもあったのは興味深い
ヤマザキマザック美術館の図録より
(私が見た前期に展示されていたのは上左側)
三越の広報誌「みつこしタイムス」や「三越」がズラリと並びます。
アール・ヌーヴォー風、アール・デコ風、人物から動物、植物、
西洋風から日本風、表表紙と裏表紙がつながったデザインなど様々。
「三越の非水か、非水の三越か」と言われたとか。
興味深かったのが、杉浦非水の作品は故郷にある愛媛県美術館に
充実したコレクションがあって、三重県立美術館で見た展覧会でも
かなりの作品が愛媛県美術館の所蔵作品でした。
今回も愛媛県美術館の所蔵作品が多く出品されていますが、
この三越広報誌、ヤマザキマザック美術館所蔵のものも
多くあったこと。
『子宝』という、三越顧問であった児童文学者、巌谷小波(いわや さざなみ)の
監修のもとに、非水が挿絵と装丁を担当した育児記録書が展示されていましたが、
非水が「此当時としては寝食を忘れるほど没頭して数ヵ月を費やして完成した」
「出来上がってみると予告定価一冊金五円也は遂に原価に到達してしまった」
という育児記録書というよりも贅沢な石版画(リトグラフ)の作品集でした。
そして、島根県出雲市の造り酒屋のお嬢さんが
嫁入りの時に仕立ててもらったという
《白地鈴蘭に鳥模様長襦袢》1913-16年頃(チラシ中面右中段)
非水の『三越』第3巻第8号(1913年8月刊行)の表紙デザインが
使われているとのことだけど、とてもカワイイ!!
ヤマザキマザック美術館のショップで買った
「杉浦非水のデザイン」の表紙にもこの柄が使われています。
『非水百花譜』が展示されていました。
去年3月、東京国立近代美術館のコレクション展で見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-04-24
これ木版画なの?! って驚いたんですけど、
三重県立美術館でも見てるはずなんですよね。
今回の展覧会見てきて、三重県立美術館で買った図録あらためて見たら、
ちゃんと載ってるじゃないですか! それも大正版も昭和版も!
大正版は島根県立石見美術館のものが、
昭和版は愛媛県美術館のものが出品されていました。
1920-22(大正9-11)年に1輯5点の花弁図を20輯、計100点を刊行した
『非水百花譜』
非水が原画を描き、当代一流の彫り師と刷り師が木版画にした花の図譜だが、ただの木版画集ではなく、グレー一色で刷った花のシルエット図「投影写生図」と、写真図版(その多くは非水自身が撮影)・部分図等が掲載された植物解説が3枚セットになっており、豪華な植物図鑑にもなっている。
1923(大正12)年の関東大震災の折に版木が焼失したため、非水の手元にあった原画から再び版木を作り、1929-34(昭和4-9)年に再販した。(ヤマザキマザック美術館の図録より)
今回展示されていたのは昭和版(愛媛県美術館所蔵)
これが木版画?! って驚くほど繊細で美しい!
とてもリアルなのに構図とか、デザイン的にもきれい!!
ヤマザキマザック美術館が所蔵する植物文様が施された
ガレなどのガラス器も隣に展示されていて素敵でした。
非水のデザインしたタバコのパッケージや、
図案集、雑誌表紙、書籍装丁、広告等もいろいろ展示されていました。
非水の妻・翠子(すいこ)の歌集の装丁はもちろん、
翠子の実兄で福澤諭吉の娘婿となった実業家・福澤桃介の伝記の装丁や、
福澤が女優川上貞奴と暮らした名古屋の邸宅
「二葉御殿」(現・文化のみち二葉館)の
ステンドグラスの一部は非水のデザインとのこと。
非水は1922-24(大正11-13)年、46歳の時
念願だったヨーロッパ留学を果たします。
(関東大震災のため予定を短縮して帰国)
この間に描かれた《滞欧期スケッチ》や《ヨーロッパ日記》
非水の旅行鞄(鞄というよりもはや家具では?)も展示されていました。
非水は滞欧中に300点ものポスターを収集しているそう。
非水のポスター《三越呉服店新館落成》1914年 に描かれたような
ジョルジュ・ドゥイエ《レセプション・ドレス》1903年頃 や、
《銀座三越 四月十日開店》1930年 に描かれたような
ガブリエル・シャネル《ディ・スーツ》1927年頃 も
展示されていて興味深かった。
(どちらも神戸ファッション美術館所蔵)
5階の常設展を見た後(去年7月9日に見た時の記事)
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-08-10
ショップで、
図録500円(ここの図録はリーズナブルで嬉しい)と、
「杉浦非水のデザイン」3,080円を買いました。
裏表紙
非水のこんな図案、とても素敵!
年賀状のデザインいいな、真似したい!
三重県立美術館「杉浦非水 時代をひらくデザイン」
あらためて図録見たら、すごい出品数と充実ぶりに驚いた。
やっぱり、ブログに感想書いておかないと忘れちゃうんだなと反省。
ブログに感想を書こうとすると、少なくとも図録は
もっと丁寧に読んだはず(^^;
三重県立美術館の記念撮影スポット
《東洋随一の地下鉄道 上野浅草間開通》1927年 の
ホームの乗客の中に紛れ込むことができます。
欧州留学中に目にしたアール・デコの幾何学的デザインの
影響がわかります。手前の女性の洋装もモダン。
三重県立美術館、こんなディスプレイもありました。
ショップで図録と、非水デザインのスカーフエコバッグを購入。
これ、今でも私のバッグの持ち手につけて使ってます。
外すとエコバッグになるんですよ! オシャレで便利です!!
「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展は、
島根県立石見美術館で2021年7月3日(土)~8月30日(月)
たばこと塩の博物館で2021年9月11日(土)~11月14日(日)
三重県立美術館で2021年11月23日(火・祝)~2022年1月30日(日)
福岡県立美術館で2022年4月15日(金)~6月12日(日)
と、巡回しました。
ヤマザキマザック美術館の展示は巡回ありません。
ヤマザキマザック美術館: https://www.mazak-art.com/
三越の包装紙は猪熊弦一郎の「華ひらく」が有名ですが、杉浦非水のデザインは知りませんでした。
アール・デコというか、レトロ調の色合いが良いですね。
「キュビスム展」(国立西洋美術館)に行って来ました。
予約制・入場制限がなかったので、当日券販売の窓口の列に並んでストレスなく入れました^^
スーパーのレシートみたいなペラペラの入場券には閉口しますが。
都内の美術展にしては程良い混み具合で、ゆっくり鑑賞出来ました。
驚いたのは殆どの作品が「撮影OK」だったこと。
以前は撮影可の作品にだけカメラ・マークがあったけれど、今展は数点の作品に撮影不可のXマークがあっただけ。
時代は変わりました、スマホの普及と共に?
by sknys (2024-01-28 11:40)