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岐阜県美術館「ビロンギング」展 [美術]

3月29日(金)、岐阜県美術館へ行きました。

「クロスアート4
 ビロンギング
 -新しい居場所と手にしたもの-」
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私のパート、シフトで金曜が休みになることは
今までなかったんです。同僚が金曜日に休むので。
でもこの日、同僚の都合が変わって、私が休めることになり、
展覧会見に行こう、どこがいいかな ?って探したら、
この展覧会が初日で、
「オープニング・ギャラリートーク」が
15:00~17:00に開催されるって知って。

「ビロンギング」‥‥展覧会のイメージがよくわからないタイトルなんですが、
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まず、「クロスアート4」とは、
 日本国土のおよそ中央にある岐阜を交差路と見立て、それぞれの方向へと進んでいったアーティストたちを紹介する「クロスアート」展も今回で第4回目となります。(チラシ裏面の文より)

第1回目は、2003年4月10日(木)~5月20日(火)で、
天野裕夫と坂倉新平が紹介されていました。

第2回目は、2009年11月10日(火)~2010年1月24日(日)
「ARTのメリーゴーランド」と言うタイトルで、
長谷川喜久、吉本作次、傍島幹司、村瀬恭子、大巻伸嗣、奥村晃史、神戸智行の7名が紹介されていました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2010-01-10

で、3回目がいつ、どんな展覧会だったのかわからない。
私、岐阜県美術館の展覧会は全部見てるハズなんだけど‥‥

「ビロンギング」とは、
 英語「ビロンギング」とは「所属」や「持ち物」などと訳されます。世界的な活躍をする本展出品のアーティストたちも、かつて身近なコミュニティーに属して同じようなのに囲まれていました。そうした環境を飛び出したアーティストたちは、膨張する「多様性」の中に取り込まれるのではなく、そそれぞれの居場所とそこでの感性や技術を獲得していきました。
 本展では、そうした郷里を巣立ったアーティストたちの到達点から、芸術の現在をお楽しみいただきます。
(チラシ裏面の文)

ってことで、岐阜出身で岐阜を飛び出して
現在世界的に注目を浴びる若手アーティスト5名が紹介されています。
オープニング・ギャラリートークでは、
公花、山内、横山の3名の作家さんからお話を聞くことができました。

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会場に入って、最初のコーナーが

松山智一 MATSUYAMA Tomokazu

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日本画の花鳥風月の図像や身の回りのものが変形のツルツルしたキャンバスに、これでもかって描き込まれています。画材はアクリルとのこと。

写真が小さいと描かれているものがよくわからないんだけど、それぞれ細かなところまで丁寧に描き込んであります。
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猫や鳥などの動物たちがカワイイ!
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花は日本の伝統的絵画にも描かれるような装飾的な図で、
人物は平面的に描かれて無表情
人物のファッションや壁や床などは日本の伝統文様のような柄が描き込まれてて、
過剰な装飾性に目がチカチカしちゃうけど、細部を見ていて飽きません。
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こんな日常的なものも描き込まれています。

展覧会を企画された学芸員の方から、
ニューヨークのアートシーンで活動する松山さんは、日本人として、
マイノリティであることを意識せざるを得ない環境で、
西洋と東洋、現代と古典が織り交ざるような作品を制作されている
みたいなことを聞きました。
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後藤映則 GOTO Akinori

その横の展示室へ入ると、暗い中で光が踊っています。

展示台の上の作品《Crossing #03》2019年
ナイロンで作られた立体にスリットの光線が当たって、
まるでゾートロープとか昔のアニメーションのように
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人の形が歩いているように動いていきます。
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奥の大きな作品《Energy #01》2017年
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スリットの光線が当たって動くと、人の形がバレエを踊っているように
空間の中で動いていきます。
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面白いですね!! 後藤さん、各務原市の出身とのこと。

暗室の外に展示されていたこの作品、
この作品を作る過程と光を当てた映像があって、
作品が動いているように見える原理が説明されていました。
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石に穴を開けて麻糸を通した作品など、もしかしたら
原始人もこんな遊びをしたのでは? って思えるくらい素朴な原理!
面白い!!


公花 KIMIKA

展示室に鮮やかな模様を染めた薄く長い布が張られています。
公花さんからお話を聞くことができました。
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岐阜市生まれの公花さん。愛知県立芸術大学で日本画を専攻。
2010年にアイルランドに留学。
ARTifaritiという国際芸術祭に出逢い、スペインのセビリアに移る。

アフリカ最後の植民地と言われる「西サハラ」について
北のモロッコと南のモーリタニアに挟まれて、
新たに被支配地となった西サハラ。
国としては認められていません。

公花さんは難民キャンプに滞在し、女性たちが身に着けるメルフファという長い布を少しずつもらってコラージュした作品が展示されていました。
《色鮮やかなる壁の華麗なる反攻》2014年
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映像では、女性たちが笑顔で、身に着けているメルフファをちょっと
切り取って差し出してくれる様子が映されていました。

この作品を見て、自分たちのメルフファが使われている! って、
とても喜んでもらったと。
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山内祥太 YAMAUCHI Shota
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顔をかたどった立体像の上に絵画や写真が降ってきて
貼りついていく映像作品が面白かった
《カオ1_Waterfall》2021年
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ちょっとキモい(^^)
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山内さんから、コロナ禍で誰もがマスクで顔を隠していた様子から思いついたと、お話がありました。

そして「匂い」をテーマにしたという映像作品
《Apparition》2023年
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煙の中から匂いの素の形が表れます。

《ラテックスオブジェ》2024年
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横山奈美 YOKOYAMA Nami

あ、この作品は、2021年に岐阜県美術館
「アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.11 横山奈美」
公開制作:2021年11月12日(金)~12月11日(土)
作品展示:2021年12月21日(火)~2022年1月23日(日)
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/events/aim11/

で滞在制作された作品だ。
《forever》2021年
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前日に描いた絵を見ながら、次の日も同じように描いていく
というルールで制作された作品。
30枚(?)ある作品の14枚(?)を展示してあるそう。
寝転がった少女のTシャツのロゴだけは違う書体だけど、
他は同じように描いていく、けどほんの少しのことで
表情が変わって見えたりするって話を
横山さんから聞くことができました。

横山さんのもう一つのスタイルが、
ネオンをモチーフに、背後のフレームまで描く「ネオン」シリーズ。
豊田市美術館のコレクション展「光について/光をともして」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-04-30
チラシに使われていて、ネオン管の造形作品かと思ったら絵画で驚きました。
愛知県美術館に令和2年度新収蔵作品として紹介されていた中にも
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
横山さんのネオンをモチーフにした作品がありました。

こちらの《Shape of Your Words [In Gifu.2023.10.14-10.25]》2023-24年
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友人たちに「I am」という文字を書いてもらい、それを業者さんに発注して
実際のネオン照明を作ってもらい、それを絵に描いているそう。


岐阜県美術館: https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/

県民ギャラリーで開催されていたのが、
「創立100周年記念
 岐阜信用金庫 秘蔵名作選」
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会期2024年3月26日(火)~4月14日(日)
観覧無料で出品リストも豪華!

表紙に使われている 藤田嗣治《婦人像》1932年 をはじめ、
川合玉堂、前田青邨、梅原龍三郎、林武、
横山大観も東山魁夷も、平山郁夫、片岡球子、
守屋多々志、加藤栄三、加藤東一、土屋禮一‥‥と
巨匠49名の作品が67点並んでいます。
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どれも美しく、部屋に飾りたいような絵。

中でも、堀文子《春が来る》1987年
辛夷の白い花が遠くの雪山をバックに描かれていて、
今の季節にピッタリの清楚な風景画で良かったです。

とても見ごたえありました。

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