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岐阜県現代陶芸美術館「うつわの大中小展」 [美術]

4月26日(金)、岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。

「うつわの大中小展
 -大きさから、やきものを解剖する-」
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銀色の特色が素敵なチラシ表面

世間では大型連休が翌日から始まる金曜日、
私の職場は、発注先が休みになって食材が届かなかったり、
連休で客層が違ったりということはありますが、
通常通り定休日の日曜のみ休み。
この日はシフトで休みになりました。

岐阜県美術館の後援会員証で入れる展覧会なので、
そろそろ行っとかなくては‥‥と。

でも午前中、いろいろ用事を片付けたりして、
ついつい出かけるのが遅くなって、もう今日はやめようかな
ここは連休中でも混まないだろうし‥‥なんて思ったんですが、
18時までやってるからって出かけたんです。
連休前日でしたが、なんか道が混んでて、着いたのが
思ったより遅い15時半くらいになりました。

岐阜県美術館の後援会員証を提示して入場券をもらいます。

私は無料で入れるから気にしてなかったけど、
観覧料が一般340円って安さ!
(大学生220円、高校生以下無料)

この展覧会、岐阜県現代陶芸美術館の所蔵品と
数点の寄託作品で構成されているせいかな?
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展示室に入ると、まずは
1 小さな器たち

走泥社の7人の作家がそれぞれ作った《寄せ盃》1998年 や、

大倉陶園《豆皿(下村家旧蔵食器揃いのうち)》1933年
下村家は、大丸百貨店の創業家だとか。
それぞれに金色の紋が付いていて豪華!

解説にあった(よく覚えてないけど)「手塩皿」って言葉、
祖母が小皿のことを「おてしょ」って言ってたのを思い出しました。

奈良千秋《白磁水滴》《白磁四方水滴》《白磁六角水滴》2000年
奈良千秋《白磁馬上盃》《白磁盃》2000年
白くて小さくて端正で美しい!!

滝口和男の小さな器たちには、それぞれ
《やがて消えゆく》《何もないただ歪んでる》《谷の底にも》《かにか》《うさぎや》《移り行く散歩のかたちか》《かにの軌跡は》《赤い光跡も》《竜巻を昇って》《巻かれてゆくと》《紫ナ時ハ》《待ちわびて》《裏の桜は》《花と象の関係は》《星の行方は》《四角四面の古典にも似て》《無言の時》1982-2000年
と、詩的なタイトルがつけられています。
作品見てタイトルを読むとクスッと笑ったり、納得したり。
《何もないただ歪んでる》は、ちょっとゆがんだ器だし、
《かにか》は蟹、《うさぎや》は兎の形をした箸置き(?)だったりして(^▽^)

川口淳《色絵金彩楽園紋磁器:夢の日記の器たち》1999-2000年
は、以前ここで見て、キラキラとカラフルで素敵って思ったやつ!
これだけ揃っていると遊園地のように楽しい!!
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岐阜県現代陶芸美術館の鑑賞カード


2 手に持って心地よいサイズの器

一般に、碗や皿、壺などの器物は、それぞれの用途に応じて、おのずとその大きさが決まっています。例えば、抹茶碗なら掌にすっぽりと収まる寸法、洋食器のミート皿は23~25㎝の径、そして漬物壺はキッチンに収納でき、女性にも扱いやすいサイズといった具合。いずれも、飲食を中心とした慣習などによって定着し、それが今日にまで伝わってきました。(チラシ裏面の文より)

解説パネル読んで(うろ覚えですが)気付いたけど、
日本のご飯茶碗とか、食器を手に持って食べるのは世界でも珍しい習慣だとか
確か韓国では食器を手に持って食べるのは「乞食食い」と言われたんですよね。

なので、ご飯茶碗は片手で持って食べやすい大きさが求められると。

伊藤慶二《鏡文字(ひらがな)》(チラシ裏面の9個の茶碗)
ちょっと大きめの丼? 中に書かれた鏡文字が素朴な雰囲気でいい。

抹茶茶碗は、両手で持って飲むことと、
器の中で茶せんで抹茶を立てることから、
少し大きめで、深さも求められる。
ただ夏は抹茶が冷めやすいように口が開いていると。

荒川豊蔵や加藤孝造、加藤土師萌‥‥と、人間国宝の抹茶茶碗が並んでいます。
ま、私どうもこういう抹茶茶碗の良さってのがイマイチわからなないんですけど。

十三代三輪休雪《エル キャピタン》2022年 (チラシ裏面上右)
抹茶茶碗にしては大きめで、床の間に飾ることも考えて作られているのではと。


3 床の間の器

岐阜県現代陶芸美術館が誇る
富本憲吉《色絵金銀彩四弁花模様飾壺》1960年 (チラシ裏面下段左) や、
板谷波山《彩磁唐草文花瓶》1930年代(岐阜県現代陶芸美術館寄託)
など、床の間に飾るための大きさの器が並んでました。


4 床の間を飛び出す器

展覧会などで映える大きな器

酒井博司《藍色志野花器》2021年 は、高さ43.6cm
この人の藍色志野の端正なフォルム、好きだなー。

伊藤秀人《青瓷大鉢》2018年 W56.3cm
今にも倒れそうなシャープな形と青瓷が緊張感あって素敵

三代徳田八十吉《燿彩輪花文鉢》1999年 W55.cm
鉢の真ん中に吸い込まれそうな深い青色が素敵でした。

十三代三輪休雪《花冠》2003年 H100.0cm
山のような形の中に、花が生けられる穴が開いてました


5 大作主義

明治時代、万博出品や海外への輸出用に作られた大きな器
このコーナー撮影可!

宮川香山《浮彫蓮子白鷺翡翠図花瓶》19世紀後期 H51.0cm
なんかゴテゴテしてて、うーん‥‥ってカンジなんだけど、
手間かかってるのはわかります。
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こういうリアルさが海外でウケたんだろうなぁ。
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奥にある撮影不可の大壺が写り込んじゃった ( *´艸`)
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タイトルにある翡翠は花と戯れています。


加藤彌吉《染付草花図花瓶》19世紀後期 H50.8cm
暖炉の両側に飾るなど、一対のものが好まれたとか。
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精磁会社《染付上絵桐鳳凰文透彫大香炉》19世紀後期 H72.0cm
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キラキラの超絶技巧! 実際には使われなかっただろうけど、
香炉ってことで、上部などに透かし彫りがされていると。

これ、ここで開催された「明治有田超絶の美」展で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2017-09-07
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台座のある状態でのものが並んで展示されていました。

この時に展示されていたチラシ左に半分使われている大花瓶なんて、185cm !!

香蘭社《色絵黒外濃花鳥文沈香壺》19世紀後期 H46.0cm
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深川製磁《釉下彩上絵陽刻紫陽花図大花瓶》20世紀前期 H54.0cm
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加藤友太郎《釉下彩猫に蟷螂図花瓶》20世紀初頭 H54.0cm
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釉下彩で描かれた猫にカマキリがカワイイ
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20世紀になると欧米の好みも変わってきたのがわかりますね。


加藤五輔《染付花鳥図花瓶》19世紀後期 H46.3cm
1893年のシカゴ万博出品作のスペアとして作られたと考えられていると。
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五代西浦圓治《上絵金彩染付四季図大長頸壺》19世紀後期 H85.8cm
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これ、「コレクション×キュレーター」展 で、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-04-13
明治陶芸のコーナーに展示してあったのを初めて見て、
大きさに驚いたんです。多治見で作られた「西浦焼」だと。

それから多治見市美濃焼ミュージアムで「西浦焼」について
展示されてるのを見たりしました。
去年6月に行った美濃焼ミュージアムでも、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-07-23
「明治・西浦焼の世界」の展示室がありました。

「西浦焼」とは土岐郡多治見町(現多治見市)を中心に、明治初期より三代から五代西浦圓治のもとで製造されたやきもののことをいいます。
(「明治・西浦焼の世界」のチラシの文より)

三代西浦圓治が、国内向けの安価な日用品が生産の主力となっていた美濃焼の名声を高めるために、細密染付の名工であった加藤五輔を西浦焼の制作主任として招き、品質の向上に努め、万博出品など海外進出を目指したんですね。


さて、最後の部屋にドーンと展示されているのが、
チラシ表面に使われている
加藤土師萌《黄地金襴手菊文蓋付大飾壺》1968年 H150.0cm

令和5年度、新たに収蔵した人間国宝・加藤土師萌による畢生の大作であり、皇居宮殿に収められた《緑地金襴手飾壺(萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺)》とほぼ同サイズの姉妹作《黄地金襴手菊文蓋付大飾壺》を最大のうつわとしてお披露目いたします。(チラシ裏面の文)

皇居 竹の間に飾られている壺とは色違いの黄地

ブログに感想が書けてないけど「加藤土師萌展」で
(ここ岐阜県現代陶芸美術館て、2018年9月8日~11月4日
 町田市立博物館で、2018年12月8日~2019年1月27日 に開催)
加藤土師萌の絶作で畢生の大作である皇居宮殿の大壺について
説明パネルがありました。(さすがに実物は持ってこれない(^^;

「加藤土師萌展」の図録によると「1年半ほどかけて52本を手掛けながら、どうにか焼きあがったのは(中略)わずか3本のみだったとされる。
ってことで、皇居にあるものと、岩尾對山窯と個人蔵のものがあると書かれてたけど、この色違いは‥‥?

とにかくこの大きさのものを作るには大変な苦労があることはわかります。
壁のモニタには、クレーンで吊り下げて窯に入れる様子が映されていました。
真っ直ぐではなく25度傾けて(うろ覚え)入れるのだとか


コレクション展ですが、うつわの「大きさ」に注目して、
小さいものから大きなものへと並んでいて、興味深かったです。
岐阜県現代陶芸美術館のコレクションのすごさも感じました。


ギャラリーⅡA室では「やきもの いきもの」という企画展が開催されています。
チラシはなかったので、ポスターを
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展示室前に置かれた
小出ナオキ《cloud(theater)》2011年
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この作品のみ撮影可

最初に置かれていたロイヤル コペンハーゲン《結晶釉北極熊トレイ》1925年
氷の海に飛び込もうとしている北極熊。
結晶釉で表現されている氷の質感がとてもきれい。

空中に吊り下げられている
フェデリコ・ボナルディ《空中のレヴィヤタン》2000年
レヴィヤタン(レヴィアタン)とは旧約聖書に登場する海の怪物とのこと。
だけど、この作品は丸っこくてなんかユーモラス(^^)

天野裕夫《バベルガエル》2019年 もありました。

何と言ってもインパクトあるのが、
植葉香澄《キメラ》2009年
巨大で(123.5×199.0×66.0cm)、キラキラで豪華!!!


階段を上がってギャラリーⅡ B-D室は、
「令和4(2022)年度 新収蔵品」
パツィオパットで描かれた人物が上品な
セーヴル《楽器を奏でる人物図花瓶》1908年

ウェッジウッドやロイヤル・ドルトンのコーヒーサーヴィスなど

D室に展示されていた
桝本佳子《圧縮紋 武人埴輪》2010年
あ、これあいちトリエンナーレ2019の名古屋市美術館で見たやつだ!
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-09-30
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その時に撮った写真

桝本佳子さんの作品はもう1点《朝顔/皿》2022年 も展示されていました。
鈴木其一の《朝顔図屏風》がモトになっている?
でも金網に絡まる陶器の朝顔と皿に描かれた朝顔

あいトリで、この人の作品面白いなーって見たので、
収蔵されて嬉しい。

これだけの展示が、340円で見られます。
しかし、ここは日曜でも混んでないのに、
平日だったせいか、館内独り占め状態!
いい展示やってるのにもったいないなー。

美術館を出たところに展示されている巨大な作品は、
国際陶磁器フェスティバル美濃 国際陶磁器展美濃受賞作品
徐永旭《2007-6》2008年
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今年 2024年10月18日(金)~11月17日(日)に
ここ、岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINOで、
「国際陶磁器フェスティバル美濃'24」が開催される予定です。
https://www.icfmino.com/


岐阜県現代陶芸美術館: https://www.cpm-gifu.jp/museum/
多治見市美濃焼ミュージアム: https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/

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影丸

ご無沙汰してます、元気にやってます!
by 影丸 (2024-05-15 05:22) 

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