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大阪中之島美術館「女性画家たちの大阪」展へ行ったこと

2月24日(土)、大阪中之島美術館の
決定版!  女性画家たちの大阪」展 を見に行きました。
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-03-09

展覧会のことは前記事に書きましたが、
それ以外のことを。

西岐阜9:54発の東海道線で米原10:40着
米原から新幹線を奮発して新大阪に11:27着
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乗車券2,640円 新幹線自由席2,530円
地下鉄御堂筋線で淀屋橋駅へ 240円

わー、キリコみたいな彫刻って見たら、ホントに
ジョルジオ・デ・キリコ《ヘクトルとアンドロマケ》1973年
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こちらは、
マルチェルロ・マスケリーニ《水浴者》1980年
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富永直樹《ボジョレーの娘》1990年
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都会にはいろいろ刺激的な風景が溢れてますね。
「田舎の三年、都会の昼寝」って、特に
グラフィックデザインを学び始めた時に言われたなー
当時の多摩美は八王子の山の中の、
ホントに何もない場所にあったので、
都心に出て色々見てこいって。
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壁面のレリーフが素敵! 中之島フェスティバルタワー
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鳩がかなり近づいても逃げない。
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大阪中之島美術館へ
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2階のウインドウ越しに不思議な作品が見えたので
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Osaka Directory 6 supported RICHARD MILLE
木原結花

2024.01.27-2.25
入場無料・撮影可

Osaka Directory supported by RICHARD MILLE とは、
大阪中之島美術館が関西・大阪21世紀協会と共同で主催する、関西ゆかりの若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会 だそう。

木原結花(きはら ゆいか)さんは、
氏名や戸籍等が判明せず、遺体の引き取り手が存在しない「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」に着目し、人間の存在の曖昧さを問いかける作品を作ってきました。
(大阪中之島美術館のウエブサイトより)
https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-directory-dir6/

展示台にあるのは《行旅死亡人》2016年
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新聞に載った行旅死亡人の小さな記事と、
古いポートレート写真(に見える)が並んでます。
この人はどんな人生を送ったのかなとか
想像してしまうけど、実はこの写真、木原さんが
必要最低限の文字情報から生前の姿を想像し、
遺体が発見された場所を撮影して合成した写真なんだそう。
そうか、名前もわからないのだから、
生前のポートレート写真があるはずはないのよね。

私はアイデンティティを見出されないまま事務的な作業で処理される人物にアイデンティティを求め、ある種それを与える作業を行った。しかし、それは同時に本物のアイデンティティを隠してしまう。ではこの出来上がったイメージはいったい何なのか。虚構なのか、事実なのか、そのどちらでもあるのか、ないのか。あやふやで掴みきれないそのあり方は、まさに「行旅死亡人」と呼べるものではないだろうか。(作品リストの文章より)

透明な人物像が崩れたような印象的な造形は、
《そこにいるはずだったあなたの。世界にはない現象であなたの形を作成する》2023年
あるアニメの聖地に赴き、その場所の太陽光で紫外線硬化樹脂、通称「UVレジン」を固めた立体作品と、それによよるインスタレーション
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アニメのキャラクターの実寸の人型を使用して、
UVレジンを流し込んで太陽光で硬化させたものとのこと。
アニメの聖地へ行っても、当然だけど、そこにアニメの人物がいたわけではない。

架空の存在と実世界の境界を揺るがす表現を試みます。

まぁ難しいことはとにかく、
溶けたような透明な人物像が並んでいて面白いなって。


それから4階の「女性画家たちの大阪」展へ
展覧会休憩室から見下ろしたチケット売場の混雑
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「女性画家たちの大阪」展を見終わって、できたら
「モネ 連作の情景」展も見たいと思ってたんですが、
さっき4階から見下ろした時よりチケット売場も並んでたし、
(「女性画家―」のチケットで割引になるので、
 こっちのチケットはネットで買いませんでした。)
エスカレーターの前の行列がなんと外まで伸びていて諦めました。

ヤノベケンジ《SHIP'S CAT (Muse)》2021年
の周囲も人でいっぱい。
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芝生広場では「NAKKA Marché(ナッカマルシェ)」として、
いろんな出店が並んでました。
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3時になって、お腹も空いてたので、何か食べたいと思ったけど、
あまり気に入ったのが無くて‥‥
1階のレストラン「ミュゼカラト」は当然ながら行列。

隣の国立国際美術館のレストランは、たしか
観覧券なくても入れたハズと行くと、食事は3時まで(T.T)

どうしようかなーって道を渡ったところで目についた
こちらのお店のメニュー写真に惹かれて入店すると、
カウンターに3人、テーブルに2人も入ればいっぱいになってしまう
小さなお店「GURFA
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パセリバターのチーズバーガーサンド1,200円
付け合わせをポテトかサラダを選べて、サラダにしました。
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ドリンクを、安かったので(^^; エスプレッソ400円にしたけど、
ちょっと濃くて苦すぎたかな。カフェラテにしておけばよかった。

さて、4時近いし、これからどうしよう?
展覧会を見るには遅いし、これで帰るのもなんか‥‥と

モディリアーニ展に来た時にあきらめた
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-06-05
北浜の「五感」に再チャレンジしてみようと

あっ、道の反対側なのでうまく写ってないけど、
青木野枝さんの作品ですよね?!
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このビルの壁面、面白いなー「光世証券」だと。
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「五感」は、2階のカフェは終了とのことで(T.T)
‥‥まぁ、三連休の土曜日ですものねー

さて、どうしよう?
たまたま朝聞いていたラジオで、大阪天満宮の梅がきれいだった
って声が寄せられていたことを思い出して、場所を調べたら、
まぁ、歩いて行けないこともない、と。

レトロな風情の商店街「天神筋商店街」
日本一長い商店街だとか。
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石垣が立派「蛭子門」駐車場へ入る車が並んでました。
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表大門
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「梅まつり」の旗が立ってます
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まずは御本殿へ参拝
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盆栽の松と梅が飾られています
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境内のあちこちに梅が咲いてます
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一本の木に白とピンクの花が咲いてます「思いのまま」?
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でも、参集殿で開催されていた
「てんま天神梅まつり 盆梅と刀剣展」は、
午後4時までの入場受付とのこと(T.T)

祖霊社
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天満天神 繁盛亭
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天神橋筋商店街2丁目のアーケード入口に飾られた人形
天神祭のお迎え船に乗せる御迎人形をモチーフにしていて、
浄瑠璃や歌舞伎の登場人物を題材としているとのこと。
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地下鉄「南森町」駅があったけど、まぁそれほど遠くないし、
JR大阪駅まで歩きました。

大阪駅地下街のディスプレイ
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帰りは全て在来線で
大阪18:00発→米原乗換→西岐阜20:17着 2,640円


大阪天満宮: https://osakatemmangu.or.jp/

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大阪中之島美術館「女性画家たちの大阪」 [美術]

2月24日(土)、大阪中之島美術館の
「決定版!
女性画家たちの大阪」展 を見てきました。
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大阪では多くの女性日本画家が活躍していたそうですね。

とかく男性中心だった美術界で、これは
近代大阪の大きな特色だったのではないでしょうか。

大正元年(1912)、20歳だった島成園(しま せいえん)が文部省美術展覧会に入選し、その成功に触発されて同世代の岡本更園(おかもと こうえん)や木谷千種(きたに ちぐさ)、生田花朝(いくた かちょう)なども続きます。女性の社会的な活動が制限されていた時代にあって、絵筆ひとつで個性と才能を発揮し、正しく評価される可能性に女性たちは目覚め、発奮したのです。(チラシ裏面の文より)

チラシ見て、ちょっと少女漫画みたいな雰囲気
なんて感じてしまったんですよね。
どこが? って言われるかもしれないけど。
優美でロマンティックな感じ?

1964年に高校2年生の里中満智子が
第1回講談社新人漫画賞を受賞してデビューしたことに触発されて
多くの少女が漫画家を目指した(憧れた‥‥私も
それからかなり遅れてだったけど、そんな一人だったかな)
ことを思いました。その頃の少女漫画は手塚治虫、ちばてつや、
石森章太郎など、男性によって描かれている作品も多かったです。

まぁそんなで、この展覧会行きたいなって思ったんです。
でも、パートの休みがなかなかなかったり、休みでも
ダラダラと朝過ごしてしまって、つい行きそびれていました。
大阪だし、諦めようかなとも思ったけど、
珍しくパートが土曜日休みだった24日に思い切って行きました。
会期【2023年12月23日(土)~2024年2月25日(日)】ギリギリ!

行きの列車の中で、美術館のチケットサイトからオンラインで
チケット買って正解! 一般1,800円

この日、大阪中之島美術館では「モネ 連作の情景」という展覧会も
やっていて、美術館のチケット売り場は結構並んでいたので。

スマホのQRコード画面を見せてエスカレーターに乗り、

「女性画家たちの大阪」展は4階展示室(「モネ―」は5階)
QRコードを読み取ってもらい入場。
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第一章 先駆者、島成園

島成園(1892-1970)
京都の上村松園、東京の池田蕉園と並び閨秀美人画家の三園と称され」たことは、
2016年に岐阜県美術館で開催された
「ジャパン・ビューティー」展で知りました。
「閨秀」なんて言葉にはちょっと抵抗があるけど、
これは「ジャパン・ビューティー」展の図録の
島成園についての文章。今回の展覧会でとても残念だったのは、
図録が売り切れていたことー(T.T)

多くの女性画家が紹介されていて、展覧会見ながら、
後で図録でしっかり確認しようと思ってたのにww(泣)

なので以下「ジャパン・ビューティー」展や
「福富太郎の眼」の図録などを参考にしながら書きます。
(あぁ、この展覧会の図録欲しかった!)

最初に展示されていたのが、
《祭りのよそおい》大正2年(1913) 大阪中之島美術館蔵
20歳で文展に初入選した翌年、大正2年の第七回文展入選(褒状)
三人の華やかな着物の少女に対する地味な着物の少女が描かれています。、
少女たちの愛らしさはもちろんだけど、
貧富の差みたいな社会問題も描き出されていて、いいなって。
昔は身なりで貧しいか豊かか、身分が一目でわかりましたよね。

その隣に、《おんな(原題・黒髪の誇り)》大正6年
あ、これ、あべのハルカス美術館
「コレクター福富太郎の眼」で見た絵だ!って
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-01-30
女の情念を感じさせるような黒髪と、
般若が描かれた着物が印象的で、
あの展覧会の中でも気に入った絵だったので嬉しい。
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「コレクター福富太郎の眼」図録より

大正元年(1912)第六回文展に初入選(褒状)して評判になった絵が
《宗右衛門町の夕》
この展覧会に展示されていたのは、その絵と同じものを描いてほしいと
依頼されて描いた個人蔵の《宗右衛門町之夕》

「福富太郎の眼」展で気に入った《春の愁い》大正6年頃 も
展示されていて、これも島成園だったのね!
福富太郎の感性、すごく私好みだわーと。
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チラシ裏面左上に使われている
《無題》大正7年 大阪市立美術館蔵
女性の顔の痣が異様な雰囲気‥‥!
描きかけのようなバックも不思議なインパクト。
これは下絵の前の自画像、というか描かれているのは
自分らしいが、島成園の顔には痣などない。
わざわざ痣を描いたのはどんな心境が?
この表情といい、内面の苦しさ、悩みを表しているのか?

撮影可だった第5章に展示されていた
島成園《自画像》大正13年
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なんか訴えてくるような迫力の、印象的な絵!

《伽羅の薫》大正9年(1920)
デカダンな雰囲気漂う細長くデフォルメされた太夫の姿
美人画の範疇から外れてしまうような迫力!
賛否両論が巻き起こったそうですが、まぁ、私も
好きか嫌いかって言われると‥‥だけど、大正9年に
この表現はすごく新しいんじゃないですか?

大正9年(1920)に銀行員と結婚後は夫の転勤に同行して
大阪や画業から離れるが、戦後は大阪に戻り、制作を再開

ってことですが、この展覧会には戦後の絵は出てないような‥‥
昭和に入ってからの絵は、なんかちょっと、
フツーの絵(?)になっちゃったみたいで、
情念みたいなものが感じられない。
やっぱり結婚生活が制作の支障になってたのかな。
昔の少女マンガ家も、結婚して辞めちゃう人多かったですよね。
残念だなぁ。


第2章 女四人の会―島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊

島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊で結成した「女四人の会」

井原西鶴「好色五人女」に登場する女性をテーマに
第一回展が大正5年(1916)に大阪三越で開催されます。
女性だけで開催したことから「生意気」だと批判されたとか。
展覧会の後の方で、4人がそれぞれの出品作の前に立って
撮影した写真が展示されてましたが、皆若くて素敵!
気概にあふれているというか。



チラシ裏面右上に使われている
木谷千種《をんごく》大正7年(1918) は、前期展示で見られなかったけど、
《浄瑠璃船》大正15年(1926) が展示されていました。
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(クリアファイル購入 440円)
なんて優雅で贅沢な世界なんだ!!
大店のお嬢様が、船でうっとりと浄瑠璃を聞いています。
抹茶を立てている女性もいますね。

木谷千種(1895-1947)東京の池田蕉園に学び、大阪へ戻り、
「八千草会」で多くの女性画家を育てたとのこと。


松本華羊《殉教(伴天連お春)》大正7年(1918)頃
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これも「福富太郎の眼」展ですごく気に入った絵!


第3章 伝統的な絵画―南画、花鳥画など

女性画家が活躍したのは、美人画だけではありません!

江戸時代から大阪で興隆した文人画(南画)の分野においても河邊青蘭(かわべ せいらん)、融紅鸞(とおる こうらん)などが活躍しました。彼女たちは画塾で後進の女性に絵を教え、グループを結成して絆を深め、その裾野はさらに広がりました。(チラシ裏面の文より)

このあたりの絵、詳しくないので、私には
絵を見ても、名前でも、女性が描いたのかどうかわかりません。
女性がこんな絵も描いていたのね! と。


第4章 生田花朝と郷土芸術

生田花朝が描いた大阪の寺や祭の絵が展示されていました。

《四天王寺精霊会図(原題・四天王寺曼陀羅)》昭和2年(1927)
大きな画面に四天王寺の建物や人物が細かく丁寧に描かれています。

チラシ裏面に使われている《だいがく》昭和時代 は、
行根神社の神事だそう。柔らかな色調が上品。


第5章 新たな時代を拓く女性たち

この章、撮影可!!
島成園や木谷千種らに影響を受けて、多くの女性画家が活躍したんですね。

「島成園と浪華の女性画家」展(2006年)の開催から17年。作品の発掘や調査研究の深化に多大なご協力を得て、本展では50名を超える近代大阪の女性日本画家の活動を、約150点もの作品と関連資料によって紹介します。(チラシ裏面の文より)

そんな調査研究の成果がまとめられた図録、欲しかった! (未練がましい)
図録で確認しようと思ってたので、
せっかく写真撮ったのに、作者とタイトルがわからない(T.T)

多分、金澤成峰《哀しみ》大正後期-昭和前期 だと思う
(ネットで確認できました!)
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白無垢に赤い着物を抱え、髪には折れた矢が刺さっています。
戦で恋人か婚約者を失ったのか。


吉岡美枝《樋口一葉》昭和17年(1942)
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鏑木清方が樋口一葉を描いた絵に似てるな、
あの絵どこで見たんだっけ? と探したら、
東京藝術大学のコレクションから、女性像に注目した
名古屋市美術館「麗しきおもかげ」展でした
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-04-24
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キャプションの解説にも「清方作品を参考にした可能性が高い」と。
でも吉岡美枝の一葉はちゃんと机に向かってます!


ガラスの映り込みでうまく撮影で来てませんが
三露千鈴《殉教者の娘》大正15年(1926)
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たおやかで上品な女性の絵
「八千草会」で学んだ三露千鈴は、わずか22歳で亡くなってしまったと!
チラシ裏面左下の《化粧》大正後期 も三露千鈴の絵


西口喜代子《淀殿》大正後期-昭和前期
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「ジャパン・ビューティー」展で見た
木谷千草《化粧》に似てるなって見たんですが、
ネット見てたら木谷千草《化粧》は前期に展示されていたみたいですね。
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西口喜代子《淀殿》も完成度が高くて素敵!
「八千草会」で学んだ人らしいですが、
これだけの絵を描いた人のことが、よくわかっていないとか。


橋本花乃《七夕》昭和5-6年頃
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七夕の飾りつけをするおかっぱ頭の少女たち。
それぞれの着物の柄も細かく描かれています。


鳥居道枝《少女像》大正9年頃
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伝統的な美人画や日本画からはみ出してしまうような
肉体を感じさせる立体的な表現! 少女の顔もいいなぁ!


図録が買えなかったのが残念だけど、(まだ言う(^^;
見に行けてよかった展覧会でした。
(お正月2日からやってたんだ‥‥知ってたらww)

この日、大阪中之島美術館では「モネ 連作の情景」展もやってて、
できたらそちらも見たいと思ってたんですが、
すごい行列で諦めました。

「女性画家たちの大阪」展は、そこそこ混んでたけど、
まぁストレスなく見られて良かったです。

そんなことも含めて、この展覧会以外のことは次の記事で――

大阪中之島美術館: https://nakka-art.jp/

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松坂屋美術館「西田俊英展」 [美術]

2月22日(木)、松坂屋美術館へ行きました。

「西田俊英 展
 不死鳥-前代未聞のスケールで描く巨大作」
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このチラシを見るまで、西田俊英という画家の
名前も知りませんでした。

2023年10月29日の日曜美術館で、
“描く”という祈り 日本画家・西田俊英
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/episode/te/GJKXJ33MKW/

が放送されたそうですが‥‥
私、日曜美術館は見てる(リアルタイムで見れない時は
録画で見るようにしているハズ)なんだけど‥‥

この展覧会を見てきてから、2月25日に再放送された
番組を見て、西田俊英氏が、屋久島の現生林に分け入り、
一晩、巨樹と対峙してスケッチする様子に、
すごいなーと感動しました。


そんなことを知らなくても、チラシの絵の
大樹の壮大なスケールと繊細な描写が素敵だなぁと。

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 日本美術院同人、日本芸術院会員である西田俊英は(1953- )、2023年武蔵野美術大学退任記念展として開催された展覧会で、2022年から約1年間、屋久島に滞在して描いた巨大日本画《不死鳥》を発表しました。その時点で第2章までの約40mであった本作は、最終的には、6章構成の全長70mにもなる前代未聞の大作とななります。
西田が世界自然遺産として知られる屋久島に魅了されたのは、その豊かな原生林に象徴されるように、森林が人間にとってかけがえのない存在で、その貴重な自然、そしてそこに棲む生命の営みに、画家が強く共感したからです。その稀有な自然を見つめることで「人間と自然の共生」「生命の循環」をテーマにした壮大な物語を紡ぎだしました。
本展では、その後も新たなインスピレーションを交えて、ライフワークとして取り組む本作をさらに進化したかたちで一挙公開いたします。

(チラシ裏面の文)

松坂屋美術館は松坂屋名古屋店 南館7階にあります。
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入館料は一般800円でしたが、ここに来る前、
名古屋駅の金券ショップのぞいたら、
招待券が500円で出てたのでゲット!

展示室内は撮影禁止

まずは第1会場へ。屋久島に滞在して描いた
《不死鳥》

高さも結構ある(205.0cm)けど、とにかく長い!!
展示されている壁が曲がっていて、絵全体を見渡すことが
できません!

<第一章 生命の根源>
屋久島の原生林に降る雨が川となって流れます
巨大な絵なのに、描写はすごく繊細で、
あちこち描かれた蛙やカニ、蝶やヘビがとてもリアル
そして闇の中を幻想的な不死鳥が飛び立ちます


<第二章 太古からの森>
水鏡のような淵に映る木には猿たちが遊び、鹿もいます
そして森の妖精も!
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(図録より)

そしてチラシ表面に使われている
朝の光が森に差し込んでくるシーン!
ここ、すごく感動した!!
絵から神聖な光が降り注いでくるみたい

そして夜、満天の星のきらめきと、
地面にも無数のきらめき。

日曜美術館でこのシーンを描いている様子を
放映してましたが、細かく地面の根や葉を描いた上に
黒い絵の具で塗りつぶしていったりと、まぁなんと
手がかかっているんだ! と。

星も描いてから塗りつぶし、こすって出してましたね。
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<第三章 森の慟哭>
斧を手にした不気味な妖怪が描かれています

そして、大勢の人間が木を切ろうと進んでいるところが
鉛筆の輪郭で描かれていました。

この《不死鳥》はまだ制作途中で、この後、
<第四章 彷徨う精霊たち>
<第五章 森の再生・命のバトンタッチ>
<最終章 森と人のユートピア> の全6章で構成され、
完成すれば全長90mとなるそう。(図録より)

本展では第三章の一部まで、48mが展示されています。

屋久島の森で描いたスケッチも展示されていました
まぁよくここまで描き込んだもんだ‥‥と。
紙の折り目も気にせずに描いているところに、
現場感?みたいな迫力を感じてしまった。


第2会場では、若い頃の作品も展示されていました

1981年に制作された《宙》
府中の大國魂神社参道の雷に打たれた大欅。時間だけは豊富にあった20代。
 息苦しくなるほどの執拗な描写が自分の未熟な技量を補うものだと信じて描いていた。
」(絵に添えられたコメント)
屋久島の巨樹に通じるような巨木の絵

インドの女性の強いまなざしが印象的な
《水汲みのマヤ》1999年
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夜に白く輝く端正なタージ・マハルの絵、素敵!
《星夜燦々》2001年


2頭の聖牛を師の奥村土牛先生と塩出英雄先生に見立てた。
 高潔で温厚だったお二人の人柄を偲ばせる安寧の地に座り込む仔牛は、私自身を象徴する。
」という、
《聖宿》2004年

夜の桜が窓に広がる室内の男とボルゾイ犬の絵
《月窓》2014年
ちょっと冷たい(端正とも言う)装飾的な美しさ‥‥私好きだなぁ!

図録購入 880円
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この展覧会、松坂屋美術館で3月3日(日)まで開催された後、

茨城県天心記念五浦美術館で、
2024年4月20日(土)~6月23日(日) に巡回します。

全て完成した《不死鳥》は、いつ見られるかな?
楽しみです。

松坂屋美術館: https://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/museum/
西田俊英公式HP: http://nishida-shunei.com/

Eテレ日曜美術館「“描く”という祈り 日本画家・西田俊英」
3月3日(日)午後8:00~8:45 に再放送されます。

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展覧会鑑賞後、松坂屋美術館の1階上にある
ハーブスでランチいただきました。

ここのランチ、お値打ちだって聞いてたんですけど、
いつも時間に間に合わないんですよね(AM11:00~PM3:00)

今回初めて間に合いました。(かなり待ったけど)
まずはサラダ
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そしてパスタ ベーコンとほうれん草のパスタを選びました。
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本日のハーフサイズケーキ ティラミスを選びました
ドリンクはレモンティーを。
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ここのケーキ、ケーキ好きで大食いな私でも、
ハーフサイズで十分ですよね!

これで2,100円 満足ですー(^^)

ウインドウのディスプレイとガラスの映り込みが面白いなー
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もう桜が咲いてる!
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「オオカンザクラ」だそう
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ナディアパーク(国際デザインセンター)のアトリウムでは、
大同大学 情報デザイン学科 3Dデザイン分野の
卒業制作展が開催されていました。
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ミイと暮らして [猫]

去年の9月7日に猫のタビが19歳で死んで
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-09-15

11月22日に新しい猫「ミイ」をもらってきたんですが、
猫の日々が戻りました
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-12-10

まー、それからというもの、我が家は
ミイにひっかきまわされております(^^;

息子も、こいつはタビにそっくりだけど、
性格は全く違うなーと。

タビは老齢だったこともあり、近年は
ほとんど猫ベッドで寝てばかりだったのに、

ミイはとにかく動きまわる、遊ぶ、食べる、鳴く!

高い棚にも飛び上がるし、
じゃらして遊べ
キャットフード、特にちゅーるをくれ
と、鳴いて要求します。
とにかくよく食べるんですよね。

もらってきた時は、3kgくらいだったのに、
11月22日撮影
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12月25日、こんなに大きくなりましたと
報告するために撮った写真。この時4kgくらい
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12月26日撮影
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2024年1月1日撮影
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1月2日
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掃除機をかけると、逃げたタピと違い、
猫と掃除機
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2009-09-21

向かってきます。遊ばせてくれると思ってるのか?
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鉢植えに水をやると、こぼれた水にじゃれるし、
鉢の土で遊ぶ。
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その足のまま家の中を動き回るので、
あちこちに足跡がつく(怒)

それを雑巾で拭いて戻ったら、
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バケツがひっくり返されていましたww
mie-2.gif

1月12日、動物病院へ連れて行って、
ワクチン接種と、去勢手術の予約をしました。
この日、体重4.2kg

3階のベランダで遊ぶミイ 1月23日撮影
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去勢手術の前日、立派な(?)タマタマを記念撮影(^^)
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1月26日去勢手術
ついでに、マイクロチップを装着させました。
(なにしろ前科がありますからね!)
猫白血病ウイルス抗原/猫免疫不全ウイルス抗体検査、
心臓バイオマーカーNT-proBNP検査、
血液検査もしてもらい、
胆嚢、肝機能の数値が高めだけど、ほぼ問題なし
と、診断してもらいました。

翌日迎えに行くと、病院中に響き渡るような
大きな声で鳴いてました(^^;
この日、体重4.7kg。2週間で0.5kg太ってる!

去勢手術をすると太りやすいので注意とは言われたけど
相変わらずの食欲で‥‥またこっちもあげてしまうんだけど(^^;;

エアコンの上に乗ってヤシの葉っぱにじゃれるミイ
じゃれるだけでなく、葉を食べて毛を嘔吐しているみたい。
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2月4日撮影
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2月5日 プリンターから紙が出てくるのが面白いらしい。
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2月10日 3階のベランダの手すりに乗るのはやめてほしい
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2月14日 とにかくじゃれるのが大好き!
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2月17日
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ミイは水に濡れるのをそんなに嫌わないんですよね
風呂に浸かっていると、必ず入って来て
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お湯に手を突っ込んできます
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‥‥そのうち落ちるな、こいつは。


3階のベランダから、向かい(といってもかなり遠い)の屋根に
とまっている雀が気になるようで、尻尾をフリフリしています。
https://youtube.com/shorts/8SX2pbvXnOs?si=YsnB7-JN8TZkheZv

タグ: ミイ
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愛知県美術館「コレクションズ・ラリー」周辺 [美術]

1月21日(日)、愛知県美術館で
「コレクションズ・ラリー」展を見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-02-12

大嶽恵子《情報の石》1984年 が展示されている
ラウンジに戻って、
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コレクション展(2023年度第4期)へ。

前室1 木村定三コレクション 修復報告 環頭大刀柄頭
調査によって、6世紀前半の朝鮮の制作品であることが明らかになった《単龍環頭大刀柄頭》の保存処理後はじめての公開です。追加調査による新知見と共に展示します。

「コレクションズ・ラリー」第4章でも思ったけど、
木村定三コレクション、すごいの持ってますよね。

まー、レポートとか、私が見ても
難しくてよくわからなかったけど(^^;>


展示室4・5 女性のアーティストのコレクション
令和5年度新収蔵作品を含む、若手から中堅の女性アーティストのコレクションのみで構成します。

「コレクションズ・ラリー」第2章と通じるような展示

松川朋奈
左より、
《I remember only that you were wearing a blue shirt that day》2023年
《Time passes even if I'm not here》2023年
《I decide for myself 2》2023年
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油絵なんだ! 写実さにも驚くけど、
濃密でねっとりした描写に
なんかドラマのようなものを想像してしまう‥‥


あ、平面作品だけど、この赤い糸は!
塩田千春《Endless Line》2017年
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国際的に活躍する塩田千春
「あいち2020」で、尾西の旧織物工場に赤い糸を張り巡らした
壮大なインスタレーションは迫力でした!
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2022-10-11


左より
大和美緒《under my skin》2021年 (2点とも)
蜷川実花《花瞬く光》 (2点とも)
塩田千春《Endless Line》2017年
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展示室の一角に青いダンボール箱が積まれています。
ダンボールには世界地図が印刷されています。
林 玲翔さんのインスタレーション《world》2023年
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平面の世界地図はよく見るけど、
球体の地球を平面に変換させているわけで、
北極や南極に近づくほど面積が大きく表示されてしまいます。

そして、日本人は日本が真ん中にある
世界地図を見慣れているけど、
欧米では大西洋が真ん中にある地図が普通なので、
日本を「極東」って呼ぶのが理解できます。
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丸い地球が平面の地図になり、
ダンボール箱に印刷されて四角になり、
積み上げられたり、台車で運ばれたりしています。
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左 山崎雅未《Buildings》2023年
街の明かりがキラキラしているようで素敵。
右 田島美加《Art d'Ameublement (Asilo de la Paz)》2023年
アクリル板の内側に色が付けられているので
表面がツルツルした質感になっています。
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このコーナーの作品、ほとんどが
(13作家24作品のうち、9作家14作品)
令和5年度新収蔵作品 牧廣美氏寄贈!


奥のコーナーに行くと、おぉ! なんか面白い!!

天井から吊り下げられているのは、
西條茜《甘い共鳴》2021年
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人がぶら下がっているようにも見える
突起には穴が開いていて、
中の空洞はつながっているので、
(陶の作品は焼成のために空洞でなければならない)
それぞれの穴へ息を吹き込み、音を出す
パフォーマンスも行なわれたそう。
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布に刺繍の作品は
竹村京《The books in K.T.’s bookshelf and foreign book》2019年
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祖父の本棚とドイツで見た本棚を組み合わせたベースに、
薄い布を被せて、本の刺繍を施しています。


展示室5へ進むと、

エミコ・サワラギ゠ギルバート《ニア・ベイⅠ-Ⅳ》2003年
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2020年度第3期コレクション展 でも展示されていました
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-11-24

鉛筆の線で塗りつぶされたようになった画面には、
アメリカの地図――ネイティブアメリカンの部族名が書かれている
が書かれているのがわかります。
「ニア・ベイ」はアメリカ合衆国本土の最西北端にある場所で、
先住民の居住地であるそう。
そこのレストランのテーブルに置かれていたマットに、
闇と明かりをドローイングしているとのこと。
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三瓶玲奈
左《色をほどく》2022年 右《色を見る》2022年
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花や果物? の色や形が解体されて再構築されたような
型板ガラスを通して見たような、キラキラしたところが素敵。


天井からぶら下がったスクリーンのような作品
古川あいか
左《失った色-2》2021年 右《構成-30.8》2018年
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透過するキャンバスを用いているので、
壁に影が映るのも面白い。
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川内理香子
3点のドローイングと、油彩作品《Cook》2022年
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分厚く塗られた絵具はひっかかれたり、
「BREAKFAST」とか「DINNER}と書かれたりしています。
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「食」をテーマに制作しているそうだけど、
楽しい食ではなくて、動物などの外部のものを
人間の内部に取り込まないと生きていけないという
違和感や不快感を表現しているのだとか。


展示室5 の奥は、
前回の「安井仲治」展のコレクション展の時と同様に
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-11-18

愛知県美術館が誇る名品の来歴が紹介されていました。

ジョアン・ミロ《絵画》1925年
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制作から10年以上過ぎた1936年(あるいは1938年)に、
スウェーデンのヨースタ・オルソンに購入された。
彼は、1908年ロンドン・オリンピックの金メダリストで、
1909-18年のあいだ理学療法士としてパリに滞在した際に同地の美術に接し、1918年にフランス美術を扱う画廊をストックホルムに開設しました。その後、本作は1939年にスウェーデンの画家ラグナル・サンドベリによって購入され、1948年に同じくスウェーデンの建築家スヴェン・バックストロムに引き継がれました。(キャプションの解説より)


ポール・デルヴォー《こだま(あるいは「街路の神秘」)》1943年
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エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー《日の当たる庭》1935年
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 ドイツ表現主義を代表する画家として活躍したキルヒナーは、第一次大戦への従軍中に精神を病み、1917年にスイスに移住しました。以降、同時代の美術動向からは距離を取って、独特の色彩感覚でスイスの雄大な自然や身の回りの風景を描いていきました。本作に描かれたのは、1935年にバーゼルに滞在した際に、宿泊したホテルの窓から見た中庭の風景です。(後略 キャプションの解説より)

 本作は制作からまもなく、カルロ・ボスハルトという人物によって購入されています。彼はおそらく、キルヒナーの友人で文学者のヤコブ・ボスハルト(1862-1924)の息子であると考えられます。(後略 キャプションの解説より)
第一次大戦後の数少ない支援者だったと。


ニコラ・ド・スタール《コンポジション》1948年
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 ロシアに生まれ、フランスで活動したド・スタールは、第二次大戦後のアンフォルメルをはじめとするパリの抽象絵画の展開のなかに位置づけられる画家です。1950年代前半に制作された、パレットナイフを用いた色鮮やかで抽象的な風景画が良く知られますが、本作はそうした作品が制作され始める直前の作品です。(後略 キャプションの解説より)

 1946年にパリの画商ルイ・カレに見いだされたことによって、それまで不遇の時代にあったド・スタールは高い評価を得ました。またニューヨークの市場に通じていた画商テオドール・シェンプによって、彼の作品はアメリカへと渡っていきました。本作は、ピッツバーグの実業家で大コレクターだったジョージ・デイヴィッド・トンプソン(1899-1965)の旧蔵品です。1959年に彼は600点以上のモダンアートの収集品を、ピッツバーグのカーネギー美術館へ寄贈しようと計画しました。しかし同館はこれを拒否し、現在彼の収集品はアメリカ各地のほか、スイス、ドイツの美術館、そして当館に所蔵されています。(キャプションの説明)

‥‥うーん、せっかくのコレクションが散逸してしまった~~
まぁ、おかげでここで見られるんですけど。


今回の展示はここで終わり。入口に戻って出ました。


この日は「コレクションズ・ラリー」のトークを聞くために、
私にしては朝早く家を出たので、お腹が空いて
10階のウルフギャング・パックでパスタランチをいただきました。
サラダが付きます
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今週のパスタ
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セットのドリンク(コーヒーを選びました)はおかわりできるので、
スイーツのフランボワーズソルベを追加注文♡
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合計1,850円(税込)でした。


美術館のハシゴしようかなーとも思ったけど、
お腹いっぱいになったし、あまり動きたくなくて、
8階で、名古屋学芸大学の卒業制作展やってたので、
無料だし、ちょっと見て行こうかなって。

デザイン学科 と 映像メディア学科 がありましたが、
デザイン学科の卒展へ入場
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今はデジタル技術もあって完成度高いですね!!
面白かったです。
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石について研究してたり、
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家紋についての考察
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ぬいぐるみの形や素材を変えて試作
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八角形のタイポグラフィ
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レトロなもの(ルーズソックスとか、写るんですとか、
ラジカセとか‥‥)について
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白アリにとっては「ふつうの家」のご飯は、
「たてもの」が「たべもの」
いろんな生き物にとっての「ふつうの家」とは?
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‥‥他にも面白かったり感心したりする作品がたくさん
ありましたが、最終日で鑑賞者が多くいたりして
写真が撮れませんでした。


帰りは、地下鉄桜通線「久屋大通」駅へ。
セントラルギャラリーでは
(社)日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)愛知の
‘YELL’ポスターが展示されていました。
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愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/

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愛知県美術館「コレクションズ・ラリー」 [美術]

1月21日(日)、愛知県美術館へ行きました。
「コレクションズ・ラリー」展 が開催されています。
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愛知県陶磁美術館のコレクションと
愛知県美術館のコレクションの中から、
両館の学芸員4人が
それぞれ独自の視点でテーマを立てて紹介する展覧会

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愛知県陶磁美術館が休館中(2025年4月に再開予定)だからこそ実現したこの企画

両館の「コレクションを合わせると、その数は17,000件以上

同じ愛知県立の美術館同士ですが、意外にもこのように大きな規模での共同企画を行うのは初めてのこと
(チラシ裏面の文より)

なんだそう。でもまぁ、チラシも含めて、
(表面は今時珍しい2色刷り!)
なんかジミな展覧会だな‥‥って気も(^^;

1月16日(火)に始まった展覧会(~4月14日(日)まで)
わりと早いこの日に行ったのは、
この日の11:00-12:00 にトークラリー(学芸員による展示説明会)が
あったから。

11時に愛知県美術館へ行こうと、私にしては早い9時半頃に
家を出ました。愛知県美術館には11時10分前くらいに到着。

愛知県美術館と陶磁美術館の学芸員さんが1人ずついらして、
トークラリー参加者と共に展示会場へ。

私、最近かなり耳が遠くなってきたので、
学芸員さんのお名前とか聴き逃していることも多いし、
以下、聞き違いや記憶違いもあるかもしれません。
(それに半月以上前のことだしー)

会場の入口には一対の狛犬が置かれています。

瀬戸窯《御深井釉狛犬》江戸時代(18-19世紀)
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これ、向かって右の口を開けている方は獅子で、

左の口を閉じている方は角があって、こちらが狛犬
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なんですが、2つを合わせて狛犬と呼んでいるとのこと。

狛犬は、その背後にあるものを守るってことから、
今回の展覧会の入口や、各章の入口に置いたそう。
狛犬っていうと、神社の境内の石製のものを思い浮かべますが、
愛知県陶磁美術館にはたくさんの陶製狛犬が
コレクションされているんですね。

私が2020年11月に愛知県陶磁美術館に行った時には、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
西館に陶製の狛犬がたくさん展示されていました。
(今は移動したみたいですが)
陶製の狛犬は神社へ奉納するために作られた
小ぶりなものが多いとのこと。

トークラリー参加者の方からシーサーとの違いを質問されて、
沖縄のシーサーは獅子で中国から伝来したもの

狛犬は「こま=高麗」ということから、中国から朝鮮に伝わって
伝来したために「こまいぬ」と呼ばれるようになったのではないかと。
角があることから、一角獣も入っているかもしれないと。

展示室3は、イントロダクションとして、この狛犬の他、
展覧会の4章から各1点ずつが展示されていました。

縄文土器《深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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久野真《鋼鉄による作品 #272》1975年
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次の展示室2 へ、狛犬の間を通って入ると、
第1章 JOMON
日本のやきもの史上、最古にして最大の人気を誇る縄文土器。その造形のどんなところに人々は惹きつけられるのか、土、形、紋様などの視点からその魅力を探りつつ、共鳴する作品とともに楽しみます。

ってことで、愛知県陶磁美術館所蔵の縄文土器が展示されています

縄文土器《深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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縄文土器《双耳深鉢》縄文時代中期(紀元前3000~2000年頃)
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縄文土器《円筒深鉢》縄文時代前期~中期(紀元前3000年頃)
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岡本太郎が縄文土器の美しさを絶賛して、
それまで歴史的資料として見られていた縄文土器が、
美術的に見られるようになったわけですが、
これらの縄文土器、日常使いにもしていたようで、
なぜこんな魅力的な装飾がついているのか、
いまだによくわかっていないとか、

縄文土器にもこんな鮮やかな色がついたものもあります と
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左《注口土器》縄文時代晩期(紀元前1000年~紀元前500年)
右《朱彩浅鉢》縄文時代晩期(紀元前1000年~紀元前500年)


縄文土器とこんな絵が並んでいるのがいい!!
アメデオ・モディリアーニ《カリアティード》1911-13年
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《土偶》縄文時代晩期(紀元前1000~紀元前500年)
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土偶はあまり見つからないので、とても貴重だとか。

ほとんどがどこか壊れていたり、ばらばらに破壊されていたりで、
たとえば体の悪いところを撫でて穢れを移すような儀式に
使われたのかも と。
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撮影可・不可、SNS投稿可・不可がそれぞれの作品毎に表示してあり、
展示室の真ん中にあった巨大な作品
岩村遠《Neo Jomon:Haniwa -Majin-》2020年
すごく良かったけど、撮影不可で残念。

撮影可でもSNS不可の作品は、
間違ってアップしてしまうといけないので撮影しませんでした。

淺井裕介《その島にはまだ言葉がありませんでした》2019-2020年
土で描かれた巨大な絵。縄文土器と並んでいてとても良かった。
(チラシ裏面にも縄文土器と並んでいます)


振り返っているような姿がユニークな狛犬
瀬戸窯《御深井釉鉄釉狛⽝【愛知県指定⽂化財】》1749年
もしかしたら、左右逆かもしれない。かなり自由に作っている と。
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の間を通って、

第2章 うーまんめいど
映像作家・出光真子の著書『ホワット・ア・うーまんめいど』に着想を得たこの章では女性作家による作品を特集します。また、近年の両館の新収蔵作品も展示いたします。

この章を担当した愛知県美術館の学芸員さんが解説してくれました

2つのモニタに映し出されている映像は、
出光真子《アニムス Part1》と《アニムス Part2》どちらも1982年

出光真子さんは、出光興産の創業者の娘で、
サム・フランシスと結婚していたこともある映像作家
主婦の日常を写した映像に、彼女の内面を表す(?)男性人物が
重なります。

うーーん、チラッとしか見てない(音声も聞いてない)けど、
なんか古いバラエティ番組の映像みたいなカンジで‥‥

小形こず恵《染付鉢「酔芙蓉」》2021年
繊細な形とブルーとピンクの色づかいが素敵
キャプションに付けられたキャッチフレーズ(?)がいい
うつわにうつる花びらの色
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あっ、昨年秋に岐阜県現代陶芸美術館で大規模な個展を見た
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-10-25
三島喜美代《「Package」》1971/1973年
このピカピカ光る作品、陶でできているんですね。
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この作品面白いなぁ!
高橋皓子《地衣のシリーズ》1979年
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木綿と綿で作られた柔らかな形の中から、
内臓を思わせるような赤い布がはみ出しているのが
ちょっとドキッとします。

高橋皓子《行間》1981年
麻布で作られているんですね
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トークラリーを聞かなかったら、陶器の置物ね、くらいの印象で、
じっくり見ることはなかっただろう作品。
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月谷初子《置物・人形》1915-30年頃
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日本で最初期に洋風彫刻を学んだ月谷初子(1869-1945)
彼女は12歳の時に、工部美術学校でラグーサに学んだ彫刻家・小倉惣次郎に弟子入りしました。やがて初代宮川香山に師事して陶彫に技術を身に付けます。その技術を活かして全国の窯場を渡り歩いた後に、1929年から名古屋の御器所で窯を開きました。
(キャプションの説明より)
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宵越しの金は持たないみたいな奔放な性格で、
波乱万丈の人生を送ったみたい。

へー、こんな女性作家がいたのねと、興味深く聞いていたら、
ここで予定時間(11:00-12:00)となって、トークラリー終了。

トークラリーは、この日の他、2月10日(土)、4月6日(土)の11:00-12:00
3月8日(金)18:30-19:30にも行われます。


この幻想的で鮮やかな色使い、面白いなーってキャプション見たら、
作家名に「ノロ燐」と
左《胎芽その刻印》1964年 右《胎芽とその兇星の寓話》1966年
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ノロ燐《胎芽供養堂》1964年
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あー! これ、2016年の岐阜県美術館「第8回円空大賞展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2016-02-15
円空賞を受賞されていて、
60年代アングラっぽい雰囲気が強烈な印象だった方!! って。
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愛知県美術館に収蔵されたんですね!(令和4年新収蔵作品)


そしてこちらも強烈なインパクト!!
前本彰子《Silent Explosion──夜走る異国の径》1988年
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面白い形!!
横田典子《ツチ・ビト−輪−》2021年
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名和聡子《BOY》2009年
巨大な顔写真かと見たら、アクリル絵具で描かれた作品!
そして、この顔は作者自身の顔を男子に変えて描いたんだそう。
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第3章 ハードロック/ヘヴィメタル 
硬い岩と重金属をあえて直訳したこの章では、文字通りゴツゴツした物質感や、重さや硬さなどを想像させる作品が並びます。

狛犬の間を通って長く伸びる作品
(キャプションを確認してこなくて、出品リスト見てもどれだか??(^^;;
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杉浦康益《陶による岩の群》1991年
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これ、石ではなく陶でできているんです。
同じ形が並ぶ違和感
愛知県陶磁美術館や岐阜県美術館の庭にも、
杉浦康益の《陶による岩の群》がありますね。
(岐阜県美術館は《陶による石の群》って作品名でした)

久野真《鋼鉄による作品》1982年
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中村錦平《華麗ニシテ虚言》1991年
このゴテゴテ感、面白~い!
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第4章 祈り
展覧会を締めくくるこの章では、仏教美術や墓の副葬品などを通して、作品に込められた祈りや死後の世界に対する人々の想いについて考えてみます。

瀬戸・美濃窯《鉄釉狛犬【愛知県指定文化財】》江戸時代(18-19世紀)
の間を通って第4章へ
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中国《如来三尊仏龕》北魏時代(6世紀)
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これ、愛知県美術館木村定三コレクションなんですが、
知識がない私が見ても、なんかスゴイ‥‥って
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第4章で展示されているものの半分くらいが
愛知県美術館の木村定三コレクション!
あらためて、すごいの持ってたんだなって。

こちらも木村定三コレクション
朝鮮《童女立像》朝鮮時代(15-19世紀)
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死者を供養するために作られた、
ハスの花を持つ童女像
穏やかな表情に癒されます

《獅子・狛犬像》室町-桃山時代(16世紀)
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こちらも木村定三コレクション。木造
トークラリーを聞いたおかげで、
左が角がある狛犬で、右が獅子だとわかる!

《神将形立像》平安時代(12世紀) 木村定三コレクション
十二神将の中の一体。
十二神将は、古代インド神話に登場する神々を仏教に取り入れた仏「天」に属し、
薬師如来に仕えていて、甲冑を身にまとい、悪鬼を踏みつけています。
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《菩薩立像》飛鳥時代(7世紀) 木村定三コレクション
小さくてかわいらしい仏様、だけど
国内でも古い飛鳥時代の仏像」(キャプションより)
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左 《須恵器 双耳壺》奈良時代(8世紀)
右 猿投窯《灰釉短頸壺【愛知県指定文化財】》平安時代前期(9世紀)
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どちらも愛知県陶磁美術館所蔵の古い壺
骨壺に使われたのかもしれないと。

《須恵器 突帯刻文壺》平安時代後期(11世紀)
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《鬼瓦》統⼀新羅時代(7〜10世紀)
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猿投窯《灰釉多口瓶【重要文化財】》平安時代初期(8世紀末)
中心の口を囲むように、四つの口が肩につけられた奇妙な形の壺。
仏教に関連する祭祀道具だと考えられる。定かではないが、
五つの口に花を生けて供えたのかも と。
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SNS不可で残念だけど、
熊谷守一《観世音菩薩》1940年 木村定三コレクション
は、思わず笑っちゃう程いい!!(チラシ裏面右下)

珠洲窯《五輪塔》鎌倉時代(13世紀)
能登半島地震で大きな被害があった珠洲には、
12~15世紀に珠洲窯があったんですね。
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スマホでQRコードを読み取り、五輪塔の構造がわかるCGが見られました

湖西窯《五輪塔形経筒外容器【重要文化財】》平安時代末期(久安2年:1146)
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会場出口にも狛犬が置かれています。
瀬戸・美濃窯《御深井釉狛犬【愛知県指定文化財】》江戸時代(18-19世紀)
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あ、会場の入口前にあったこちらの作品
石ころが積み上げられている のではなくて、
チラシが固められてできているんです!
大嶽恵子《情報の石》1984年
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コレクションズ・ラリー展、4つの章それぞれ違う味わいで、
面白かったです。私は縄文土器の第1章も良かったけど、
第2章 うーまんめいど の作品が新鮮でインパクトあって
面白かったなぁ!!

この展覧会、観覧料がなんと一般500円という安さ!!
(高校・大学生300円 中学生以下無料)
これでコレクション展も見られるんですよ!
とてもお値打ちです。

コレクション展のことは次の記事で書きます。

愛知県美術館: https://www-art.aac.pref.aichi.jp/

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岐阜県現代陶芸美術館「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」 [美術]

1月14日(日)岐阜県現代陶芸美術館へ行き、
「フィンランド・グラスアート
 輝きと彩りのモダンデザイン」展を見たことは前記事
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-01-28

岐阜県現代陶芸美術館のギャラリーⅡでは
「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」が開催されています。
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チラシは「フィンランド・グラスアート」展と一緒で
作られていて、ピンクと

グリーンがあります(絵や文は同じ)
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裏(中面)も背景の色以外は同じ内容
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 ジャムやパンケーキ、りんごやコーヒー…ムーミンの物語には様々な食べものが登場します。そこには食を介して自然や仲間とつながる、ムーミンたちの姿が描かれています。
 本展では、ムーミンの物語に登場する食に焦点をあて、ことばや挿絵、その他の特別展示品を通じてコンヴィヴィアル(convivial)な感じのありかを探ります。コンヴィヴィアルとは、「共生」や「ごちそう」、「パーティーなどの楽しく心地よい雰囲気」を意味する語です。ムーミン谷の仲間たちが食を通して集い、くつろぐ姿は、コンヴィヴィアルな感覚にあふれています。
(チラシ裏(中面)の文より)
 
フィンランドと言えば、ムーミン!
愛知県美術館で見た「フィンランド・デザイン展」でも
ムーミンの原画や絵本はもちろん、モチーフにした
布やカップなども展示されていました。

岐阜県現代陶芸美術館のロビーにも、
ムーミンのキャラクターを使ったカップがズラリ!
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ムーミンの椅子たち、かわいい!! (座れません)
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会場内は撮影禁止でした

ムーミン美術館(フィンランドにあるんですね)所蔵の
原画や複製画、ムーミンの物語からの文が、
迷路のようになった壁に展示されていました。
ムーミンの絵本の中に迷い込んだみたいな感じ。


階段を上がった展示室B-D室は、
コレクション展「森と湖の国・フィンランドの陶芸」

B室はルート・ブリュックの作品が展示されていました。


最後のD室のみ撮影可

フィンランドデザインの代表ともいえるモダンでシンプルな器
カイ・フランク/アラビア《キルタ》1953-1975年
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ビルガー・カイビアイネン/アラビア《パラティッシ》1969-74年
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「バラティッシ」とは「楽園」の意味だそう。
自然をモチーフにした華やかな装飾、いいな!


ビルガー・カイビアイネン/アラビア
《フローレンス(脚付プレート)》1982-1995年
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カイピアイネンの制作をもとにアラビアで量産されたもの」(キャプションの説明より)
カイピアイネンは2018-19年にここで開催された
「フィンランド陶芸」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-01-24
時計のモチーフや、ビーズの装飾など、
とてもいいなって見た作家です


カリーナ・アホ/アラビア《パラペリ》1964-1974年
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ウラ・プロコペ/アラビア《ルスカ》1961-1999年
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《ルスカ》はおよそ40年間にわたり製造され、アラビアで最も成功したシリーズの一つとして名高い。日本の民芸に通じる色合いとフォルムによる、オーブン用のストーンウェアである。(キャプションの説明より)

階段を降りた休憩室(?)
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陶でできた‥‥私最初に見た時、陶のオブジェかと思ったんですが、
座ってもいい陶製ベンチなんです!
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国際陶磁器フェスティバル美濃の
第5回陶磁器デザイン部門 銅賞受賞作品
中島克子《陶製ベンチ》1998年

ショップで「フィンランド・グラスアート」展の図録と、
スナフキンのブックマーク買いました。
1,100円(税込)
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やっぱりムーミンの登場人物ではスナフキンが好きだなぁ!
ムーミンのマグカップにもかなり心惹かれたんですけどね。

岐阜県現代陶芸美術館は、セラミックパークMINOの中にあるんですが、
美術館を出たところにあるセラミックパークMINOのショップで、
開催されていた「冬のおくりもの五人展」
会期: 2023年12月8日(金)~2024年3月3日(日)
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間宮香織さんのガラスの天使がとても素敵で連れ帰りました。
6,050円(税込)
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建物を出ると、絵に描いたような夕焼けが
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岐阜県現代陶芸美術館: https://www.cpm-gifu.jp/museum/
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岐阜県現代陶芸美術館「フィンランド・グラスアート」展 [美術]

1月14日(日)岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「フィンランド・グラスアート
 輝きと彩りのモダンデザイン」展をやっています。
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「フィンランド・グラスアート」展のチラシは、同時開催の
「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」とで1枚になっており、
2種類作られています。
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透明なガラスを表面にしたものは「ムーミンの‥」がピンク

色のついたガラスをメインにしたものは「ムーミン‥」がグリーン
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裏(中面)は左側の作品がちょっと入れ替わっています
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 北欧フィンランドの家具やテーブルウェアは、洗練された美しさと考え抜かれた機能性によって国外でも広く愛され、日本でも近年人気が高まり続けています。フィンランド工芸の発展は、1917年にロシアから独立した後に始まり、現代的な優れたデザインが次々と生み出されてきました。(チラシ裏(中?)面の文)

フィンランドのデザインはとても洗練されてて素敵!
ブログに感想が書けてないですが、
2017年に愛知県美術館で開催された
「フィンランド・デザイン展」

ここ、岐阜県現代陶芸美術館でも
「フィンランド陶芸」展 や、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-01-24

同時に開催されていた「マリメッコ・スピリッツ」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2019-01-26

「ルート・ブリュック」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-06-15

など、フィンランドのデザインをとりあげた展覧会を
見に行っています。で、今回はグラスアート!

私はどちらかと言うと陶芸よりガラスが好きだし、
昨年7月9日に放送された日曜美術館アートシーンで、
東京都庭園美術館で開催されていたこの展覧会の紹介を見て、
岐阜県現代陶芸美術館に巡回してくる! って
楽しみにしていました。

受付に岐阜県美術館の後援会員証を提示して入場します。

岐阜県現代陶芸美術館は、岐阜県美術館の後援会会員証で
無料で観覧できるんです(展覧会毎1回)
年会費3,000円はなんておトクなんでしょう!!

岐阜県現代陶芸美術館友の会の会員証で岐阜県美術館の
展覧会を見ることもできます。

なんと、フィンランド・グラスアート展は撮影可!!
 以下《作品名》デザイン・制作年 と表記(出品リストより) 

第1章 フィンランド・グラスアートの台頭

まずは、フィンランド・デザインの巨匠
アルヴァ・アアルト(1898-1976)と、
アイノ・アアルト(1894-1949)

アルヴァとアイノ・アアルトは、フィンランド・デザイン界でモダニズムを推し進めた最も著名な建築家およびデザイナーである。(図録より)

建築から家具、日用品のデザインまで、
多岐にわたって活躍したアルヴァ・アアルトの
ガラス作品のアイコンとも言うべき花器
《サヴォイ》1937年
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1936年のカルフラ=イッタラ・ガラス製作所のコンペで大賞を受賞し、翌年のパリ万国博覧会に出品された。同年ヘルシンキの中心街にオープンした高級レストラン「サヴォイ」に飾られたため、この名が付いた。(キャプションの説明より)
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背の高い《フィンランディア》1937年
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1937年にデザインされた作品なのに、今なおモダン!

木の吹き型が展示されていました
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経済的考慮から使われた木の吹き型
《アアルト・ヴェース》シリーズに金属型が使用され始めたのは1980年代に入ってからである。ただし木型で吹かれたガラスは、表面に木ならではの風合いが生じるため、味わい深い表情が得られる。(図録より)

チラシ表面にも使われていた
アルヴァ&アイノ・アアルト《アアルト・フラワー》1939年
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ガラスの重なりとグラデーションがきれい!


グンネル・ニューマン(1909-1948)

《魚》1937年
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ミニマルなガラス器の底に魚が描かれ(カットされ)ています。

《カラー》1946年
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植物・カラーの優美な姿が、ミニマムなラインで端正に表現されている。

ガラスの透明性・透過性を生かしたミニマムな形が素敵!!
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《ストリーマー》1947年
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静謐な雰囲気のなかに詩情が感じられます


第2章 黄金期の巨匠たち

カイ・フランク(1911-1989)

シンプルで機能的、実用的なイッタラのテーブルウェアの
デザインで有名なカイ・フランク
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《プリズム》1953-56年
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複雑な色合いは「ガラスの表面に別の色ガラスの層を薄く重ねたり、コーティングさせるフラッシュ技法と、別の色ガラスの層を厚く被せる被せガラスとの双方の手法を駆使して制作された

《ヤマシギ》1953年
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《アートグラス、ユニークピース》
左2つが1972年 中1972年 右1970年代前半
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ヴェネチアの伝統技法・レースグラス「1950年代からこの希望に興味を持ったフランクは、イタリア人職人の手も借りて、1960年代初頭にこれを再興した。

「アートグラス」とは、芸術的志向が高い作品で、
カイ・フランクはデザイナーのサインを刻むことを主張した。
「ユニークピース」とは、デザイナーが制作現場に立ち会って作られた
独自性の高いアートグラスのことだそう。

《アートグラス、ユニークピース》1968年
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《アートグラス、ユニークピース》1970年代前半
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チラシにも使われていますが、透明なガラス作品が多い中、
このカラフルさ、目立ちます。なんか楽しい!

《アートグラス、ユニークピース》1970年代
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色ガラスならではのとろっとした質感がいいな。

左《サルガッソ海》1970年代
右《アートグラス、ユニークピース》1975年頃
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こんなガラスの「遥か遠い海域の光の移ろいを想起させる
素材感も素敵だなぁ!


タビオ・ヴィルッカラ(1915-1985)

フィンランド・デザインは自然との結びつきが強いが、ヴィルッカラほどその幸せなハーモニーが顕著にみられるデザイナーはいないだろう

《杏茸》1946年
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《バーダルの氷》1960年
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《氷上の釣り穴 1970/1975》1975年バージョン
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1970年に70歳を迎えるウルホ・ケッコネン大統領への
誕生日プレゼントに、釣りをたしなむ大統領へ
氷上の釣り穴を模したデザイン。


ガラス作品は映り込みで美しく撮るのは難しいけど、
見る角度で印象が違うのも魅力!
《氷山》1950年
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《スパイラル》1948年
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《東京》1954年
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《東京》というタイトルから、日本と何らかの繋がりを暗示させるが、今のところ関係性が判明していない。中央に内包した気泡は、ガラスが熱いうちに、濡れた木の棒を差した際に水蒸気が吹いた自然の形である。
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左《アートグラス》1968年
中《ユリアナ》1972年
右《アメリカン・ヴァーズ/ブレジネフ・カップ(1972年バージョン)》1972年
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ティモ・サルパネヴァ(1926-2006)
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《蘭》1953年
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ガラスなのに、とろんと柔らかなフォルムが素敵。

《アートグラス》1954年
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左《夢へのゲートウェイ》1981年
中《アーキペラゴ》1979年
右《アーキペラゴ》1978年(ガラスの映り込みで形がわかりにくいですが)
とても透明性の高いガラスを使用しているんだなって。
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左の《夢へのゲートウェイ》1981年 なんて、
透明すぎて中の気泡が空中に浮いているようにも見える
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オイヴァ・トイッカ(1931-2019)
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これまでシャープな美しさのガラス作品が多かったので、
トイッカのユニークな色と形のガラス作品、
見てて楽しい!
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《シエッポ》1971年
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シエッポとはヒタキのことだそう。
現在に至るまでに1000種類を超えて続く〈バード・パイ・トイッカ〉シリーズの始まり」 「《シエッポ》は1971年から78年まで連続生産され、1995年から96年にかけて色違いが再生産された

キューブ形のユニークな作品も!
左《8人の花嫁、ユニークピース》1986年
右《湖の宮殿、ユニークピース》1969年
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左の《8人の花嫁、ユニークピース》
なんか物語が出来そう。見てて面白い!
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左《問題の森》1990年
右《錆の時、ユニークピース》1980年代末-90年代初頭
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ゴシックロマン(?)みたいな(スミマセン意味よくわかってないけど)
重厚でなんか物語を感じさせるような作品で迫力。

《知恵の樹、ユニークピース》2008年
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うわぁーーー。なんかすごく自由で迫力だー!!!


第3章 フィンランド・グラスアートの今

マルック・サロ(1954- )

ガラス作品というより、ガラスも用いた
アート作品ってカンジ
ユーモラスで楽しい!

左《アイスタワー、ユニークピース》1988年
中《サンバ、ユニークピース》1987年
右《水門》1989年
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左《アンフォラ、ユニークピース》1989年
右《アンフォラ、ユニークピース》1990年
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《缶詰のフラワーパワー》2009年
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左《アートグラス、ユニークピース》2017年
中《アートグラス、ユニークピース》2014年
右《歓声と囁き、ユニークピース》1998年
皿のざらざらした質感と滑らかな脚部との対比が面白い
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様々な色や質感のガラスで制作されたマルック・サロの作品
でも皆どことなくユーモラスな雰囲気。
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最後の部屋の前のコーナーに「フィンランドのピクニック」
として、ディスプレイされていました。
オイヴァ・トイッカのバードたちも置かれています。
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ヨーナス・ラークソ(1980- )

《リコリスみたい》2012年、2013年
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展覧会で発表された時、8歳だったラークソの息子が
「リコリスみたい」って言ったそう(^▽^)
リコリスは、北欧の暮らしになじみ深い、ハーブ系の黒いチューイング菓子

左《はちみつ》2014年
右《ココナッツ》2016年
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ラークソの作品はタイトルも面白いですね。
《はちみつ》は黒いボディにバットゥート技法(同一方向に無数の彫りを刻む手法)に
インスピレーションを得て作られた、はちみつのような色合いのガラスが魅力。
《ココナッツ》のタイトルは今や本人すら思い出せないそう(^▽^)

左《傷痕》2015年
右《ココナッツ》2014年
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《寿司》2015年
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ヨーナス・ラークソの作品は、フィリグリー(レースグラス)や、
バットゥート技法など、ヴェネチアン・テクニックを独自に組み合わせる
などして作られているのがわかります。
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展示室を出たところで、吹きガラスの制作の様子を写した映像が
展示されていました。

長くなってしまったので、
「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」については次の記事で

写真たくさん撮らせてもらったけど、やっぱりプロの撮った写真は違う!
図録購入しました。2,700円
表紙(帯)はティモ・サルパネヴァ《カヤック》1954年
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帯をめくると、
オイヴァ・トイッカ《松の樹、ユニークピース》1970年代中頃と
《シエッポ》
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さらにカバーをめくると、
タビオ・ヴィルッカラ《杏茸》が使われています。
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「フィンランド・グラスアート」展は、

富山市ガラス美術館で、2022年11月3日(木・祝)~2023年1月29日(日)
茨城県陶芸美術館で、2023年3月18日(土)~6月11日(日)
東京都庭園美術館で、2023年6月24日(土)~9月3日(日)
山口県立萩美術館・浦上記念館で、2023年9月16日(土)~12月3日(日)
と開催されて、ここ 
岐阜県現代陶芸美術館で、2023年12月16日(土)~2024年3月3日(日)
の後、
兵庫陶芸美術館で、2024年3月16日(土)~5月26日(日)
と巡回します。


岐阜県現代陶芸美術館: https://www.cpm-gifu.jp/museum/
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ヤマザキマザック美術館「杉浦非水の世界」 [美術]

1月7日(日)、ジェイアール名古屋タカシマヤで
「京都 細見美術館の名品」展を見た後、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2024-01-15

ヤマザキマザック美術館へ行きました。
「レトロ・モダン・おしゃれ
 杉浦非水の世界」という展覧会をやっています。
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杉浦非水のデザインは大好きだし、
ヤマザキマザック美術館も私の好きな美術館で
ここの企画展は全て見に行っているんですが、
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杉浦非水の展覧会は2022年1月4日(火)に
三重県立美術館へ見に行ったなーってことと、
会期がわりと長いので、
2023年10月27日(金)~2024年2月25日(日)
のんびりしていたんですね。さすがにもう行かなくては、と。


入館料一般1,300円が、大垣共立銀行の年金サークル
「スマイル倶楽部」の会員証で100円引きの1,200円になりました。
市バス・地下鉄のドニチエコきっぷや一日乗車券や、
名古屋市美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」のチケットでも
100円引きになります。(併用不可)


4階から見て行きます。無料の音声ガイド借りました。
今回の企画展は撮影不可でした。


最初に展示されていたのはポスター

《貯蓄は根の如く 平和は花の如し》1917年頃
この展覧会、前期2023年10月27日(金)~2024年1月8日(月・祝)と
後期1月10日(水)~2月25日(日)で、展示替えがあり、
見に行ったのは前期だったので、原画の展示でした。
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三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より

原画の「平和条約成立記念」という文字が線で消してあり、
出来上がったポスターにはありません。

1917年というと、大正6年 第一次世界大戦のさなか。
ロシア革命がおこった年。平和条約とは、
アメリカ合衆国ウィルソン大統領の十四か条の平和原則のこと?
(スミマセン、このあたり全く無知でネットで調べた知識です)

「平和は花の如し」この時代に平和が美しくいいものだって
認識されていたんだなぁって(これから第二次世界大戦もあるのに)
でも花のように儚いものだともとれる。
だから貯蓄をしましょうってメッセージなんだろうけど。

それから有名な三越のポスター(チラシ中面左上)

あれ?展示されていたポスターの女性が手にしているのは
「みつこしタイムス」だけど、三重県立美術館で見たのは
「三越」を持っている!?
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三重県立美術館で見た「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展の図録より
《三越呉服店 春の新柄陳列会》1914年

岐阜長良川鵜飼のポスターもあったのは興味深い
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ヤマザキマザック美術館の図録より
(私が見た前期に展示されていたのは上左側)


三越の広報誌「みつこしタイムス」や「三越」がズラリと並びます。
アール・ヌーヴォー風、アール・デコ風、人物から動物、植物、
西洋風から日本風、表表紙と裏表紙がつながったデザインなど様々。
「三越の非水か、非水の三越か」と言われたとか。

興味深かったのが、杉浦非水の作品は故郷にある愛媛県美術館に
充実したコレクションがあって、三重県立美術館で見た展覧会でも
かなりの作品が愛媛県美術館の所蔵作品でした。
今回も愛媛県美術館の所蔵作品が多く出品されていますが、
この三越広報誌、ヤマザキマザック美術館所蔵のものも
多くあったこと。

『子宝』という、三越顧問であった児童文学者、巌谷小波(いわや さざなみ)の
監修のもとに、非水が挿絵と装丁を担当した育児記録書が展示されていましたが、

非水が「此当時としては寝食を忘れるほど没頭して数ヵ月を費やして完成した
出来上がってみると予告定価一冊金五円也は遂に原価に到達してしまった
という育児記録書というよりも贅沢な石版画(リトグラフ)の作品集でした。


そして、島根県出雲市の造り酒屋のお嬢さんが
嫁入りの時に仕立ててもらったという
《白地鈴蘭に鳥模様長襦袢》1913-16年頃(チラシ中面右中段)

非水の『三越』第3巻第8号(1913年8月刊行)の表紙デザインが
使われているとのことだけど、とてもカワイイ!!

ヤマザキマザック美術館のショップで買った
「杉浦非水のデザイン」の表紙にもこの柄が使われています。
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『非水百花譜』が展示されていました。
去年3月、東京国立近代美術館のコレクション展で見て、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-04-24
これ木版画なの?! って驚いたんですけど、
三重県立美術館でも見てるはずなんですよね。

今回の展覧会見てきて、三重県立美術館で買った図録あらためて見たら、
ちゃんと載ってるじゃないですか! それも大正版も昭和版も!
大正版は島根県立石見美術館のものが、
昭和版は愛媛県美術館のものが出品されていました。

1920-22(大正9-11)年に1輯5点の花弁図を20輯、計100点を刊行した
『非水百花譜』
非水が原画を描き、当代一流の彫り師と刷り師が木版画にした花の図譜だが、ただの木版画集ではなく、グレー一色で刷った花のシルエット図「投影写生図」と、写真図版(その多くは非水自身が撮影)・部分図等が掲載された植物解説が3枚セットになっており、豪華な植物図鑑にもなっている。
 1923(大正12)年の関東大震災の折に版木が焼失したため、非水の手元にあった原画から再び版木を作り、1929-34(昭和4-9)年に再販した。
(ヤマザキマザック美術館の図録より)
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今回展示されていたのは昭和版(愛媛県美術館所蔵)
これが木版画?! って驚くほど繊細で美しい!
とてもリアルなのに構図とか、デザイン的にもきれい!!

ヤマザキマザック美術館が所蔵する植物文様が施された
ガレなどのガラス器も隣に展示されていて素敵でした。

非水のデザインしたタバコのパッケージや、
図案集、雑誌表紙、書籍装丁、広告等もいろいろ展示されていました。

非水の妻・翠子(すいこ)の歌集の装丁はもちろん、

翠子の実兄で福澤諭吉の娘婿となった実業家・福澤桃介の伝記の装丁や、
福澤が女優川上貞奴と暮らした名古屋の邸宅
「二葉御殿」(現・文化のみち二葉館)の
ステンドグラスの一部は非水のデザインとのこと。

非水は1922-24(大正11-13)年、46歳の時
念願だったヨーロッパ留学を果たします。
(関東大震災のため予定を短縮して帰国)
この間に描かれた《滞欧期スケッチ》や《ヨーロッパ日記》
非水の旅行鞄(鞄というよりもはや家具では?)も展示されていました。
非水は滞欧中に300点ものポスターを収集しているそう。


非水のポスター《三越呉服店新館落成》1914年 に描かれたような
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ジョルジュ・ドゥイエ《レセプション・ドレス》1903年頃 や、


《銀座三越 四月十日開店》1930年 に描かれたような
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ガブリエル・シャネル《ディ・スーツ》1927年頃 も
展示されていて興味深かった。
(どちらも神戸ファッション美術館所蔵)

5階の常設展を見た後(去年7月9日に見た時の記事)
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2023-08-10

ショップで、
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図録500円(ここの図録はリーズナブルで嬉しい)と、
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「杉浦非水のデザイン」3,080円を買いました。
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裏表紙
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非水のこんな図案、とても素敵!
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年賀状のデザインいいな、真似したい!
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三重県立美術館「杉浦非水 時代をひらくデザイン」
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あらためて図録見たら、すごい出品数と充実ぶりに驚いた。
やっぱり、ブログに感想書いておかないと忘れちゃうんだなと反省。
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ブログに感想を書こうとすると、少なくとも図録は
もっと丁寧に読んだはず(^^;
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三重県立美術館の記念撮影スポット
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《東洋随一の地下鉄道 上野浅草間開通》1927年 の
ホームの乗客の中に紛れ込むことができます。
欧州留学中に目にしたアール・デコの幾何学的デザインの
影響がわかります。手前の女性の洋装もモダン。

三重県立美術館、こんなディスプレイもありました。
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ショップで図録と、非水デザインのスカーフエコバッグを購入。
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これ、今でも私のバッグの持ち手につけて使ってます。
外すとエコバッグになるんですよ! オシャレで便利です!!
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「杉浦非水 時代をひらくデザイン」展は、
島根県立石見美術館で2021年7月3日(土)~8月30日(月)
たばこと塩の博物館で2021年9月11日(土)~11月14日(日)
三重県立美術館で2021年11月23日(火・祝)~2022年1月30日(日)
福岡県立美術館で2022年4月15日(金)~6月12日(日)
と、巡回しました。

ヤマザキマザック美術館の展示は巡回ありません。
ヤマザキマザック美術館: https://www.mazak-art.com/
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ジェイアール名古屋タカシマヤ「京都 細見美術館の名品」展 [美術]

なかなかブログが書けません。
2024年初展覧会のことを簡単に書いておこうと思います。

1月7日(日)に、
ジェイアール名古屋タカシマヤ10階特設会場でやっていた
「京都 細見美術館の名品
 琳派、若冲、ときめきの日本美術」展へ行きました。
JRtakashimaya-hosomi.jpg
(チラシは手に入れられなかったので、ネットから
画像をダウンロードしました)

2023年12月23日(土)から始まったこの展覧会
旧ツイッターXで、混雑してるって流れてきて、
うーん、琳派も若冲も好きで見たいけど、混雑してるのはなー
お正月もやってる(1月1日だけ休み)から
パートの休みのうちに行くといいかな‥‥と思いつつ
あっという間に最終日になってしまいました。

細見美術館には1回だけ行ったことがあります。
細見美術館「中村芳中」展
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2014-07-02

わりとこじんまりしたカンジの、でも建物がユニークで、
吹き抜けになったカフェや、開放的なお茶室がありました。

あまり混んでいるようなら諦めようと思いつつ行くと、
チケットもすぐ買えるようだったので、窓口で
一般入場料の1,200円を出すと、
タカシマヤのポイントカードを申し込めば半額の600円になります
と言われ、タカシマヤで買い物をするようなことはあまりないと
思うけど(なにしろ高いし)、会費もいらないってことだったので、
その場でカードもらって、600円でチケットが買えました。ラッキー!

多彩な日本の美を国内外へ発信し続ける京都・細見美術館。その開館25周年を記念して、コレクションを象徴する珠玉の優品を集めた展覧会を開催いたします。
昭和の実業家 細見良(初代古香庵、1901~79)に始まる細見家三代が80年近くを費やして蒐集した名品の数々は、日本美術史を総覧する幅広い時代とジャンルにわたります。仏画や荘厳具にみる祈りの美、細見家好みの茶の湯の美術、華麗な蒔絵や七宝と風俗画、日本美の象徴・琳派、そして奇想の画家・伊藤若冲、の5章で、細見美術館ならではの美の世界をお愉しみください。

(チケットの裏の文)

展示会場はさすがに混んでいて、
(でも、私が会場を出た2時前頃には、入場の列ができていたので、
それ見たら私入ってなかったなー。私にしては早い時間
―チケットのレシートには12:46とあった―に来てよかった)

最初の「祈りのかたち」「数寄の心」あたりの渋い(私にとって)展示は、
すっ飛ばしまして(^^;>

華やぎのとき」桃山時代の釘隠が素敵だった!
北斎の肉筆浮世絵も近くで見られて良かった。

琳派への憧れ
尾形光琳《柳図香包》柳の絵に折り目がついているのは、
お香の包み紙だったため。なんて贅沢なんでしょう!

酒井抱一《桜に小禽図》の優美なこと!

鈴木其一《水辺家鴨図屏風》家鴨がなんかカワイイ。
特に後ろ向きの家鴨のぽてっとした形がいい!

中村芳中のゆるさ、いいなぁ。

そして「若冲のちから
さすが人気の若冲、著色画の《雪中雄鶏図》《糸瓜群虫図》は、
人がいっぱいで近くで見られなかったけど、すごさは伝わってきた。

若冲得意の鶏を描いた絵が貼りつけられた屏風も、さすが迫力だとは
思ったけど、やっぱり人の多さにちょっと疲れてしまい、
まあいいか、って出ようとした会場の最後のところに展示してあった
鶏の屏風、なんかゆるいカンジでいいなってキャプション見たら、
若冲の弟子だという若演の絵だとのこと。

へー、ちょっと単純化されたような鶏が
ほんわかするような雰囲気で、私とても気に入りました!


私の好きそうな絵が並んではいたんだけど、やっぱり
この人の多さは‥‥絵に集中できなかったというか。
なので、ブログに書くか迷ったんだけど。

展覧会のウェブサイト: https://www.mbs.jp/hosomi25-tokimeki/

大阪高島屋で2023年3月22日(水)~4月10日(月)
東京・日本橋高島屋で2023年4月26日(水)~5月15日(月)
と開催され、
ジェイアール名古屋タカシマヤで2023年12月23日(土)~2024年1月7日(日)
の後は、
静岡市美術館で2024年4月13日(土)~5月26日(日)
長野県立美術館で2024年10月5日(土)~11月17日(日)
と巡回するそうです。


細見美術館のチラシが置いてありました。
京都行ったらまた行きたいな。
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細見美術館のウェブサイト: https://www.emuseum.or.jp/

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