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豊田市美術館「反重力」展 [美術]

12月1日(日)、豊田市美術館の「反重力」展に行ってきました。
「反重力」に加えて「浮遊、時空旅行、パラレル・ワールド」と、
なんかSFっぽい魅力的な言葉が並んでいて、わーなんか面白そう!って。
あいちトリエンナーレ2013の特別連携事業でもあるそうですし。
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なので、金券ショップで一般1,000円のチケットが600円で出てたので、
つい買っちゃってたんですね。でもなかなか行けなくて‥‥
会期がわりと長いのでのんびりしていたんですが、さすがにもう行かなくてはと。
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(チラシ裏面 クリックで拡大します)

今回初めて車で行ってみました。車で行くと、七州城の隅櫓がある正面入口から
美術館までのアプローチがいいですね。(電車で行くと、裏口から入ることになる)
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企画展入口でもらった作品の解説ガイドがよかった。

入口正面には、ジルヴィナス・ケンピナス《ビヨンド・ザ・ファンズ》
ビデオテープなどに使用される磁気テープが、扇風機の風力で宙に浮いたまま回転しています。
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へー、これ扇風機の風だけで回ってるの? 扇風機が2台あるところがミソかな?
でもとにかく面白ーい!!

そして次の部屋は、中原浩大+井上明彦《地上環境におけるライナスの毛布のための試作》
微小重力体験における実験を通して試作されたクッションだとか、
なんか難しい説明もありましたが、
このクッション、ふわふわで、なんか触り心地いいー。
ライナスのように、ずっと持っていたくなる‥‥。
人型のは、さすがに人目があると抱きつく勇気はなかったけど。
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次の部屋は、カーステン・ヘラー《ネオン・エレベーター》
ネオンライトが上から下に点滅しています。
「光の残像が与える錯覚によって、身体が光の中を上昇していくように感じられます。」だそう。


次が、やくしまるえつこ《Λ Girl(ラムダ・ガール)》
スピーカーがたくさん吊り下がった中に、モニターがあって、図式化された
女の子が動いています。時々スピーカーから不思議な声も聞こえ、電球も点滅します。
鑑賞者の位置とかも関係あるのかな? なんか不思議な空間でした。

そして、レアンドロ・エルリッヒ《豊田の家》
巨大な鏡に映った羊羹屋さん。
ははは!! なんか文句なしに面白い!!遊べるーー。
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レアンドロ・エルリッヒって、金沢21世紀美術館の《スイミング・プール》の人ね!
あの作品も文句なしに楽しい!
《スイミング・プール》を体験してきたことはこちらの記事に:
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-08-22

次の部屋は、中村竜治《ダンス》
細いピアノ線でできた構築物。上にいくほど細い線が使われていて、
まるで空間に溶け込んでいきそうな繊細ではかなげな風情が素敵。
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次は、奥村雄樹《多元宇宙の缶詰》
赤瀬川原平の《宇宙の缶詰》を作るワークショップを行った様子が映像になってます。
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奥村雄樹って、愛知県美術館のプロジェクト・アーチで
「善兵衛の目玉(宇宙編)」をやった人ね。あの時も、奥村さんは何をしたの?って
思ったけど、今回も、うーんこれって、赤瀬川さんの作品の再制作をしただけじゃない?
って気もするんだけど。
「善兵衛の目玉(宇宙編)」についての感想はこちらに:
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

佐藤克彦《いろいろな世界》
ちょっと子供の遊びみたいな造形って印象もあったけど、この作品なんか、
上昇していくような詩的な感覚も感じられて、カラフルで楽しい。
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1階の企画展会場を出て、2階に上がり、次が
内藤礼《母形》
「靴を脱いで、空間に張られたビーズに気をつけて」と注意されて入った部屋では、
(この作品は撮影禁止でした)
注意して見ないと見落としてしまうようなごく繊細なビーズの紐が垂れ下がっていて、
中央には小さい小さい木彫りの人型。そして「丸い紙は持ち帰りできます」って言われて
手に取った薄い和紙。真ん中にかすかに赤いシミのようなものがついている?
帰って虫眼鏡で見たら「おいで」って文字が反転されて印刷されてました。

内藤礼って、豊島美術館のアーティストですね。
テレビで、かすかに水滴が流れるだけの、何もない白い空間の映像を見て、
なんて素敵な作品なんだ!!!ってビックリしたんですよね。
今回も、かすかなビーズの紐がなんか結界のようでいい感じ。

階段を上がって、3階の小部屋の壁には、実験映像のような幾何学模様が映し出されていますが、
それらは、真ん中の台におかれたザルやスポンジ、マチバリなどの日用品が光を当てられた影で、
見慣れた日用品がゆっくり回っているアナログっぽい?動きと、
斬新とも抽象的とも思える影のギャップが楽しい。
クワクボリョウタ《ロスト・グラヴィティ》という作品

白いカーテンで区切られた空間の中へ、靴を脱いで入ると、柔らかいクッションが
敷き詰められて、カラフルでいろんな形をしたクッションが散らばっています。
「生命の誕生する体内空間」って説明があったけど、幼児が喜んで遊びそうな‥‥
エルネスト・ネト《わたしたちのいる神殿のはじめの場所、小さな女神から、世界そして生命が芽吹く》

次の部屋では、粒子が飛び散る様子を写した映像が写されています。
宇宙の創生を見ているような感覚になります。
反対側の壁には、16人の女性の顔が移り変わっていく映像が。
平川紀道《16 unknowns and the irreversible》


次の部屋には、制作当日の日付「May 7,1971」だけが描かれたパネルの
河原温《May 7,1971》っていう作品と、(同じ作品が両側の壁にあるけど‥‥?)
100万年分の年号が各ページに500年ずつタイプされた未来と、過去のバインダー
《100万年 未来》と《100万年 過去》がそれぞれ両側に展示してありました。
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分厚いバインダー1冊が10万年で、10冊で100万年。
100万年かー。1ページの500年でさえ気が遠くなるような時間なのに‥‥

最後の部屋には何か重そうなステンレスの直方体が。
ところどころに細いスリットのような穴があいていて、かすかな円が確認できます。
ガイドによると、「ミクロン単位でステンレスの角柱を円筒形に削った後に、
別に刳り出した同形のものをはめ込んだ後には、わずかな円が残ります。‥‥」とか
説明がされていて、へーなんかすごくメンドクサイことをして出来上がっている形なんだなと。
なんかよくわからないけど、いわくありげな存在感がすごい。
毛利武士郎《Mr.阿からのメッセージ 第3信》

そういや、ロビーにおいてあった所蔵作品
ウルリッヒ・リュックリーム《無題(石柱)》
大きな直方体の石に亀裂とドリルの穴があいていて、
その存在感が、上記の作品に通じるものがあるなって感じました。

豊田市美術館の館内。乳白色の窓から入る光が素敵。
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この後、所蔵作品の展示室で、クリムトやエゴン・シーレ、
竹内栖鳳や速水御舟と、豪華な絵を堪能したんだけど、そのことは次の記事で。

「反重力」展の作品はもうひとつ、美術館の庭の大池周辺での「霧の彫刻」があります。
中谷芙二子《Fog Sculpture #47636 “風の記憶”》
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30分毎に現れる霧が、それでなくても素敵な美術館の建物と風景を、
たちまち異世界に変えてしまいます!
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さすが豊田市美術館の現代美術の展覧会です。
あいちトリエンナーレは現代美術の雑多なパワーを感じて面白かったけど、
この企画展はさらに洗練された作品が並んでいてすごく良かったです。

豊田市美術館のウェブサイト: http://www.museum.toyota.aichi.jp/
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