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岐阜県美術館「小さな藤田嗣治展」 [美術]

9月27日(日)、岐阜県美術館へ行ってきました。
「レオナール・フジタからの贈り物
 小さな藤田嗣治展」をやっています。
LeonardFoujita1.jpg

A4サイズのチラシの黒いバックの中にポツンと置かれた小さな絵は、
原寸大に印刷されているんですね。
《二匹の猫を抱く少女》1955年
額縁も藤田のお手製で、
裏には「Pour Kimiyo」(君代のために)と記されているそう。

名古屋市美術館「画家たちと戦争」展で、
藤田嗣治の戦争記録画が展示されていましたが、
戦後、藤田は「画壇の戦争責任問題を一人背負うかのように国外に去ることとなります。 1949年にアメリカ経由でフランスへ渡り、やがて帰化した後は、 再び日本に戻ることはありませんでした。」(チラシ裏面より)

この展覧会、良かったー!!
実は私はそれほど藤田嗣治好きじゃなかったんです。
‥‥なんか軽薄なカンジがして‥‥
岐阜県美術館の後援会員なので、全ての企画展が一度ずつ
見られるので行ったんですが、見ていてとても幸せな気持ちになりました。
LeonardFoujita2.jpg

日本の美術館として初公開となる小さな作品の多くは、妻 君代に贈られた、 二人にとって特別な存在でした。 手のひらに収まるほどの小さな作品は、藤田お手製の額縁に入れられて、 まるで宝石箱を開けて眺めているかのような至福感に満たされます。
(チラシ裏面より)

追われるように日本を離れ、フランスのパリ郊外のアトリエ兼住居で、
一緒に暮らす妻 君代のために描いて贈った作品なのだからですね。

今回の企画展、いつもは所蔵品展の入口になっているところから入ります。

挨拶のパネルが載せられているのは、藤田が1949年に日本を離れる時に
アトリエに残されていたイーゼルだそう。そして藤田の小さな自刻像石膏が
小さなガラスケースに入れられています。

展示室に入ると、絵本の一場面のような、子供たちを描いた小品が並んでいます。
今回の作品は個人蔵のものがほとんどですが、このあたり岐阜県美術館蔵の
ものも結構あって、へー、岐阜県美術館こんなものも所蔵していたのねと。

《校庭》って絵と《子供たち》って絵(どちらもフランス語では《L'Ecole》
体操をしている子供たち9人はほとんど同じなのに来ている服が違ったり、
見ている女性が片方は尼僧だったりと、間違い探しのようで面白かった。
LeonardFoujita5.jpg

《二人の思い出》1952年 ガラス絵に描かれた、
藤田にしては素朴な絵に
「1935年3月14日 君代ト知ル 4月14日 愛」から、
1949年3月10日に嗣治が日本羽田発、5月21日に君代発
1950年1月27日に紐育出帆、2月4日巴里着したことなどが
描き込んでありました。

ガラス瓶に描かれた絵もあって、これって油絵具?
ちょっと透けるカンジも可愛くて素敵!!

猫の絵を並べたコーナーでは、もちろん
岐阜県美術館蔵の《猫》1949年 もありました(チラシ裏面右)
「小さい」作品ではないけど(142.3×123.4cmの大作です)
岐阜県美術館蔵《夢》1925年 も並んでいました。

展示室1-Bでは、ガラスケースの中のパネルに、
チラシに使われている、手のひらに載るほどの小さな絵。
宝石を見ているような至福感です。

いつもルドンの版画等が展示されている展示室1-Cのケースには、
《ジャン・コクトー『四十雀』挿図版画》が並んでいました。
《ジャン・コクトー『海龍』挿図版画》は日本的な雰囲気が素敵。

そして、藤田と君代夫人(ですよね)が聖母子像の前に座っている
《二人の祈り》1952年 後(1959年)にカトリックに改宗して
「レオナール」という洗礼名を受ける藤田。
画面の下方に描かれているグロテスクな魚たちは、
戦争画を描いたことを、戦後豹変したように非難した人々の醜さなのかな?
後方も雲から子供たちの頭だけが出ているようで、
なんかちょっと気味が悪い‥‥でもとても魅力的な絵で見入ってしまいました。

「小さな藤田嗣治展」一つ一つの作品が小さいので、
展示室1-A,B,Cと3室のみなんですが、
小さいけど濃密な絵が並んでいて(出品リストでは125点)とても良かったです。

また展覧会の図録が素晴らしい!!
フツー、展覧会の図録って会場のベンチなどで読めるようにおいてありますよね。
でも「小さな藤田嗣治展」の図録は、ガラスケースに収まっているんです。
LeonardFoujita6.jpg

展示作品から選ばれた48枚の絵がトランプのカードのように
小さな箱に収まっていて、まさに「フジタからの贈り物」のよう。
宝石箱を開けて眺めているようで(カードの金縁もいいですね)
とても素敵です。2,000円でした。
LeonardFoujita4.jpg

このカードを飾るための小さな額縁も売っていましたけど、まぁそこまでは‥‥

所蔵品展示と、その他のことは次の記事で書きます。
(こちらもとても良かった!)

会場入り口近くには、藤田嗣治を描いた映画の紹介と、
アトリエの模型(?)も飾ってありました。いかにもパリって
可愛くて洒落た雰囲気。
(稲沢市荻須記念美術館に荻須高徳のパリのアトリエが
 再現されていますが、雰囲気似てるなって)

FOUJITA1.jpg
映画は、フランスとの合作で、
藤田嗣治はオダギリジョー
妻 君代は中谷美紀

岐阜シネックスで11月14日(土)よりロードショーとのこと
FOUJITA2.jpg

映画「FOUJITA」公式サイト: http://foujita.info/
予告編見ましたが、映像もすごくきれいで、
私映画はほとんど見ないんですが、これは見たい!

オマケ
中日新聞9月8日朝刊の記事
2015-9-8chunichi.jpg

岐阜県美術館のウェブサイト: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
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ぷりん431

初めまして。市内に住むぷりん431です。素敵なブログですね。特に美術作品展については。私は藤田大好きです。今回の展覧会は小さい作品にスポットを当てて、最初は予算的に足りなかったのかな、と思いましたが展覧会はとても良かったと思いました。50歳のおばさんですがとても読みがいのあり、私にとってはあなた様のブログはとても貴重です。またお邪魔させてください。
by ぷりん431 (2015-11-17 18:44) 

しーちゃん

ぷりん431 さん、コメントありがとうございます。この展覧会、よかったですね。私の方が8歳ほど年上ですが、岐阜周辺でアートを見るのが好きなら、どこかですれ違っているかも?? 好き勝手に書いているブログですが、これからもよろしくお願いします。
by しーちゃん (2015-11-17 22:27) 

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