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一宮市三岸節子三岸節子記念美術館「フジイフランソワ展」 [美術]

3月2日(金)、一宮市三岸節子記念美術館へ行きました。
「フジイフランソワ展
 はなから さらさら きにならぬ」という企画展をやっていました。
(会期2018年2月3日(土)~3月4日(日)なので終わっています)
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このチラシを手に入れた時(多分、岐阜県美術館あたりで)は、
そんなに行きたいと思ってなかったんですよね。

鹿の角が桜になってるのが不思議だけど、なんか古風な絵だなぁと。
フジイフランソワ? 日本の伝統文化にかぶれた外国の人なのかしら??
なんて思ってたし。
(実はフジイフランソワさん、静岡県湖西市生まれ、
 現在は名古屋在住の日本人女性だそうです)

チラシ裏面の妖怪のような絵も、うーんちょっと気味悪い
‥‥くらいだったんですよね。
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展覧会が始まって、ツイッターで
和菓子「べろりんとん」の画像が添付されたツイートが流れてきましたが、
その時は、あまりに毒々しい色にちょっと引いてしまったというか。
でも、ツイッターでの評判が良くて気になっていたところに、
2月11日のNHK日曜美術館アートシーンで紹介されたりして、
へー、ウチからわりと近いしちょっと行ってみるかって。

一宮市三岸節子記念美術館には、
「はしもとみお展」や、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「森田りえ子展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09
などに行ったことがあります。

三岸節子の生家跡に建てられた美術館は、かつてこの敷地内にあった
織物工場を彷彿とさせるデザイン。敷地内に現存する土蔵には
三岸節子の愛用の品が展示され、アトリエが再現されています。
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三岸節子さんの銅像が迎えてくれます。
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受付で一般500円のチケットを買って2階の展示室へ。
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チケットに使われているのは《月のコブコブラ》2011年
伊藤若冲の《葡萄図》のようですが、葡萄の蔓のあちこちに
ラクダがコブのように描かれています。

第一章 おうまがとき
なにやらあやしいものに出逢いそうな時間には、
人とそれ以外の生きものたちとの境界線が
だんだんと薄らいでゆきます。


ってあって、最初に展示してあったのが、
《ひょう流ひょうひょう》2002年
一目見て、なにこれ!! おもしろ~い!! って
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(展覧会図録より)

尾形光琳の《紅白梅図屏風》の水流のような中に、
奈良美智のキャラクターのようなゆるい犬がボートに乗っています。
豹(ひょう)が溶けて流れて『ひょう流』ってダジャレ??
なにより落款の放射能マーク!!
画材にはルイボスティーやエンジンオイルなども使われているそう。

そして《花火図 朝顔》2003年 豊田市美術館蔵 では、
鈴木其一《朝顔図屏風》がベースになっているんですが、
あちこちで花が燃えています。花に火で「花火」?
よく見ると、花に隠れている動物たちが燃えていたり、
猫は鼻から火を噴いていて「鼻火」?

次の《夜更けのスキャット》2002年 豊田市美術館蔵 は、
古い龍図かと思うと、爆撃機が描かれていたりと、
細部を見ていくと楽しい!!
さすが豊田市美術館、いいの持ってますね!!
フジイフランソワさんは豊田市美術館で2008年に
「綯交 REMIX フジイフランソワ、一体こやつのアートはいかに。」
という個展を開催されているのだそう。

《極楽温泉郷》2008年 がとりわけ楽しかった!!!
いろんな動物たちが、手ぬぐいを頭にのせて温泉に浸かっています!!
ガイコツもいるし、潜水服の人(?)もいます。
あちこち細部を見ていくとニヤニヤしちゃいます!!


第二章 はなから さらさら きにならぬ

茶道具それぞれに命が宿ったような《九十九髪茶道具》
茶釜は抹茶を差し出して《一服しんぜえもん》
《付喪神》では、筆は「一筆かきえもん」
琵琶は「びわ奉仕」おたまは「すくいたまえ」って!!(笑)

鹿を描いた作品が並んでいて、これらは大作で格調高い印象で
見ごたえがありました。
チラシ表面に一部が使われている《コノハナサクヤ》2016年
鹿の角が咲き誇る絢爛たる桜になっていて、
狩野派あたりの豪壮な障壁画のようで素敵!!

やはり鹿の角が木や草になっている《ヤマサチヒコ》2015年
《オオゲツヒメノカミ》2012年 茨城県近代美術館蔵 は、
鹿の角がたわわに実った果物の木になっています。
「オオゲツヒメノカミ」は穀物食物の女神だそう。
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どちらも私の好みの絵で素敵!!

酒井抱一《夏秋草図屏風》のように見えるのに、草にガイコツが
隠れている《草葉のかげ九十九》2017年 も好きだなぁ!!
(あらためて酒井抱一の絵をネットで見てみたら、
草に隠れるように咲く白いユリがガイコツのようにも見えたりして)


第三章 いと おかし

座敷わらし、ならぬ《座敷わがし》
柏餅のように柏の葉にくるまれているのは虎だったり、
餅の中にウグイスがくるまれていて、うぐいすもち(笑)
笹の葉に包まれている犬は長澤芦雪の犬にそっくりだったり、
ミカンからウサギがのぞいていたりと楽しい!!
そんな中に、ツイッターで画像が流れてきた「べろりんとん」も
描かれていて、うわー、これは食べなきゃ!!って思ったんですが、
展示を見た後で美術館のカフェへ行くと、
既に今日の分は売り切れだそうで残念ーーでした。
この展覧会と、尾西 金蝶堂がコラボして作った和菓子だそう。

鯉やカエルやカラスなどが、大きな鈴をつけた姿で描かれる
《愛玩》シリーズも楽しかった。


第四章 むすひ ひもとく

《竹林檎図》では、古い竹林図かと見ると、
なぜだか竹に林檎が生っていたり、
落ちた林檎から内臓のようなものが出ていたり。

《鶏頭》2002年 では、鶏頭の花はホントに鶏の頭だったり、

《やなぎにかえる》2008年 では、柳に飛びつく蛙と見たら、
柳の葉がみな蛙だったり!と、ダジャレのような面白さがあって楽しい。

そして最後、今回の展覧会のために描かれた新作
《いつか花となるならば》2018年
牡丹の花が画面いっぱいに描かれています。
白い牡丹の花はガイコツのように見えてきます。
(ちょっと絵から離れると、よけいガイコツに見えます)
ガイコツが楽しげに集まっているようにも見えてくるんですが、
あくまでも絵は日本の伝統的な雰囲気でいいなぁと。

展示室を出たところで、フジイフランソワさんの絵本が3冊
置いてありましたが、楽しかった!!
フジイフランソワさん、名古屋イラストレーターズクラブに所属する
イラストレーターだったそうで、絵は漫画チックというか、
今回の展覧会の絵とは全く違うんですが、なぞなぞとか、
言葉遊びのセンスとか、面白かったー!!

なぞなぞぞうくん (よみっこえほん)

なぞなぞぞうくん (よみっこえほん)

  • 作者: フジイ フランソワ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 大型本



しりとり りりい (よみっこえほん)

しりとり りりい (よみっこえほん)

  • 作者: フジイ フランソワ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 大型本



よみっここよみ (よみっこえほん)

よみっここよみ (よみっこえほん)

  • 作者: フジイ フランソワ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 大型本



別室ではフジイフランソワさんのワークショップで制作された
参加者たちの作品が展示されていました。(この部屋は撮影可でした)
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1階の常設展示室では「三岸節子 マチエールの魅力」として、
初期の絵具が薄く塗られた作品から、厚塗りのもの、絵具に砂を混ぜて
塗り重ねては削り取ったものまで、さまざまなマチエールの作品が
展示されていました。

目を引いたのが、新収蔵作品《貝谷八百子氏肖像画》
1957年に雑誌『週刊朝日』の、
“第7回表紙コンクール「日本の女性」”
いう企画で、3月17日号の表紙となった作品
三岸節子を含む15人の画家が描く表紙絵に、読者が人気投票を行い、
投票した読者へ抽選で表紙原画が贈呈されるものだったそう。
原画に当選して60年間保管されてこられた方が、
昨年秋にこの美術館に寄贈されたものだと。

展覧会の図録、1,600円を買って帰りました。
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コラボ和菓子「べろりんとん」が売り切れていたのが残念だったなぁー。

一宮市三岸節子記念美術館: http://s-migishi.com/

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2018年2月24日(土)中日新聞夕刊の記事(クリックで拡大します)
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