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新美南吉記念館記念館と矢勝川の彼岸花 [花]

9月28日(木)、愛知県半田市へ行ってきました。

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「新美南吉のふるさと」として知られる半田には、
新美南吉記念館があり、その近くを流れる
矢勝川の堤は、300万本の彼岸花が咲く、
ヒガンバナの名所として知られています。

矢勝川堤のヒガンバナは、
新美南吉の童話『ごんぎつね』の一節
ひがん花が赤い布(きれ)のようにさきつづいていました
という描写を再現しようと、1990年に地域の方が主体となって
彼岸花の球根を植栽したのがはじまりで、今では
300万本の群生となっているのだそう。

毎年、秋の風物詩として紹介されていて、
行ってみたいなーと思いつつ、行ったことがありませんでした。
彼岸花って、桜と同じかそれ以上に期間が限られてるし
できれば平日に行きたいと思うと、なかなか都合がつかなくて

(桜って地域やその年の気候によって咲く時期がズレますが、
彼岸花は本当に秋の彼岸に咲きますね! 不思議‥‥
今年みたいに猛暑でも、例年より少し遅めかなって気もするけど、
彼岸にはあちこちで咲いてるのを見ることができました!)


8月25日に父が亡くなり、葬儀の後も、
二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)、四七日(よなのか)、
月命日と法要があったりで、趣味の(?)美術館巡りとかにも
ちょっと心が動かなくて‥‥
9月28日(木)は、本来なら父の五七日になるんですが、
9月23日(土・祝)に五七日忌明法要を営んだので、
この日の法要はなく、パートも休みとなっていたので、
久しぶりにどこか出かけて来ようかなって気になりまして

名鉄河和線特急で阿久比駅で普通に乗換えて
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特急が停まる駅なのに、駅の片側は田んぼ。
車内の中吊り広告に「新美南吉生誕110年」と
(名鉄電車にはもう名鉄関連の広告しかないですねー)

「半田口」駅下車
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ホームには「新美南吉とふるさと岩滑(やなべ)」の看板
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駅から出たところには、
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名古屋から
 帰って来ると
 我々の村は
 新緑の中に
 埋もれていた。

 うれしかった。

1941(昭和16).6.22日記 27歳

死ぬのは嫌だ。
 生きていたい。
 本が読みたい。
 創作がしたい。

1933(昭和8).12.6日記 20歳

わずか29歳で亡くなった南吉を思うと、
悲痛な叫びのように心に響きます。

僕の文学は
 田舎の道を
 分野とする。

1940(昭和15).11.24日記 27歳

駅に置かれていたウォーキングガイドマップを見て、
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まずは、新美南吉生家へ
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1913年(大正2年)7月30日、畳屋を営む父・渡邊多蔵、母・りゑ(旧姓・新美)の次男として生まれる。
前年に生まれ18日後に死亡した兄「正八」の名をそのままつけられた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E7%BE%8E%E5%8D%97%E5%90%89 より
母りゑの実家の養子に出されて「新美正八」となる。

こちらが父が営んでいた畳屋
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こちらは継母・志んが営んでいた下駄屋
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観光ボランティアガイドの方が説明してくださいました。

観光パンフなども置かれています。
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道側から見ると一階建てですが、

急な梯子を降りると、下に御勝手や、
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小さな部屋もあります。
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生家は、南吉が亡くなる二か月前に喉の痛みをこらえながら、
「狐」「小さい太郎の悲しみ」など最後の作品を書いたところ
でもあるそうで、こんな部屋で書いていたのかなと。

生家の横にある南吉の句碑
「冬ばれや
 大丸煎餅
 屋根に干す」
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南吉の文字が繊細で詩的!

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生家の前にある「常夜灯」
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石段にあるくぼみは、子どもたちが「草つき遊び」をした跡
「花を埋める」「音ちゃんは豆を煮ていた」に登場する。

南吉が8歳で養子に出されたことを
常夜灯の下で遊んでいるところへ、母が呼びに来て家につれられて帰ると、初(はつ)という人が私を待っていた。少しの酒と鰯の煮たのとでささやかな儀式がすんで、私は新しい着物を着せられ、初という人につれられて、隣村のおばあさんの家に養子にいったのだった。
と書いています。

岩滑八幡社
南吉は毎日この境内を通って、はなれの家と店(生家)を往復していた
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「ごんぎつね」の中で「赤い井戸」として登場する
常滑焼の井戸筒
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「ごんの秋まつり」の旗が立てられていて、
道に迷うことはありません。
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矢勝川に出ました。
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カタツムリの像がある「てでむし広場」
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堤に彼岸花が咲く、のどかな風景が広がっています。
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矢勝川にかかる殿橋を渡って北側の堤の道
矢勝川は半田市と阿久比町の境になっているので、
こちらは阿久比町になります。
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黄色く色づいた田んぼにシラサギがいました。
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「ごんの飛び石」で矢勝川を渡ることができます。
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田んぼアートが作られていました。
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毎年、南吉のふるさとをテーマにした絵柄で作られていて、
今年は『でんでんむしの かなしみ』とのこと。

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彼岸花だけでなく、コスモスも咲いてます。
(今年のヒマワリはもう終わったとのこと)
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童話「ごん狐」で、兵十がウナギを捕っていた矢勝川
(その頃は裏の川という意味で「背戸川」と呼んでいた。)
川の向うに見える山は「権現山」
ごんは中山(新美南吉記念館敷地内の小山)から少し離れた山に
住んでいたことになっているので、南吉は
「権現山の狐」というつもりで「権狐」としたのかもしれないと。
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ここは白い彼岸花も多く咲いてますね。
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「ごんの秋まつり」期間中(9/20~10/4)は、
お休み処が開設されていて、心ひかれたんですが、
トイレ行きたくなって、新美南吉記念館へと急ぎました。

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新美南吉記念館の屋外トイレ
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えーと、記念館は?
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わー! 芝生に埋もれたようなユニークな設計!
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帰る時に撮った写真ですが、記念館の入口は右側にあり、
左側はcafe&shop「ごんの贈り物」(展示室の出口にもなってます)
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観覧料220円(中学生以下無料)
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チケットのキツネの絵は安野光雅

ロビーには、新美南吉生誕110年の花輪が。
ごんをモチーフにしたステンドグラスも素敵。
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ゆったりしたスロープを通って展示室へ。
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右手には、手袋を買いに来た子ぎつね?
奥には図書閲覧室も
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新美南吉さんが読書してる!
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階段にできた影が面白い
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展示室
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今年の田んぼアートのモチーフになっていた
『でんでんむしのかなしみ』
私、この話知らなかったんですが、
平成10(1998)年9月、インドのニューデリーで開かれた国際児童図書評議会(IBBY)世界大会において、当時皇后だった美智子さまが紹介された作品なんだそう。
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今、子どもに限らず、明るく積極的にって求められることが
多いような気がするけど、この世に生きる全ての人に、
こんな淋しさが根底にあるような気がする。
決して、あきらめの物語ではないと思う。


天井に吊るされているのは
兵十が川で魚をとっていた「はりきり網」
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ごんがいたずらしてる(^^)
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小部屋で、ごんぎつねの人形アニメが上映されていたので、
座れるから休憩がてら、なんて軽い気持ちで見たら、
その世界に引き込まれて、28分という、短くはない
作品なんですけど、全部見てしまいました。
ストップモーションアニメーション
「ごん/GON,THE LITTLE FOX」
素朴な人形ならではの表情‥‥これすごく手間かかってますよね?!
原作にはないけど、ごんが罠にかかった母狐と別れるシーン、
すごく心に沁みたなぁ‥‥

「ごん/GON,THE LITTLE FOX」公式サイト: https://gon-cinema.jp/


新美南吉の生い立ちが紹介されています。
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半田中学校入学から上京まで(1926-1932)
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「権狐」が書かれたノート(複製)
昭和6(1931)年10月4日(南吉18歳!)
『赤い鳥』に投稿した際の控えと考えられる
と、「ごん狐」掲載の『赤い鳥』
昭和7(1932)年1月号
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冒頭部分がかなり簡潔になっていたり、
全編にわたって数多くの修正がみられるそう。

昭和7年4月、東京外国語学校英語部文科に入学。
北原白秋に師事し、巽聖歌、与田凖一らと交流。

岩滑への帰郷と運命との闘い(1937-1938)
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喀血して帰郷した南吉は、昭和12年(1937)4月から4か月間、
河和第一尋常高等小学校で代用教員として働きます。
ここで僕はかりそめのささやかな仕合せを味っています。
(略)生きていることは無駄ばかりではないことがこれで解りました。

巽聖歌(たつみ せいか)宛の手紙 昭和12年6月5日消印

安城への赴任と少女たちとの出会い(1938-1940)
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代用教員の後に勤めた飼料会社での激務を心配した
中学時代の恩師のはからいで、安城高等女学校の教員となり、
やっと生活が安定します。英語、作文、農業を教え、
生徒たちと詩集を発行したりしました。

南吉の絵(複製)も味がありますね。
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安城に下宿し、作品を多く書くようになりました。書いた作品は、新聞や雑誌に掲載されました。南吉にとって充実した毎日でした。
(こどもむけかいせつ より)
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初めての出版から永眠まで(1941-1943)
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学習社から執筆依頼を受け、昭和16年(1941)1月からわずか
3ヶ月で伝記物語『良寛物語 手毬と鉢の子』を書きあげ、
10月に出版されました。南吉の初の単行本出版
売れ行きは好調だったが、執筆の無理がたたったのか体調を崩す。

昭和17年(1942)3月から5月にかけ、
「おじいさんのランプ」「牛をつないだ椿の木」
「花のき村と盗人たち」などの代表作を次々に執筆。
10月、はじめての童話集『おぢいさんのランプ』出版。
挿絵は棟方志功!

昭和18年(1943)病状悪化。自宅で療養しながら
「狐」「小さい太郎の悲しみ」などを執筆。
2月、手元の作品をまとめて巽聖歌に送り、出版を依頼。

3月22日、喉頭結核のため、29歳7か月の生涯を閉じる。

はやく童話集がみたい。
 今はそのことばかり考えている。

巽聖歌宛の葉書 昭和18年3月8日

南吉が生前手にすることができた本は、
伝記物語『良寛物語 手毬と鉢の子』と、
童話集『おぢいさんのランプ』だけだった。


南吉が「ちょっと僕の独房を見てよ(笑)」と言った
昭和8(1933)年5月から昭和10(1935)年春頃まで暮らしていた
川村家の三畳間が再現されています。
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川村家の建物は、戦火をまぬがれ、長く使われていましたが、
平成23年に取り壊されました。再現された部屋にはめられている
高窓は、その時の取り外されたものだそう。
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南吉もこの窓から空を見上げてたんですね。
この部屋で「手袋を買いに」をはじめ数々の作品が生まれたと。

南吉の胸像の前にはお花が
ふるさと納税で南吉さんにお花を贈るプランが
あるそうですね。
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企画展のコーナーでは、
新美南吉生誕110年
 南吉と長野ヒデ子の母の世界展

として(期間 2023年7月15日~10月29日)

南吉の「狐」を描いた絵本作家の長野ヒデ子さんの、
絵本や原画、ラフスケッチなどが展示されていました。
(このコーナーは撮影禁止)

新美南吉生誕110年を前に、記念館では南吉作品で
赤ちゃんのための絵本を記念につくれないかと検討して、
長野ヒデ子さんに相談したところ、
南吉の詩『天国』を絵本にした『てんごく』ができたとのこと。

短い詩を何ページもある絵本にするために、
多くのラフや原画が描かれているんだなと。
使われなかった絵もあるんですね。

ショップでは、新美南吉の絵本や書籍をはじめ、
童話をモチーフにしたグッズや、銘菓などが売られていました。
(カフェもあるんですが、秋まつり期間はテイクアウトのみ)
かわいい狐のグッズにも魅かれたけど、
購入したのは、(袋もカワイイ!)
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長野ヒデ子さんの絵本
『おばあちゃんがおばあちゃんになった日』1,430円(税込)
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パワフルなおばあちゃんたちが登場するのが楽しい!

岩滑サブレ 2枚組×10袋 1,080円(税込)
ごんの顔の形もカワイイけど、美味しかった!
ココナッツとココアの2枚組でパックされてるのも嬉しい。
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南吉の黄ごん芋 3個入り 680円(税込)
サツマイモを使ったボリュームのある焼き菓子
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お地蔵さんが並んでると、よく見たら
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ごんがお地蔵さんのかげにかくれています!
前には栗も置かれていますね(^▽^)
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「手袋を買いに」の文学碑
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記念館のすぐ南にある丘のようになった森は、
「ごんぎつね」にも登場する中山。
「童話の森」として遊歩道が整備されています。

ここにも彼岸花が咲いていました。
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さて、矢勝川の彼岸花を見ながら帰ることにします。
お休み処は夕方になってほとんど店じまいされてました。
‥‥ちょっと残念。
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コスモスの花の中を通ったり、
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彼岸花と実った稲。豊かな日本の風景ですねー
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童話の世界に入り込んだようなのどかな風景
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「半田口」駅から帰ります。屋根にもごんぎつねがいる!
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新美南吉記念館: http://www.nankichi.gr.jp/
半田市観光ガイド: https://www.handa-kankou.com/


久しぶり(1年半ぶり!)にインスタに投稿してみました。


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