名古屋市美術館「福田美蘭―美術って、なに?」 [美術]
10月12日(木)、名古屋市美術館へ行きました。
「開館35周年記念
福田美蘭
美術って、なに?」という特別展をやっています。
このチラシ見て、この展覧会って、なに? って(@o@)
これは絵? 写真? これが作品なの?
《松竹梅》ってタイトルがついてる
確かに上から鰻重の松竹梅だけど、これをわざわざ
作品にする意味は? なんて。
福田美蘭について、名前くらいは知ってるってくらいの
(でも、美蘭を「みらん」って読んでなかった(^^;
知識しかありませんでした。
福田繁雄の娘さんなんですね。
名古屋市美術館の常設展で、スルバランの静物の絵の
並んだ壺の一つをモザイクにしたり、
レンチキュラーレンズ(って言うのを今回知りました
見る角度によって絵が変化するカマボコ状のシート)で、
壺が倒れて壊れるように見えたりする作品を見てたんですが、
ふーん、ってカンジで。
2018年に名古屋市美術館で開催された
「モネ、それからの100年」展でも、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-05-25
福田美蘭の作品が展示されていたんですが、
その時はあまり心に響かなかったんですね。
大原美術館の池を描いた作品《睡蓮の池》を、
ただの風景画では? くらいにしか見てなくて(^^;
2020年、豊田市美術館「いま見える景色」で
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-12-30
福田美蘭の作品が2点展示されていて、その1枚が、
《大根おろし》1996年
一見して、抽象画かって思ったけど、
タイトルを見たら、確かにこれは大根おろしを拡大して描いた
具象絵画にしか見えなくて面白かった。
それくらいの認識だったので、
特に見に行きたい展覧会リストには入れてなかったんですが、
10月1日の日曜美術館アートシーンで取り上げられていて、
へーちょっと面白そうかも、って
それであらためてチラシの裏面まで読んでみた(^^)
国内外で活躍を続ける現代美術家・福田美蘭(1963- )は、現代社会が抱える問題に鋭く切り込み、東西の美術、日本の伝統や文化を、意表を突くような手法であらわして、私たちの既成概念を打ち破ってきました。
本展では、古今東西の名画に福田独自のユニークな視点で向き合った作品から、国内外の時事問題をテーマに鋭い視点で切り込んだ作品まで、新作を含む約50点で福田美蘭の世界観を紹介します。
(チラシ裏面の文)
パートが休みだった9月12日(木)、
愛知県美術館友の会の特別鑑賞会の夜の部が
17:30~にあるので、名古屋市美術館を見てから
愛知県美術館へ行こうって。
気候も良くなってきたので、名古屋駅から歩こうと、
途中の金券ショップのぞいたら、
当日一般1,500円の福田美蘭展のチケットが
1,400円であったのでゲット!
白川公園の噴水と名古屋市科学館
名古屋市美術館
展示室入口の記念撮影スポット
(でも、この展覧会、一部を除きほとんどの作品が写真撮影可!!)
序章 福田美蘭のすがた
1963年に東京で生まれた福田美蘭は、東京藝術大学に学び、大学院修了後すぐに第18回現代日本美術展で佳作賞、翌年には26歳の若さで具象絵画の登竜門といわれる安井賞に輝く(後略)
最初に展示されていたのが(出品リストや図録の番号順ではなく)
《志村ふくみ《聖堂》を着る》2004年 滋賀県立美術館
志村ふくみの着物を着た作者の姿。
志村ふくみの着物《聖堂》は、貴重な美術品として、
滋賀県立美術館に所蔵され、触ってはいけない
鑑賞する着物になっている。
でも絵画の中では着ることができる。
そんな作品の隣に展示されていたのが、
《フランク・ステラと私》2001年
(あ、写真撮り忘れた(T.T)
現代美術界の巨匠・フランク・ステラと作者が並んで
記念撮影した写真を拡大して描いた作品。
写真の日付まで描き込んであるんだけど、
本当にステラと並んで写ったのか?って疑うことも
できるわけで(もちろん本当だと思うけど)
この絵の大きさ、写真をよくここまで引き伸ばしたな、
なんて思っちゃうような画力すごいなーって。
その隣の《緑の巨人》1989年 国立国際美術館
出品リストではno.1、福田の初期の作品で、
伝統的絵画からコミックまで、既存のイメージを寄せ集めて
構成した作品で、その描写力と構成力を高く評価されて、
インド・トリエンナーレで金賞を受賞したとのこと
《涅槃図》2012年 豊田市美術館
2010年12月に104歳で亡くなった福田の母方の祖父で童画家の
林義雄 動画に描かれた人や動物で構成した涅槃図
可愛く、ほっこりするような涅槃図。
豊田市美術館の所蔵なんだ!
名画 イメージのひろがり/視点をかえる
休憩するモナ・リザ(^▽^)
《ポーズの途中に休憩するモデル》2000年 富山県美術館
《虎渓三笑図》2020年 千葉市美術館
千葉市美術館所蔵の曽我蕭白《虎渓三笑図》を題材に、
「虎の声を聞いたとはその姿を見たわけではないと解釈し、ここでは描かれている急峻な岩山をそのまま組み込んで、風景の中に見えない虎の姿を描いている。」福田美蘭の作品解説より
鑑賞のヒントにも「隠れたトラを探してみよう!」
ってあったけど、なかなか見つけられずにいたら、
監視員の方が教えてくれました。
でもちょっとわかりにくいですよね。
この岩が虎の顔なの? って。
《安井曾太郎と孫》2002年 大原美術館
大原美術館所蔵の安井曾太郎《孫》を
描いていたときの様子を想像して描いた絵。
安井曾太郎の表現方法で描いているのがすごい。
安井が孫を描いているところを、
安井が描いたんじゃないかって思ってしまう。
《ミレー“種をまく人”》2002年 山梨県立美術館
山梨県立美術館所蔵のミレー《種をまく人》の
その後のポーズ、種が手から離れた瞬間を描いた絵。
ミレーが連作したんじゃないかって思う描写力!
これはゴッホの絵を題材にして描いたのか? って
キャプション見たら、大原美術館所蔵の
伝フィンセント・ファン・ゴッホ《アルビーユの道》
えっ!? ゴッホではないかって言われてる絵なの??
「真贋論争は、絵画の一つの問題点であり、また芸術というものの本質的な問題も含んでいる」
福田がこの絵をはじめて見たとき、
「真作かどうか、ということよりも、ゴッホらしくない、と感じることに惹かれて、これが本物であると感じるには何が足りないかということを、また、これが真作だとしたら、ゴッホの作品をもっとゴッホらしくするとはどういうことか、を描きながら考えてみたかった。」
ということで描いたのがこちら
《ゴッホをもっとゴッホらしくするには》2002年 大原美術館
《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》1996年 国際交流基金
写楽の大首絵は役者を実際に見て描いたと言われている。
写楽が見たであろう役者の姿はこうではなかったか。
うんうん、まさにリアル!
ベラスケスの名画《ラス・メニーナス》の中に入り込んだよう!
《侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ、ドーニャ・イザベル・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、ワイ人ニコラシート・ペルトゥサートと犬》1992年 高松市美術館
マネの《草上の昼食》の裸婦を正面から見ています
《帽子を被った男性から見た草上の二人》1992年 高松市美術館
名古屋市美術館所蔵のフランク・ステラ《説教》を
チョコレート・ドリップケーキのデコレーションにした新作絵画
《説教(フランク・ステラによる)》2023年
名古屋市美術館所蔵の名画、
フリーダ・カーロ《死の仮面を被った少女》を題材に、
インスタレーションの新作作品が作られていました。
(撮影不可でした)
あっ、天井にも作品が!
《Portrait》1995年
二つ折りになった状態で壁に掛けられていて、
絵を観たい人は自由に手で開けて鑑賞する
《開ける絵》2000年
は、不具合で一部のみのの展示となっていて、
開閉することはできませんでした。
名古屋市美術館所蔵のレンチキュラーレンズを使った
《陶器(スルバランによる)》1992年 も展示されてましたし、
レンチキュラーレンズで、
ベラスケスの初期の代表的ボデゴン(厨房画)の一点が
完成するまでの3段階が一枚の絵の中で見られる
《卵を料理する老婆》1992年 京都国立近代美術館
なども面白かった!
2階の展示室へ行くと、
時代をみる
龍安寺の石庭をそのまま描いた? って解説を読むと、
一番手前の石は尖閣諸島の南小島の形をしているんですね!
《石庭》2017年 千葉市美術館
展覧会のメインビジュアルとなっている
《松竹梅》2017年 千葉市美術館
絵の大きさと(227.2×181.8cm)リアルな描写力に驚きます。
江戸時代に流行した《誰が袖図》に習い、
衣桁にディズニーキャラクターの服を掛けた
《誰が袖図》2015年 京都市美術館
可愛くて、クスッと笑ってしまった。
でも、画中の屏風に描かれているのは、2015年2月1日
過激派組織ISILがジャーナリストを殺害したとする映像を
インターネット上に公開したその現場の風景だとかで、
可愛いディズニーキャラクターがアメリカの富と権力の
象徴として描いているのだとか。
その絵をぬりえの形態にした作品も隣にあったけど、
(来場者が実際にぬりえをすることはできない)
置かれていたクレヨンはオレンジ色と黒のみ。
「オレンジ色は殺害される人質を、黒はジハーディ・ジョンの呼び名で知られる覆面の戦闘員の男と、ISILの旗の色をイメージしている」のだそう。
ゴッホの絵みたいって見た
《冬―供花》2012年 豊田市美術館
作者は、2011年に国立新美術館で見たゴッホの《薔薇》を見て、
その2年前に父が亡くなった際に届けられた白い花々を思い出し、
花籠一枚ずつ撮っていた写真をもとに描いているそう。
震災で命を落とした人と向き合うような気持ちで描いたと。
《秋―悲母観音》2012年 東京藝術大学
東京藝術大学所蔵の狩野芳崖《悲母観音》をもとに、
観音が子を抱く母子像として描いています。
背景には、震災で家、船、瓦礫が流される風景!
慈愛に満ちた観音像に心がきゅんとなりました。
《世界貿易センタービルの展望台》2008年 富山県美術館
2001年9月11日航空機に激突されて失われた展望台からの眺望。
等身大にリアルに描かれているので、私もこの人物たちに交じって
展望台からの景色を眺めているような気分になりました。
《ブッシュ大統領に話しかけるキリスト》2002年
新潟県立近代美術館・万代島美術館
背景では世界貿易センターが黒煙を上げています。
「人の話を聞こうとしないブッシュが耳を傾けるとしたら、もはやキリストしかいないのではないか、という私の考えを絵画にしたもの。」
東京ビエンナーレ2023のアートプロジェクト
美術家の原画をおしぼりに刺繍し、東京都内の飲食店で
実際におしぼりとして提供する「おしぼりリンゲージ」
一見、これは何の図? って思ったけど、
矢印に気が付いて、引っ張ってみたら―
日本語と英語でおもてなしの言葉が出るんですね!
洒落てます!
最後のコーナーには、
プーチン大統領をモディリアーニのカリアティードの連作に
見られるような鉛筆のドローイングの連作作品(新作)と、
モディリアーニ風にデフォルメした
《プーチン大統領の肖像》2023年
モディリアーニのような瞳のない肖像
そして《ゼレンスキー大統領》2022年 練馬区立美術館
テレビの報道やSNSですっかりおなじみ(?)になってしまった
ゼレンスキー大統領のこのイメージ!
福田美蘭はこの絵を「マネの現実認識による曖昧さそのものをイメージした絵画について考えることができると思った。」
面白かった! とにかく福田美蘭の画力すごいなって。
さすが、安井賞を最年少で受賞しただけありますね。
絵を描くことを楽しんでるってカンジがします。
そして、それぞれの作品につけられた福田美蘭の解説が良かった。
そんな意図で描いていたんだって、気づかされることも多くて、
(よくわからないところもあったけど)
ショップで、写真いっぱい撮らせてもらったので、
ちょっと迷ったけど、福田美蘭の作品解説をまた読みたくて、
図録購入しました。2,200円(税込)
この展覧会は名古屋市美術館のみの開催で、
数量限定とのことなので、なかなか貴重な一冊ではないかと。
グッズ売り場にあった記念撮影スポット
いろんな角度から描いた見返り美人の群像の中に、
紛れ込むことができます!
名古屋市美術館: https://art-museum.city.nagoya.jp/
特別展「開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?」公式サイト:
https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/fukudamiran/
特別展を見終わって、地下のコレクション展へ。
愛知県美術館の特別鑑賞会の時間も迫ってきたので、
駆け足で‥‥福田美蘭の絵の題材となった
フランク・ステラ《説教》や、
モディリアーニ《おさげ髪の少女》や、
フリーダ・カーロ《死の仮面を被った少女》を
やっぱり展示してあるーって確認してきました(^^)
現代の美術の展示テーマは「金属を用いた美術作品」
久野真の作品がシャープで良かった。
そして、
「東山動物園猛獣画廊壁画修復プロジェクト」
https://art-museum.city.nagoya.jp/topics/mouju_hekiga/
の部屋では、2名の方が修復作業をしておられて興味深かったです。
「開館35周年記念
福田美蘭
美術って、なに?」という特別展をやっています。
このチラシ見て、この展覧会って、なに? って(@o@)
これは絵? 写真? これが作品なの?
《松竹梅》ってタイトルがついてる
確かに上から鰻重の松竹梅だけど、これをわざわざ
作品にする意味は? なんて。
福田美蘭について、名前くらいは知ってるってくらいの
(でも、美蘭を「みらん」って読んでなかった(^^;
知識しかありませんでした。
福田繁雄の娘さんなんですね。
名古屋市美術館の常設展で、スルバランの静物の絵の
並んだ壺の一つをモザイクにしたり、
レンチキュラーレンズ(って言うのを今回知りました
見る角度によって絵が変化するカマボコ状のシート)で、
壺が倒れて壊れるように見えたりする作品を見てたんですが、
ふーん、ってカンジで。
2018年に名古屋市美術館で開催された
「モネ、それからの100年」展でも、
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-05-25
福田美蘭の作品が展示されていたんですが、
その時はあまり心に響かなかったんですね。
大原美術館の池を描いた作品《睡蓮の池》を、
ただの風景画では? くらいにしか見てなくて(^^;
2020年、豊田市美術館「いま見える景色」で
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2020-12-30
福田美蘭の作品が2点展示されていて、その1枚が、
《大根おろし》1996年
一見して、抽象画かって思ったけど、
タイトルを見たら、確かにこれは大根おろしを拡大して描いた
具象絵画にしか見えなくて面白かった。
それくらいの認識だったので、
特に見に行きたい展覧会リストには入れてなかったんですが、
10月1日の日曜美術館アートシーンで取り上げられていて、
へーちょっと面白そうかも、って
それであらためてチラシの裏面まで読んでみた(^^)
国内外で活躍を続ける現代美術家・福田美蘭(1963- )は、現代社会が抱える問題に鋭く切り込み、東西の美術、日本の伝統や文化を、意表を突くような手法であらわして、私たちの既成概念を打ち破ってきました。
本展では、古今東西の名画に福田独自のユニークな視点で向き合った作品から、国内外の時事問題をテーマに鋭い視点で切り込んだ作品まで、新作を含む約50点で福田美蘭の世界観を紹介します。
(チラシ裏面の文)
パートが休みだった9月12日(木)、
愛知県美術館友の会の特別鑑賞会の夜の部が
17:30~にあるので、名古屋市美術館を見てから
愛知県美術館へ行こうって。
気候も良くなってきたので、名古屋駅から歩こうと、
途中の金券ショップのぞいたら、
当日一般1,500円の福田美蘭展のチケットが
1,400円であったのでゲット!
白川公園の噴水と名古屋市科学館
名古屋市美術館
展示室入口の記念撮影スポット
(でも、この展覧会、一部を除きほとんどの作品が写真撮影可!!)
序章 福田美蘭のすがた
1963年に東京で生まれた福田美蘭は、東京藝術大学に学び、大学院修了後すぐに第18回現代日本美術展で佳作賞、翌年には26歳の若さで具象絵画の登竜門といわれる安井賞に輝く(後略)
最初に展示されていたのが(出品リストや図録の番号順ではなく)
《志村ふくみ《聖堂》を着る》2004年 滋賀県立美術館
志村ふくみの着物を着た作者の姿。
志村ふくみの着物《聖堂》は、貴重な美術品として、
滋賀県立美術館に所蔵され、触ってはいけない
鑑賞する着物になっている。
でも絵画の中では着ることができる。
そんな作品の隣に展示されていたのが、
《フランク・ステラと私》2001年
(あ、写真撮り忘れた(T.T)
現代美術界の巨匠・フランク・ステラと作者が並んで
記念撮影した写真を拡大して描いた作品。
写真の日付まで描き込んであるんだけど、
本当にステラと並んで写ったのか?って疑うことも
できるわけで(もちろん本当だと思うけど)
この絵の大きさ、写真をよくここまで引き伸ばしたな、
なんて思っちゃうような画力すごいなーって。
その隣の《緑の巨人》1989年 国立国際美術館
出品リストではno.1、福田の初期の作品で、
伝統的絵画からコミックまで、既存のイメージを寄せ集めて
構成した作品で、その描写力と構成力を高く評価されて、
インド・トリエンナーレで金賞を受賞したとのこと
《涅槃図》2012年 豊田市美術館
2010年12月に104歳で亡くなった福田の母方の祖父で童画家の
林義雄 動画に描かれた人や動物で構成した涅槃図
可愛く、ほっこりするような涅槃図。
豊田市美術館の所蔵なんだ!
名画 イメージのひろがり/視点をかえる
休憩するモナ・リザ(^▽^)
《ポーズの途中に休憩するモデル》2000年 富山県美術館
《虎渓三笑図》2020年 千葉市美術館
千葉市美術館所蔵の曽我蕭白《虎渓三笑図》を題材に、
「虎の声を聞いたとはその姿を見たわけではないと解釈し、ここでは描かれている急峻な岩山をそのまま組み込んで、風景の中に見えない虎の姿を描いている。」福田美蘭の作品解説より
鑑賞のヒントにも「隠れたトラを探してみよう!」
ってあったけど、なかなか見つけられずにいたら、
監視員の方が教えてくれました。
でもちょっとわかりにくいですよね。
この岩が虎の顔なの? って。
《安井曾太郎と孫》2002年 大原美術館
大原美術館所蔵の安井曾太郎《孫》を
描いていたときの様子を想像して描いた絵。
安井曾太郎の表現方法で描いているのがすごい。
安井が孫を描いているところを、
安井が描いたんじゃないかって思ってしまう。
《ミレー“種をまく人”》2002年 山梨県立美術館
山梨県立美術館所蔵のミレー《種をまく人》の
その後のポーズ、種が手から離れた瞬間を描いた絵。
ミレーが連作したんじゃないかって思う描写力!
これはゴッホの絵を題材にして描いたのか? って
キャプション見たら、大原美術館所蔵の
伝フィンセント・ファン・ゴッホ《アルビーユの道》
えっ!? ゴッホではないかって言われてる絵なの??
「真贋論争は、絵画の一つの問題点であり、また芸術というものの本質的な問題も含んでいる」
福田がこの絵をはじめて見たとき、
「真作かどうか、ということよりも、ゴッホらしくない、と感じることに惹かれて、これが本物であると感じるには何が足りないかということを、また、これが真作だとしたら、ゴッホの作品をもっとゴッホらしくするとはどういうことか、を描きながら考えてみたかった。」
ということで描いたのがこちら
《ゴッホをもっとゴッホらしくするには》2002年 大原美術館
《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》1996年 国際交流基金
写楽の大首絵は役者を実際に見て描いたと言われている。
写楽が見たであろう役者の姿はこうではなかったか。
うんうん、まさにリアル!
ベラスケスの名画《ラス・メニーナス》の中に入り込んだよう!
《侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ、ドーニャ・イザベル・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、ワイ人ニコラシート・ペルトゥサートと犬》1992年 高松市美術館
マネの《草上の昼食》の裸婦を正面から見ています
《帽子を被った男性から見た草上の二人》1992年 高松市美術館
名古屋市美術館所蔵のフランク・ステラ《説教》を
チョコレート・ドリップケーキのデコレーションにした新作絵画
《説教(フランク・ステラによる)》2023年
名古屋市美術館所蔵の名画、
フリーダ・カーロ《死の仮面を被った少女》を題材に、
インスタレーションの新作作品が作られていました。
(撮影不可でした)
あっ、天井にも作品が!
《Portrait》1995年
二つ折りになった状態で壁に掛けられていて、
絵を観たい人は自由に手で開けて鑑賞する
《開ける絵》2000年
は、不具合で一部のみのの展示となっていて、
開閉することはできませんでした。
名古屋市美術館所蔵のレンチキュラーレンズを使った
《陶器(スルバランによる)》1992年 も展示されてましたし、
レンチキュラーレンズで、
ベラスケスの初期の代表的ボデゴン(厨房画)の一点が
完成するまでの3段階が一枚の絵の中で見られる
《卵を料理する老婆》1992年 京都国立近代美術館
なども面白かった!
2階の展示室へ行くと、
時代をみる
龍安寺の石庭をそのまま描いた? って解説を読むと、
一番手前の石は尖閣諸島の南小島の形をしているんですね!
《石庭》2017年 千葉市美術館
展覧会のメインビジュアルとなっている
《松竹梅》2017年 千葉市美術館
絵の大きさと(227.2×181.8cm)リアルな描写力に驚きます。
江戸時代に流行した《誰が袖図》に習い、
衣桁にディズニーキャラクターの服を掛けた
《誰が袖図》2015年 京都市美術館
可愛くて、クスッと笑ってしまった。
でも、画中の屏風に描かれているのは、2015年2月1日
過激派組織ISILがジャーナリストを殺害したとする映像を
インターネット上に公開したその現場の風景だとかで、
可愛いディズニーキャラクターがアメリカの富と権力の
象徴として描いているのだとか。
その絵をぬりえの形態にした作品も隣にあったけど、
(来場者が実際にぬりえをすることはできない)
置かれていたクレヨンはオレンジ色と黒のみ。
「オレンジ色は殺害される人質を、黒はジハーディ・ジョンの呼び名で知られる覆面の戦闘員の男と、ISILの旗の色をイメージしている」のだそう。
ゴッホの絵みたいって見た
《冬―供花》2012年 豊田市美術館
作者は、2011年に国立新美術館で見たゴッホの《薔薇》を見て、
その2年前に父が亡くなった際に届けられた白い花々を思い出し、
花籠一枚ずつ撮っていた写真をもとに描いているそう。
震災で命を落とした人と向き合うような気持ちで描いたと。
《秋―悲母観音》2012年 東京藝術大学
東京藝術大学所蔵の狩野芳崖《悲母観音》をもとに、
観音が子を抱く母子像として描いています。
背景には、震災で家、船、瓦礫が流される風景!
慈愛に満ちた観音像に心がきゅんとなりました。
《世界貿易センタービルの展望台》2008年 富山県美術館
2001年9月11日航空機に激突されて失われた展望台からの眺望。
等身大にリアルに描かれているので、私もこの人物たちに交じって
展望台からの景色を眺めているような気分になりました。
《ブッシュ大統領に話しかけるキリスト》2002年
新潟県立近代美術館・万代島美術館
背景では世界貿易センターが黒煙を上げています。
「人の話を聞こうとしないブッシュが耳を傾けるとしたら、もはやキリストしかいないのではないか、という私の考えを絵画にしたもの。」
東京ビエンナーレ2023のアートプロジェクト
美術家の原画をおしぼりに刺繍し、東京都内の飲食店で
実際におしぼりとして提供する「おしぼりリンゲージ」
一見、これは何の図? って思ったけど、
矢印に気が付いて、引っ張ってみたら―
日本語と英語でおもてなしの言葉が出るんですね!
洒落てます!
最後のコーナーには、
プーチン大統領をモディリアーニのカリアティードの連作に
見られるような鉛筆のドローイングの連作作品(新作)と、
モディリアーニ風にデフォルメした
《プーチン大統領の肖像》2023年
モディリアーニのような瞳のない肖像
そして《ゼレンスキー大統領》2022年 練馬区立美術館
テレビの報道やSNSですっかりおなじみ(?)になってしまった
ゼレンスキー大統領のこのイメージ!
福田美蘭はこの絵を「マネの現実認識による曖昧さそのものをイメージした絵画について考えることができると思った。」
面白かった! とにかく福田美蘭の画力すごいなって。
さすが、安井賞を最年少で受賞しただけありますね。
絵を描くことを楽しんでるってカンジがします。
そして、それぞれの作品につけられた福田美蘭の解説が良かった。
そんな意図で描いていたんだって、気づかされることも多くて、
(よくわからないところもあったけど)
ショップで、写真いっぱい撮らせてもらったので、
ちょっと迷ったけど、福田美蘭の作品解説をまた読みたくて、
図録購入しました。2,200円(税込)
この展覧会は名古屋市美術館のみの開催で、
数量限定とのことなので、なかなか貴重な一冊ではないかと。
グッズ売り場にあった記念撮影スポット
いろんな角度から描いた見返り美人の群像の中に、
紛れ込むことができます!
名古屋市美術館: https://art-museum.city.nagoya.jp/
特別展「開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?」公式サイト:
https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/fukudamiran/
特別展を見終わって、地下のコレクション展へ。
愛知県美術館の特別鑑賞会の時間も迫ってきたので、
駆け足で‥‥福田美蘭の絵の題材となった
フランク・ステラ《説教》や、
モディリアーニ《おさげ髪の少女》や、
フリーダ・カーロ《死の仮面を被った少女》を
やっぱり展示してあるーって確認してきました(^^)
現代の美術の展示テーマは「金属を用いた美術作品」
久野真の作品がシャープで良かった。
そして、
「東山動物園猛獣画廊壁画修復プロジェクト」
https://art-museum.city.nagoya.jp/topics/mouju_hekiga/
の部屋では、2名の方が修復作業をしておられて興味深かったです。
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