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恩師のグループ展と「若冲と江戸絵画」展へ行く [美術]

毎年、この時期に開催される高校の恩師のグループ展の案内が届いていた。今日(5月22日)のパートの休みに行かないと、もう行けないので、名古屋市民ギャラリーまで出かけた。名古屋まで出かけるのは本当に久しぶり‥‥ひょっとすると、去年の先生のグループ展以来ではないか?
まず、最寄の名鉄の駅が無人化になっていて、寂しい気がした。ダンナや息子からは定期券を買うのが不便になったとか色々聞いていたが‥‥駅員さんがいないのに加えて、花のプランターが並んでいたホームの端には金属製の丈夫そうな柵が建てられていて、殺風景になってしまった。今まで駅員さんが花の手入れとかしていたのになー。こういうところも合理化しないとやっていけないのかなぁ。まぁ、私も電車に乗るのはホント久しぶりだし、ここらあたりは皆車で移動するからか、車内も空いているしね‥‥
名古屋駅では、いつもなら地下にもぐったまま地下鉄に乗り換えてしまうのだが、ミッドランドスクエアも完成したことだしと、地上に出てみた。

ミッドランドスクエア前の、ちょっと洒落たオブジェ

1階にはブランドショップが並ぶ

そびえ建つミッドランドスクエアのビル

そして、栄の名古屋市民ギャラリーへ行き、先生のグループ展を見る。受付に座っていらした先生は、とても喜んでくださった。このグループ展ももう11回目。タピストリーや立体、ニードルワーク、そして今年は着物の作品も多いが、それぞれ自分の世界を持って、それを追求しているといったカンジ。先生は今年も幾何学模様だがポエジーを感じさせるタピストリー。今年の作品は、色がちょっと渋めだ。

それから、ぜひ見たいと思っていた「若冲と江戸絵画」展が栄の愛知県美術館でやっているので行く。最近は名古屋でいろいろいい展覧会をやっているとわかっていても、なかなか見に行くことができなかったので、ちょうどいい機会で嬉しい。

愛知県美術館のある愛知芸術文化センター

だいぶ前「新日曜美術館」で紹介していたが(この展覧会は去年の夏に東京国立博物館でやっていたので、その頃に放送されたと思う。その後、京都、九州と巡回して、ここ愛知県美術館が最後とのこと)、カリフォルニアのジョー・プライス氏が、大学卒業のお祝に車を買おうと思ってニューヨークに行った時、若冲の葡萄の絵に魅せられて、車を買うのを止めて、名前も知らないその絵を買って、それからコレクションを始めたとのこと。プライス氏は言う。日本語が読めないので、落款も印章も関係なく、人に言われてではなく、自分がいいと思った絵を買った――と。結果、江戸絵画の主流である狩野派の絵は少なく、伊藤若冲を中心に、長沢芦雪、猿を描いた森狙仙、酒井抱一や鈴木其一などの江戸琳派の画家たちの絵が多いとのこと。
中でもユニークなのが、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」9万個近い升目にモザイク状に描かれたさまざまな鳥たちや獣たち。しかし、これは本当に江戸時代に描かれたのか?何も知識なく見たら、現代のイラストレーターの作品だと思うのではないか?鶏とアジサイを精緻に描いて、リアルを超えた美の世界となっている「紫陽花双鶏図」と同じ画家とは思えない。「鳥獣―」の方は、なんかマンガ的というか‥‥このデフォルメされた丸っこい形といい、明るい色彩といい‥‥ホントにモダンだ。はたして若冲はこの中のどれだけの動物を見たことがあるのかなぁ。架空の動物っぽいのも多いし‥‥「鶏の画家」として、家に数十羽の鶏を飼って、生態を克明に描いたという若冲の姿勢と、この屏風はどうも合わないような気もするが‥‥。しかしこの偏執狂的な描きこみは、リアルを突き抜けて、色鮮やかな幻想の世界のようになった「紫陽花―」と通じるものが‥‥あるといえばあるか?
若冲が狩野派に飽き足らなくなったというのはよくわかる。私は市の講座で水墨画を習ったことがあるのだが(まだパートに出てなくて、家計に余裕があった頃、その講座の先生が、昔の小学校の時の先生だったこともあって申し込んだ)水墨画の練習というのは先生のお手本を写していく方法だったので、それまで「個性を大切に、人真似はダメ」みたいな美術教育を受けてきたので非常に驚いた。確かに、デッサンのような三次元世界を二次元に表現する練習方法より、二次元に表現されたお手本を写すという作業の方が初心者には簡単だ。御用絵師として、多くの障壁画や屏風のような大画面を制作していた狩野派としては、そういう教育方法で、ある水準以上の絵師を多く育てることが重要なことだったのだろう。だけど、この方法では傑出した才能はやがて飽き足らないというか、息苦しくなってくるだろうというのは容易に想像できる。

「若冲」を中心にしたというこの展覧会だけど、私は酒井抱一や鈴木其一など江戸琳派と言われる画家の季節の花を描いた絵がとても良かった。特に、三十六歌仙を描いた図が四季の花を描いた屏風に貼られている酒井抱一の「四季草花図・三十六歌仙色紙貼交屏風」は、夫人への結婚の贈り物として買われたというけど、うらやましいなぁー。

愛知芸術文化センターの展望階より見たオアシス21


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